今日のコラム・バックナンバー(1998年 11月分)


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1998.11.1

「第9回マイクロマシン展」では、140あまりの企業や大学の研究室などが
研究中のマイクロマシン作成技術、微細加工技術、等が一同に展示され、
その合間にも出展者による「展示プレゼンテーション」も行われた。
また、同時開催として「第4回マイクロマシンシンポジューム」も行われていた。

時間の都合で筆者は「第4回マイクロマシンシンポジューム」には
参加できなかったが展示のほうはいろいろと見て回ることができた。

「マイクロマシン展」という位だからみなさんのなかには
JIMTOFのような機械の展示会を想像する人が多いだろう、
筆者も実はそう思って会場に入ったのだが、、
だがそこの雰囲気はどちらかと言えば大学の研究発表会や
最近で言えば東京で行われた「中小企業フェア」に近いものだった。

様々な企業、大学の研究者の、研究成果がボードに書き込まれ壁際に展示されている。
もちろん「もの」や「機械」もあるのだが、もともとが「微細」「マイクロ」という
位だから、みな顕微鏡で覗き込まないとどんなものが展示されているかわからない
ほどだ。
微細加工用の機械も展示されたりもしているが当たり前だがこれもみな小さい。
機械や展示品の大きさがそのまま展示会場の大きさにも比例していると言ってもいいかもしれない。




1998.11.2

展示の「規模」はともかくとして、内容はどうなのか、、
正直言ってこれが機械加工分野の人間が行くとなかなか理解ができないことが多い。
、、というか、今の微細加工分野で行われていることの多くが
半導体プロセス技術を応用したシリコンチップの上に作る
「微細形状を作り込んだ回路」といえるものだからだ。

もちろん機械加工からの微細加工へのアプローチもある。
たとえば工業技術院が展示していた「最小の旋盤」というものがあった。
が、これなどはひとことで表せば「オルゴールのような大きさと形の旋盤」であって
「旋盤」という名前から想像するものにはほど遠い。


半年ほど前の日経産業新聞に特集がのっていたこともあるが
微細加工分野は今、前述の
「半導体プロセス技術を応用したシリコンの上に作る微細形状を作り込んだ回路」
という方向(MEMSという)と
機械加工からの微細化への挑戦、という二つのアプローチがある。

「半導体プロセス技術を応用したシリコンの上に作る微細形状を作り込んだ回路」
というとどうしても「平たいもの」しか作れないというイメージがあるが
最近では「ヒートシンク」「生け花の剣山」みたいな深い谷や溝のような
形も作ることができる。
ギアのような形や立体形状のものも作ることができてシリコンチップ半導体のような
平板でフラットな回路のようなイメージでいるとまったく想像がはずれる。
いや、もちろんルーペか顕微鏡で見ないと詳しい形状などはわからないから
肉眼でみたりしていてもただのチップみたいなものだ。
顕微鏡で見ると「ヒートシンク」「生け花の剣山」みたいなものも
肉眼で見るとビロードの表面みたいなものといえば当たっているか、、

すでにアメリカではそういった研究分野がベンチャー企業になって
新しいビジネスに挑戦を始めている。



1998.11.3

ともかくそんな状態であって、機械加工業界の話は少々わかるつもりの
筆者でもMEMSの技術は正直言ってなかなか理解できないところが多い。
もちろん半導体加工の業界の人達にしてみれば同じ加工プロセスの応用
だから理解できるのだろうが、それでもやはり新しい分野の加工ではあるから
実際にその世界にはまってみないとわからないことが多いだろうと思う。

ただし、この加工分野がまだ研究室段階のものでしかないと考えていたら
大間違いで、確かにまだ研究開発分野のものも多いのだが
医療や家電や自動車などの分野で実際にはいろんな応用が進められ
ものによってはすでに商品化されてもいる。
これは今回、初めて知ったおおきな収穫だった。

医療分野では、「消費者向けの商品」に微細加工やマイクロマシンが使われている、
というわけではない、まだ、あくまで医療現場における機器に使われているようだ。
だが、それもこれからとても早い勢いで伸びていくだろうと思う。

一方、家電や自動車の世界では製品のなかに当然のように使われている。
これはもう普通のデバイスというかセンサーというか、そういう分野ではごく普通
になっていると言えるものらしい。

実際的には、いま産業界では家電や自動車に変わる新しい産業づくりに懸命だから
どちらかと言えば医療分野での応用の方向に力が入っていくと思われれるのだが、、

ただし応用の範囲は無限大だ。
家電や自動車は当然としても産業のいたるところで
微細加工やマイクロマシンの応用が進んでいくものと思う。



1998.11.4

というわけで時期的には「JIMTOF」のかげに隠れるように
行われていた「マイクロマシン展」だが
これがどうして、なかなか見所が多いのであった。
その気になってみれば、、、という前置きが必要になるが、、、

まだまだ基礎的なところでの開発や応用が多いのだが
本当の意味での可能性を探すのはこれからだ。
ここ当分、いや、これからますます微細加工分野やマイクロマシン分野には
注目していく必要があると思う。

さてさて、「機械加工」からのアプローチだけれど
「MEMS」がすべてというわけでもなさそうだ。
いくら立体的な形状もできるといってもすべてできるわけじゃない。
切削加工や放電加工、電解加工等の機械加工によるアプローチでしか
できないこともたくさんあるわけで
新しい提案なんかも含めてやらねばならないこと、
考えるべきこと、はこれからまだまだあるように思う。
むしろこれからはそれぞれに補完しあっていくだろうと思う。

そのためにも「機械加工分野」の人間が
「マイクロマシン」「微細加工」「MEMS」分野の仕事ぶりに
おおいに注目して行く必要もあると思う。
そこにはかならずなんらかの形の「インターフェイス」が必要になるだろう。

それは研究者と研究者のと間や研究者とものづくり担当者との間に、、と
いうことでも、、機械加工と半導体プロセスの間、、ということでも
言えると思う。

JIMTOFとは少し異なる展示会ではあったのだが
とても、ものづくりに携わる人間として触発された一日だった。





1998.11.5

さて、、というようなわけでマイクロマシン展に続いて
大阪で行われたJIMTOF「国際工作機械見本市」にも行ってきた。
大阪で行われるのは4年ぶり、JIMTOF自身は二年ぶりの開催である。

実は筆者自身もそうだったし、多くの前評判としては
大阪で行われる「JIMTOF」ではあるし
景気も悪いことだからお客さんはあまり来ないのではないか、、
、、ということであったように思う。

しかし少なくとも31日の土曜日だけ見た限りでは
とても多くの人達が会場を訪れていて
海外からのバイヤーの話ではないが、
「一体日本のどこが不況なの?」
と思われるほどの盛況ぶりだった。
1日の日曜日も結構人が多かったというふうにも聞いているから
たぶん、終末から連休にかけては多くの人々が
会場を訪れていることは間違いないだろうと思う。

これだけは、訪れていない人が
「どうせ今回は人は見に来なかったのではないか」と
思っていたら大きく認識を間違えるので
報告しておく必要があるだろう。

また会場で、もっとも目に付いたのは
メモをとったり、熱心に質問したり、機械の細部や性能について
知ろうとする人達が多かったことだ。

これは勝手な判断に近くて主観的と言われるかもしれないが
いままでのような?お祭り騒ぎという雰囲気の「展示会」ではなく
本当に21世紀の精密機械加工などの可能性を見つけて帰ろうとする
真剣さ、が、今回の展示会中の雰囲気にはあったように思う。





1998.11.6

今回のJIMTOF「国際工作機械見本市」は
昨年、名古屋で行われた「テクノフェア」から
まだ一年あまりしかたっていないので
正直言えばテーマとしてもそんなに目立った変化はないように思う。

ただ出展規模が大きいためもあるだろうが、
それぞれのテーマ毎に内容や規模の点で深まりを見せている。

この十数年のスパンでJIMTOFのテーマを追っていけば
この間の製造業、あるいは機械加工のテーマの流れや方向や
産業のみならず社会や市場がなにを求めているか、が、
分かってくるだろう。

マスコミや産業情報関連にも要望したいのは
そういう「今回のJIMTOF」だけではなくて
この間の長期的な流れの質と方向をレポートしてもらいたい、
そういう視点を持ってレポートして欲しいということは
これを機会に言っておきたいと思う。

なんと言っても21世紀まであとわずかであるのだから、、。

ここでは主観的であるがいくつか筆者の感想等を書いてみたいと思う。






1998.11.7

テーマに準じて目玉と言えるものは以下のようにいくつかあげられると思う。
具体的に目に付いたものは以下のようなものがあった。
これはあくまで筆者から見てのテーマである。

・複合加工機や多軸、多面加工機等による複合加工や工程連結、工程集約

・超精密加工や微細加工分野への挑戦

・スピンドルや送りスピード等、機械そのものの高速化、高速加工化

・非加工時間の短縮や合理化を目指した機械やNCやシステムからのアプローチ

・オープンFAやネットワーク化の流れ

・三次元CADの普及に対応した「三次元CAM」の台頭

・環境問題や省エネに対する取り組み

もちろんこれらは多くの様々な展示のなかに共通のテーマを
見つけようとしたもので
実際はそれぞれに「独創的な製品や、思想」が垣間見られる。
テーマの組み合わせかたも様々であり、表現の仕方も様々だ。

そういう意味では
テーマが「多様化」していると言っても良いのかもしれない。
それに伴い、各社のアプローチも
様々なアプローチに仕方、表現の仕方に
なってきていると言っていいのだろうと思う。




1998.11.8

・複合加工機や多軸、多面加工機等による複合加工や工程連結、工程集約、、、
については、特にターニングセンターの新しい方式、Y軸やC軸、B軸の制御が
できるものがいくつかのメーカーから展示されていたのが目についた。
マシニングセンターにも5軸制御ができるものが
メーカー毎に考えられた専用の機械形状でいくつも展示されている。

ここまでくるとマシニングセンターとターニングセンターの分かれ目は
どこにあるのか、いずれきっと境目はなくなるのだろうと思えた。
マシニングセンター風ターニングセンターみたいな機械に
「様々な特性や多様性」が加味されていく方向が考えられる。

「自動化」はこれからも進んでいくのだろうが
「自動化」というよりは工程の連結や集約のメリットをどこで作っていくか
という視点が面白いと思った。


ところで話は少し変わる、、、プレス鍛圧機械のブースであるのだが
ファインブランキングやプレシジョンフォーミングの提案があるのはもちろんなのだが
筆者は電気的な加圧力によるプレス機械が多く出展されていたのに興味を引かれた。

普通のプレス機械はただ単にラムが上下するのが当たり前なのだが
最近のサーボ制御などのプレス機械は複雑なラムの制御ができる。
たとえば途中で静止もできるしそこで一度持ち上げて再び下死点に向かって
ラムを下げていくこともできる、
スピードの調整が複雑にできることももちろんだ。
たぶんこれかももっと複雑な動き、上下だけじゃなくて、、
だ可能にもなっていくだろう。

複合加工や工程連結、工程集約の分野でこういった新しいプレス機械が
新しい加工方法の提案を行なっていく、、、それはもちろん
新しい部品や仕事や、ひいては新しい製品や商品を作り出すことに他ならないのだが、
そういう視点で見てとても面白かった。



1998.11.9

・超精密加工や微細加工分野への挑戦、、、
これについては先週の「マイクロマシン展」で少しふれた。

今、微細加工の分野では半導体プロセス技術を応用した
「MEMS」「LIGA」等の加工方法が注目を浴びているのだけれど
もちろんすべてがそういう加工になっていくわけではないと思う。
機械加工からの微細加工やマイクロマシン製作へのアプローチも
これからいろんな可能性があると思っている。

考えて見ればこの何十年かのその時期の最新の製品や商品のトレンドの
大きなもののひとつには「軽量小型化」がある。
製品や商品の「体積」で計っても
ある時期毎に「ゼロ」がひとつづつ減ってきてる。
100Lから10Lへ、10Lから1Lへ、1Lから100CCへ
コンピューターがその代表例だ。
今後も一つ一つゼロが減っていくのだろう。

厚みのある大きなものがどんどん薄くなって小さくなっていく。
この前ここでも書いた、こんどNTTで出すんだそうな、
「ソリッドオーディオ」なるものにいたってはメカ部品がろくに入っていない、
半導体のチップと基板の上で完結してしまうのだ。

こうなってくると「ものづくり」そのものが変わってくるのではないか、、という
話はここで何度も書いたし、またこれからも触れていかなくてはならないと思うが

少なくともこういう「小型軽量化」の波は
いままでの機械加工の分野でも新たな対応を迫られることになると思う。




1998.11.10

JIMTOF会場にはスピンドルスピードの早い、送りの細かな分割制御ができる、
精度の非常に高い機械が各メーカーより何台か展示されていた。
ドリルの穴径が0.05ミリほどの加工ができるマシニングセンターや
これは以前より登場してるが0.03ミリのワイヤーを使った
ワイヤー放電加工機なども目についた。
マイクロマシニング、微細加工、超精密加工などの分野や
「高品位加工」などの新しい加工分野が今後は開けていくと思う。


さて、スピンドルスピードの早いということでは
・スピンドルや送りスピード等、機械そのものの高速化、高速加工化、、、
の方向にももちろん向かっていて
それも「引き目」や「精度の要求」にもちゃんと応えるように
機械そのものの設計や構造解析のレベルが高まってきたのだろう。
そういう「相反する要求」にたいし技術が応えているという感じがとても強い。

そう言えばパラレルアームのマシニングセンターなんかも今回出展されていたが
自動車系メーカーの出展していた横型マシニングセンターがなかなか面白かった。

大型のスカラ型ロボットのような形状を横むきにして先端に出入りする
スピンドルユニットを抱かせたようなものだが
アーム類をアルミで作ってあって結構送りスピードが早い。

以前冗談でロボットにスピンドルをくっつければ5軸マシニングセンターも
できるのじゃないかと言っていたことがあったが
言ってみればそんなようなものだ。
結構、思ったよりも剛性も高そうだ。
軸の向きをターニングセンタのB軸制御のようにできるようにすれば
いろんな発展の可能性があると思った。




1998.11.11

というわけでもちろん機械の高速化や加工そのものの高速化も
テーマとして展示されているのだが、ある意味ではそれ以上に
今後注目していかなくてはならないと思ったのが
・非加工時間の短縮や合理化を目指した機械やNCやシステムからの
アプローチだった。

この部分はいまのところ、機械そのものよりも「人間」に
まかされている部分が多い。
仕事の内容には「人間がどこまで関わるのか」の
違いがそれぞれにあって一概にすべてそうであるとはいえないが
人間の「判断」が大きく関わる部分が非常に多く存在していると思う。

そういう部分に客観的な資料としての判断材料を提供する方法が
コンピューターの発達やセンサー技術の発達ですこしづつではあるが
可能になりつつある。
今回はそんなアプローチが本来、当然と言えば当然なのだろう、、
展示のテーマとして機械メーカーや装置メーカーから
提案されてきているという感じを受けた。

それだけではなくて現場の実際のものや製品や情報の流れを
つかさどる「実質的で泥臭い、現場の仕組みや道具」そのものに対しても
備品、工具メーカーからすこしづつではあるが提案らしきものが
現れてきているように思う。
だが、これに関してはまだまだ、メーカーに期待したいことや、
我々サイドでもやれること、やること、はたくさんある。
むしろこれは機械工具メーカーや備品、工具メーカーというよりは
「ものづくり」の現場の我々の努力がいまだ重要なのだろうと思えた。





1998.11.12

昨日の・非加工時間の短縮や合理化を目指した機械やNCやシステム
にも関連があるが
・オープンFAやネットワーク化の流れ、、、
・三次元CADの普及に対応した「三次元CAM」の台頭、、、
も、そういった我々の「実際の現場」に合理的で高度な
機械加工や物流の方法と情報を提供してくれるものとして捉えることができる。
、ただしこれらはまだ始ったばかりだ。

NCのオープン化やネットワーク化、あるいは情報技術の製造業への
利用によるものづくりの仕組みの変化は、「装置」や「道具」としては
今後着実に市場に投入されていくだろうと思うが、
実際に使いこなしていく「スキル」の蓄積やメリットを作ること、は
むしろこれからの課題だ。
これも大メーカーがすべてを作っていくものではなく
ものづくりに携わる我々自身がすこしづつ作りあげていくものなのだろうと思う。

三次元CAD/CAMも大手企業を中心に導入が進んできている。
中小のジョブショップにとっては三次元CADの利用はあまり重要とされてはいない。
自分のところで「設計開発」をすることはあまりないからだ。

これについてはいずれは中小企業ではあっても
地域の資源や異業種との接点などからいままで大手企業の専売特許だった
「自分たちの自分達によるものづくり」の必要性と可能性がでてくると
筆者は思っているので
三次元CADの廉価化はそういった道具だてによる「仕組みの変化の可能性」
に向けた「歴史的準備」だと思っているのだけれど、、、

まあ、それはともかく三次元CADに対応した三次元CAMは
しばらく前より目につくようになってきた。
とりあえずはインターネットの普及や企業間の連携作業の浸透とともに
中小ジョブショップにもどんどん普及するようになっていくだろうと思う。





1998.11.13

最後に・環境問題や省エネに対する取り組み、、だけれど

これはもうどこのメーカーも当たり前の課題として様々な提案を行なっている。
一番、目にも触れたし、メーカーの側でも力が入っていたのは
切削油剤を使わない「ドライカット」の提案である。

重要だと思うのは、お客さんの側が
こういう「環境問題や省エネ」の課題をものづくり全体にも非常に
密接な関連のある課題として捉えていることだった。
まあ、「環境、省エネ問題」という捉えかたというよりは
「油や切削油を使わないで加工していたぞ!」という目の前の現象?に
対する素直な?感想が多かったようにも思えたし
そういうことが環境問題や地球的課題や要請で、ということでなくて
「ISO14000の要請だ」「親工場の要請だ」
という捉えかたが「まずは、」であるのはしても、、、
それにしても環境問題や省エネに対する「感覚」は
少し以前とは異なってきているように思う。

メーカーの側もこういったことに取り組まないと製品はおろか、企業そのものに
たいする評価まで損ないかねない状況になってきているわけで、
まあ、そんなこんなでこういう展示にもなっているわけなんだろうけれど。


それにしても、メーカーやものづくり現場の人間全体に
油や切削油を使わないで加工することや
その根本の「環境問題や省エネ問題」へ関心や取り組みは
理由のいかんをとわず、実際にそろそろ我々自身が取り組まないといかん課題だ、、
という雰囲気が我々自身の中にでてきたことは「意外!?」だった。

メーカーの中にもこういうための評価基準を作っていく気運もあるようだし
これは良いことだと思う。



1998.11.14

さて、こういったようにJIMTOFの
色んなところを回って色んなものを見てきたわけだけれど
まとめてみるとこんな感想を持った。

これは前のほうでも書いたけれど
これからの「ものづくり」における課題はたくさんある。
「ものづくり」というだけでなくて
今回のJIMTOFの主要な相手である金属機械加工分野においても
課題はたくさん生まれてきている。

以前のような「右肩上がり」の産業や経済や社会のなかでは
ともかくも、ものづくりの世界でその時必要とされていることを
なんとか、「いかにしてやるか、、」という観点で見て、行動すれば
よかったのかもしれないが、
しかし、今のような状況では、「いかにして、、」というよりは
もっと根本的なところにたち帰って「なにをすればいいのか、、」を
考えて行動する必要があるように思える。
それは人も企業にも言えることだと思う。


だから、課題もテーマも、産業の隅々や社会の様々なところに、、、
それこそ、一人ひとりの生活や産業のなかに星の数ほど生まれるのだから
「ものづくり」や、たとえば金属機械加工の分野との接点で
そういう「なにをしなければならないか、、」、、は
星の数ほど無数にあっていいはずなのだ。

JIMTOFのなかで展示されていた多くのメーカーの「表現」も
その多くのテーマや課題の数だけ数が多くて当然なのだろう。

いろいろな表現がそこに登場すればするほど
それは未来の日本の産業の礎として機能していくのだろうし、
社会やひとり一人の豊かさにもつながっていく。

もちろん企業やメーカーだけではない、
見学者であった我々多くの産業人も自らその多様な表現の
表現者自身、、主役、、、になっていかなくてはならない。

生活者としての、、そして生産者としての両方の感性が兼ね備えられた
「表現者」がこれからは必要になるのだと思う。




1998.11.15

さてもう一つ、感想がある。
今回のJIMTOFはあくまで、そもそも、、金属機械加工分野の
人々にむけて開催されているイベントである。

ただ、同じようなテーマや課題を追っていても
異なった解決方法ややり方もおおいに考えられる時代にもなった。
たとえば微細加工分野などでは
ただ単に機械加工で終わらない部分も今はあたりまえのようになってきた。

そういった意味では
いずれマイクロマシン加工やMEMSやLIGAの加工分野だって
未来のJIMTOFに出展してもらわなばならない時もくるかもしれない。
いや、我々としてはそういうものにも今から積極的になって
JIMTOFの場に呼んでこなければならないとも思うのだ。

昨日まで「普通のマシニングセンター」を扱っていた作業者が
マイクロマシン加工や微細加工に立ち向かう時代もくるのだろうし
もしかしたら「MEMS」や「LIGA」の加工分野にも
手を染める時代がくるかもしれない。
手を出さずとも、接点を作って自分等がそこの最前線に立つ、必要が
でてくる可能性は大だ。


決して現在の「ものづくりの課題」だけが展示されていたわけではない。
他にも「ものづくりの歴史的課題」はたくさんあったように思う。
それを多様な展示や提案をつうじて感じることはできた。

これはなにもJIMTOFだけではない、
きっとこれから様々な展示会や講演会や、そしてなにより生活や仕事の
様々な局面でそういうものづくりの歴史的課題を捉えることと
多様な表現方法による解決方法を自ら考え行動することが必要な時代になる。

さて、JIMTOFを見にいかれたみなさんはいかがだっただろうか、、
どんな感想を持たれただろうか、、




1998.11.16

「通話エリアは地球です、、」
ここのところテレビでコマーシャルを行なっている
イリジウムという携帯電話サービスのことはみなさんご存知だろうと思う。

確かに地球上に66個?の衛星を打ち上げて
地球上のどこからでも、どこへでも通話が可能な
携帯電話通話サービスができる、、
ということで結構インパクトはある。

当初、音質が悪いとかつながらないとかで
正式運用が遅れていたとかだけれど
そんなことはいずれ時間が解決することだ。
一昔から考えれば想像もしなかったような夢のようなサービスであるし、
それを事業にまでした起業家精神は我々次世代を担う若者や
産業人にとって学ぶべきものは多いと思う。


問題なのは、はたして本当にこういったサービスが
顧客に喜ばれ、新しい市場を開拓し
結果として財とサービスの提供を社会から託された事業として
なりたっていくのかどうかということだ。

本当に地球のどこからでも、どこへでも、通話が必要な人がどれだけ
いるんだろうか、、

とりあえず考えた顧客ということでたとえば「探検家」とか「冒険家」とか
「工事関係者」とかがあげられていたように思うけれど
たしかにそういった需要もあるだろう、
しかし、そういった需要だけで衛星66個の費用なんかをまかなうことは
とてもじゃないが結構大変なことだろうとは容易に想像がつく。





1998.11.17

だが、、心配には及ばない。
こういった新しい技術や可能性がでてきたら
きっと新しい産業や使用方法や顧客も続々と登場することだろうと思う。

携帯電話とPHSの関係のように同じようなサービスがあるのならともかく、
今のところイリジウムと同じようなサービスはない、
あっても企業とかが異なるだけで「サービス」は同じようなものだから
競争することはあっても、そもそもが携帯電話にたいするPHSのように
決定的な方法論の違いにはならない。

だからイリジウムも、それに続いてこれから始るであろう他のサービスも
ともかくも「応用」を考えていくことが鍵になるだろう。
もちろん「使用料」と「電話端末の価格」も重要な点だ。

世界のどこからでもどこへでも瞬時につながる携帯電話、、
これはすごい可能性があると思う。

端末が高価でなかなか持てないのだったら
とりあえずはレンタルだって面白いかもしれない。
(もちろん、それが可能としてだけれど、、、)

留学生や旅行者が端末持って移動していれば
それだけで旅行の面白さも増えるだろう。
(いやもちろん、日本のことは忘れて旅行したいひとには
邪魔ではあるが、、、)

留学生もこういう端末を持って生活していれば
日本の親御さんも安心することもできるだろう。
今でもインターネットでメールで連絡を取っている留学生と親御さんが
結構いるようだ。金額が安くて済むというメリットもあるが
時間に関係なく連絡がとれるというメリットがあるからだと思う。
イリジウムのようなサービスがあれば
違った意味で「時間に関係のない連絡方法」が手に入ることになる。
必要な時に必要に応じて連絡できる方法として
今、日本では携帯と電子メールの両方が当然になっているように、、、




1998.11.18

よくよく考えてみれば、
地球の上の一点から他の一点に連絡ができるなんてすごいことではある。

お土産を頼まれた人がお土産を買う時に
判断に困っても電話でその場で聞くことだってできる。

国内での旅行の時は「普通のお土産」だけれど
これが海外のお土産だとちょっとちがう。
お土産とは言っても実際は「高価な買い物」であるからだ。
判断に困ったらそこから電話、、は普通の話になるだろう。

カナダかどこかの川で釣りをしていてもいい。
異なる魚を二匹つってしまってどちらか逃がさなければ
ならないとしたらその場で聞くこともできるし判断もできる。

なにもこれは「海外旅行」の話だけではもちろんない。
海外での買い付けや商売にもむろん使える、、というか、、、そういう
使い方が結構浸透するのかもしれないと思う。
価値は何といっても「スピード」だろう。
世界中を飛び回る営業マンが電子メールと
場所と場所を情報でつなぐ「衛星携帯電話・情報ツール」を持つのが
これから当然になっていくのかもしれない。

誰もがふと考えて
新しい地球規模でつながる衛星携帯電話の利用方法を
簡単に考えつくことができるようだったら
そもそもそんな「簡単な商売」は
競争が激しくて早期の参入もはげしくて
魅力のある仕事じゃなくなってしまうだろう。

そもそもそんな「仕組み」「アイディア」を作った人や企業でさえ
想像できないような「使い方」がでてこなければならないし、
結果としてそういう「新しい価値」が生まれてくるはずだ。





1998.11.19

ところで話は変わるが、最近、テレビをみていたら
「えびせん」の宣伝をやっていて面白いと思って見ていた。

中身は同じ「えびせん」なのだけれど
「ミニ袋」とか「ミディ袋」なんかがでてきていて
いままでの袋と合わせれば3種類の袋の大きさがあることになる。

中身が少ないからもったいない、というのは、おじさん世代の価値判断だ。
お姉ちゃんたちやコギャルにとってみれば
たとえ少々高上がりではあっても
小さな袋にはいっているかっぱえびせんのほうが
かっこいいし、無闇に食べて太ることも防げる(かもしれない)

なるほど、確かに中身は同じでも「たったこれだけ」のことで
いままでと異なる顧客と市場を創ろうとしているとがわかるではないか。

こういう議論をしたかどうか知らないが、、きっと「えびせんメーカー」のなかでは
市場と顧客を広げるためにどうしたらよいのか、
と、知恵を絞ったのではないかと思う。

味の異なる「えびせん」を作るというのも一つの方法だけれど
袋の大きさを変えるだけで考えてもいなかったような新たな市場が創出できる、、、

そして、もしその上に、
若者文化を作っていくことややせる方法や健康文化を作っていくことまで
考えてこの商品を考えてきたのだとしたら、これはすごいと筆者は思う。

たぶん、自らの事業の「表現方法」まで括り直しているのじゃないかと思う。
ただ単に、食料品を供給する企業なのか、、
あるいは、食料品を通じて健康や若者文化まで提案する企業なのか、、、。

イリジウムにもきっと同じことはいえるはずだ。
イリジウムというサービスでそういう携帯端末を販売しサービスを供給するのか、
あるいはそれを通じて、生活や産業に新しい価値や付加価値を提案するのか、、、

顧客や市場が求めるものはたしかに、携帯端末そのものかもしれない、
しかしそれを通して本当に顧客が望んでいること、が、きっと本当は重要なのだろう。




1998.11.20

同じようなことは今、製造業の分野の
いろいろな「こと」や「もの」にも言えることだと思う。

テレビやラジオもそのままでは何ら価値を持たない。
情報やコンテンツがあってこそ価値を持つ。
テレビやラジオが必要なのではない。
そこに届く情報やコンテンツが必要なのだ。

自動車も、持つことが意味のある行為なのではない。
安全で早く、簡単に移動できる手段や方法が望まれているのだ。

しろもの家電の冷蔵庫や洗濯機でさえそのものだけでは完結しない。

消費者は冷蔵庫を所有し食料品を冷やすことを望んでいるのではなく
必要な時に必要な食料が適量手に入ることを望んでいる、
コンビニエンスがこれほどまでに隆盛をきわめるのはその証左だ。
食料品の宅配サービスが最近とても伸びているのも同じ理由だ。

人々は洗濯をすることを必要な行為とは考えてはいない。
きれいで清潔な衣服がいつも必要な時に間に合えば
洗濯機などいらない、ただ、今はまだ洗濯機で自ら洗濯をすることが
費用的にも時間的にも必要だからやっているにすぎない。
もし圧倒的に安い価格と納期のサービスで衣服のクリーニングサービスが
始ったら洗濯機も必要でなくなるかもしれない。
その時に家庭に必要なのは洗濯機ではなく
何より早く安くクリーニングサービスを提供する企業にすばやく
「連絡する手段」である。



1998.11.21

これからの時代では
A社の洗濯機の競争相手はB社の洗濯機ではなくて
まったく競争相手とは認識していなかったはずの
「電話サービス」や「インターネット」や「情報通信網」なのかもしれない。

ものを手に入れることが必要なことなのではない。
それを使ってなにができるか、生活や社会を豊かにできるか、、
それが決定的に重要なことになるのではないか。
言い方をかえれば
ものと社会や人との関係がもっと本質的なものになっていくのではないか。
「もの」ではなく、「こと」に目を向けることが必要な時代になる、
「ものづくり」ではなく「ことづくり」が必要な時代になるのだと思う。

そういう変化は今後「ものづくり」の仕組みにも変化を及ぼすことになると思える。
そして当然、企業と企業の関係も、、
また、こうしたものに対する意味づけの変化は当然、企業の成り立ちそのものも
変化させていくことになるだろう。

テレビやラジオを供給する企業ではなく情報やコンテンツを供給する企業へ
自動車を供給する企業ではなくて安全で早く、簡単に移動できる手段や方法を
提供する企業へ
冷蔵庫や洗濯機ではなくて必要な時に必要なサービスを提供できる企業へ

そういう企業を必要とする時代がやがてごくごく近い時期にやってくるように思う。




1998.11.22

そういう企業を社会は必要とし、そのために資源の利用と収益のかわりに
継続的で安定的なサービスと材の供給を企業に託してくる。

そんな時代に向けて
企業は自らの状況や環境や自分の置かれている時代の捉え直しと
自分自身の存在意義や企業としての使命や
そして自からのもつ技術や製品作りそのものがその時代にあっているのかどうか、、
を問い直し行動することに真摯に向かわざるを得ないだろう。

理念やアイデンティティーを持った企業でしかこれからの時代は
社会がその存在を許してくれない時代でもある。

技術や製品や企画力が優れていることは必要なことではある。
だけどそれだけでは足りない時代なのだ。

自らの財やサービスの供給を通して、社会や産業や市場や個人に向けて
本質的な「なに」を表現するのか、
いままさにその「事業の存在意義や存在理由」が問われる時代なのだろうと思う。



1998.11.23

そう言えば最近「デジタルカメラ」がおおはやりである。

10年以上も前に同じようなものは実際にはあったと記憶している。

が、腕時計や計算機のメーカーとして有名な某メーカーが
「デジタルカメラ」を市場にだしてから
急速にこの市場は膨れ上がったようだ。

現在は「スティルカメラメーカー」と「デジタル家電メーカー」が
入り乱れ、新しい市場に向けて自らの製品を矢継ぎ早に投入している
それはそれはすごい賑わいである。

性能ももちろん飛躍的に高度なものになっていて
スティルカメラにも劣らない画質にもう少しで手も届くだろう勢いだ。
価格も非常に廉価なものになってきているが
画質や画素数が飛躍的に伸びる一方で価格も下がるという状況に
きていることは今後の市場を見る上で非常に興味深いことだと思う。


5年ほどまえにカメラ業界とフィルム業界の今後について考えたことがあった。
その時考えたことをまた思いだしながら
この次にくるだろうことをまた考えた。




1998.11.24

「スティルカメラ」は戦後の精密工業の歴史を語る上で
時計やオルゴールなどと並んで欠くことのできないものだ。
光学関連の技術の蓄積はその後の日本の半導体産業をも
支えていくものにもなっていく。

「スティルカメラ」はハードとしては非常に
洗礼された、高い技術とそれを必要とした戦後の新たな市場に支えられて
戦後、とても活発な商品市場を作り上げていった。
ドイツが戦前からつくりあげてきたこの世界中の市場をも席捲してしまったことは
有名な話ではある。

それほど「スティルカメラ」は技術的にも洗礼されていて、
また、フィルム業界やDPEの市場を引っ張りあげてきたように
直接的な市場以外にも様々な市場にもおおきな影響を与えてきたことは間違いない。
DPE店が日本中にこれだけの店舗を構えているというのも
いかに大きな影響力と市場を作りあげていったか、、そのなによりの証拠である。


だけど、これほどいろんな影響力を持つ業界であるにもかかわらず、
「スティルカメラ」「フィルム」「DPE」の仕組みというのは
この間、大きな変化はなかったように思える。

いやむしろ、「顧客がフィルムを町で購入して、自分でカメラに装填し、
      自分で撮って、自分でまき戻し、自分でDPE店に持ち込んで
      しばらく後に自分で引き取りにいく、、ことによって
      ようやく商品やサービスの価値が一巡する、、、。」
などという「ソフト?」は、こういってはなんだが、、
ハードとしての技術的な高度化に比べずっと昔から同じようなことを
我々ユーザーに求めてきたように筆者には思える。

まあ、町のコンビニストアでサービスが受けられるようになったことや
印画紙に焼き付けにかかる時間が30分ほどで可能になったのだから
進歩や洗礼がなかったと言ったら言い過ぎだろうし、現実的には
そういったソフトのニッチ?にサービスとして入り込んで
大きな企業になった、つまりは市場に受け入れられた、全国チェーン店
なんかもあるわけで、、
けっして進歩がなかったわけではないのだろうが、
技術の進歩に比べたら、変わらない状況が続いていると言えるのではないか、、、

いや、もしかしたら「ハード」そのものも、そういう「ソフト」との関係で


なりたってきたのだが、本来はもっと異なった方向が生まれてきていても
いいのだろうとも思う。

そんな状況のなかで登場してきたのが「デジタルカメラ」だった。




1998.11.25

カメラ趣味にもいろいろあって
写すものはとりあえずなんでもいいし簡単にきれいに撮りたいものが撮れて、
ちゃんと保存がしやすければ良い、、という人もいれば
なにがなんでも「スチルカメラ」でいままでのようなプロセスで
印画紙に焼き付けたものがいいという人、、
なかには写真を写すことじゃなくて、カメラそのものをいじっていれば
それで良いという人、、、、いろんな人がいる。

写真としても印画紙でなければという人がいれば
印画紙でなくても整理しやすければそれでいい、という人もいる。
「デジタルカメラ」市場が成長を続けるのもこのあたりの市場があるからなのだろう。
情報の整理にはデジタル情報になっていることは重要だし、
インターネットがここまでおおきな市場になったことも大きく影響している。

こういったことがかさなりあって、何より「デジタルカメラ」時代の
新しい市場も確実に生まれつつあると言っても良いと思う。

だけど「デジタルカメラ」は「新しい市場」を作っている一方で
いままでの「カメラ」市場にも確実に「多大な」影響を与える時代が
くるであろうことは間違いないだろう。

いままで「当然」とされていた慣習にも「あれ?」と
顧客が改めて振りかえらざるを得ない時代がくるかもしれない。




1998.11.26

それでも「スチルカメラ」と「印画紙」がいい、
という人ももちろんいるのだろうが、あえて、言ってしまえば
いずれこういったものは「クラシックな趣味」の世界に
なっていくのではないか、とも思える。

「いやそんなことはない、あの印画紙の独特の色調や存在感は捨て難いし
微細な表現力はまだまだデジタルではできない。」
という意見もあることだろう。
だがそれも画素数が増えていけば解決されることだろうし
形に残すことが大事だというなら
必要に応じて「プリント」ができればそれで済んでしまう。
「画素数」も「プリント画質」も毎年、毎時、すごい勢いで
高度化、高品質化しているのはご存知のとおりだ。

まったく同じ質のものがいままでのような
     「顧客がフィルムを町で購入して、自分でカメラに装填し、
      自分で撮って、自分でまき戻し、自分でDPE店に持ち込んで
      しばらく後に自分で引き取りにいく、、ことによって
      ようやく商品やサービスの価値が一巡する、、、。」
ような「面倒な」サービスを経ないでも手に入ることができるようになれば、
そして、品質的にもまったく変わらないと言っていいような「デジタル写真」が
簡単に手に入るようになれば、、
いずれ「カメラ」の世界の「仕組み」ががらりと変わることになると思うのは
筆者だけではないだろう。

今はまだ直接的な競争をしていないように見えてもある日大きく変わっている、、
技術の進展はそういう力を持っているのだと思う。




1998.11.27

「スティルカメラ」の世界がなくなるわけではないだろう。
そういう独自の価値を必要とする人はもちろん今後もいるだろうし
、そう、ちょうど、「オーディオ」の世界にもおなじようなことはあった。

学生時代に「JAZZ」に凝って社会人になっても
オーディオを揃えて聞いていたりしたのだけれど
しばらく趣味を離れて何年かしてオーディオ屋に行ったら
ターンテーブルはおろかレコードそのものがなくなってしまったのには驚いた。
冗談ではなく、あれほど「CD」が短時間に市場を変えていたとは驚いた。

いまでは「ターンテーブル」はほんの数社が趣味的に作っているに過ぎない。
もちろん、そういうものを必要とする市場というのはいまだにあって
筆者もとても興味のある世界ではあるのだけれど、、、


「デジタルカメラ」と「スティルカメラ」の世界にも同じような変化が
起きてくるのではないかと筆者は思う。

一方の「CDやMDの携帯オーディオ」と「ターンテーブル」の関係は
そのまま「デジタルカメラ」と「スティルカメラ」の関係にも
なっていくのではないか、、、

ともかく「ステレオ」がオーディオ機器のすべてだった時代は終わって
「CDやMDの携帯オーディオ」と「ターンテーブル」になっていった。
「スティルカメラ」がすべての時代もこれから終わっていって
「デジタルカメラ」と「高級スティルカメラ」の時代になっていく。

だから「スティルカメラ」は一部の人の高級な趣味に
なっていくのかもしれない、そんな気がする。





1998.11.28

さてさてそういうわけで
いずれデジタルカメラがいままでの「カメラの世界」をいろんな方向から
変えていってしまうことは容易に想像がつく。

たぶん、それにともなってあたらしい「デジタルカメラ」用の
アプリケーションやコンテンツやサービスなんかも登場してくることだろう。

自動的に背景を変換するソフトとか
いらない背景を簡単に削除してくれるソフトとか
色調なんかは今の画像ソフトでも十分にできるが
もっと単機能でコンピューターなどにたよらないでも簡単にできるもの
印刷も紙だけじゃなくてほかのものに簡単に印刷できるような方法が
考えられるだろうし、もし必要によってはアルバムを
デザインしてくれるサービスなんかもでてくるだろう。

要するに「デジタル」らしい応用が拓けていくのだろうし
そういうものがまた必要にもなっていくのだろう。

今はまだ「スティルカメラ」の業界は「デジタルカメラ」に
影響はされていない、、ということではあるが
いずれたぶんおおきな市場の変化がやってくるのは間違いあるまい。



1998.11.29

オーディオ機器の世界もそうだろうけれど、「カメラ」の業界も
大きな市場と関連業界をもつから、なんとか「いままでのカメラの市場の仕組み」
をそのままにしていこうという動きや希望もあることだろうが
顧客や市場の希望や要求が今どんな方向に向かっているのか、、、
よくよく見る必要があるだろうと思う。

重要なのは、たとえば「カメラ」で言えば
「スティルカメラ」か「デジタルカメラ」か、の前に
一体いままで「カメラ」のどこが、なにが、顧客から支持されてきたのか
よく考えることだろう。
なによりも市場と顧客がそのサービスを
必要とするかどうかを決めてしまうのだろうから。

結局言いたいことは「カメラ」の話ではなかった。
これは「カメラ業界」の話ではない。

もし自分たちの「都合」で市場の要求や技術の動向に目をつむっているのならば
いつかそれらの大きな変化が訪れたときには
一気にその顧客は新しい市場のお客さんとして
新しい財とサービスを提供する企業に奪われてしまうに違いない。
これから様々な業界や製品やコンテンツや、、のあいだで
こういった変化が現れてくるに違いないと思う。




1998.11.30

ここで何度も紹介してきたあのスマートカーが
いよいよ日本にも輸入され町に走り出した。

さすがに以前から注目されている車なので
今月の様々な自動車雑誌にはそのスマートカーの
インプレッションがまずまちがいなく掲載されている。
興味のある人はぜひ読んでみて欲しいと思う。

スマートカーとは5年ほど前に
ドイツの自動車メーカーのメルセデスベンツ社と
あの時計の「スウォッチ」のメーカーである
スイスのSMH社との間でできた
「MCC」社(マイクロカーカンパニー)が
まったく新しい車のコンセプトを世に問うた、その「車」である。

4年ほどまえに最初のモデルとそのコンセプトが発表され
とうとう、というかようやくというか、、
最近、生産にはいり、ヨーロッパ、、
そして日本にも入ってきたというわけだ。

正式の代理店があるのかどうかはわからないが
とりあえず、輸入業者が早くも輸入を開始した。

ここしばらくは雑誌やテレビなどで扱われる機会も
増えるだろうからもし見る機会が会ったら
注目してみてもらいたいと思う。



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