今日のコラム・バックナンバー(2005年 6 月分)


INDUSTRYWEB HOMEへ戻る / 今日のコラムに戻る/ バックナンバーに戻る

掲載は日付順になっています。


2005.6.1

もともと多様で小さな市場には
すでに大規模な工場や資源を持つ大きな企業では
きめ細かく、対応していくことが
難しくなってきたということではないのか。

大きな企業はできるだけ同じものを安く大量に
販売することを結果的には目指しているが
成功している企業もある反面、
一方で大失敗している大きな企業も多い。
昨年大成功している企業もあれば
今年になって大失敗する企業もある、
そんな状態なのだ。

そんな明日をも読めない状況の大手企業に
中小零細企業は牽引してもらえ、という話は
冷静になって考えれば
無理があると思えないだろうか。



2005.6.2

ふと思うのだが、「市場」という言葉には
どこかうさんくささが漂うように筆者には思える。

「市場」というものは
そもそも本当に存在するのだろうか。
たしかに何かを必要とする欲望の存在はある。
お金に裏打ちされていれば
それは「財」を動かす物理的な力ともなる。

しかしそもそも「市場」は
ひとつひとつの欲望やニーズの個の塊であって

それが個別に様子が見えなかったから
一まとめに獏とした範囲をあらわす言葉として
「市場」と言っていただけなのではないか。



2005.6.3

「市場」という言葉の裏側には
実は非常に多様な、最終的には一つ一つに帰結する
個々の欲望や切実なニーズやなんらかのサービスや
製品などを必要とする気持ちなどが
存在しているがただそれを見る方法や
仕組みがなかったから
「市場」がそこにあるはずだと
思いこんでいるだけで、

ところがそれが情報技術などの発展で
一つ一つの個の存在や様子が
明確にみえてきた、ということなのだと思う。



2005.6.4

よく考えてみれば
最近はやりの、そしていずれは巨大な勢力に発展し
「メーカー」をその傘下に支配するような
存在にもなっていくだろうと思う「通信販売会社」は
たぶん「市場」などという「大それた認識」は持ってはいない。

彼等にとっては相手にしているのは
獏とした「市場」という言葉であらわす範疇ではなく
個々のニーズと顔を持つ一人一人のお客さん、
つまりその向こうには
それらの人々が持つ個々のニーズや要望や欲望の
集合体なのだ。



2005.6.5

そんな認識をもつからこそ
たぶん今後
通信販売会社はすくなくとも国内において
今以上に急速に成長していくだろうし
そんな認識をもてないでいる
日本の大手メーカーや企業は
急速に力を失っていくだろう。
そんな企業は一人一人の顧客に支持されないからだ。

たまに支持され一時売れる商品は生まれても
継続しながら多様に変化もしていく個々の
お客のニーズや要望や欲望に対応しきれていないからだ。

現在それに対応できているのは
一部のネット企業と通信販売業者くらいだ。



2005.6.6

以前、ここで
ハードディスクドライブのレコーダーが
普及してくると
たぶんはテレビコマーシャルで儲けるような
現在のテレビ放送局のビジネスモデルは
早晩変化せざるを得ないだろうという話を
何度か書いてきた。

当然テレビ放送局だけではなく
そんなビジネスモデルに関連する
当事者、少なくとも広告代理店なども
同じ問題に直面することになるのだろう。

しかし、広告代理店などに関しては
インターネットエージェンシー
(これとてもなつかしい言葉ではある、
もう10年も前になるがこの企業形態が
インターネット時代に先駆ける
ITベンチャーの雄になるだろう
と言われたものだった。)
に変貌していくとかまだ別の可能性は
残されている。



2005.6.7

だが
巨大な設備や資源を持ってしまった
テレビ放送局にとってはむしろ
ハードディスクドライブのレコーダーの普及は
ビジネスモデルの変更など
将来的に深刻な影響を及ぼすだろう
というような話を書かせてもらった。

さらに言えばこの影響は
インターネットよりもより打撃であり
当事者にとってはより深刻だろう。

で、いよいよ
それが実際に数字として
明確になってきているという話が
先日の毎日新聞に載っていた。

と、
その話題に行く前に話は変わりますが
仲間と一年あまり前から
大学と一緒に開発してきたロボットを
万博に展示することになっています。

そんなわけで明日からしばらく
今日のコラムはお休みします。
ごめんなさい。



2005.6.20

ほぼ10日ぶりに今日のコラムを再開する。

ハードディスクドライブレコーダーの話に戻すところだが
せっかくなので別の話題についてしばらく書く。

前回書いたように
仲間のものづくり企業や複数の大学などと一緒に
一年あまり開発を続けてきたロボットを
万博で6月9日から19日まで行なわれた
「プロトタイプロボット展」に
展示してきた。

朝9時から夜9時までの展示と説明を
10日間繰り返してきたから
その労力たるや半端なことではない。
しかし、幸いにも
地元の大学の研究室とそこの学生さんたちに
ロボットの開発・組み立てにつづいて
今回の展示やデモンストレーションでも
おおいに力を発揮してもらうことができ
おかげですばらしい「プロトタイプロボット展」を
行なうことができた。



2005.6.21

「プロトタイプロボット展」は
NEDO技術開発機構が
全国から先駆的先進的なロボット開発を行なっている
企業や大学などのチームから
ロボット開発のテーマを提案してもらい
開発を進めながら
その一つの結節点として
今回の万博に展示、発表、デモンストレーションを
行い内外に日本のロボット開発の
先駆性をアピールしようというものだ。

全国からは60ほどの
プロジェクトが提案され採択され
それぞれのチームは一年ほど前から
開発に取り掛かっている。
一年前とはいえ実際それらのロボット開発の大部分は
ずっと以前より開発が行なわれてきたものだから
今回のプロジェクトの機会を通して
より一層高度なレベルに持ち上げることが
目的といっても良い。



2005.6.22

我々のチームは
中心となる知見を持つ大学の研究者と
それをさらに高度にし補助することができる
他のいくつかの大学研究者や学生、そして
実際にものを作るためには
優秀な製造業の力が必要になるはずで、
筆者の地元にある複数の製造業者が参加し
これによって様々な人々の力を結集し
より優れたロボットを作っていこうという
目論見のもとに始まった。

しかし、多数の利害関係者が登場すれば
船頭多くして船山に登る、と言うがごとく
プロジェクトを効率よく進めていくことには
非常な困難がともなう。



2005.6.23

これが単独の企業や研究機関で進めていくのであれば
まだ、目標や目的が明確にしやすいから
プロジェクトも迷走しにくい。
しかし、多数の利害関係者で構成する
プロジェクトは
それぞれの参加者がもつ目標や目的や使命は
それぞれに個別的であり
一緒の行動を行なっていくのは非常な
困難がともなう。

しかし、
小さな企業であっても
それがいくつもつながったような
連合体であっても
それぞれが持つ優れた技術や知識を
うまく組み合わせれば
これまでに行なわれてきたような開発方法による
限界を超えよりすばやくより良いものを
作り上げていくことも可能ではあるはずだ。



2005.6.24

むしろ
優れた中小企業が
かりに共通の価値観や目的を持って
進めることができれば
思わぬ高度なプロジェクトも
行なえる可能性もある。

問題は企業が複数あることではなく
それをどうつなげていくかとう
マネジメントの問題だ。



2005.6.25

我々のチームは
前述のように
いくつも大学と
いくつもの中小企業の
合同チームで構成された。

当然それぞれが持つ事業や企業や組織の
目的や使命は「微妙」どころかまったく異なる。

当初から
共通の目的や目標を掲げ
そこにむけてそれぞれを
擦りあわせていくことが大事だと
「擦りあわせ作業」を行なってきたが
そうそう簡単にはいかない。



2005.6.26

また一度擦りあわせができたと思っても
頻繁に擦りあわせを重ねないと
容易に目的や目標はずれていく。

しかし互いの役目を自覚し
それぞれの信頼感を醸成しながら
共通の目標や目的にむけて
力を合わせることができれば

中小企業の集合体であっても
大手企業や単独の企業で行なうやり方とは
異なる進め方や優位性を実現することができるし
当然、成果も達成することができる。

今回、苦労を重ねながらも
なんとか通常弱点と思われる寄り合い所帯である状況を
むしろ強みとし、目的を達成することができた。



2005.6.27

今回愛知万博「プロトタイプロボット展」に
出場したことは
日本の産業分野を牽引する主要な分野の
ひとつとなるであろう高度なロボット開発を
大学のもつ高い知見と
高度なものづくりを得意とする
中小企業を中心とする
地域産業集積の力を組み合わせることで
実現しようという目論見を持って
進め実現してきたのだが

実はそれだけではない。



2005.6.28

中国の産業・経済が
ますます競争力を増し、
世界中の生産物の市場の多くを席巻していくことは
間違いない。

一方、日本は
これまでと同じような延長上で
ものづくりや産業の方向性を持っていても
苦難を免れない。

であれば
これまでとは異なるやり方で
その状況を切り返していく方法を
編み出さなければならないことも
たぶんは間違いないことだろう。



2005.6.29

どんな方法があるのかは
今後民間や研究機関や国や
様々なところから
様々に考えを出し実行していくべきで、
たぶん答えは一つではない

が、その一つとして選択するべき一つの方向に

今後日本の産業集積の多くが
大学や研究機関の知見と結びつき
優れたものや技術、サービス、
付加価値の高いものや技術、サービス
などを市場にむけてすばやく
送り出していくやり方が必要になっていくだろう。



2005.6.30

我々のこのプロジェクトに対する
目的のなかには

ロボットそのものの開発を行なう、という
大命題はあるにしても

実は産業集積の多くの中小企業が
大学や研究機関の知見と結びつき
優れたものや技術、サービス、
付加価値の高いものや技術、サービス
などを市場にむけて
すばやく送り出していくやり方そのものを
実証するケーススタディーとして
行ないノウハウを蓄積していく
という目的がある。


INDUSTRYWEB HOMEへ戻る / 今日のコラムに戻る/ バックナンバーに戻る