今日のコラム・バックナンバー(2007年 8 月分)


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掲載は日付順になっています。


2007.8.1

次の社会の姿、産業社会の姿、
具体的に日本の産業が何を作り何を供給するかが
いまだ見えていない日本では
若者や働く人々が何に職を求めればいいのか、
どんな産業が日本に芽生えて
そこに必要な人材には
どんな能力が必要なのかは
当然見えてはいない。

が、一方でこれまでの日本のメインだった産業に
就けばいいのかと言えば
そういう産業はいまや
韓国や中国や他の国に移管されてしまっているわけだ。

また、一国の教育や人材育成や広く言えば社会のインフラなどは
その「時点」での産業や社会の状況・状態に
あわせて作られているのが普通だ。

だから今の教育とか人材育成のシステムは
すでに海外に移管されてしまったような産業に
役に立つようにできていて
今の実態に即したものになっておらず
変化や進化や見直しも遅れている。



2007.8.2

いま、のわかものたちにとっては
大学でせっかく勉強はしてきたのに
今の時代の実情にはあっておらず
かといって
たぶんこれからの日本の産業の姿も
誰も見せてはくれず、
当然それに必要な人材の姿も誰も教えてはくれない。

公的な人材の教育や育成は
まずまったく遅れているといえるだろう。

むしろ民間の教育機関や私塾のほうが
こんな時代には高度で効率的に
人材を輩出できる可能性は高い。

たぶん日本では
いろんな方向、1人1人にむけた
産業や個別の生産物やサービスがむかっていくだろうし

そうなれば
産業人の姿も
均質的な人々を多量に必要とするのではなく
個別で個性にあふれた人々が必要とされるように
なるだろう。



2007.8.3

これまでの教育制度のなかで
均質になっていたり
牙を抜かれてしまったような人材ではなく

もしかしたら
ニートが新しい人材になっていく可能性は充分にある。

問題はそういう人材を生み出せる
教育システムや人材育成のシステムを
生み出せるかにある。

何度も書くが
民間の教育機関や私塾のほうが
そんな人材を輩出できる可能性は高い。

その時代にあった、教育機関のドメインと
その機関が生み出すべき人材の姿を
いち早く自ら考え設定できるのは
官製よりも民間の機関や私塾のほうが
できる可能性は高い。

それは幕末にことを起こせる人物を生み出したのは
あの吉田松陰率いる松下村塾であったことと
附合するように思う。



2007.8.6

アメリカに続いて日本でも
株価が下がったとかで
ちょっと問題になっている。

グローバリズムの波に洗われて
日本も世界の一部として機能しているから
日本だけが
世界の経済と切り離されて経済を動かしていくわけにはいかない。

しかし、だからといって
そんな世界の大波に無策のままに翻弄されているというのも
問題ではある。

ハゲタカファンドだの企業買収だのと
グローバリズムの尖兵が
日本に押し寄せてもいるし
それに抗していかなければならないこともたしかなのだし
かといっていまさら鎖国するわけにはいかないし
以前からここで言っているように
「ばくちビジネス」もおぼえなくてはならないだろうと思う。

ばくちをするからには一定の力も必要になるだろうと思う。
しかし、それ以上に必要なのは国際人だ。



2007.8.7

世界にも国家の内部にも
勝ち組みと負け組みがいて
国も世界もそれを容認してきたから
世界も日本も貧富の差が拡大してしまったと言われる。

たしかに世界はそう動いている。
勝ち組みと負け組みを容認し
グローバルな競争を容認している。

少なくとも中国とアメリカはそうなのだろう。

ひとり日本のみが世界のなかの負け組みで
いていいわけはない。

世界中から食い物にされているような
アフリカなどの国の人々にたいして
日本は何ができるのかという議論とは
また別の話だ。

まじめに懸命に、ものづくりをしても儲からず
どこかに儲けを奪われてしまうようではいけない。

儲けるようにならなければならない
バクチも覚えなければならないし
商売もおぼえなければならない、
いろんなことが必要のなる時代なのだから
そのための新しい人材は必要になると思う。



2007.8.8

地震に端を発した
原子力発電所の火事発生やトラブル発生が問題になっている。
まだまだいろいろな意見も見知もでてくるだろうし
もっと時間をかけて議論したり
検証する必要があると思うから
そう簡単な評価はできないと思っているが
これほどテレビやマスコミで
問題視されていると
いろんな意見や評論も出てきて
なかにはちょっと首をかしげてしまうような話も
聞こえてくる。

ジャーナリストの桜井よしこ氏が
原子力発電所の火事発生やトラブル発生のことを捉えて

発電所の本体は大手企業が作るが
周辺の機器は中小企業が作っていて
下請け・孫受けと
つながっているなかで作っていて
キチンと管理ができていないから
問題が起きるのだ、のようなコメントを
発していた。



2007.8.9

発言のなかではさすがに
「技術が問題」である、とは言わなかったが

一見、聞いていると
本体を作る大手企業は技術力があり
中堅・中小・零細、下請け・孫受けの
ものづくりの企業は「技術」がなくて
それが問題の根底にあるのだといわんばかりである。

全体の管理やマネジメントの問題ということにおよばず
個々の技術の問題に収束してしまうなどというのは
なにかことが起きると
全体を見ずにどこか一箇所に
問題を起因させ犯人探しに奔走する
テレビなどのマスコミにそっくりだ。



2007.8.20

盆休みが今年は永くて
だいぶ時間をおいてしまったけれど
また書きます。

とりあえず、この盆休みの間に
考えたこととか見えたこととかもありましたが
それはまた今度、

休み前にはジャーナリストの桜井よしこ氏が
原子力発電所の火事発生やトラブル発生について
評論していたことについてちょっと書いた。

たしかに発電所や航空機やそのほか
大きなプラントものなども含め
巨大で精緻な構造物・人工物は
それなりの企業が中心的に
マネジメントし設計をし管理をしているが
それらの巨大なインダストリーは
すべて一者でできるもので到底なく
数え切れないくらい多くの企業や技術者や知恵や技術の
参加のもとにできるものである。

今回のことに関していえば
それらの「技術そのもの」に問題があるのではなく
それらの
多くの企業や技術者や知恵や技術を
管理する「マネジメントの能力」に問題があるからで
一個一個の技術や企業に問題があるわけではけしてない。

まして「中小零細企業だから問題がある」のではぜったいにない。



2007.8.21

大手の設計能力や中小企業の技術力にも
能力がないところも当然あるし
能力を持っているところも当然ある。

重要な点は
それらをどう探し出しシステムとして大きな発電所や
プラントや仕組みを構成させ
すばらしい結果と成果を生み出す能力が
必要になることなのであって、
今回はその能力が不足していた、ということだろう。

どこにその責任や役割が持たされていたのかはしらないが、
単に個々の中小企業の技術力に問題があるとするならば
それは本末転倒の話であって大間違いである。

マネジメント能力もそうだし
戦略やシナリオもそうだが
残念ながら枝葉末節の部分ばかりを捉えるばかりで
全体を見てものを考え出し実行していく力が
日本には不足しているように思う。



2007.8.22

マネジメントの能力が決定的に不足していることに目を向けず
中小企業の技術力に起因したものだというようでは
彼女のジャーナリストの能力もしれたものだと思うが
(というか以前から氏の評論には
情緒的な意見・発言に隠れてしまって
特に技術や組織を見る能力がかけていると思う)

ところで参議院選挙では
自民党が大敗北をきして
マスコミは大騒ぎだ。

その敗因をめぐっての議論が
今後の政局を巡っての議論に劣らず
世間の関心をあつめているわけだが、
たしかに
あれほど前回の衆院選で圧倒的な勝利を
勝ち取った政党なのに
いったいこの二年あまりのあいだに
なにがあったというのだろう。

政局云々というよりも
いったい国民の意識に何があったのだろうと
強く興味を持たされるのは筆者だけではないだろう。



2007.8.23

民主党の小沢さんの勝利した要因としての戦略に
昔の中国の毛沢東氏の農村から都市を包囲する
戦術が使われてそれが功を奏したのだ、とかいう
論評があって、ちょっと面白い議論だから
今度の選挙の結果を分析する論評のなかでは
いたるところで引き合いに使われている。

実際、毛沢東氏のその話を
小沢さんが踏襲したかはどうかは別として
たしかに地方を中心とした農業に携わる人々の支援が
以前ほど見られなかったことと
あるいはまた地方を中心とした公共事業に関係していた
主として建築業の人々が支援をしなくなった、
それが選挙の得票率の低下に明確に現れてしまった、
というのは本当だろう。

「農村(あるいは「地方」ともいえるか)から都市を包囲する」
という言い方がその面ではあたってはいると言えるかもしれない。



2007.8.24

逆に小泉さんの時代に自民党は
「近代政党」へと衣を変え、
都市型政党に変化したといわれた。
これが前回の衆院選の
民主党の敗北、自民党の勝利につながったのだ、と
言われていた。
都会の中間富裕層や
都会のサラリーマンや
支持政党のない層がなどが自民党を支えたというのだ

しかしその分、今回は
以前は蜜月だった農村や建築業から
手痛いしっぺ返しをくらうことになった。

そこに割って入った小沢さんらが
これまで自民党を支えていた農村や建築業を
相対的に味方につけた、
ということなのだろう。



2007.8.27

都会の中間富裕層や都会のサラリーマン、
支持政党ナシの層が今回の参議院選挙で
どんな挙動を示したのかということについては
まだちゃんとした分析や論評がされていないし
今後どういう動きになっていくかについての
分析もまだわからないが、

少なくとも農村や建築業の動きが
今回の選挙でどうなったのかを
もっと詳しく分析することと
今後どうなるかを見ることは
今後の政局を見るうえで最重要な点であることは間違いない。

逆に考えれば
もういちど農村や建築業に公共事業や農業政策として
国からお金が流れていくようになる可能性も高い。

当然そうなれば大赤字の日本の財政にとっても
更にいいことになるとも思えない。



2007.8.28

小沢さんのほうが
農村や建築業の票を集めるために
人気取りに走れば
政権担当が替わるだけで
やっていることは以前と同じ、となることも考えられる。

今回の選挙の結果をめぐって
いろいろ議論はされているが
はたして日本の社会や産業が
このままそうなっていくのか
どうすればいいのかという深い議論は
残念ながらまだなされていない。

政党の担当が替わるだけで
やっていることは以前とまったく同じ、ということは
さけなければならないはずだが
もういくら何でもそんなことはないだろうが
ばら撒き行政とか抵抗勢力が跋扈する次代に
もしかすると戻ってしまうことも充分に考えられる。



2007.8.29

一方、その抵抗勢力が
再び自分の基盤とする農村や建築業などの
「古い体質を持つ」ところに
立ち戻って勢いをつけようとしたら
すでにその時には
以前の農村や建築業を中心とする支援者は
抵抗勢力を見限って新しい勢力に
乗り換えていた、ということもありえる。

誰かが言っていたけれど
さすがに昔のようなばら撒き行政の「良い時代」は
こないだろうと農村や建築業も
思いはじめているのだというのは
結構当たっていると思う。

いずれにしてもここしばらくは
農村や建築業などの票、そして
都会の中間富裕層や
都会のサラリーマンや
支持政党のない層を
もう一度取るにはどうしたらいいかと考える
いくつかの勢力の人々が
争うことになるだろう。



2007.8.30

ある意味では今の日本の政治は
日本の産業構造や収益構造が
根底から変化・激動している
この時代を正確に反映しているといえる。

様々な産業や各階層とその利益を代表して政治を行なう
近代政党がどうやらこれまでのつながりや存立基盤を
見直さざるを得ない時代なのだ。

同時に産業や各階層のほうからも
いままで自分等の利益代表と思っていた政党が
どうやらそうではないとわかってきて
そちらのほうからも見直しが始まっている、という
ことでもある。

近代政党自らの成り立ちや代表する国民の各階層との
つながりを
双方からもう一度分析しつなげ直さねばならない時代に
なっていると言っていいのかもしれない。



2007.8.31

それにしても小泉さんの時代には
よくもまあ「抵抗勢力」に抗して
徹底的にいろいろやったものだと思う。

ところで今回の選挙の結果を見て
二大政党化が進んだという論調も盛んだが、
たしかに結果を見れば
一面ではそう思えるかもしれない。

しかし果たしてそうか。

前にも書いたように
近代政党は基本的には
その存立基盤となる国民各階層の
利益代表として政治に参加している。

二大政党化が進んだように見えるのは
国民を構成する階層が二つに集約しているからだ、
と言えるのかもしれないが、
実際には
二つの階層になっているわけではない。


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