今日のコラム・バックナンバー(2006年 5 月分)


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掲載は日付順になっています。


2006.5.9

とりあえず、今の日本を今後も継続して
改革していこうという若者らが出てくることは
必要ではあろうと思う。

そういう若者らに
「ばかな男が必要だ」とエールを送りつづける
親父さんたちも一方に必要なのだ。

この藤原正彦氏の本を読んで
筆者自身、どれだけ勇気が湧いてきたことか。

そういえば先日、
地元のローカル放送で
長野県の改革について識者が集まり討論をする、という
番組が放送された。

長野県知事や
日曜朝や平日の朝の番組などで
コメンテーターとして活躍する
大学の先生
長野県出身のジャーナリスト、
自治体の自立で頑張っている首長などが
登場して長野県について
多方面に議論するという番組だった。



2006.5.10

このなかで
地域社会を変えていくには
ばかもの、よそもの、わかもの
が必要である、という話がでた。

自分のことにかまわず、地域社会のために
なりふりかまわず奮闘する「ばかもの」

地元社会にしがらみがなく自由に戦える
他の地域から来た「よそもの」

そして改革を目指すエネルギーをもつ「わかもの」、

この三者が閉塞感に閉ざされた地域社会を
改革していく人々足りえる、というわけだ。

これは地域社会の活性化を目指す地域にむかって
識者からよく言われる話だ。

基本的には筆者もその通りだと思う。



2006.5.11

藤原正彦氏のいうところの「ばかな男」は
まさにこれらの三者に他ならない。

番組のなかで
「しかし」、と根っからの反論ではないが、
これらの三者が必要であるという観点とは
異なる話をした識者がいた。

これまで地域の活性化を目指すというときに
その地域の中(点)の活性化に向かって行動を考える
「ばかな人たち(もちろん良い意味で)」がいたが

これからは内向きの「点」ではなく
面や広がりのなかで
考えなくてはならないのではないか、という意見だ。

これも全くその通りだと筆者は思う。



2006.5.12

多くの自治体や地域社会で
その地域の活性化を考える時、
どうしても視点はその地域の内側を見て
考えることが多い。

それはまったくの間違いではないと思うが、
しかし、時代が様々なものや人々、参加者、知恵、などを
複雑に絡み合っていくこの時代にあっては

例えば他の地域や他の知恵や人々と
つながりを持つなかで
あるいは自分の地域の利益だけではなく
同時に他の地域や全体の結びつきのなかでの
繁栄を目指すことが
必要であろうし可能でもあろうと思う。



2006.5.13

むしろ単独であったり内向きのなかでの
繁栄のありかたのほうが成立が難しい時代なのだ。

であれば
「ばかな男」や「ばかもの・よそもの・わかもの」の
範疇も
その地域なり社会なりの「内側」にのみ視線をむけた
人々によるものであるわけがない。

もしもそうであるならば
時代とともに
「ばかな男」や「ばかもの・よそもの・わかもの」の
範疇も変わっていかなければならない、ということでもある。

たぶんそうなのだろうと思う。



2006.5.14

きっと時代の変化の方向にあわせた
「ばかな男」や「ばかもの・よそもの・わかもの」
でなければならないはずだ。

ばかの範疇やレベルや野心の大きさも異なるだろうし
目線の高さや方向もことなるだろうと思う。

そう、藤原氏言うところの
野心の大きさは
時代とともに変わっていくだろうし
「ばかの範囲」も変わっていく。

そのわりにたしかに
若者のスケールが
小さいものになっていくような気がし
それを愁うのは藤原氏だけではない。

でもそれを「ばかもの、よそもの、わかもの」自身のせいだ
というのも問題だ。

そんな
「ばかもの、よそもの、わかもの」を
暖かい目線で支えてやれるような
叔父さんたちも一方では待望されているはずなのだ。



2006.5.15

最近復調の兆しがあるとはいえ
一時のネットバブルの崩壊から
浮かれたようなIT企業やベンチャー企業などへ
バブルマネーやリスクマネーが
むかうことはなくなってきたようには思う。

が、一方でマネーがあまっていることはかわりなく
最近の企業買収ファンドの動きや
日本中の地方都市でのマンション建設の加速や
リートなどと呼ばれる
やはり土地建物の値上がりなどを目指したファンドの隆盛など
いまのところ金余り現象が起こす「華やかな」話題には
こと欠かない。

当然前述のように
IT企業やベンチャー企業などへリスクマネーが
流入していく方向は
今、再び大きくなってはいくのだろう。
いずれまた「熱狂」がやってもくるのかもしれない。



2006.5.16

ところで
最近本屋に行って新刊の本の前に立つと
「国家」とか「品格」という単語に行き当たる。

前述の藤原正彦氏の「国家の品格」が
ベストセラーになって
二匹目のどじょうを狙う出版社が
「国家」とか「品格」という
ある意味流行の言葉をつけた著作を
乱造している感が強い。

失礼ながらそんな状況そのものに
品格もなにもあったものじゃない、と思うのだが

まあ、
祖国とか国家とか品格とかいう言葉のブームが
視野の狭いナショナリズムの台頭に
力を貸す傾向になりはしないかという
若干の危惧がないでもないが、
(でも結構そんな感じが目立っては来ているように思う)



2006.5.17

たしかに
最近の金融ファンドのこととか
金余りから来るのではあろう
様々にバブルで拝金主義的な現象を見るにつけ
「品格」という言葉に一種の共感というか価値を感じるのは
わかる気はする。

一時のアメリカが
ともかくも企業の株価をあげることに
血眼になっているような状況に
「失われた10年」のなかで七転八倒していた
日本が知らず知らずのうちに
結局は引き込まれていったような
ここ何年かの日本の状況を
若干の反省をもって
見直そうとする機運があることもわかる気はする。



2006.5.18

それに若干の、いや結構な影響があるのだろうと思うが、、
たとえば日本国内の産学連携のありかたも
いまや
国内の多くの大学が
産業界や金融とつながって稼げだの起業しろだのと
まあその声の大きさと広がりたるや驚くほどだが
それに対する批判や反省やみなおしの意見も
最近は若干あることも感じる。

これらここしばらく出てきた「ちょっと待て」という感覚は
これはこれでしごくまともな感覚だと筆者は思う。

「おいおい大学の本来の使命は
もうちょっと違うところにもあるんじゃないの」と
言いたくなるほど
それほどここ数年の産学連携に対する「期待」「熱狂」
そして「国家の支援」は大きい



2006.5.19

一方、
一時ほどは頻繁には言われなくなったけれど
シリコンバレーに対するあこがれはいまでもある。

産業界にも大学にも地域産業集積のなかにもだ。

ここ数年の産学連携に対する「期待」「熱狂」
「国家の支援」の意味ももちろんわからないではない。

日本中でいまだに「シリコンバレー」を
作ろうという機運はいろいろな形になって
動いてはいるように思える。

国の推進するクラスター政策だって
いろいろ言いながら結局は
シリコンバレーを作ろうという
施策に変わりないように最近は思える。



2006.5.20

ところがじゃあ、本当に
日本の産業界に
「地に足のついた」新たな産業創生やビジネスを
生み出していこうという
動きがあるのかというと
いささか不安にもなる。

産学連携の動きなどを見ていると
本当に不安になる。

もともと大学のなかから、あるいは卒業生のなかから
小さなビジネスや企業やそれを担う産業人を
生み出していこうというのは
これはなにも特別なことではなく
教育機関の使命としてはごくあたりまえの話である。



2006.5.21

なにも大学に限らず
学校を卒業して社会に出たら
企業に勤めるか自分で事業を始めるか
あるいは家族がやっていた中小零細企業をついでいくか、
公務員とか先生とかになる以外は
おおかたそんなところをあたりまえに考えて
みんな就職をする。

大学発のベンチャー企業を1000社を作ろうとか
国は言っているが

知見の高い大学の研究テーマに直結した
ベンチャー企業ならともかく
とりあえず中小零細企業であれば
大学発に限らず起業をすればみなベンチャー企業だ。



2006.5.22

今、日本では後継者がいなくて
廃業する中小零細企業が多いが
そんな状況のなかでひとり大学からのみ
中小企業がどんどん生まれていくとは
到底思われない。

いくら大学発の場合には
高い知的財産や知見や知恵があるのだからといっても
だから企業化できるというものではない。

大学発のベンチャー企業も
後継者がなくて廃業するかもしれない中小企業も
企業として創業したり持続していくときに
立ち向かい、解決しなければならない問題は
そうかわりはない。



2006.5.23

であれば国も
大学発ベンチャーを1000社作ろう、などと
いうのであれば
同時に、ともかくも中小企業の事業創業や
後継者をどうすればいいのかという点まで
視野を広げ「関連させながら」考えるべきだろう。

世界の引っ張っていける
21世紀の産業界を引っ張っていけるような
ビックビジネスを創出するような
高い知見を必要とする
ベンチャー企業だって
日本にはもちろん必要だ。
でもそんな企業が
1000社もすぐに生まれるとは思えない。

結果的にいえば
仮に大学発ベンチャー企業が1000社できたとしても
その1000社のなかの大部分のベンチャー企業は
質も大きさも普通の中小零細企業であろう。



2006.5.24

1000社の大学発ベンチャー企業が
たとえ生まれたとしても、
そのなかで世界の引っ張っていける
21世紀の産業界を引っ張っていけるような
ビックビジネスを創出するような
企業に育っていくベンチャー企業は
ほんの数社だろう。
だからといって
そういう企業が生まれるのをあきらめろというのではない

それはそれで良い。

だが
ベンチャー企業という言葉のイメージとは
たぶんに中身は異なる大学発中小零細企業が
実際のところだろうし
そんな大学発中小零細企業が
たぶん数年後には屍累々になるだろう。



2006.5.25

一方で大学に限らず
前述のような大事な仕事ができる中小企業も
たくさんある。
しかしそんな企業が廃業してしまう可能性が高いのだ。

であれば
そんな企業1000社をなんとかして
存続させていくてだてはないものか

企業だけでだめならそこにこそ
大学から始める「普通のベンチャー企業」だってある。

東京の墨田区では
1983年に10万社の工場があったのだという。
それが20年後の2003年には
48000社あまりに減少したのだという。
文字通り「半減」だ。

東京都内から製造業を無くすような施策や状況が
バブル時期にあったことが一因だとはいえ
あまりにひどい状況だ。

大学発ベンチャーという前に
もっとなすべきことがありはしないか。



2006.5.26

オモチャとか趣味のものの分野で
最近は「復刻版」が登場し
売れてもいるらしい。

それはそうと
歌でも
本でも
オモチャでも
映画でも

新しいそれらのものが出て流行や
ブームになってもしばらくすれば
忘れられてしまうのが常である。



2006.5.27

なんでも人間の頭の仕組みでは
常に新しい情報がもたらされていくわけだから
相対的に古い情報は
どんどん忘れるようにはなっているらしい。

そうでなけれな
いつまでも古い情報に
新しい情報が積みあがっていって
いくら人間の能力には限界はない、といっても
情報で頭のなかはいっぱいになってしまうだろう。

人間の付き合いでも同じようなことはいえるらしく
人間関係のつながりが常に濃い状態で保てるのは
どうやら150人くらいが上限らしく
脳の仕組みとしてそうなっているらしい。



2006.5.28

ということは
新しい友人ができたり
濃い人間関係が生まれたりすると
既存の友人関係のなかで疎遠になっていく人も
出てくるのは避けられないということだ。

疎遠になっていくといっても
仲が悪くなっていくとかいう意味ではなく
人間には誰でも使える時間、もっている時間は
当然ながら一日24時間で限られているわけだし
人間がつながりを保てるために
人と付き合える時間も
当然ながらそれらのなかから
やりくりしなければならない

新しい友人関係とか人とのつながりが生まれてきたら
相対的につながりがうすくなる人も一方に出てはくる。

これはまあ、当然のことといえば言える。



2006.5.29

そのうちにまたなにかのきっかけで
古い友人と交渉が再会すれば
またその分、だれかとの交渉やつながりが
相対的に薄くなっていくのだろう。

つまりは生まれてからその時点まで
知り合ってつながりを持った人の総数は
どんどん増えていく。
ただし人によって
10年で100人しか
その人の「知り合い名簿」に書き込まれない人もいれば
1年で1000人の名前を「知り合い名簿」に書きこむ人も
いるわけだ。

常に濃い関係を持っている「そこそこ濃い知り合い名簿」は
だれでも大体150人くらいである、ということらしい。



2006.5.30

ちなみにもっと「非常に濃い知り合い名簿」は
だいたい10人前後らしい。

そしてその名簿の数はそんな数字であるのに
中身は固定しているのではなく
どうやら常に変化しているということらしい。

これらの数字は
べつにそのひとそれぞれの癖からでた数ではなく
人間が猿から進化する過程の
社会を構築しているなかで
そういう他人との関係性から
人間の脳が獲得した数字ということらしい。



2006.5.31

話は戻るが

人間ではなく
歌だの
本だの
映画だの
おもちゃ、だのも
常に新しいものが
どんどん出てくるから
人間の受け取ることのできるキャパシティーが
一定の限界をもっているのであるなら
その人間の認知したなかで古いものは
どんどん忘れ去られていくようになっている(らしい)。

資本主義社会では
企業やメーカーは
常に新しいものやサービスを作り出しては
市場に無理やり送り込んでくるわけだから

そんな刺激にさらされている人間は
きっと古いものをどんどん頭の底のほうにしまいこんで
上のほうに新しい情報を積み重ねていくようになって
いるのだろう。


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