今日のコラム・バックナンバー(2005年 10 月分)


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掲載は日付順になっています。


2005.10.1

最近わが街に
マンションがいくつも建設されている。

本当にここ数年の間に
いくつもいくつも
あっという間に建ちはじめたことには
ちょっと驚かされる。

東京とか大都市圏では
リートとかいう
ファンドがはやりで
やはり今は一方にあまったお金が
新たな増殖と利益を求めて
新しいビジネスモデルを
どんどん立ち上げているというところなのだろう。



2005.10.2

筆者の住む地方の田舎では
そんな新たな土地バブルみたいなものには
無縁だろうと思っていたのだが
どうやらそうでもないらしい。

テレビコマーシャルで名前を聞いたことのあるような
マンションデベロッパーが
一つの街中の同じような場所に
いくつもいくつもマンションをたてはじめている。

そのスピードには驚かされる。

不動産に関連ある仕事をしている友人に聞いたところ

どうやら購入者は
都会のお金持ちが買うというのではなく
地元の小金持ちがどうやら
購入しているのだという。



2005.10.3

どんな街にも
古くからの土地持ちやら事業で財を成した人が
何人もいるだろうから
そんな人がいろんな意味で
財産の保全やら投機やらを目的にして
購入しているのだという。

ちなみに
もう一つの購買層があるそうで、
それは
同じ街の住人が購入するということでは同じでも
郊外に住む比較的年を召した人々が
生活の利便性を求めて
郊外の住宅を売り払い
街中のマンションに移住する、というものだ。

特に昔は街中に住んでいたが環境の静かな郊外に移住し
最近になってまた再び街中の利便性を考えて
郊外から戻ってきた、というのだ。



2005.10.4

なるほど
いろいろいっても
街中の利便性は明かである。

街なかに居住していたほうが
なにかにつけて便利ではある。

特に車が運転できない人や
今後年を重ねてきた時に
周辺の地域社会との関係を
濃密に保っていかなくては
ならない人々などは
中心市街地に住むほうがむしろ
望ましいと考えているよう思える。

これまで人や社会とのつながりとかを持つことは
面倒だといっていたのとは異なり

むしろ改めて周辺とのつながりを大事にする、
という時代になる可能性を
これは暗示しているのではないか。



2005.10.5

まあ、こういった都市型マンションを購入する人たちが
一方にいるのはよくわかる。

もしかしたら都市再生にむけて
都市型マンションの建築を
方法論としてうまく使っていく、というやり方も
あるのかもしれないとも思う。

むしろこれを都市再生の好機と捉えてみるのも
悪くはないだろうし、
日本中で都市や市街地や中心街の不活性化が
進んでいるなかで起死回生の一発になる可能性も
ないではない。

また一方の
地方のちょっと財を成した人あたりが
新たな増殖と利益を求めて
あまったお金を投資していく対象として
マンションを考える、というのもわからないではない。



2005.10.6

しかし、その場合には
いずれまたバブルの罠に陥る可能性があることを
肝に命じておく必要はあるだろう。

願わくば、土地とか建物ではなく
例えばベンチャー企業や
中小企業の技術や製品づくりに
そういうお金が投資されたり使われていく
そんな状況になったらいいのに、と思う。

残念ながらまだそういった
「ものづくりのためのファンド」のような仕組みは
整ってはいない。

自分のふるさとに怒涛の勢いで建つ
マンションに負けないような
そんな「ものづくり」への後押しの仕組みを
そろそろ作っていかなければならないのではないかと思う。



2005.10.7

このまえの選挙で有名になった女性国会議員
佐藤ゆかりさんがこんなことを言っている。
詳しくは氏の正式ホームページを読んでいただきたいが
簡単に言うと以下のような内容だ。

景気が復調してきて企業が業績をあげている。
しかし、だからといって
企業への課税をあげることは実質的に不可能である。
それをしたら企業は海外に行ってしまうし
そうなれば雇用のことを考えても
企業の課税を簡単にあげるわけにはいかない

一方で
国民の所得が今後増えそうもない現代でもある。
そこで一つの提案として
国民は企業の株を買いましょう、
というような内容だ。



2005.10.8

しかし、証券会社の営業マンや
研究員ならいざしらず
国会議員がそういうことをいうのはどんなものか。

この提案?に対して
証券会社の責任者が言いそうなことだと
同志社大学の浜先生が
テレビでおっしゃっていたが
本当にそうだ、と思う。

一方で儲かる企業がいて
一方に所得が減っていく国民がいて
それを解決するために
企業の株を買いましょう、なんて
すくなくも
国会議員になった人のいうべき言葉ではないと思う。



2005.10.9

実質的に株で儲ける個々の個人国民がいても
なんら問題はないし、
結構多くの人々がそうしている現実もある。

しかし、そうではない人々が
一方にとても多くいて
どんどん所得格差が大きくなっていく現状で
株を買いましょう、では
なんら解決にならない。



2005.10.10

もう一つ、佐藤氏は
国際競争力を低めないためにも
企業への増税は問題があり
家庭への増税はいたしかたない
とする簡単な結論を出すが
それで良いのか。

本来、そうならないために
いろんな知恵を出して
国民ひとりひとりが豊かになっていくこと、、、
それはけして所得のことだけではないはずで、
いろんな意味あいの「豊かさ」を
国は実現していかなければならないし

国会議員はその実現のために奮闘し
力と結果を出していく責任がある。



2005.10.11

企業に課税はできないし、一方
所得が上がっていかないから
国民は株を買って豊かになりましょう、では
なんら解決にはならない。

企業業績が上がって
企業は儲かる一方で
国民ひとりひとりが豊かになっていかないなんて
そもそも国として体をなしていないし
そんな「経済」があるはずがない。

そのこと自身に対して
そんな国はどうかしていると
思わないこと自身がどうかしている。

だからといって勤労者の給与や所得で解決するべきだと
言うのではない。

そこにもっと知恵はないのか、と言っているのだ。



2005.10.12

国会議員を先日引退した長老が
国会における
佐藤氏等の最初の国会質問を聞いて

心や政治家としての芯の部分がない、

というような批判をされていた。
数字や上滑りの話ではなかったかと言うのだ。

こういう話や文脈が闊歩していることを
氏は憂いていた。

この話と、前述の
「国民は株を買いましょう」
という話は根本のところでつながっている。


さて、話はかわりますが

筆者の住む地域で
諏訪圏工業メッセ2005という工業系のイベントが
10月13日14日15日と開催されます。
http://www.suwamesse.jp/
今回は過去最高の出展社数だそうです。
たぶん都市圏以外の内陸地域で開催される工業系展示会としては
最大規模のものだと思われます。

毎年、出展社数が増え、来場者数も増えています。

筆者も展示やらこれを機会にとネットワークづくりやらで
もうそれはてんてこ舞いです。

というわけで今日のコラムは来週まで臨時のお休みをいただきます。
ごめんなさい。よろしく!



2005.10.17

諏訪圏工業メッセ2005という工業系のイベントが
10月13日14日15日と開催されました。
http://www.suwamesse.jp/

今回は過去最高の出展社数でした。
また、過去4回行なわれたなかで最高の来場者数でした。

毎年回を重ねるごとに盛況になっていくようです。

来年も開催がすでに決定しています。


さて、先週からの続きです。


美人だとか若いとかあるいは
そんな人たちで集まって飲み会をやったとか
今度の選挙の後には
いろいろな「面白い話」がマスコミからも出てきているし
国民もなんだかそれに乗って面白がっているようにも見える。

しかし、そんなことを言っている前に
本当に彼等が何を言い、何を目指しているのか、
それがこれからの日本に本当に
必要としていることなのか、
そろそろ冷静に判断していかなければならないはずだ。

こんな状況を
ちょっと不安に思うのは筆者だけだろうか。



2005.10.18

アメリカのシンクタンクが調査した内容の結論として

「日本の中小企業は内需異存型」

であるらしい。

大手企業を中心として
日本の経済は
輸出依存であることはいまだにたぶん間違いないのだが

中堅中小企業は
15%くらいしか輸出しておらず
基本的には内需依存なのだという。

一方、中小企業の国といってもいいイタリアは60%
ポーランドやスペインは50%位
カナダやドイツやフランスやイギリスが
45%〜40%くらいだという。



2005.10.19

アメリカだって中堅中小企業の28%くらいは
輸出している、というのだから

日本の中堅中小企業は15%しか輸出していない、
というのはたしかに内需依存というか

そもそも大手企業や日本経済が
輸出主導でアメリカあたりから
さんざん怒られてきたのだが、

その大手企業が外需依存であるぶん
中堅中小企業は内需依存、というよりは
中堅中小企業は国内大手依存、というほうが
たぶん言葉としては当たっているのだと思う。



2005.10.20

そのシンクタンクは文中で
「言葉」や「商習慣」の壁から
国内企業としか取引しないから
結果として国内需要依存になっているのだ、といっているが
それも結果としては当たっていると思える。

中小企業にとっては
国内需要依存イコール国内大手依存、なのだ。

そういう点では
大手企業が海外進出のリスクやコストを担ってくれていた、
ともいえる。

中堅中小企業はリスクやコストをかけずとも
大手企業とつきあうことで、
あるいは依存することで
生産をし販売をし利益をあげることができた、ということだ。



2005.10.21

じゃあ、「言葉」や「商習慣」の壁があるかぎり
中堅中小企業は内需型にとどまらずに
外需型になっていくことはできないのか、
あるいは外需型を目指す場合には
「言葉」や「商習慣」の壁を解決しないとだめなのか、
ということになるんだろうか。

たぶん半分あたっていて半分違っているように思える。

中小企業が世界で一番、直接、海外に売っている、という
イタリアだって
じゃあ、イタリア製品を買っている
アメリカとか欧米に
イタリア語が通じるのかと言えば
そうでもないだろう。



2005.10.22

それと日本は大手企業が
海外にものをどんどん売る役回りを果たしていて
中小企業はもっぱら国内で
ものを作る側の役回りを演じていた。

大手企業と中小企業が
そのもてる役回りを分担していたのだと言える。

対するイタリアには中小企業が依存する大手企業が
あまりない、というか、
だから自分で出かけていくしかなかった、とか
いうこともあるとも思う。



2005.10.23

が、それにしてもイタリアの中堅中小企業が
みんなアメリカを含め購買力のある世界中に
自ら売り込みにでかけていった、
というわけでもなさそうだ。

キーワードは
「ブランド」と「まとめ役」、ではないかと筆者は思う。

ブランド力はご存知のとおり
特にデザインものとか
衣料繊維製品とかにおいては
世界的なブランド力をイタリアは保っている。

しかしそれも中小中堅企業がそのまま「ブランド」を
持っているというわけではない。



2005.10.24

衣料繊維製品とかにおいては
イタリアには
地場産業内にたくさん存在する
いろいろな技術を持つ中小企業を
もっぱらまとめることを主眼にした、
日本でいえば「元受企業」のような
立場の企業がこれもたくさん存在する。

これらは「コンバーター」と呼ばれる。

圧倒的大部分の中小企業は
これらのコンバーターと密接、
あるいは緩くつながり技術や能力を高め
コンバーターはそれらの技術などをうまく組み合わせて
世界に通用するデザイン製品やブランドに仕立てる。



2005.10.25

成功しているコンバーターは
世界的に通用するインディーズブランドを
発掘してきたり
将来に可能性のある有能なデザイナーを発掘してきて
それらに地場の中小企業の優れた技術をつなげて
世界に売って出る、とまあ、そんなシナリオで
動いているらしい。

イタリアにおけるこのあたりの状況を見れば
日本だってそんなやり方は可能ではあろうと思えてくる。

中小企業そのものがなにも直接海外にでかけていかずとも
優れた技術を学び取り成長する力をもつ中小企業を
まとめる役割を持つ中堅企業が生まれてきて
中小企業といい関係でまとまっていく。



2005.10.26

中堅企業は
それらを競争力のあるものに仕立て育て
自ら海外にむけて発信していく、

日本であっても
そんなことは十分に可能であろうと思える。

日本は内需をもっと拡大せい、などと
アメリカあたりからなかば脅かされるように言われ
身をすくめている一方で
中小中堅企業が
自ら世界に売ってでることだって
不可能ではなかろうと思えるのだ。

日本にだってイタリアに負けないくらい
世界に通用するブランド性の高いものだって
存在しているはずだ。



2005.10.27

ただ、問題はある。

世界に、特にアメリカあたりにうって出ると
結果的には大量生産を志向することになる。
望む望まないに関わらず
たぶんそうなってしまうのだろう。

イタリアの高級自転車がいまそんな状況にある。
イタリアの高級バックとか衣料とか繊維なんかも
どうやらそうらしい。

大量生産だから
イタリアで作ることはせず
中国や台湾で生産することになる。

高級ブランドバックメーカーのいくつかが
中国で高級ブランドバックを作っているのは
すでに有名な話だし
どうやら繊維や衣料も同じようなものらしい。



2005.10.28

ちょうど昨日

筆者は東京のある区で産業集積の活性化に関する
フォーラムへのパネリストとしての参加要請があり
でかけてきた。

ご一緒させていただいた先生は
中小企業や産業集積の調査や研究では
一線にたっている気鋭の学者だが

この先生が先日イタリアの
北部の繊維衣料の集積地域の調査に
いかれたのだという。



2005.10.29

で、すでにおわかりのように
実はこれまで調子がいいとされている北部の
衣料繊維産業の集積も
中国製などの繊維製品に押されてきて
ここのところ下位製品などを生産している分野は
若干調子が悪いのだという。

たぶん勝手な想像だが
なかには中国や台湾などに
繊維製品を生産委託している企業も
出始めているのだろう。
地場の企業にくらべ
そんな企業は調子は悪くないはずだ。

ちょうど似たような話は
例えば鯖江のめがね業界などでも
同じようなことは言えると思う。



2005.10.30

鯖江のめがね生産を担ってきた製造業者から
生まれてきた商社的な機能を持つ企業が
大量に製品を企画しさばく力をつけてくると
今度は中国やアジアに生産をシフトし始め
最終的には鯖江に依拠しないグローバルな企業を
志向し始める。

今月の雑誌、サイクルスポーツ、という
自転車関係の雑誌を読むと
高級自転車の世界も同じようなもので
イタリア製の高級ブランドの名前をつけた高級自転車を
中国台湾で作る計画が進んでいるらしい。

わかりやすくいえば
高級スポーツカーの代名詞「フェラーリ」を
台湾で作って世界中に売る、というようなものだ。

「フェラーリ」はちょっと複雑な話になるとしても
たぶん自転車も衣料繊維産業と同じように
中国台湾に生産委託している分には
その商社的な役割を果たしている企業は
とりあえず上り調子ではあろう。



2005.10.31

だがこれがとりあえずイタリアの産業の将来にとって
「正解」なのかは今のところ不明だ。

もともと少量で付加価値の高いビジネスやものづくりが
イタリアの得意分野だということもある。

いくら売れそうだからといって
中国アジアで大量生産したものに
イタリア製有名ブランド名をつけて
世界に供給していくことがはたして正しいことなのか。

一方で、
消費税が15%にもなるといわれて
アメリカ型の消費生活から
ヨーロッパのように良いものと長く大事に使う、という
方向に日本の産業はむかうべきだという
テレビだかで言っていたある識者の意見はもっともだと思う。


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