獅子の会珍道中

第20回獅子の会旅行会顛末記(於 浜名湖)

平成23年6月16日(木)発行

発行者:久米昇

平成2年3月、伊豆稲取温泉において記念すべき第1回目が開催された獅子の会も、その後21年という歳月を経ながら、ようやく第20回という節目を迎えることになりました。第1回の開催時には、40代に突入したか、またはそろそろ不惑の年を迎えようかという年代だった会員も、すでに全員が還暦を過ぎ、後は余禄の人生となった次第ですが、最近では健康を理由に欠席するメンバーも増え、平成16年(第13回)を最後に全員参加が途絶えているのも寂しい限りであります。
今年も、シイノとヤノが、そんな理由から欠席、フナキは、出向先から本体に戻った途端に忙しくなり欠席と、参加者は5人となってしまいました。還暦を過ぎてから、わざわざ忙しく働くこともないのでは…とも思うのですが、まア、働けるうちが華かもしれません。

というわけで、私は、当初浜名湖SA辺りでフナキと待ち合わせするつもりだったのですが、一人寂しく待ち合わせ場所の浜松駅に向かうことになりました。幸い、高速の休日割引が6月19日までということでギリギリセーフ。その他の割引を使わなくても1,000円で間に合うということで、朝、5時過ぎに出発いたしました。フナキと待ち合わせの予定がなくなったもので、もう少し遅くてもよかったかなと思ったのですが、いつものとおり4時前には目が覚めたことでもあるし、予報どおりの雨ということもあって、早目の出発となりました。
ここ数日の好天が嘘のように、今日明日は大荒れの予報。何でわざわざこんな天気の日を選んでやるのだろうかと、丹ちゃんに訊いてみようかと思ってしまいます。松本を過ぎた辺りで、反対車線(下り車線)での事故を目撃。尚一層慎重に車を走らせます。約2時間で県境の恵那山トンネルを抜け、恵那峡SAで最初の休憩。
土岐JCTから東海環状自動車道に入り、更に豊田東JCT、豊田JCTを経て、ようやく東名自動車道へ。土砂降りの雨が続きます。
予定どおりに出発から4時間で、浜名湖SAに到着。雨に加え風も強まって、大荒れの状態です。

 写真:浜名湖SA

小腹がすいて「うな串」を1本購入。美味いことは美味いんですが、1本くらいでは腹の足しになりません。しかし、財布と相談の結果、1本だけにしておきました。
丹ちゃんに電話してみると、チューは丹ちゃんたちより早い電車に乗ったとか。どうしてこの男は皆と行動を共にできないのだろうか?また我々をダシに使って、何処か良からぬところに寄ってるんじゃないだろうか。…ということで、今度はチューに電話してみるが、電源が切ってあるか電波の届かない所にいるとのアナウンス。やっぱりなア。
しばらくしてチューから電話。少し早目に駅に行ってやろうかという私の親切に対し、「聞こえねえンだよ。予定どおり。少し早いのに乗った」と、一方的にしゃべって切った。そっちから電話しといて、聞こえねえって怒られたってなア。それに、少し早いのに乗ったっていうのが、どうして予定どおりなんだ?チューの言うことは相変わらず理解しかねます。
まア、少し早目に行こうかと思い、9:40、浜名湖SAを出発。7分ほどで浜松西ICを降りる。
浜松駅近辺で駐車場を探して迷っていると、とっつぁんから電話。南口にいるということで、ようやくとっつぁんと落ち合うことができました。
再びチューから電話が入る。南口にいるって言うと、「南口って何処だよ。何か目印になるものはない?」…そんな話をしながら、ヒョイッと駅の方を見ると、ド派手なピンクのジャケットを着た男が携帯を片手に立っているのが見えました。チューとピンクの組み合わせがピンとこないのですが、あの頭は絶対にチューだと思い、「お前、ピンクんの着てるだろ?」まったく、自分が何処に立ってるのかも分からなくなってしまっているようです。
「ここで丹ちゃんたちを待ってる」って言うチュー。しばらくすると丹ちゃんから電話。「改札口でチューが待ってるから」って言うと、「チューなんか何処にいるんだよ」確かに、丹ちゃんと哲ちゃんの姿は見えましたが、チューの姿が見えません。しばらくすると、横手からチューがのそのそっと現れます。まったく役に立たない男です。
幸い、あんなに荒れ模様だった天候も回復し、とっつぁんと私の車に分乗。まずは予定どおり浜松まつり会館に向かいます。毎年5月3、4、5の3日間、浜松っ子を熱くさせる浜松まつりの資料をそろえた会館ですが、この浜松まつりも、今年は大震災の影響で中止になったそうであります。

 
写真左:浜松まつり会館 写真右:浜松まつりの顔出しパネル

まつり会館から、まつりのメインイベント凧合戦の会場となる中田島砂丘へ。この中田島砂丘は日本三大砂丘のひとつだと言う丹ちゃんに、早速つっこみが入ります。「鳥取ともうひとつは何処だよ?」「言われるとは思ったけど…。月の砂漠のモデルになった、千葉の方じゃないか?」若者ならすぐに携帯で調べるところでしょうが、そんなことができるような爺イどもではありません。
(ちなみに、日本三大砂丘を標榜している砂丘はいくつもあるようなのですが、丹ちゃんの言うとおりの千葉の九十九里もその中に入っているようですので、正解だったということにしておきましょう。)

 写真:中田島砂丘

浜松まつりに関する見学を終え、次は航空自衛隊浜松広報館「エアーパーク」に向かいます。その前に腹ごしらえ。いつでもどこでもカツカレーという哲ちゃんの意見は無視。浜松にきたらやっぱりうなぎだろうということで、電柱の看板に導かれながら「藤田」という店に入りました。店は満席状態で、順番待ちをしても5人合席はできずに、分かれての食事になってしまいました。

 写真:1,900円のうな重です。

航空自衛隊浜松広報館「エアパーク」は、丹ちゃんの事前調査では入場料500円ということでしたが、何と無料。丹ちゃん、受付のお嬢さんに愛想をふりまきますが、相手は航空自衛官でしょ。コンパニオンのお姐さんと勘違いしないでくださいね。
意外にも、軍事に関するチューの知識の深さにも驚かされました。それにしても、チューの軍事オタクは相当のもので、自衛隊機に乗り込んでご満悦でありますが、ちょっとちょっと小父さん、後で小さなお子さんが待ってますよ。替わってあげてください。

  写真:「エアパーク」にて

「エアパーク」の見学を終えて、今度は、雨の場合を想定した見学地として丹ちゃんが設定した「うなぎパイ」の工場見学に向かいます。
今年創立50周年を迎えたという「春華堂」で、「うなぎパイ」の製造工程を見学します。観光バスは1台しか入っていないのに、すごい混雑。何でこんなに人気があるんだろう。皆無料のお土産目当てかな?「うなぎパイ」のキャッチフレーズが「夜のお菓子」…ん?「夜のお菓子」ってどういうこと?新商品の、ブランデーを使った「うなぎパイVSOP」には「真夜中のお菓子」なるキャッチフレーズが…。ますます訳分からん。

 写真:「春華堂」にて

見学に疲れ切ったとっつぁん。「もうホテル行こうぜ」
こんなに早くホテルに入れば、とっつぁんまた宴会までに具合悪くなるほど飲んじゃうでしょ。ダメですよ。
雨も上がっているので、当初の計画どおり「かんざんじロープウェイ」に乗りますよ。このロープウェイ、日本で唯一湖の上に架かるロープウェイということで、そこからの眺めも楽しみです。ところが、800円/台という駐車料金の高さに憤慨。1日800円ったって、遊園地で遊ぶんでもなければ1日中なんて停めないでしょ。せめてロープウェイに乗るお客くらいには割り引きがあったっていいんじゃないですかね。

  写真:かんざんじロープウェイ

大草山山頂にあるオルゴール館なんて寄りませんよ。ロープウェイからの眺めだけ堪能できればいいんですから…。
(ちなみに、この浜名湖の大きさに関しまして、丹ちゃんの言。日本で3番目に広い…ということでございましたが、まったく違っておりました。1位琵琶湖、2位霞ヶ浦というのは誰でも知るところでしたが、3位以降というと誰も反論できませんでした。実際には、浜名湖は10位だそうですよ。3位サロマ湖、4位猪苗代湖…。)
さ、とっつぁんお待たせしました。ホテル行きますよ。
今年の宿は、また哲ちゃんの口利きで「浜名湖ロイヤルホテル」です。結構混んでますよ。

「浜名湖ロイヤルホテル」には、「ゆうとう温泉」なる温泉があります。温泉の名前の由来は、所在地の雄踏町ということであります。露天の岩風呂がまことに結構でございます。

  
写真左:浜名湖ロイヤルホテル 写真中、右:ゆうとう温泉

いよいよ今年も宴会ですよ。
第20回目の記念開催ということで、事務局からご挨拶があった後、乾杯です。
今年の宴席を彩ってくれたのは、浜松まつりに熱い血をたぎらせるという浜松っ子の「ひろみ嬢」と「香奈嬢」のふたり。美形といえば美形ですが、「ひろみ嬢」の方は、よく見ると目じりの小皺が…。どうりでアップの写真を撮らせないわけだ。
宴会の席順は、私と哲ちゃんが隣同士、チュー、とっつぁん、丹ちゃんの酒飲みグループが向かい合わせとなりました。まったく、紳士組と獣組に見事に分かれたものであります。とっつぁんの口から「スパコン」なる言葉が聞こえてきます。えらく格調高い話をしてるなアと思ったら、そのうちに脱ぐとか脱がないとか…。よくよく聞いてみると「スパコン」って「スーパーコンパニオン」なのね。私らの感覚では、「スパコン」っていえば「スーパーコンピューター」のことですよ。コンピューターが脱ぐわけねえとは思ったんですよね。いずれにいたしましても、去年は満足に宴会に出られなかったとっつぁん、宴会前の酒を控えさせた幹事の努力の甲斐あって、今年は絶好調でございます。

 写真:記念写真

今年も無事、記念写真に納まりました。
来年は何処にいたしましょう。今年のお姐さん方が素晴らしいから、第一候補はまたここでって、毎年同じこと言ってますが…。ここ数年来、一年ごとに海、山交互に開催していることを考えれば、来年は山でしょうか。松本辺りで集合し、木曽方面観光後、昼神温泉ってのはどうでしょうか。
…というわけで、一次会は無事終了。ハイ、カラオケ行きますよ。もちろんチューの♪みだれ髪♪入ります。
このカラオケ会場で一悶着ありました。隣の席のグループの親爺がひとり、なんやかやとちょっかいを出してまいりまして、最初は大人の対応をみせていた私どもではありましたが、あまりのしつこさに我慢も限界に近づいてきました。鼻の下は長いが気は短いとっつぁん、怒り出すんじゃないかとハラハラしておりました。もっとも、とっつぁんが怒り出す前に、殴ってやろうかと内心思っていた私ではありましたが…。

  
写真左:乱れる髪がない 写真中:高校三年生の大合唱 写真右:変な親父闖入

この旅行は、変な親爺ばっかりだと言う丹ちゃん。聞けば、新幹線の中で隣り合わせになった親爺も変な親爺で、見知らぬ乗客を捕まえては、あっちへ座れこっちへ座れと仕切ってみたり、社内放送が聞こえにくいと車掌にクレームをつけたりと、傍若無人の振る舞いだったとか。類は友を呼ぶってことなんじゃないですか?
こんなことで気分を害したのか、チューにいつものキレがありません。♪みだれ髪♪を歌い終わると、他にリクエストしていた歌もあるのに、部屋へ引き揚げていきました。
逆に絶好調のとっつぁん、お姐さん方の延長時間も切れた後はサービスだと、最後の最後♪高校三年生♪の大合唱まで付き合わせていました。ちなみに、隣のグループのあの親爺、仲間が帰った後も、我々の♪高校三年生♪まで付き合っていきました。頼みもしないのに…。
とっつぁん、部屋に引き揚げてからも絶好調。明日朝早いんでしょ。もう寝ましょうよ。

翌朝、丹ちゃんがトイレに起きだしたので、時計を見ると5時。今日も雨の心配はなさそうです。
5時出発と言っていたとっつぁん、もう出発したのかしらと部屋をノックしてみましたが応答ありません。
しばらくして姿を見せたとっつぁん、眼鏡どっかに置いてねえかなア。
今日は親戚の結婚式だというとっつぁん、朝飯も食わずに帰っていきました。ご苦労様でした。
残った四人、朝風呂の後、朝食です。いくらバイキングだといっても腹も身の内、トレイに乗り切らないくらい食べるのはやめましょう。

ハイ、お会計ですよ。メモ書きでもらった料金は13万なにがしという金額。…ってことは、28,000円/人でしょ。こんなに安くていいの?花代か何か落ちてんじゃねえかい?フロントに行った丹ちゃん。やっぱり落ちてました。カラオケスナックでのセット料金が落ちてましたよ。それでも3万ちょい。哲ちゃん、毎度毎度すみませんねえ。

 写真:「浜名湖ロイヤルホテル」前にて

早目に帰りたいというチューをJR舞浜駅まで送って、いつも元気な三人は予定どおり伊良湖岬観光に向かいます。
途中、ガソリンの給油中に電話。小学校のときの恩師の訃報に接しました。
ここから運転を丹ちゃんに代わってもらいます。伊良湖岬までの道路沿いには「イチゴ」と「メロン」の看板が並んでおりました。
伊良湖岬の恋路ヶ浜の駐車場に車を停め、灯台へ。

 
写真左:伊良湖岬灯台 写真右:灯台と伊良湖水道

この白亜の灯台は伊良湖岬のシンボルともいえるもので、「日本の灯台50選」にも選ばれています。
灯台から右手の崖の上に建つ伊勢湾海上交通センターへ、山道を喘ぎながら登っていきます。日曜日は休館ですが、屋上の展望台には上がれるということで、伊勢湾を行き来する船を眺めてまいりました。それにしても航行する船の量が多いですなア。眼の前の大きな島は「神島」、三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった島であります。この件に関しましては、チューが正解でありました。流石です。そして眼下に白亜の灯台が…。

まだお腹はすいていないものの、昨日のお姐さん方から情報を仕入れてきた「大あさり丼」を食わねばという丹ちゃんに誘われて駐車場前の食堂に入ります。「大あさり定食」しかありませんが、丹ちゃんはあくまでも「大あさり丼」にこだわります。「大あさり丼」はないの?」

 写真:1,600円の大あさり定食です

伊良湖岬から、最後の見学地になる豊川稲荷に向かいます。

[閑話休題]
ちなみに、伊良湖岬の近くに島崎藤村の♪椰子の実♪の歌碑があるわけですが、何故ここに歌碑があるのかという疑問にお答えしましょう。明治31年に恋路ヶ浜に遊んだ柳田國男が、ここで拾った椰子の実の話を、一緒にこられなかった島崎藤村に話したところ、それから藤村が想像を逞しくして創作したのが「椰子の実(落梅集所収)」とされている。後に、後に椰子の実の詩が現実に起こりうるものなのか某テレビ局のバラエティ番組で検証されたところ、南国から流れた椰子の実が、実際に漂着することがあるということが証明されているそうです。♪名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る椰子の実ひとつ…♪

豊橋市街地を抜けて、ようやく豊川稲荷に到着です。

 写真:豊川稲荷

この豊川稲荷は、正式には円福山豊川閣妙厳寺と称する曹洞宗の寺院であります。本尊は千手観音で、稲荷は鎮守として祀られる荼枳尼天(だきにてん)のことだそうです。豊川稲荷は神社ではないものの、商売繁盛の神様として知られており、入口には鳥居が立っています。日本三大稲荷のひとつと言われておりますが、伏見稲荷ともうひとつはどこじゃいなということになります。今回の旅行は、事後に調査することがたくさんあったわけですが、最後にこれも調べました。三大稲荷の選定には諸説あり一定していないそうですが、この豊川稲荷では、他の二ヶ所を伏見稲荷大社と祐徳稲荷大社としているそうです。ちなみに、祐徳稲荷大社は佐賀県鹿島市にあるお稲荷さんで、「祐徳さん」として古くから親しまれているそうです。

参拝を終えて駐車場で散会となりましたが、今回の旅行中珍しくソフトクリームを食しませんでした。「稲荷ソフトクリーム」はないのかよ。あぶらげ味のかい?食いたくねえねア。
丹ちゃんと哲ちゃんは豊川稲荷駅からJRで、私は豊川ICから高速へ。7時過ぎ、無事帰宅となりました。