今日のコラム・バックナンバー(2006年 8 月分)


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掲載は日付順になっています。


2006.8.1

例えば自民党は最近まで
農業や農民、農家の代表であった。
自民党は大企業や大資本の代表である、というのは
あたっているようでいて実は当たっていない。

規制や制度設計は
大資本の利益を守るためにあったというのは当たっているが
実は農家の利益を守ることで票と支援を
交換していたといっても良い。

ところが
ドラッカーの言うように
ここ数十年で
農業による利益(とそこから得られる票はすでに)
大きなものではなくなってしまった。

そこで
この5年ほどであらたな集票の仕組みを考えたといって良い。
金融資本との蜜月だ。
規制緩和と引き換えに金融資本の跋扈する状態を
認めることになった。



2006.8.2

政治家はいまだにまだ年をとっている人が多いから
そんな金融資本の妙手とつながっていないが
これから出てくる若手政治家には
金融資本とつながった人々が出てくると思っていて
たぶん間違いはない。

都市に住む比較的若い労働層は
労働の対価として給料を得る方法以外の
株だとか金融資本が生み出す
新たなお金を期待することにもなってきた。

そんなこともあって
この5年ほどは都市の周辺に住む
比較的若い世代の人々を
取り込むことに新たに成功したように見える。

まだ、しっかりしたものとなっているようには思えないが、
すくなくとも
これまでとは異なる人々の利益を代表する
政党に衣替えすることに成功したように見える。



2006.8.3

基本的には民主党も
同じ利益集団だから
そう大きな対立点が生じるはずもないし
基本的には同じ票田を争うわけだから
熾烈にならざるをえない。

ちなみに社会民主党は労働者や労働組合を代表する、というか
働く人々を代表していると言ってきたはずだが
これは主に産業資本に囲われ
労働力を賃金と引き換えにする労働者をさしている。

しかし産業資本に働く労働者という範疇が
やはり大きく変容してきている。

労働によって収入を得るというかたちは
主に中国にどんどん移行しているし
国内ではどんどん自動化やロボットにとって代わった。



2006.8.4

昔の「労働者」のイメージにあたるような人々は
今の日本では実は相当に減ってきていると
思って間違いないだろう。

いまはサービス労働者や
あるいは知識労働を切り売りするような労働者が増えてきている。

間違えてもらっては困るが
どちらが重要とかいう話ではない。
構成比が変わってきているということだ。

社会民主党が利益を代表する階層の人々が減っていて
多様な収入を得る若い労働者層が増えてきているから
それを代表する政党の力関係も変わってくる。

いつの時代も
かならずその時代の人々の利益を代表する様々な人々が
政治には登場しているのだと考えると
魑魅魍魎が跋扈すると言われるその世界も
わりとわかりやすく見えてくるはずだ。



2006.8.5

話が飛んでしまったので戻す。
ところで
ここのところの景気の好循環といわれる状況にたいして
本当にそうだろうかと思う気分が筆者にはある。

たしかにここ10年にわたる景気の低迷に比べれば
なんとか景気好転しているように見える。
しかし本当にそうだろうか。

知ってのように
大手はこの10年の間に
筋肉質の体に鍛えなおしてきた、といわれている。
手っ取りばやく言えばリストラをやってきた、ということだ。



2006.8.6

そのおかげで
正式な社員にくらべ
パートタイマーやアルバイトやフリーターによる
雇用がふえてきた。

だから一方で人材派遣会社の隆盛は明かだし
アウトソーシングの仕組みや
EMSの仕組みはあたりまえになり、大きな産業にもなってきた。

これが景気の好転に寄与したのか
あるいは逆に景気の好転に影響されたのかはわからないが、
少なくとも
そんな新たな経済の仕組みが
できあがりつつあることはたしかなようだ。



2006.8.7

しかしそれが本当に長期的にみて
正しい姿なのかはいまのところわからない。

経済的に循環しているのなら
あるいは市場が必要とした事業として成立しているのなら
あながち間違いであるとはいえないのだろうが

はたしてベストな形態であるのかは
まだしばらく様子を見てみないと
本当のところはわからないのではないかと
筆者は思う。

正規雇用とリストラ
自社での生産とアウトソーシング
いろいろなビジネスの形が
模索されてはいるが
どれが正解なのか、いましばらくはわからない。


こんなことを言ったら怒られるような気もするが
むしろ筆者の気になるのは
「ものづくり」に対する最近の認識と動きだ。



2006.8.8

日本はまじめにものを作って
輸出で、あるいは内需で国力を伸ばす国、

そんなステレオタイプな評論が
いまさらながらに言われているが
はたして本当にそうか。それでいいのか。

いまだ「ものづくり」という言葉に神話性というか
そんな意識を
日本人、特に製造業に関わる人々はもちつづけている。

気持ちはわからないではない。

戦後日本の復興を牽引してきたのは
間違いなく日本の製造業であったからだ。
そんな牽引力たるものづくりを
これからも日本を支える主要な力の一つとして
求めない、認めない、わけにはいかない。



2006.8.9

が、しかし
このコラムでなんども書いてきているように
はたしてこれからも
ものづくりが主要な力でありつづけるかというと
はなはだ問題があるように筆者は思う。

といいつつ
筆者も「ものづくりは大切」といいつづけてきた一人ではあると
思ってもいるのだが

一方でそれだけではまずいのではないかと
大分前から言いつづけてきたことも自負している。

この10年あまり
あまりに「ものづくり」という言葉に
はまりすぎていたのではないか。

実は、最近アメリカを中心として
新しい言葉というか研究分野が「流行りはじめて」いる。

「サービスサイエンス」という言葉だ。

まだアメリカでもここ二年ほどで言われ始めた言葉だから
日本ではまだ識者が盛んに言い始めているわけではない。



2006.8.10

まして最近よく出てくるウェブ2.0とかロングテールとか
そんな言葉がはやるのに比べれば
もうちょっと広範囲な概念や範囲をさす言葉らしいから
ウェブ2.0とかロングテールとかに比べると
そうそう流行の言葉になるような話でもないのだが

たぶん予感として「流行りはじめる」ように思う。

「サービスサイエンス」の意味は
グーグルあたりで調べて欲しいが、
要は

サービスというイメージが
どうしても「レストランのお姉さん」の
イメージに重なってしまうのだが
インターネットの下記ページにかかれているように
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0509/09/news122.html

  ところで、ここで問題となるのはサービスの定義だ。
  スポーラー氏は「サービスという概念には実に多くの
  定義が存在している」と話すが、IBMには同社独自の
  定義がある。すなわち、ある組織(企業)に利益のある
  パフォーマンスをほかの組織(企業)が行うこと。その
  アプローチの中身を構成する要素が前述したような
  さまざまな分野を融合する形に変わってきている。

と定義を捉えると理解が深まる。



2006.8.17

使い手や必要としている側にむけて
必要としている価値を
生み出すにはいろんな行為・作業が必要になるわけで
そのなかで直接的にものを生み出す行為の
役割やコストがどんどん減っていることは
たぶん間違いないのではないかと思う。

ドラッカーが20世紀における農業と工業の価値創出の変化について
同様の指摘をしている。
今後は農業から工業へ、工業から知識産業へ、と
価値創出のメインとなる産業の重心が
変わっていくことも間違いないのではないかと思う。

ただし知識産業といっても静的な情報やデータを
持っているというのではなく
それらをいかに編集し価値を大きくしていくか
そのために外部の資源を有効に組み合わせていけるかと
いうことなのだろうと思うし、
まさにservice scienceがその部分なのだろうと思う。



2006.8.21

あるいは「ものを作る」という部分もサービスの一環として、
使い手が必要とする価値や豊かさを
実現するあくまで「プロセスの一部」として捉えることも
これからは重要なのだろうとも思える。

ところで
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0410/12/news027.html
に出てくるように
service scienceは
カリフォルニア大学バークレー校のヘンリー・チェスブロー教授
が考えている研究分野だというのだが

実はヘンリー・チェスブローについては
一年前にここで紹介したことがある。

昨年の今ごろ雑誌「日経ビズテック」で
「ソニーの処方箋」という特集をした時に
理科大MOT教授で元花王石鹸社長の常盤先生が
ソニーはものづくりを大切にして回帰しろ、と
言っていたのに対して
ヘンリーチェスブロー氏はソニーは
ものづくりに退行するな、と書いていた。

そんな話をここで書いた。



2006.8.22

まさにヘンリー・チェスブロー氏は
「ソニーはサービス企業になるべき」と主張していた。

最近はIBMもGEもみんな同じようなことを
言い始めているようにも思える。

そういえば
ちょっと前に日曜日の朝の政治とビジネスを扱う番組のなかで
GEの元トップのジャックウェルチ氏が出演していて
このなかでも氏はGEのサービスや金融業についても触れていた。

ついでにもうひとこと言うと
最近面白いと思った本がある。

「トヨタレクサス惨敗」

なんとも刺激的な題名ではないか。
この本の内容はまさに「サービス」について考えている。



2006.8.27

ところで
先週末の新聞でレクサスの新型車について
触れていた記事が目についた。
ご存知の人も多いと思うが、
近いうちにこれまでトヨタの最高級の車格で
販売されていたセルシオが
レクサスでLSという車格で販売されるのだという。

写真も紹介されていたし
だいぶ前から車の雑誌などでレポートされていたから
すでにデザインは周知のものになっているのだが
これがなかなか重厚感があって好ましい感じだ。

しかしデザインだけでなくこの車の
一番のアピールポイントは
その安全装備にある。

なんでも、この車には
この数年トヨタやホンダなどの高級車に装備されてきた
安全装備の最新版が詰め込まれているらしい。



2006.8.28

いわばレーダーによって
前方にある車や歩行者を探知して
前方にそれらが存在しており
危険な状況になりつつあることを
ドライバーにしらせ
必要によっては車の判断でブレーキまでも
自動的にかけてしまうこともできるらしい。

当然車の後方に関しても
後ろのほうから車などが接近してきつつあり
そのままでは安全でなくなると
車が判断したときには
後方にむかってブレーキランプを車自身が自動的に
点滅させ、なおかつ自身は
シートベルトを引き締め、
ヘッドレストを頭部に密着させる、
そんなことまで自動的に行なうらしい。

走行中は前方を行く車につかず離れずに
自動的に一定の距離を保って
「ついていく」こともできるらしい。



2006.8.29

いやはや、なんともすごい装備ではあるし
たぶんここまでの安全装備を装備している車は
世界ひろしといえども
このレクサスLSだけだろう。

新聞記事や車の雑誌などでは
当初の販売計画にくらべて
現状では大分苦戦をしているとされる
(ここのところ新聞などでも急激に販売不振を
とリあげる記事が増えてきたように見える)
レクサスブランドの
反撃ののろしみたいな役割をこのLSが
はたすだろうというのがもっぱらの話ではある。

たしかにデザインもなかなか優れていると思うし
(というかレクサスのデザインはどの車をとっても
世界的なレベルでみても非常に優れていると筆者は思う)
前述の安全装備もすばらしいものではあるから
一定の評価を市場から得られるのではないかと筆者も思う。



2006.8.30

筆者はこのような高級車は
欲しくてもとりあえずは購入できそうもないから
あまりふかい興味もなかったが
先日ブックオフという古本屋さんにいって
(このブックオフという古本屋のことも
いずれ深く考えてみたいと思っているのだが
それはまたいずれ)
半年ほど前のカーグラフィックという車雑誌の
古本を探していた。
そのおりにレクサスの車の機能について書かれた内容を
偶然読んで知り非常に驚いたのだが

実はレクサスの車には
どんな車格の車を購入しても
とりあえずついてくるサービスがあるという。

なんと携帯電話がついていて
その携帯電話を通じて
レクサスのサービス会社と直通で話ができ
その電話でいろいろなサービスを受けることができるのだという。



2006.8.31

ただしその携帯電話はレクサスのサービスセンターとしか
つながらないから
友達にかけて会話をする、ということはできない。

しかしレクサスのサービスセンターにかければ
こんなことが可能であるらしい。

ちなみにこういうサービスを
テレマティクスサービスというらしい。

以下はカーグラフィックにかかれていたレポートなのだが
いわく、
ドライバーがドライブ中に
聞きたい音楽を思い出したのだが
どうしても思い出せない。
そこでレクサスのサービスセンターに電話をし
出てきたオペレータに断片的な情報を伝え
その楽曲を調べてもらう。

カーグラフィックで調べてもらったのは
楽曲の名前ではなく
ユーミンの昔のアルバムの
ある曲のなかに出てきた神奈川にあるレストランの名前、だ。


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