今日のコラム・バックナンバー(2008年 9月分)


INDUSTRYWEB HOMEへ戻る / 今日のコラムに戻る/ バックナンバーに戻る

掲載は日付順になっています。


2008.9.1

その点、イタリアなどは
むしろ中小企業のほうが中小企業間のネットワークで
ものを作り、自ら世界中に販売ルートを作り出して
世界中をあいてにして
商売をしているというのは有名な話である。

日本もそれを目指すべきだ、ということから
イタリアモデルという名をつけて
そんなビジネスの模索も
以前から行なわれているのだが
残念ながらそう簡単な話ではない。

今回も研究者らといっしょにおいでになった
スイスやフィンランドのベンチャー企業や
企業の技術者やマネジャーらといろいろ
情報交換することになったのだが
残念ながら道はまだ遠い、といわざるを得ない。

言葉を交わそうとした瞬間から
思うように意思が通じないことに
ましてビジネスまでめざすとなると
これは大変なことだと思わざるを得なくなる。



2008.9.2

ただ、今回に関していえば
日本の中小企業であっても
海外とつながりをもつことは可能ではないかと
ちょっと思えることがあった。

もちろん、アジアや中国に国内企業が
進出する、というのとは違った形でだ。

ヨーロッパには日本の先輩ともいえる
精密機械工業などが当然驚くほど古くからあって、

そこで培われた超精密な技術の蓄積やノウハウや
そこから生まれる製品は
まだまだ日本が簡単に追いつき追い越した、と
いえるような簡単単純なものではないと
近ごろ再び言われることが多い。

バブルのころはもう日本の産業や力は
世界の先端を走っていて
どこからも追いつかれないし負けない、と
言っていたころにくらべて
だいぶ異なる状況ではあるが
実際そうなんだろうと思う。



2008.9.3

一方のヨーロッパの永い歴史を持つ
精密機械工業の製品などは
逆に日本に対しては
良いものを作っているという自負は持っているが
安くて圧倒的な量で市場を席巻する、
ということはとてもではないが
できない、と思っているようだ。

それでもヨーロッパの製品や技術に対して
日本国内でもヨーロッパのメーカの方からも
必要である、という声はもちろんあって

そのあたりはたぶん相互に補完的な
関係を築けるのではないかと思える。

こんな言い方をしては怒られるかもしれないが
ローエンドからミドルレンジの製品は
日本の大量生産品でまかない、
ハイエンドのものは
ヨーロッパのものが受け持つ。



2008.9.4

日本が果たして今後もずっとそれでいいのかは
また考えるとして
とりあえず足元のビジネスとして
考えてもいいのじゃないかと思えるのは
そんなところだ。

で、ヨーロッパのメーカは
日本のそんな可能性について
もちろん気がついていて
できれば日本に来てビジネスをしたいと思っているのだが
日本人が海外に行っても言葉で困ることが多いように
相手も同じような壁を抱えている。

であれば
ヨーロッパから日本に進出している言葉の通じる企業と組んで
日本でビジネスを展開すれば良いのではないかと思える。

日本の製品を海外に売っていこうというのは
そう簡単な話ではないと思うが

向こうの製品や技術を向こうのほうから来ている
日本の支社なんかを通じて
国内むけの商売を考える、そんな方法もあって良いように思う。



2008.9.5

それじゃあ海外進出とか連携にならんじゃないか、と言う
意見ももちろんあるだろうが
実際に難しいと思うことを
無理に進めてみてもそう簡単にいくとは思えない。

もっと現実的なことからはじめたら良い。
実際、今回のフォーラムには
海外メーカの日本支社長が来て
それも英語が流暢に話せる日本人だったものだから
ヨーロッパの技術者や経営者や
先生と日本の技術者や企業人と
うまくつなげてくれた。

彼等にとっても
うまく日本の企業に切り込んでいきたい場合に
日本の中小企業をはじめとする地場産業と組むことによって
考えられるビジネスはいくつか考えられると思える。

あるいは、向こうの企業、それもベンチャー企業や
どこかの企業をスピンアウトしたような
技術者集団のような企業の場合、
日本などに売り込みたいと願う企業も当然あるだろう。



2008.9.6

そんな企業群を取りまとめしていくコーディネート企業や
機能を持つ組織や研究所も向こうにはあるし
あるいはそういう役回りをしたいと考えている企業も
あるだろうと思う。

実際、今回話しをするなかで
そんなことを考えている企業もあったし
実際にコーディネーションを行なう組織も
存在した。

そんな企業や組織と組んで
日本国内のネットワークと
つなぎ合わせていく作業ができれば
ある意味で理想的だと筆者には思えた。

結局、海外と日本国内とつなぎあわせることは
難しいことは難しいが、けして不可能ではない。

いままでであればその間に公的な組織や
自治体のコーディネーション機能が入ってくることが
多かったように思うが、はっきり書けば
そこに問題があったようにも思う。

やる気にあふれた民間コーディネーション企業や
組織がそのあたりをうめていく作業が
たぶん必要であり、それはけして不可能ではない。



2008.9.16

先週は神戸で行なわれた日本ロボット学会の学術講演会に
ずっとでかけていてウェブの更新がおくれました。

また内容については
いずれご紹介したいと思いますが、

日本にも多くの優れた研究者や
研究のテーマが進んでいるのだと
いつも強く感銘を受けます。

願わくば
こうした優れた研究が
広く市場や
科学や技術を必要とする
真摯で真面目で切実な現場につながっていくことを
願ってやみません。

そして広く日本の、特に中小企業を
中心とした産業界と
強く広くつながっていくことも。

さて、

ヤフオクをめぐる詐欺まがいの事件が起こって
新聞記事に事件の内容が掲載されていた。

詳しくはネットで探してもらって
読んでいただくとして
記事を読んでいて驚いたのは
ヤフオクの年間売上が
7000億円以上もあるという一文だった。



2008.9.17

ヤフオクがインターネットの特性を生かして
インターネットビジネスらしいビジネスを創出して
まだ10年はたっていないのだが
それにしてもそんなに巨額のビジネスになっているとは
思わなかった。

7000億円といえば
工作機械工業界の年間売上が
海外をいれても
1兆5000億円を越えるくらいだと思うし
筆者がすむ長野県諏訪地域の
製造業売上を全部たしても
たぶん7000億円くらいだったと思う。

バブル景気のころは諏訪の製造業の売上は
1兆円を越えていたと思うが
バブルが崩壊し日本全体の産業や経済の低迷を
この15年以上経緯しても
ずっと7000億円近辺をうろうろしたままだ。



2008.9.18

もちろんその減った部分は
日本全体が同じ相似形になっている。
で、その減った部分は
アジアや中国などにシフトしてしまった、
といういつもの話はここに繰り返すまでもない。

ヤフオクの7000億円の
7000億円という金額の大きさは
大手の製造企業・メーカでも
ひとつの壁というかくくりといってもいいだろう。

なかには数兆円もものやサービスを供給している
超大企業も存在はしているが
日本の古くからの大手企業は
だいたい一兆円弱から
数兆くらいの売上を誇っているところが多いから
たった10年ほどで7000億円の売上を達成した
ヤフオクのビジネスモデルが
いかに時代にあっていたか
ここに書くまでもないだろうし
インターネットがその後押しをしたということも
間違いのないことなのだろう。



2008.9.24

で、このヤフオクのビジネスだが
やはりインターネットというものの存在なくしては
考えられないものだったといえる。
ちょっと前からはやりのロングテールビジネスだって
考えてみれば
iTUNEとかアマゾンとかだけではなく
ヤフオクだって
まごうかたなきロングテールビジネスである。

なかには大量のものや資材の売買も
されていないこともないだろうが
基本的にヤフオクで売買されているものは
「一個」である。
新品もあるが圧倒的には中古が多いだろう。
つまり中古だからその程度や価格は一品一様だ。

新品だって同じものが売られていると思うだろうが
実はその売られている場所や
出展者の履歴や信頼性、あるいは
オークションにかけられている期日によって
一つとして同じものはない、と言える。



2008.9.25

すべてのものが一つ一つの個別の価値を持ち
その個別の価値を必要としている
落札者がネットを介して
出展者とつながり
同じくその価値を必要としている人と
オークションを競う。
これはまごうかたなき「ロングテールビジネス」であろう。

その総額が7000億円を越えた、というのだから
ロングテールだってばかにはならない。

規格大量生産で生産されたものを
できるだけ多くの人々に行き渡らせて
収益をあげたこれまでの大量生産ビジネスモデルも
否定はしないが

実際これだけのロングテールビジネスが
存在感を持ってきたとなると
そしてそれがインターネットを介在させて
急速に存在感を増したビジネスであるとするなら
まじめにそれらの可能性を検討しなくてはならないはずだ。


INDUSTRYWEB HOMEへ戻る / 今日のコラムに戻る/ バックナンバーに戻る