丹ちゃんから今年の獅子の会の連絡が舞い込んだのは4月初めのことでありました。今年の開催場所は岐阜県平湯温泉。観光場所は、乗鞍スカイライン、奥飛騨クマ牧場、新穂高ロープウェイ、上高地等とのことです。ここ数年慣例となった海→山→海→山…という順番からすれば今年は山の順番で、文句を言う筋合いはひとつもないのでありますが、山男の私にとってはホームグランドのようなもので、年に一回は必ず訪れる場所でありますから、ちょっと新鮮味に欠ける場所ではありました。そうは言っても、今年の獅子の会開催を心待ちにして毎日を過ごしておりました。
5月末、今年の参加状況は如何かと丹ちゃんに連絡してみたところ、ヤノとシイノは今年も不参加、フナキは未定ということでしたのでフナキに電話してみました。今年息子が結婚することになって、ホテルの下見等の日程が決まらないので、まだ参加できるかどうか分からないとのことでした。ちょっと待て!そっちの日程が決まっていないなら、6月9、10日は外すことだって可能じゃないか。獅子の会に参加するためなら会社なんかサボってしまうという私の優先順位からすれば、ちょっと考えにくいことではあるのですが、そんなこと、怖くて、フナキにはとても申し上げられません。結局フナキも参加できず、昨年と同様の5人の参加ということになりました。
開催前日の6月8日の長野は、最高気温28℃という夏を思わせる気候。ところが、翌9日は雨らしい。長野県、岐阜県はおろか、日本中雨模様という予報。6月初旬という日程では無理からぬことではあるのですが、獅子の会開催日は何故か雨が多いのです。ハゲ男は大勢いるのに、晴れ男はいないのでしょうか。エッ、そんなに雨降ってるかい?という方もおられるでしょうから、以下、開催日と天候を記載しておきます。
第1回(平成2年3月17、18日 稲取温泉)…晴れ
第2回(平成3年4月13、14日 相差海岸)…初日大雨
第3回(平成4年5月23、24日 戸倉上山田温泉)…初日大雨
第4回(平成6年5月21、23日 中川温泉)…晴れ
第5回(平成7年6月17、18日 伊香保温泉)…晴れ
第6回(平成8年6月14、15日 湯檜曽温泉)…晴れ
第7回(平成10年5月16、17日 渋温泉)…晴れ
第8回(平成11年6月5、6日 河口湖)…晴れ
第9回(平成12年6月3、4日 飯山温泉)…晴れ
第10回(平成13年6月9、10日 箱根湯本温泉)…晴れ
第11回(平成14年6月15、16日 下呂温泉)…晴れ
第12回(平成15年6月14、15日 大泉高原)…初日雨
第13回(平成16年6月12、13日 鬼怒川温泉)…初日雨
第14回(平成17年6月18、19日 石和温泉)…晴れ
第15回(平成18年6月10、11日 砺波)…晴れ
第16回(平成19年6月9、10日 山中湖)…初日雨
第17回(平成20年7月5、6日 草津温泉)…晴れ
第18回(平成21年6月6、7日 房総半島)…初日雨
第19回(平成22年6月12、13日 裏磐梯)…晴れ
第20回(平成23年6月11、12日 浜名湖)…初日雨
第21回(平成24年6月9、10日 平湯温泉)…初日雨
と、降水確率38%、特に最近10年間では60%という高い降水確率なのであります。
開催当日の平成24年6月9日は、予報どおりの雨です。
松本駅11時半の待ち合わせではありますが、チューは、また皆との同行を嫌って、何処か良からぬところに立ち寄ってからくるのではないか、車でくるとっつぁんは多少早目に着くのではないかと思ったりしながら、十分すぎるくらいの余裕を持って出発しました。11時ちょっと前、松本駅アルプス口に到着と同時に丹ちゃんから連絡が入りました。濃霧のため列車は遅れそうとのこと。とっつぁんはどの辺りかしらと電話してみると、もう少しで松本ICという辺りを走っているらしい。とっつぁんがそんなに早くくるわきゃーないわな。
やがてとっつぁんも到着し、約10分遅れで東京方面からの3人も到着しました。チューは珍しく皆と行動を共にしてきました。今年もピンクのセーターであります。
この雨では、初日の乗鞍スカイラインの観光は中止。乗鞍岳は、学生時代にチューと哲ちゃんと3人で初めて登った北アルプスの山でありまして、そこで初めて雷鳥を見たという思い出の山なのであります。乗鞍岳はそれ以来一度も足を踏み入れたことがなく、実は今回の観光予定地の中で私が唯一楽しみにしていた場所であったのですが、この雨では如何ともしようがありません。
まだ国宝松本城に行ったことがないというチューの希望で、まず松本城の大手門駐車場に車を入れます。
まずは腹ごしらえということで、近くの蕎麦屋に入ります。信州に来たらやっぱり蕎麦でしょう。哲ちゃん、カツカレーはまた今度ね。
体調が良くないという丹ちゃんを車に残し、4人で国宝松本城に行きます。国宝となっているお城は三つだと言われていたような気がしていたので、松本城と姫路城と、もうひとつは犬山城か彦根城と思っていたのですが、やっぱり四つとも国宝だったんですね。三つだと思ってたのは、私の勘違いだったようです。現在は松江城を含めて5城が国宝であります。
昨日からぎっくり腰だという哲ちゃん、入口まではきたものの、やっぱり急な階段は無理だということで車に戻りました。その代り、いつもは観光などしたこともないようなとっつぁん、今年はここまで車の運転で酒が入っていないせいか絶好調。無事、国宝松本城の見学を終えました。ここんとこ二日も酒飲んでねえから、調子いいだよ〜。
写真:国宝松本城
松本城の見学も済ませ、さてこれからどうしましょう。
これから平湯温泉まで走って、ゆっくり温泉につかるのもいいけれど、安曇野辺りの美術館をひとつくらい見ていきましょうというわけで、まだ誰も行ったことがない「安曇野ちひろ美術館」に行くことになりました。実はまだ私もいったことはないどころか、どの辺にあるのかも知らなかったもので、せいぜい旧穂高町周辺だろうと思っていたのですが、これが案に相違して安曇野市を通り越した松川村にあったんですね。もう少し行けば大町市に入ろうかという所でありました。そもそも安曇野市だって、平成の大合併で、当時の豊科町、明科町、穂高町、堀金村、三郷村等が一緒になってできた市で、全国で三番目に広い面積を有している。そのまだ先まで来てしまったのだから、また戻るのが一苦労であります。
そもそも私は、この平成の大合併の結果できあがった市町村名のネーミングのセンスの悪さには辟易しているのでありますが、それでもまだこの安曇野市は程度がいい方でしょうね。合併した市町村同士の思惑もあるのでしょうが、お互いの旧市町村名の一文字ずつ組み合わせたり、いたずらに旧国名や観光地名をくっつけてみたり、山梨県で言えば甲州市だとか南アルプス市だとか、訳分からん。話は違いますが、何で「東京スカイツリー駅」なんだ。「業平橋」って由緒正しき名前を失くしちゃって、後で後悔するなよ。後で後悔ってのも可笑しいな。後で悔やむから後悔だよね。
「安曇野ちひろ美術館」は、広大な敷地内に広い駐車スペースがあって、観光バスまで停まってます。若い女性には人気があるのだろうなと思うけれど、周囲を見渡しても昔のお嬢さんや白髪の青年ばかり。少なくとも60代の男5人のグループはちょっと違和感があります。それでも800円の入館料払って、ちゃんと見学しましたよ。
写真:安曇野ちひろ美術館
さ、3時も過ぎたし温泉行きますよ。
私の感覚ではこの農免道路を真っ直ぐ行けばいいと思ったのですが、ナビは左折しろと言う。自分の車ながら、私はこのナビと相性が悪いのです。それでもたまには言うことを聞いてやろうと思い、ナビの案内どおりに左折する。どんな道を案内してくれるのかと思ったら、通行量の多い国道147号線へ。しばらくは我慢して147号線を走っていたものの、旧豊科町付近の渋滞に業を煮やして右折。いくら頑張っても、到着予想時間は変わんねえぞ…と、チュー。私の努力など知らぬ顔で、哲ちゃんはリアシートで舟を漕いでおりました。
車はようやく国道158号線に入り、沢渡を経て中の湯から安房トンネルに入ります。トンネルを抜けて信号を右折し、ようやく平湯温泉に到着です。
丹ちゃんが手配してくれた宿は、平湯温泉の「穂高荘倶楽部・山がの湯」であります。この「山がの湯」の姉妹館が新穂高温泉にあって、その「山のホテル」の「山峡槍の湯」は混浴大露天風呂ということで、明日はここにも入ろうという目論見らしい。
宴会の時間まで後1時間、風呂行きましょう。
男性用大浴場は「万年亀の湯」と名付けられ、熱めと温めの二つの浴槽と、外に大露天風呂があります。
写真:「山がの湯」露天風呂
湯上がりのビールを飲む間もなく、はい、宴会です。
ぎっくり腰の哲ちゃん、ケツが痛いと薬塗り塗りの丹ちゃん、白内障の手術をしたばかりというチュー、背中が痛むのだけれど怖くて病院に検査にも行けないとっつぁん。病気持ちの4人に対し、性格以外に悪いところは見当たらないという私。このくらいのハンデがあって、ようやく四分六でしょうか。
こんな山ン中の温泉にお姐さん方は来てくれるのだろうかと心配していたチュー。大丈夫、今年も綺麗なお姐さんが二人、ちゃんと来てくれましたよ。それも松本辺りから。私は、高山辺りから来るのかなと思っていたのですが、松本の「オフィス104」というところから1と2のお姐さんが来てくれました。何だよ同県人かい、新鮮味がねえな。
今年座を盛り上げてくれたのは、里紗嬢と〇○嬢。いえ、名前を忘れたわけではないのです。こういう旅行記をホームページにアップしていると言ったら、本名だから絶対載せちゃダメということで、源氏名を「梨香」にしておいてくれということでした。
今年はクメのノリが一番いいなと言うとっつぁん。おかげで初めてカメラのシャッターを押しちまったよ、と言いながら、私、初めてとっつぁんに写真を撮っていただきました。ま、私のノリが一番だとは言っても、他の4人、病人ですから…。それにしても、品行方正、沈着冷静、頭脳明晰、眉目秀麗…質実剛健…支離滅裂、五里霧中…一石二鳥、薄利多売…こういう私のノリが一番だなんて、君たち恥ずかしくないですか?日頃の健康管理を徹底していただいて、来年はベストの状態で臨んでいただきたい。もうベストの状態でも大したことはないんだから…。
今年は座の乱れもなく時間だけが過ぎていきます。
誰も席を立ったり、お酌に回ろうともしません。席立たなかったんじゃなくて、立てなかったんだね、きっと。
はい、それじゃ恒例の記念写真撮りますよ。
写真:記念写真
カラオケなんて行かねえで部屋で飲もうぜと言うとっつぁん。だけど、こういうお姐さんたちは部屋入っちゃいけないんだって。部屋へ来たお姐さんたちだっていたよなア…と思うけれど、ホテルの売上に結び付かないから、一応ダメってことになってるんだろうね。しょうがない。はい、カラオケ行きますよ。
「何歌います?」「何歌うって、♪みだれ髪♪に決まってるでしょ。次は♪よこはま物語♪、その次は♪兄弟船♪、はい、どんどん入れて」
折角哲ちゃんが痛む腰を我慢してステージに上がってるのに、歌違ってんじゃん…。
去年みたいな変な親爺はいないけど、隣のテーブルの若い人たちの歌って、ついていけないよな。ついていく気もないけど…。だけど、私たちは30年でも40年でも前の歌平気で歌ってるけど、あの人たち、30年後でも40年後でもこういう歌歌うのかねエ?
それでも気のいい若者たちで、大盛り上がりの私たちの写真、シャッター押してくれました。どうもありがとね。
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写真左:チュー、自分で髪の乱れに手をやる? 写真中、右:大盛り上がりの大合唱
哲ちゃん、腰痛いんじゃないんですか?丹ちゃん、ケツ痛いんじゃないんですか?
というわけで、今年の獅子の会の大宴会も大盛り上がりのうちに終了いたしました。
部屋に帰れば、もう皆ダウンです。
丹ちゃん、ケツが痛むのか、夜中からゴソゴソしていて、よく眠れないようでした。
早起きの私、いつもどおり4時起床です。皆を起こさないように風呂行きます。温泉宿は四六時中風呂に入れるからいいよね。
山際には雲がかかっているものの、幸い雨は落ちていません。誰もいない露天風呂での〜んびりいたしました。
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写真左:朝4時起きで風呂に入ります 写真右:平湯温泉街
入浴後、散歩に出かけてみました。バスターミナルには、早朝から登山服姿がチラホラと見えます。今流行の「山ガール」スタイルもいますよ。あの軽装では上高地散策といったところでしょうか。
部屋に戻ると、ようやくチューが起き出してきました。チューにつきあって、私も再び風呂へ。もう、ふやけちゃいますね。
ヤノがいない朝は平穏でありますが、その平穏も何年も続くとちょっと寂しく感じるのは私だけではないと思います。
朝食は久しぶりで和食のお膳。宴会になるとほとんどモノを食べない私、昨日の分まで欲で食うわけではありませんが、お代わりをしたのは珍しく私だけ。私、やっぱり絶好調かもしれません。
今日の予定は、丹ちゃんが帰りの電車で座って行くのが心配だから、観光は省略して帰ることになりましたので、とっつぁんの車に松本まで同乗していくことになり、残り3人が観光に行くことになりました。哲ちゃんも何とか腰の痛みも治まっているようです。
今回旅行では、部屋の冷蔵庫はまったく開けもしませんでした。宴会前のビールも、朝風呂上がりのビールもありません。こんなこと初めてだったでしょうね。
写真:「穂高荘山がの湯」前にて
宿の前で記念写真を撮ってから解散となりました。
観光組の3人は、バスターミナルからバスで上高地に向かいます。雨は降っていないものの、こんな天候では山の景色もイマイチだろうということで、新穂高ロープウェイは取りやめです。おかげで、「穂高荘山のホテル」の混浴露天風呂も残念ながら中止です。
安房トンネルを抜け、釜トンネルから上高地に入ります。釜トンネル入口付近には「卜伝の湯」という岩風呂があって、一度入浴してみようと思っているのですが、なかなかその機会を作れずにいるのです。
間もなく車窓左手に焼岳が見えてきますが、山頂付近には薄ら雲がかかっています。
大正池でバスを降りて、梓川沿いに河童橋まで歩くことにしました。
チューは上高地は初めてということですが、哲ちゃんは子どもの頃に親爺さんと上高地にきて、徳沢園に泊まったことがあるそうです。ここが井上靖の「氷壁」の宿だと言われた覚えがあると、思い出を語ってくれました。
大正4年の焼岳の噴火によって梓川が堰き止められ大正池ができたということはよく知られていますが、その大正池も年々土砂がたまって狭くなっている。大正池の代表的な景色でもある、立ち枯れた木も少なくなっているように思える。
写真:大正池にて
大正池から、梓川の左岸沿いに歩く。哲ちゃんの腰も、痛み止めを飲まなくても大丈夫なくらいだから、まア何とかもつでしょう。
それにしても雨が降らずに良かったですね。晴れ男(ハゲ男)のおかげですかねエ。
田代池に立ち寄り、田代橋、穂高橋を渡って今度は梓川右岸に出る。穂高橋を渡った突き当りが西穂山荘への登山口にあたり、ここから3時間ほどで西穂山荘に上がれる(はずだが、現在ではどのくらいかかるものか、あまり自信がない)。
右岸沿いに遡って行くと、右手には六百山、霞沢岳の山容が見える。三本槍の辺りには雲がかかってしまっている。
左手に広場があり、ここにウェストンのレリーフがある。ちょうど一週間前がウェストン祭だったはずだから、ここはさぞにぎやかだったことだろう。ウェストン祭ではいつも我が物顔でしゃしゃり出てくるエーデルワイスクラブの小母さんたちが、私は嫌いだ。
対岸に上高地バスターミナルを見て、もうしばらく遡れば河童橋である。
晴れていれば岳沢の上に穂高連峰が見えるのだが、あいにく上部は雲の中である。それでもわずかなシャッターチャンスを逃すまいと、三脚にカメラを据え付けてじっと待っているカメラマンも多い。機材だけ見ていると、プロだかアマだか見分けがつかない。そうやって苦労して撮った写真を、ああ綺麗な観光写真ですねって片付けられたんじゃやってられないよね、丹ちゃん!
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写真左:ウェストン広場にて 写真右:河童橋にて
再びバスで平湯に戻りました。短時間ではありましたが、3人ともバスの中ではウトウトしていたようです。
平湯バスターミナルで買い物をしてから帰路につきます。
途中、狸でも飼っていそうな山間の食堂で昼食。カツカレーもメニューにあったけれど、やっぱり3人とも蕎麦でした。
午後1時過ぎ、松本駅で散会となりました。
来年はチューの世話で、西伊豆で開催の予定です。
私は今から、前日から乗り込んで長九郎山登山と、「大沢荘山の家」の露天風呂を楽しみにしています。哲ちゃん、是非お付き合いをお願いします。
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