今日のコラム・バックナンバー(2009年 3月分)


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掲載は日付順になっています。


2009.3.2

もともと余分な贅肉はなかったはずなのだが
市場が小さくなってしまったので
筋肉であった部分も贅肉に
なってしまったということなのだ。

市場が小さくなってしまったことに対して
これをなぜ予見できなかったのだ、
というのも当たらない。

マルクス経済学でもやっていて
こういうことはいずれ起きる、とでも
予見しないかぎり
今回の危機は予想できる企業経営者はいないはずだし
たとえできたとしても
それにいつ対応しておいたほうがいいのかを
予見できたものはいない。
もしいたとしたらその企業経営者は
その時点で競争から離脱した、ということである。

ある意味で資本主義経済は
チキンレースみたいなところがある。
たぶん後世の歴史家はこの未曾有の不況は
不可避だったということになるだろう。



2009.3.3

この時期、あるいは違う方向に
方向転換を目指した企業もあるだろうが
もともと巨大な企業はそれができないほどに
巨大で鈍重になってしまっているわけだ。

方向を変えたくとも変えられない。
ただ慣性力でこれまでの延長上をひたすら走る。
こういうことを
いわばチキンレースと見るむきもあるだろう。
資本の本性としてこのチキンレースを
目指してしまうということは
あたりまえの対応だといえばいえる。

さて、話は戻るが
今回の危機で自動車業界が
いろんな贅肉をそぎ落とそうとしているもののなかに
自動車レースがある。

ホンダはF1レースからの撤退を決めたし
スバルも三菱もラリーからの撤退を決めた。



2009.3.4

もう世界的な自動車レースに
打ってでようとしているのは
トヨタのF1くらいしかない。

会社の方針として積極的に取り組んでいるのか
今度のトヨタ新社長が
無類の「レース好き」(その方面では
有名は話ではある)のせいなのかはわからない。
そんな個人の趣味や好みで
方針が決まるとは思えないが・・・。

日産はかのGTRを使って
ルマンにでもうって出ようとしている気配は濃厚だが
これもこの先どうなるかはまだ不明だ。

しかし、一方、
多くのヨーロッパのメーカーなどは
いまだにF1やラリーなどに出場を予定していて
撤退したなどという話は聞かない。
この違いはなぜなのだろうと思う。

もちろんトヨタはじめとして
日本の自動車メーカーが
主として北米への自動車輸出や
北米向けの自動車開発と商品化に
力をいれてきて主要な収益をアメリカから
あげようとしていたことが
逆に作用してしまった、ということもあるだろう。



2009.3.5

ヨーロッパのクルマメーカーが
アメリカに輸出を強めたいと思ってきたが
思うように輸出できずにいたのは
逆に幸いしたのかもしれない。

アメリカに輸出を目指していても
トヨタあたりががっちりと固めてしまって
なかなか参入できなかった
日本の他メーカや海外のメーカーは
それが返って、良いほうに作用した、と
いうことかもしれない。
胸をなでおろしているメーカーも
たぶん国内外メーカにはいることだろうと思う。

もちろん
アメリカが主要なマーケットであっても
比較的痛みをうけていない
高級スポーツカーメーカーの
例えばポルシェなどもある。
これはトヨタなどとはまったく異なるマーケットだから
自動車という同じ括りで見ることは間違っている。



2009.3.9

それにしても
ここまで自動車レースからの撤退が
相次ぐとクルマ好きの人間としては
ちょっと滅入ってしまう。

ましてヨーロッパのメーカがまだ
比較的元気であるとなると
なんでまたこういうことになってしまったかと
残念でならない。

経済がこのような状況になると
天文学的に巨額な開発費や運営費がかかる
F1レースなどから撤退するというのは
わからないでもないが
一方のヨーロッパなどを
中心とした小さなメーカーが引き続き
挑戦をつづけているとなると
一体その原資からしてなにが違うのだろうと
探ってみたくなる。

もう15年も前だが
「F1倶楽部」という雑誌があった。
この雑誌の1994年に
「ニッポンのF1」という特集があった。

以前この「今日のコラム」でも一度紹介したことが
たぶん、ある。



2009.3.10

この中に
バブル景気で海外のF1チームを買収し
自らF1オーナーとなったものの
バブル崩壊の余波をうけ
再びF1チームを手放すにいたった経緯を
そのチームオーナーが
自らインタビューに応えた読み物があった。

極々簡単に書けば
欧米のF1チームを運営する原資となるものは
いわば世界を駆け巡る意味不明な、
魑魅魍魎の闊歩する、あるいは
巨大なバクチ、そんな世界に
となりあわせたブラックに近いグレーな
世界から生まれてくるお金、ということなのだ。

たしかに最近まで利回りが数百パーセントという
とんでもないお金をめぐる世界が
地球上を覆い回っていたのだ。
バブルのころやその前や
あるいはたぶん戦後世界のなかではそんなことが
地球規模で盛んに行なわれていたのだろう。



2009.3.11

しかしそれも最近は規制がかかり
バブルなわけのわからぬお金で運営されるのではなく
ものづくりを基本とするメーカー系の
F1コンストラクターが増えてきた。

だが、たぶん、いまだこういう世界では
わけのわからぬ怪しげな
お金がまわっているのだろうと思う。

我々はそれを怪しげと呼ぶが
世界の中ではけして怪しげではなく
普通のことなのだろうけれど・・・。

いくら世界が金融危機、経済危機、といっても
日常的、あたりまえのように
危機だからこそ巨利を得る人々もいるのだろう。

日本のF1はメーカー系であることは
誰もが知っている。

一方、欧米のF1コンストラクターは
メーカー系ももちろんだが
欧米の文化を背負ったコンストラクターも
もちろんいまだに多い。

彼等が巨大なお金を持っているかどうかは
いまではわからないが
すくなくとも日本のような
ものづくりに立脚する文化とは
異なるもので動いていることは
たぶん間違いないだろうと思う。



2009.3.12

それが良いことかどうかはわからないが、
グレーなお金で動いている世界も
地球規模に目線を広げれば
たぶん結構あるのだろう。

F1レースもふくめ文化に近い部分では
たぶんそんなグレーなお金が
後ろを支えていることも
あるのかもしれない。

ただ今度の経済危機で
日本もふくめ世界中でその余裕が相対的に
狭まっているようにも思うが、
F1レースに対するヨーロッパのコンストラクターや
メーカーの動きをみていると
いやいや結構まだふところは深いのではないかとも
思えるのだ。

なんども言うが
けして日本のように産業や「真面目」な
「こつこつ」とつみあげてきたものをバックにして
物事をすすめていくのもけして悪いことではないと思うが、
ヨーロッパのような文化
けして否定はできないとも思うのだ。



2009.3.13

日本のGDPが年率12.6%も下がってしまったが
今回の金融危機の発端ともなった
アメリカは4%ほどの下落で
欧州も6〜7%ほどの下落でしかない、

瞬間の下落率を年率に換算した場合の下落率が
12%以上、ということだから
今後実際にどれくらい下落するのかはわからないが、
それにしてもアメリカやヨーロッパにくらべて
これほど下落するということはどういうことだろう。

ここ数年の海外への輸出が増えていたのが
一気にしぼんだせいだ、というのは
たしかにその通りだろう。

だから、日本の内需拡大が進まず、
海外への輸出を増やしてきたのが
問題があるのだ、という議論が
景気が悪くなるたびに盛んに
繰り返されてきて、それはわからないでもない。



2009.3.16

たしかにアメリカを中心とした相変わらず
輸出が増えていて
かつ、そのアメリカの購買力が
どうやらあぶく銭で裏打ちされた購買力で
買ってきたもので
それがどうやら危ない話だったとなると
一気に購買力が下がり需要も下がって
作りすぎだとは思ってもみなかった
自動車や家電がここで一気に
行き場を失い過剰在庫になった、ということだ。

そんなことでは
雇用も生産も急激にしぼんでしまうことは
あまりに自明な話だ。

だけど
海外への輸出に頼ってきたのが悪い、という論調は
果たしてそれでいいのかと筆者には思える。

たしかに一方の内需が増えていないという問題は
改善する余地はある。



2009.3.17

海外にくらべ住宅やら家庭やらインフラやら
社会の豊かさにおいては
豊かになった、と言っている人もいるが
まだまだだと思うのは筆者だけではないと思う。

もっと国民ひとりひとりが豊かになっていってもいい。
別に心が豊かに、なんてわけのわからない話ではない
物理的に物質的にもっと豊かであっていいと思うのだ。

だけどだからといって
日本が内需で食えるのか、食うべきなのか、
という議論は果たして?だ。

どう考えてもエネルギーや食料からして
自前ですべてまかなえる国では
いまのところそうではないし

海外での現地生産に今後もシフトしていくとしても
やはり日本で作って海外に輸出するというものが
相当にあってもおかしくはないし
それを目指すべきだと筆者は思う。



2009.3.18

今度の問題は
アメリカのバブルに踊らされていたわけであって
たしかにそんなものに踊らされてものを
ひたすら日本の産業が作っていたのであれば
それがシュリンクしたときには
大幅な経済収縮と不況に見舞われるのは自明だ。

しかし真面目で着実な海外の成長もある。
そういう需要にむけて
日本でしか作れないものやサービスを
海外へ供給するのは
重要であり別段おかしなことだとは思わない。

たぶん、ブラジルとか中国とか
アジアとかロシアとか
日本からものを買わなければならない分野は
今後も相当にあるだろうし
肝心のアメリカも
バブルな需要がこうなっても
真面目な需要というのは
やはりあるのだと思う。

ただし、それなりに「チャンと儲ける」
ことができるようにする必要はある。



2009.3.19

もともと世界中に
日本が真摯に続けてきた「ものづくり」

(本当はこういう言葉は使うべきではないと
昔から筆者は思っているが、
わかりやすいから最近はあまり気にせず使う。
モノさえ作れば
評価されると思っているように聞こえるからで
ものを作りちゃんと評価され
それにたいして政党な評価や対価が
得られてはじめてものづくり、と
呼ぶべきであって
日本はそれが下手な気がしてならない。)

であればそれがちゃんと正当な対価を得ることが
できるようになってはじめて
日本はものづくりで生きるというべきであって

それまではものづくりの下請けとして
世界から受注しているだけで
たしかに優れたものを作る、安価に作ってくれる
便利な国として
それ相応に喜ばれてはいる状況なのだ。



2009.3.23

今度のサブプライム問題にはじまったことや
アメリカのあぶく銭で踊らされたことなどは
まさに下請けとして懸命に生きてきたのに
一気に生きていけない状況に追い込まれてしまった、
ということであって
日本のものづくりが世界にとって
重要なものであることは
まったく疑う余地がないことだし
おかしなことでもない。

で、こういう真面目なものづくりを通して
日本が世界に豊かさを輸出し
かわりに世界から必要とする豊かさを
交換して持ち込んでくるのは
これまた別におかしなことではないと思う。

問題は輸出することが問題であるのではなく
それでうまく儲けられない、
日本に富がもたらされないことにあるのだと思う。



2009.3.24

自動車や家電なんかの輸出に
日本の経済のある部分が頼っていたことは
間違いのないことだし
それが急速にしぼんでしまって
輸出に頼っていた産業や
その関係者関係産業に
多くの影響がでてしまっていることも
まちがいないが、
だからといって
じゃあ、内需主導に考え直すというのも
あまりに乱暴で簡単すぎる話だと思う。

もちろん前にも書いたように内需も重要だ。

でも実際のところ内需が重要だといっても
内需もシュリンクしてしまっているではないか。

つまりは内需も外需も消費も設備投資も
すべてにおいてが収縮してしまっているということだ。

結局、世の中全体も、国の内外も
ここまでものを買わなくなってしまったのだから
これまでのような簡単な議論では
すまないように思える。



2009.3.25

この不景気をさかいにして
よく聞かれるようになった言葉に
「パラダイムがかわる」、ということが
盛んに言われるようになったように思う。

経済的な変動があるたびに
あるいは
社会的な影響力のあるデキゴトが
おきたときに、
この「パラダイムがかわる」という言葉が
必ずといっていいほどでてくるように思う。

たしかに
資本が自己増殖する自由な競争の時代に代わって
自由はある程度引っ込めある程度の規制が
重要になる、という時代であるとは思います。

それほど社会的経済的危機や変動が
おきていることはまちがいない。

しかし本当にこの時代、
「パラダイムがかわる」のだろうか。

危機や変動がおきているとは思うが
パラダイムはまだまだかわらない、と筆者は思う。



2009.3.26

あえてパラダイムの変化があるとすれば
化石燃料から代替エネルギーに
かわっていく、ということだろう。

経済の変化に限っていえば
100年に一度の危機だといわれているけれど
その脇をすり抜けて資本が新しい利潤と増殖を求める
動きは変わらないし

もともと我々が好きな
「夢」とか「希望」とか「チャンス」とか「豊かさ」という
言葉を使っている限りは
新しい取り組みや仕組みはできても
価値観はそう変わるものではないのではないかと最近思う。

たぶんこういうことを繰り返していくうちに
本当に社会的に大きく変わるパラダイムの変化も
いずれは起きることになるのだろうが
100年に一度の危機であるかもしれないが
パラダイムはまだ変わらないと思う。



2009.3.30

ちょっとした用事があって
山梨県のある湖に行ってきた。
ありがたいことに
例の高速料金上限1000円というやつの恩恵で
往復してもあまり財布が
いたまないのはこの時期ありがたい。

自分が住む長野県諏訪の諏訪湖は
周囲に製造業をはじめとする
いろんな産業があるし
人口もそれなりに多いから
地方都市の真ん中にある
あまり特徴もない中規模の湖、という感じがするが

その湖は山の中にあって
周囲は製造業とか産業らしいものはあまりなく
観光が主たる産業といえるものだ。

まあ、地方の湖の
それも山のなかにあるような多くの小さな湖の周囲は
あらかたそんな感じだろう。



2009.3.31

その湖も湖の周辺にあるものといえば
保養所やコンビニ、
レストラン、お土産屋さん
そしてボート屋さんが
主要な産業というか主な店というか企業というか、だ。

諏訪湖もその湖も
同じ湖で水がたまっているという共通点以外は
まったく雰囲気から産業から
周辺に存在する仕事の内容からこんなにも違うものだと
当たり前といえば当たり前の話なのだが
実際、その違いを知ることになった。

その地の観光業がこの景気のなかで
不況に苦しんでいるだろうことは
容易に想像はできるのだが

なまじ観光業とその関連産業だけであって
なかなかこの不況から脱出するのも
大変なことだろうと
無責任な他人の立場から見た勝手な感想だが
そう思えた。


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