今日のコラム・バックナンバー(2009年 1月分)


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掲載は日付順になっています。


2009.1.13

お恥ずかしながら
年末にインフルエンザにかかってしまい、
人にうつすわけにもいかないから
結局年末年始とずーっと寝込んでいた。

もう今は回復したから良いけれど
最近は「感染症対策」が企業や地域にとって
大事なことであるとか
それに「製造業」としてのかかわり方や
誤解を恐れずに言えば「ビジネスチャンス」も
あるのだと
盛んにまわりの仲間達に言ってきた当人が
こんなことでは笑い話にもならない。

それでもかかった当人にしかわからない
インフルエンザへの対応の仕方、というものも
わかって、まあ、悔し紛れに言わせてもらえば
いい経験にはなった。


さて、都合半月近くも寝込んでいれば
寝床でなにをするでもなく
ただ新聞と本とテレビを見ていることになる。



2009.1.14

今回、年末年始の
新聞とテレビの一番の話題は
もちろん「景気の低迷」だ。
熱にうなされながらもテレビから漏れ聞こえる
ニュース番組の声は一日中意識のなかに入ってきて
これだけは間違いない時日だと思わされる。
いや、低迷どころの話ではない。

ともかくもちょうどインフルエンザにかかって
寝床に寝付いたクリスマスあたりから
話題は「派遣切り」と「100年に一度の景気の行方」に
埋め尽くされていた感がある。

で、この景気を乗り切るにはどうしたらいいのか、という
処方箋を識者や経済学者などが
テレビや新聞でのたまうのだが

実際のところ、、
だからどうすればいいと考えているのだと
逆ねじを食わせてやりたいくらい
評論家の評論たるレベルで終始する話が多い。

まあ、100年に一度のデキゴトだから
これをどうすればいいと簡単には
処方箋はかけないということだろう。
何のための識者や経済学者なのだ、と
言いたくもなるのだが、
まあいたしかたない。



2009.1.15

それでもさすがに年を、こすころからは
一定の方向がしめされることが増えた。

要は財政政策をとれ、というもので

これも簡単にいえば
公共事業で有効需要を喚起しろというものだ。

つまりは国が客になって
仕事を作ってお金を企業や労働者に払い
それでお金と需要を生み出そうということだ。

これは1929年の恐慌の際
ニューディール政策という施策がとられたことでも
有名だ。

テネシー河流域の開発とか大規模な公共事業をおし進め
そのかかったお金を国のなかに循環させる。

国は再び借金を繰り返し額も増えていくことになるが
背に腹はかえられないということである。

しかし、さすがになにかと問題が生じる
土木を中心とした公共事業は
今回は問題ありとされそれを声だかに主張する
識者や学者はあまりいない。

そのかわり
ここのところ、盛んになってきたのは
アメリカのオバマ次期大統領が言い始めた
「グリーンニューディル」というものだ。



2009.1.16

だいぶ以前から
問題となっている温暖化や
環境や省エネ問題など
地球環境や自然をまもるための
技術開発に
力をいれてそれとともに
産業の活性化や
雇用の創出を目指そうというもので、

これはとても理解できるし
有効な施策だと思う。

大前研一氏も
いわば戦争ではない、地球環境を破壊しようとするテロに
対する戦いをはじめるのだということで
これは効果や規模からいっても
重要だと言っている。
筆者もそう思う。

世界各国も「グリーンニューディル」の
ようなことをいいはじめているし
日本もアメリカにならって
主張に追随しはじめている。



2009.1.19

残念ながら
いつもアメリカの顔を伺いながらしか
何事も決められない、はじめられないような
日本にはほとほと情けないな、と思いつつ
まあ「日本版グリーンニューディール」を
はじめていくことは必要だと思う。

同時に「有効需要」を喚起する方法はないのだろうか。
実は筆者は
これにたいする方向として
「グリーンニューディール」だけでなく
広く研究開発などに国が財政出動するべきだと思っている。

環境や省エネや地球温暖化対策とかだけでなく
今後日本や世界が必要とするものは
まだまだ他にもたくさんある。

例えば
  ・航空宇宙
  ・微細加工・ナノ・流体
  ・環境省エネ
  ・車両輸送
  ・医療福祉
  ・バイオ
  ・ロボット・制御
  ・製造技術
  ・IT情報
など多様で広い分野で
今後日本や世界が必要とするものは
たくさんあるはずだ。



2009.1.20

いまでも大学や研究機関や企業でも
これらの分野の研究開発や試作開発を
すすめているところはあるはずだし、
これらにさらに財政支援をすることで
開発と結果なりビジネス化を
推し進めることが可能なはずだ。

いま、それをやらずしていつやるのだ、と言いたいくらいだ。

定額給付金だとか旧来の公共事業のように
意味なく地面を掘ったり、
食い物にしてその場かぎりの消化をしてしまう
そんな金は
将来に残っていかない。

しかし将来必ず社会や産業や人材など
そして知恵や知識や技術として蓄積され返ってくる
開発研究の分野は
いずれやらなければならないことであって
けして無駄にはならない。



2009.1.21

ここで明記しておかなければならないのは
こうした研究開発や試作開発などの分野は
おうおうにして大企業に丸投げされたりすることが多い。

しかし今回もしそれをやるのなら
多様で高度な中小企業のものづくりの力を
うまく利用することにつきる。

もともと大企業にそういったプロジェクトが
託されてもそのまま中小企業に
多額の管理費を取られて仕事のみ丸投げされる、
ということがたぶん多かった。
そうではなく直接中小企業の仕事として
ものづくりの能力が生かせるようにするべきだ。
少なくとも中小企業にちゃんと費用に見合う額の金額が
捻出され支払われるべきだ。

仕事を出すほうにとっても
受注する中小企業の仕事を作る、ということからも
それが一番望ましい。

ただし問題はある。
残念ながら多くの中小企業は
研究開発や試作製作などにむけた「部品」はできても
プロジェクトや仕事をまとめていくことは不慣れだ。
図面を作ったり構想をいっしょにまとめていくことも
不慣れだ。



2009.1.22

もともと中小企業が大学や研究機関と
つながるルートも持ち合わせていない。

中小企業のすぐれたものづくりと
大学研究機関にテーマとをつなげるべきだ、といっても
なかなかつながらないのが実情だろう。

であれば
それを行なえるこうした商社機能や
エンジニアリング能力を補う仕組みを
早急に用意する必要がある。

中小企業がこれまでもちあわせていなかった
マーケティングやマネジメントや
エンジニアリングの力を身につける必要がある。



2009.1.23

そういう役まわりはなれているはずだからといって
安易に大手企業に頼むというのは
この際やめよう。

それではいつまでたっても
この国の産業構造は変わらない。

前に研究開発や試作開発などの分野は
おうおうにして大企業に丸投げされたりすることが多いと
書いたが
こうしたこれまで大学や研究機関の持つ
開発研究テーマの受け皿を
大手企業などが受け持っていたのは
ごくわずかの将来性と大きなビジネスの
可能性が見えている分野に限られていた。

だからそうはいっても大手企業は
最初の段階のその先ビジネスになっていくか
どうかもまだわからないような分野には
なかなか手を出さない。



2009.1.26

でもたぶんこれからの時代、
市場はどんどん多様になっていく一方、
その市場がもつ規模は
相対的には小さくなっていく。

なかには今は見えずとも巨大な市場が
姿をあらわす可能性もあるだろうが
それはその時に大手企業が
手を出すのだろうしそれはそれで良い。

そうではなく
もっと小さくとんがった市場を
見つけながら
中小企業や大学研究機関の現場とが
つながりながら
新しい市場を生み出していく、そんな
可能性が今回の金融危機・経済危機を
きっかけに
生まれ出る可能性があると思う。

そう、今回の産業界を襲う未曾有の危機は
いわば日本の産業構造を
根本から変える絶好の機会でもあるのだ。



2009.1.27

安易なことを言うつもりはない。

実際、この危機のなかで
どうしたら良いのか
何の手がかりもつかめぬまま
日々を過ごす中小企業が多いことは
間違いない。

なにかしなければならない、
もしかしたらチャンスなのかもしれない、
と思っている経営者も多いが、
では何をしたら良いのかはまったくわからない、
という経営者も多い。

研究開発や試作開発などに
国が力をいれて
中小企業に仕事として流れてくるように
考えるべきだ、といっても
実際にそれを行なうには
国の施策がそういうスタンスに
たたなければならないことはもちろんだ。



2009.1.28

グリーンニューディール政策、
(政策と言えるものかどうかは別として)は
この日本でもたぶん始まるだろうが
広く次世代の産業や社会を牽引するはずの
研究開発分野を特定し
国がお客として研究開発にお金を投下する、
というのは国がその気にならなければもちろん無理だ。

そして、かつ、
中小企業がこれまでもちあわせていなかった
マーケティングやマネジメントや
エンジニアリングの力を
できるだけ自分らのものとして
身につけることができることが
今回の問題へのチャレンジのなかで
できるのなら

それはそっくりそのまま
次代の日本の産業創出にもなっていくのだという
戦略的目線と行動が
必要になっていくということなのだ。



2009.1.29

もしどうしてもそれなりの
中間の管理能力を持つ大企業なりの参加が
必要になるのなら
中小企業との関係をちゃんと
交通整理することができ
中小企業いじめにならないようにする
国なりの施策も必要になる。

そんな機能や能力やあるいは委託能力が
現下の国なりにあるのかというのは
まったくのところ心元ないのだが。

ともかくは中小企業の仕事を創出し
雇用を生み出す緊急で効率的な施策が
今、必要なのだ。

ところでこうしているうちに
オバマさんが大統領に就任してしばらくたった。
全速力で施策を展開しているが
グリーンニューディールについても
いろいろ話題になってきた。

環境省エネ技術に国がお金を出して
雇用と技術開発を行なっていくのだ、という
メッセージはここのところ日本でも
頻繁に聞こえてくるようになった。



2009.1.30

聞きかじった話では
これまで言われているグリーンニューディールだけではなく

今後のアメリカの豊かさの再構築にむけて
必要な社会的なインフラや技術全般に
お金を投資するのだ、というメッセージが伝わってくる。
けして環境省エネ技術だけではないのだ。

日本総研の寺島実郎さんも
テレビなどでなんどもこの
環境省エネ技術を中心とした
グリーンニューディールについて評論している。
氏によれば環境省エネ技術だけで
アメリカが必要とする雇用とビジネスを
生み出すに必要な規模が
生まれるのか、というのは
果たして疑問な部分もあるのだが
重要なのは
20世紀にアメリカが推し進めてきた
大量生産大量消費の社会を
もしかしたら今回の
未曾有の危機がきっかけとなり
まったくこれまでとは異なるパラダイムへへ
変わっていくきっかけになるかもしれないのだ、と
いうことなのだ。


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