今日のコラム・バックナンバー(1999年 8 月分)


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掲載は日付順になっています。


1999.8.1

トヨタの「プリウス」やこんど発売されるという
ホンダの「インサイト」など、
いままでなかったような技術で支えられる車が
いよいよ登場するという話は結構刺激的ではある。

願わくばもっと消費者や生活者の生活の側面を
一つひとつ支えていくような、、、提案していくようなものが欲しい。

今の時代は産業や生活やあるいは消費の仕方だって
いろんなやり方や方法があってしかるべきだ。

郊外にある自動車用品のショップで様々なものが
あれほど販売されていることだって
そういう方向が望まれている、あることの証拠ではないか。

正直いって、ああいったショップで販売されているものも
最近はどれも同じようなものに見えてきてもいるが
もっと刺激的でおもしろそうなもの、
役にたちそうなものもきっとたくさんある。

売れそうなものがあれば作るべきものはもちろんあるわけで
個人の消費だけじゃなくて商用の車やトラックに使うべき商品なんて
まだまだアイディアを必要としているようだ。



1999.8.2

昨日の夜、
テレビでスウェーデンやフィンランドなどをはじめ
北欧やヨーロッパ、アメリカにおける
エネルギー自給についての話題を放送していた。

なんでもアメリカやドイツは日本の風力発電の80倍から90倍の
規模ですでに行われているんだという。

また、スウェーデンでは消費者は電力を買う時に
10%割高の電力をあえて買い、
その10%のお金が発電会社の設備投資に「強制的」に
まわされるような仕組みになっているんだそうだ。
もし電力会社が設備にまわさないと
それは「法律違反」になるんだそうな。

我々日本にだって豊富な風力や太陽光線があるんだから
そんな方法だってとれないこともないだろう。

ところで風力発電にしても太陽光発電にして
もっと身近なところにそういうものを揃える「ショップ」が
あればいいのに、と思う。

いま、そんな設備を趣味でもいいからやってみようと思っても
田舎じゃなかなか揃えるのは大変なことだし
都会だって家電屋さんはあってもそんなものを
揃えることはあまりやっていない。あるところにはあるんだろうが、、

「お父さん」の日曜大工でできるような「キット」が
簡単に手に入ればいいのになあ、と筆者は思う。

「プリウス」や「インサイト」も
思い切って太陽光線や風力で発電するようなキットを
おまけにつけたらいいのじゃないか

発電した電気でポンプをまわして水をくみ上げて
緑のガーデニングに水を撒くような簡単なものでもいいから
そんなものがあればイメージ作りには最適だと思うんだけれど、、



1999.8.3

事実は小説より奇なり、とはよく言ったものだ。

最近の新聞を読んでいると
はたして20年前、いや、5年前でさえ
到底想像もできなかったようなことが
当然のように載っていて

読んでいるこちら側も
さしてびっくりすることもなく
新聞の記事として読み進んでしまっていることに
気がつく。

先週には
一面に「バーチャルバンク」
二面に「クローン人間の禁止」
の字句が並んでいる新聞があって
こりゃあ、数年前だったら
安手のSF小説もいいところで
新聞を読みながら思わず笑ってしまった。


毎日まいにちの出来事や事実が
たとえ少しづつでも変わっていったり変化していくと
しまいには想像もできないようなことが目の前に現れる。

その変化もどんどんスピードアップされていて
到底考えられないような時日で変わっていったりもするから
あとで冷静になって考えると
見過ごすにはあまりに大きな出来事だったりもする。

よっぽど気をつけていないと
「いくつかある変化のうちのひとつ」としか
捉えることができないようになっているのであれば、、、
これは結構危ういことなんじゃないだろうか。




1999.8.4

いつも「電脳」の世界とか、「電気自動車」の世界とか
乗っかるものの話ばかりで恐縮なのだが
乗っかりついでに「船」にも乗って、、、
最近新聞等で少しづつ話題になりはじめている
「アメリカズカップ」の話を、、、

「アメリカズカップ」といっても知らない人も多いと思うが、
100年以上の歴史を持つ有名な「ヨットレース」のことをさす。

来月からニュージーランドのオークランド沖で
8カ国13艇の参加によって
まず「挑戦艇」を決めることから始まり
来年の2月にカップの保持国であるニュージーランドとの本戦まで
約半年にわたり行われる長丁場のレースだ。

一戦一戦のレースは「海のF1」とも呼ばれる
およそヨットには縁がないと思うようなハイテク技術を駆使し作られた
巨大なヨットを使い定められた周回コースを二艇で周回し先頭を争う。


「アメリカズカップ」が始って約100年あまり、
ずっとカップはアメリカのものだったのだが
80年代に初めてオーストラリアに持っていかれている。
その後アメリカはカップを国の威信をかけて取り戻したのだが
前回のレースで再び、こんどはニュージーランドに持っていかれてしまった。

「アメリカズカップ」は勝者の国で行われることになっているから
今回はそんなわけでニュージーランド・オークランド沖で行われるのだ。



1999.8.5

「アメリカズカップ」の面白さは
何といっても
自然という不確かなものを人間の知恵が
相手にすることにあるように思う。

およそ競争を構成する要素が人間や科学技術よりも
自然の側のほうが多い競技であるにもかかわらず
化学的な問題解決をどこまで追い求めていけるかという手法と
同時に選手やチームを支える人間たちのヒューマンな戦いの手法が
そこに複雑にからみあって、
どこまで、どのように闘っていけるか
見えているところが最大のみどころだと思っている。

雄大な自然のなかで行われるというシュチュエーションも
もちろん魅力の一端でもある。

で、特にはその科学技術の粋を集めて開発された
ヨットそのものが
我々のような「ものをつくっている人間」にとっては
とても興味を持つ部分なのだ。

たかがヨットなどと馬鹿にしてはいけない。
最先端の材料やその加工方法、設計手法やシュミレーション技術、等
飛行機やロケットと変わらない最先端の技術を駆使してつくられているのだ。




1999.8.6

前々回、前回に引き続き三度目の参加となる日本は
当時から「ニッポンチャレンジ」というグループが
精力的に参加している。

いままで「ニッポンチャレンジ」として参加してきた日本艇は
JPN○○と形式的な呼び方で艇を呼んでいたのだが
今回のレースに向けて新造された日本艇の二隻には
「阿修羅」と「いだてん(漢字がでてこない)」という名前が
それぞれつけられた。

7月の末には進水式が行われ初めて一般にも公開された。

今回の二艇はそれぞれに特徴をもち
コンピューターシュミレーションや三次元設計等といった
世界的にも最新のものづくりの技術に支えられた
戦闘力にチームは強い自信を持っているようだ。

いままで参加してきた二回とも「今回は有望」というわりには
残念ながら結果的には緒戦で敗退しているのだが
それでも繰り返し参加することにより
それでも大切なノウハウや経験は蓄積されつつあり
また、そういう最新の技術の裏打ちによって
「今回はいけるのではないか」とのことなのだ。



1999.8.7

先日の読売新聞にはそのニッポンチャレンジの二艇の
進水式の様子が伝えられていた。

通常、ハイテクとノウハウの固まりである新艇のプロフィールは
極力、オープンにされることをさける。

事前もそうだが、レースが始ってもなお
重要な部分は、特にその艇の「水面下」の形状は
その艇の戦闘力を決定するもっとも重要なものとされ
外部に情報がもれることは極力さけるようなことになっている。

船底に取り付けられるキールと呼ばれる板状に突き出した
翼のようなものは、レースシーズンに入っても
レースごとに改良され、またその情報も
重要なものとされ、外部が知ることは不可能だ。

ところが、今回のニッポンチャレンジの二艇は
進水式の時点で陸上にオープンに「展示」され
艇の戦闘力にとって最重要項目であるはずの水面下の形状も
まったくオープンにされたのだという。

これはアメリカズカップに出場するヨットの常識からしても
いままでにないこと、、だ。
(たしか、いままでだったら船底の形状をオープンにしたのは
スウェーデンくらいじゃなかったかな)




1999.8.8

ニッポンチャレンジの設計チームを率いる
東大の教授は「今の時期に隠す必要はない」と言っているんだそうな。

今回はコンピューターシュミレーションや三次元設計等に支えられ
「これ以上の船体は考えられないというところまで詰めた。」
のだそうだ。
よっぽど設計とそのコンセプトに自信を持っているらしい。

経験と感覚で作られた海外のヨットと
純粋に理論と数字を追求した日本艇のどちらが勝つか、
たしかにそういう点は
新聞でも書かれているとおり今回のみどころでもあるだろう。

でも、そうだとしても、海外の長い経験に裏打ちされ
鍛えられた「経験と感覚」に勝つのは
そうそう簡単な話ではないだろう。

もちろん船体の出来不出来だけでレースの行方が決るわけではない。
重要なクルーの資質や能力をはじめ、チーム全体を支えるすべてのものが
基本的にはレースの行方を左右する。
しかしとりあえずは船体が最も重要なもののひとつであることも確かだ。

たしかに船が出来上がってしまっている今となっては
すでにチームの戦闘力のあらかたの部分は
すでに決ってしまっているといってもいい。

願わくば、ここところあまり国際的に経済や社会や、様々なところで
日本が頑張っているんだというニュースが聞かれない。

ここは大変なチャレンジだということは当然として
なんとか世界の強豪に一泡吹かせてほしいと思うのは筆者だけではないだろう。




1999.8.9

先日、めったに最近はやらないインターネットサーフィン、、
(なんて「古い」ことばなんだろう)をやっていた。

インターネットがこれほどまだ一般的になっていないころは
ともかくもインターネットが「面白い」のは
インターネットサーフィンによっていろんなホームページを見つけ
楽しむことができること、
なんて言われていたのだが、最近はさすがに
あれほどの一面的ともいえる騒ぎは失せてきて
必要な情報があれば探すことができて便利だ、くらいの
認識にもなってきた。

まあ、これが本当のところじゃないかと思う。

ところでそんなインターネットサーフィンだけれど、
最初から必要な情報を検索するわけでもないのだから
取りとめもなくホームページをブラウズしていても
自分が今、必要とする情報にめったに出合うことはない。

ところがそうはいってもホームページにあるリンクから
興味のある方向を選んで選択していくわけだから
いろいろいっても決して的をはずしたホームページに
たどりついてしまうわけでもない。

案外、情報で目一杯になった大海をとめどもなく流れていっても
「必要な情報」にはなかなかたどりつけない、、ということも
ないのじゃないかと思ったりする。



1999.8.10

逆に自分にとって興味のないホームページや情報には
検索サイトで検索したら、結果が直接、間接、関係のないものも含めて
大量に出てきてしまう、、、、ということでもないかぎり
サーフィンやブラウズをしていてそういう
「興味のない情報につながっていってしまう」
ことはむしろめったにないのではないか、と思う。

結構、インターネットの情報は結果的に
うまく整理されているんじゃないかとさえ最近は思う。

そうはいっても、毎日多大な情報が蓄積されつつあるインターネットは
それをすべて確認していくなんてことは不可能に近い。
自分の興味のある情報だけに絞ってもまず不可能だ。

結局、そういうものを絞っていく、、、
情報の行方をある程度自分で道筋をつくっていく、、としたら
それはどんな方法になるんだろうか。

最近はそんなことを考えている。

まあ、とりあえずは検索エンジンで必要な情報に真っ先に飛んでいってしまうのも
インターネットならではだけれど
最近は聞かれなくなったインターネットサーフィンやブラウズしていることも
案外、これから重要じゃないかと思っている。





1999.8.11

というわけで、この前、ネットサーフィンをやっていて
面白い情報を見つけることができた。

あるおもちゃメーカーが水槽のなかで遊べる遠隔操縦のおもちゃ
、、水のなかだから潜水艇ということになるだろうが、、
、、を開発したのだという。

普通のおもちゃは水のなかでは遠隔操縦はできない、
電波が届かないからだ。
が、このメーカーはほかの方法で操縦することを考えた。

なかなか面白い着想だと思ったのだが
ちょうどホームページをブラウズしていた明くる日に
東京のおもちゃの展示会?みたいな場に
そのおもちゃを展示するのだとホームページで偶然知って、
ちょうど良い機会と思って
早速、東京まで行って見てくることができた。

実はその場で先行販売の限定モデルがあって
購入もしてきてしまったのだが
あの夜のネットサーフィンがなかったら
今、目の前にあるおもちゃも買うことは出来なかっただろう。




1999.8.12

そのおもちゃがどうの、、というわけではないが
いままで考えもしなかったものがこうして情報やものとして
すばやく手に入るのだから
情報技術やインターネットの世界の「すごさ」には驚かされる。

「パソコンとかインターネット」が既存の産業に与える
生産性向上を計ることは難しいと言われるし、
もっぱら、向上なんてしないのだ、、という議論も結構聞かれるのだが、
そんなしかめっ面しなくても
知りたい時は必要な時に、情報や自分の知識を広げてくれる情報技術や
インターネットはもうそれだけで充分役にたっている。

少なくとも、自分の世界や表現を広げて行こうとする人や企業にとって
これほど力強い助っ人はないのではないか。

いまさら、「インターネットなんて、、」という人もいないだろうが
その「助っ人」をどれだけ早く自分たちのものにするか否かで
これから先に大きな差が出てきてしまうことも間違いない。


さて、明日から「今日のコラム」はお盆休みに入ります。
次回は17日から再開します。

暑い日が続いていますが、みなさん体をこわさぬよう、、
それではまた。



1999.8.17

みなさん、お休みはいかがお過ごしでしたか。


さて、筆者は毎年正月とお盆は車に乗って小旅行をするのが
なかば習慣のようになっていて
今年も3日間ほどで1500KMほどを走ってきた。

それにしても高速道路が完備されていて
自分のまちから目的のところまでほぼ高速道路にのったまま
ほぼ国内のどこでも、、行けてしまうのは
もう当然のこととはいえ、インフラとして交通網が整っていることは
これほどまでに便利なのだと今さらながらに痛感させられる。

そう考えると
休みに入るまえに書いた「今日のコラム」ではないが
これからの時代には情報技術やインターネットの世界にも
インフラの完備が高速道路と同じように必要なものになるのは
もう間違いのないことだろう。




1999.8.18

大型のダンプや大量の物資を積載した大型の輸送トラックも
あるところから別の場所へそれらを迅速に運ぶために走ることもあれば、
様々な人々を載せた大型のバスも全国のいたるところへ
観光やあるいは目的にしたがって走り回ることもある。
一人や二人だけを乗せた自家用車も目的にしたがって走る。
まさに高速道路や道路網を使って様々な物資や人が
日本中を駆け巡っている。

インターネットや情報通信網の上でもこれを同じように
重ねあわせて考えることができる。
まさに「情報スーパーハイウェイ」なのだ。


筆者らの仲間・企業で行っている「プロジェクト99」という試みがある。

地元にあるCATVの回線網を利用した
常時接続、大容量回線、によるインターネットの利用の可能性を
中小企業の側で模索するこのプロジェクトでは
50社の地域企業が常時インターネットに接続され
様々な企業の情報化への取り組みが始っている。
このなかではすでに様々なメリットが生まれてきている。



1999.8.19

インターネットを単なる電話やファクスと同じように考えれば
注文書を送ったり連絡を取り合ったりしているだけのように思えるが、
実際に使いこなしていけばそれ以上に様々な可能性があるものだと
わかってくる。

前述の「プロジェクト99」にさきだち
昨年の秋から今年にかけて行われた「プロジェクト98」では
こうしたインターネットの高速常時接続のインフラの整備が
中小企業間においても
・情報の交換、データの交換
・情報の検索、取得
・情報の発信
などに積極的に使われはじめる状況が報告されていた。

いままで使われてきた、
、、いや、もちろんこれからなくなるわけではないのだが、、、
電話やファクスにはない、高速で広域的で、双方向のやり取りが
できるようになっている。
これらが企業環境に多くのメリットをもたらすことが明確になった。





1999.8.20

ところで筆者はこれらに見られるような
「ツールとしてのインターネット」の可能性だけではなく、
これから先は
インターネットがものの作り方や仕組み、やがては価値観までも
変えていくものになっていくのではないかと思うのだ。


とりあえずは前述のように情報やデータが交換されたり
情報の取得や発信に使える、、、それも双方向にできるというのが
まずはツールとして優位な点として認識されるのだろうが、
それが徐々に、いや圧倒的なスピードで進化し、
大容量の情報が非常に早いスピードでやり取りされたり、
またそれがいままでとはくらべものにならないほど
多くの人を巻き込んでオープンに行われるように
なっていくようになれば、
そこには当然いままでとは異なった
ビジネスのやり方や価値観も生まれてくるだろうと思う。

目の前のメリットで考えるだけならば
たしかに「ツールとしてのメリット」があるわけなんだろうが
一番、考え目を向けておくべきは
その社会や産業へ及ぼす影響とその結果の大きな変化そのものだろう。




1999.8.21

先日、たまに行く最近はやりの「全国チェーンの古本屋さん」で
面白い本を見つけた。

なぜか、まあ、すでに読んで持ち込まれた、ということなんだろうが
まだ昨年の10月にでたばかりの単行本が置かれていて、
思わず買ってみた。

1900円の本が950円で手に入るのだから安い。

その本は「アメリカ鉄道創世記」(山海堂)という名前で、
加山昭さんという航空関係のお仕事をされているかたが
ライフワークと言ってもいいだろう、、
御自身が長期にわたって研究、調査なさってきた
海外の鉄道発達史の研究資料を
特にアメリカの初期の鉄道の発達史にまとを絞って
まとめられた、なかなか興味深い本である。




1999.8.22

乗り物好きの筆者は鉄道や蒸気機関車だって
もちろん興味があって、
アメリカやドイツや日本の巨大な蒸気機関車はもちろん、
アメリカの西部劇に出てくるような、、
ちょうど日本でいえば「弁慶号」みたいな蒸気機関車や
地下の採掘なんかに使われたりするトロッコみたいな
機関車だってとても好きなのだが
その本には当時のそんなような小さなトロッコのような
蒸気機関車の写真や資料もたくさん掲載されていて
見ているだけでも楽しい。


ところで先に「インフラ」のことを書いたから
こんな話になるのだけれど
アメリカの鉄道の発達史はどんな状況から始ったのか、
今回、その本を読んで知ることができた。




1999.8.23

通常、どうしても、アメリカの鉄道による交通網というと
大陸横断鉄道の施設がその発祥や中心にあり
歴史的にはそれがアメリカの国家の発展とともに
東海岸から西海岸に向かって伸びていったように考えてしまう。


だが実際はアメリカの開拓時代にはあくまで「幌馬車隊」「開拓者」
が西に向かって開拓を進めていったのであって
アメリカの鉄道による交通網が開拓を使命としながら発達してきた、
、、というわけではないらしい。
ただし、アメリカの産業の発達を知る上で、鉄道の役割は
忘れては語れないものであることは間違いない。


なかなか面白いからちょっとじぶんなりにまとめてみる。
興味のある人はぜひ「アメリカ鉄道創世記」を買って読んでみてはどうだろう。

アメリカの鉄道の、まず原始的なもの、初期の姿は、
鉱山から石材や鉱石や石炭などを運ぶことを目的に
比較的狭い地域、区間、距離を結ぶためのものとしてまず、作られたのだという。
言ってみれば「トロッコ」みたいなものだったらしい。




1999.8.24

多くは鉱山から石材や鉱石や石炭など
勾配のある地域で走ることになるから動力を必要とするが
まだ蒸気機関は当時発明されておらず、もっぱら馬か重力で動いた。

言わば鉄でできた軌道の上を馬にひかれたトロッコが通る
というようなものであったらしい。
鉄でできた道の上を通すならば一頭の馬でも
石材、鉱石や石炭など驚くほどの重量物を簡単に運搬できる。
くだりは重力を使えば簡単に下ってこれる。

また、当時、通常の馬車による輸送から大量輸送とコストを下げる目的で
行われたのが運河や河川を利用する運河輸送であったのだという。

しかし運河や河川を利用するというのはどこでもできるというものではない。
やがて離れた場所にある運河や河川の間を結ぶための輸送機関として
鉄道が使われるようになった。
こちらも最初は馬車のようなものか、あるいは船そのものを運送したらしい。

これは昔(どれほど昔からなのかは書かれていなかったが、、)
日本でも見られた形態で京都の運河と琵琶湖を結ぶ同様のものが
あったのだという。



1999.8.25

やがて、英国でワットによって蒸気機関が発明される。
このあたりの話は英国の産業革命の話を
学生時代なんかにやっているから覚えている人もいるだろう。


英国はその情報がアメリカに流出するのを嫌ったらしいが
すぐにアメリカでも知られることになり、
そして英国で蒸気機関車が発明されるのに続き、
アメリカでも蒸気機関車が作られる。
もちろんその蒸気機関車は
馬や重力に代わるものとして鉄道を引っ張るために使われることになる。


だから最初に蒸気機関車やそれを運行する仕組みを
買ったり作ったりしたのは
運河会社であったり鉱山会社であったようだ。
というより、まだそのころは鉄道会社がなかったということだろう。

しかし社会的にはまだ鉄道やあるいは蒸気機関車は認知されずにいた。
既存の産業や既得権を有している業者らから
自分たちの仕事を脅かすものとして受けとられていくからだ。



1999.8.26

やがて、蒸気機関車の発達により高速化と、大量輸送化が
徐々に実現されていく。
たぶんは科学技術の発達と法律の近代化、そして金融システムの
近代化がこれを側面から支えているということだったのだろう。

こうしてそれまで鉱山や運河などの
ローカルな地域のなかでのみ仕事をしていた「鉄道」が
すこしづつその活動範囲を広げていく。


「アメリカ鉄道創世記」にはアメリカで最初に蒸気機関車を開発した
発明家オリバー・エヴァンスという人物が1812年にある書物に載せた
論説が書かれている。


「・・・もし今が運河を採用する時代だとすれば、次は馬車鉄道を
試み、その次の世代は蒸気鉄道に移るだろう。
私は蒸気によって推進する乗り物が旅客や貨物の輸送に用いられ、
時速15マイル、一日に300マイルの速度で疾走する時が
来ることを信じて疑わない」

「・・・昼も夜も旅を続けることができ、現在蒸気船に乗って寝ながら
旅ができるのと同じような旅行が蒸気鉄道でも実現されるのだ」



1999.8.27

まもなく、彼らのような起業家精神に富んだ人々が
たくさんいるアメリカには
蒸気機関車の製造メーカーと鉄道会社がたくさん生まれる。
1800年代の前半はこの二つが非常に早い勢いで
生まれ増えていく。

1869年、西から建設を進めてきた
セントラル・パシフィック鉄道と東から進めてきた
ユニオン・パシフィック鉄道がユタ州でつながり
ここに大陸横断鉄道が完成する。


最初にも書いたが
このように、はじめから大陸横断鉄道の試みがあったわけではない。
小さな地域での便利なツールとして
それまでの技術の延長から生まれたいくつかの試みが
やがて社会や産業全体に大きく影響を及ぼすような
とてつもないものへと変わっていく。

それにしても
アメリカにおける鉄道の発達が
アメリカの産業にいかに影響をあたえ、結果をもたらしたか、、
この本を読んで深く考えさせられるのだ。




1999.8.28

筆者はこの本を読んで
二つのことを考えた。
一つはインフラを構築していくことの重要性、
もう一つはそれを進めていく起業家精神についてだ。

その時代における重要な技術やインフラの構築は
当初は便利な道具としてつかわれながら、
やがて社会全体や産業に計り知れない大きな影響をおよぼしていく。

人々の大部分はその時代にそういった技術やインフラが
登場してきている今日的意味を考えたり捉える必要もないが
その影響のなかに生活していくことになる。

だが、それらの試みは明らかに
それらの、まだ、海のものとも山のものともつかないような
技術やインフラの将来性と可能性を予見し
多くの反対者や妨害や、そういったものとの闘いを
ものともせず、使命感を持ち理念に支えられながら
ひたすら自らの事業を進めてきた人々の行動によって
もたらされたものだ。

アメリカにおける鉄道の発達史を知るなかでそんなことを考えた。




1999.8.29

休み中に高速道路を走る機会があって
渋滞に巻き込まれながら
ゆるゆると進むたくさんの車を見ていると
20世紀の文明が石油や化石燃料などのエネルギーによって
もたらされた「形」なんだということを改めて思う。

これだけ大きな物体で重量も金属でできていて
太いタイヤをはいて、エアコンをバンバン効かせて
それを大量に運ぶために作られた高速道路で
ゆるゆると進む。
けっして効率よくはないところが世紀末ではあるのだが

よくも悪くも20世紀の姿
石油に支えられ、大量生産、大量消費を目指した姿、
なのだろうと思う。


20世紀、自動車が登場してからの鉄道が
社会や産業になかで明らかに変化していったのと同じように
これから情報社会の進化のなかで自動車の文明の中に
新たな変化が起きてくるのだろう。
それがどんな変化なのか、
おぼろげに半ば夢想的に考えこそすれそれはまだ誰もみていない。




1999.8.30

先日の新聞に小さく出ていた記事がある。
「米大統領、製造業強化へ本腰、」「作業部会置き政策協議」
という記事だ。

大統領補佐官をチーフにして大統領への勧告をまとめ
2001会計年度予算に結果を反映させる方針で、
大統領選挙での民主党の経済政策の一つの目玉にする考え、、、
と見られる、、、そうである。

アメリカは1997年夏以来の金融通貨危機で低価格製品の輸入が
急増し大きな打撃を受けたのだそうだが
鉄鋼問題と同じように
製造業の弱体化は地域の雇用問題に発展しやすいため
てこ入れの必要があると判断したためということだ。

いろいろそこにいたる判断はあるのだろうが
それにしても今ここで、「製造業強化へ本腰をいれる」、、とは
なにやら不気味な話ではないか、、

いまだ製造業や産業の元気が生まれてきていない日本の現状を考えると
早急になんとかしないといかんだろうと強く思う。

それにしても日本の状況はなんとかならないものか、、
いや、我々自身でなんとかしなくちゃイカンのだろうが、、。




1999.8.31

ところで、ここ最近の新聞や本やテレビや、
そういったものの論調のなかには
あるいはすでに我々自身もよく話をするなかに
当然のように話される話題として

   いままでの日本をつくってきた「仕組み」は
   すでに世界の標準からは遅れていて
   これを「世界標準」にしていかないと
   日本は世界から遅れていってしまう、、

という議論がある。
あるいはよく言われる言い方としては
「グローバルスタンダードに遅れないようにしないとイカン」
という言い方だ。

製造業としてはあまり国などの援助やお助け施策に面倒みてもらった
という気はないし、世界の標準をつくってきたのはむしろ
我々の側なんだ、、、
というのがたぶん製造業を支えてきた人々の正直な感想なんだろうけれど

まあ、確かに、「こりゃあまあ、恥ずかしいことではあるなあ、」、と
思わず赤面してしまうような経済政策も日本の中にはあったりして
そういうのはホント、いいかげんにしないとイカンのだろうと
思うのだが、、



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