今日のコラム・バックナンバー(2005年 4 月分)


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掲載は日付順になっています。


2005.4.1

いっけん、
大量生産をしたから儲かったように思えるのだが
じつは大量に作ったから儲かった、というのは
ちょっと違う、と思える。

というか、大量生産によって儲かる、という
「言葉」が当然のように日本の産業界では
昔からあたりまえのように言われてきたわけだが
実はその大量生産によって儲かるということの中身について
本当はそれがどういう意味なのか、
本当にそうなのか、を考えてきたことは
なかったように思える。

金型や機械や製造装置は
それ自身が知識や知恵の塊だ。

これを使ってものを作り出すにあたり
この知識や知恵が大事な役割を果たす。

富を転写しコピーし作り出す
肝心なものはこの知識や知恵だ。
富を繰り返し生み出す魔法の杖とも言っていい。



2005.4.2

富の元になる知識や知恵を転写しコピーし作り出す
ことを大量生産だと言えばそうかもしれないが、

大量に作ったから儲かった、のではなく

知恵入った行為を
うまくコストをかけずに再生産再コピーすることで
儲かったのであって、
けして大量に作ったから儲かったのではない。

大量に作っても儲からないビジネスは
ごまんとあるのだ。

言葉遊びのように聞こえるかもしれないが、

実はその利益と量の生産の関係には
もっと考えなくてはならない
複雑な「関係」がある。



2005.4.3

何度も言うが
この金型や機械や製造装置は
実はソフトやコンテンツやデジタル情報に似ている。

ところがここ数年にわたり
日本の大手メーカーを中心に
肝心の金型や機械や製造装置など
「重要な部分」を
海外に売り渡してしまった。

「重要な部分」とは
つまりは金型や機械や製造装置に
入っているその知恵や知識の部分だ。
あるいはデータやノウハウや金型そのものだ。



2005.4.4

金型や機械や製造装置が海外に
流れていくのは
しかたがない、といえば言える。

あらゆるものの生産の拠点が海外に移っていけば
それらを生み出すための
資源も移動していくのは
しごく当然のことといえば言える。

しかし、そのなかの大事なところを
そのまま売り渡すのではなく

あるいは
金型や機械に搭載されている「知恵」を使った分だけ
日本にも富が還流するように
仕組みを考えてみる必要があったはずだし
あるいはこれからであっても
構想する必要はあるはずだ。



2005.4.5

海外に優秀な金型や製造装置や工作機械を
販売しても
儲けるのはそれを使った海外の企業であるわけで

残念ながらその金型や製造装置や工作機械を
売り渡してしまった日本には
当初の金型や製造装置や工作機械
そのものの販売による儲けは入ってきても
一番「おいしいところ」は海外に流れてしまっている。

知恵やアイディアを使って富を生み出す構造の
大事なところを実は海外に持っていってしまった、という
実にもったいないことを
ここ数年、日本は行ってきた。



2005.4.6

一方のアメリカなんかは
たぶん70年代80年代の
国家の成長が止まり、産業や製造業が疲弊してきた時期に
そういう構造を分析してきたのだろう。
90年代にあからさまに推進してきた
「プロパテント政策」などは
まさにアメリカに知識やアイディアをとどめておくために
方策であったと思える。

あるいは海外から知恵や知識を持った人々の流入を促進し
逆に流出を防ぐということをやってきた。

安価な労働力は放っておいてもアメリカ国内へ
流入してくるし、国内の雇用に影響を与えるから
規制をかけてきたが
優れた知識人や研究者は
世界中からアメリカに集まってくるように
方策や仕組みを作ってきた。



2005.4.7

日本がここ10年以上にわたって行なってきたことと
まったく逆のことをアメリカは行なってきているし
たぶん頭の良い人たちはそんなことを
考えてやってきたはずだ。
もっと言えば「儲かるしくみ」を作ってきた、といっても良い。

儲けの出る構造を分析し
なにが必要でどうするべきかを
考えてそのための仕組みを考えて実現してきた。

一方、日本は目の先の儲けを出すことも
大事だったことは認めるにしても
それにかまけて
長期的に儲けや富が日本のなかに還流する仕組みを
構想し構築することをおこたってきた、と思える。

残念ながらその構造はいまだ変わっていない。



2005.4.8

もともと「ものづくり」という言葉が
大事にされていたり
なぜか日本人好みの言葉として
いたるところに流通してしまっているところにも
実は問題はあると筆者は強く思う。

どうやら「ものづくり」という言葉は
日本人や日本の産業人や
特に「ものづくり」を大切にしようとしている人や
なんとかせにゃあかん、と思っている多くの
まじめな産業人には
ある意味で「心地が良い」響きがするようで、
ここ10年ほどのあいだに
ものづくりということばがまるで
日本復活の合言葉のようになってしまった。



2005.4.9

しかし
たぶん今の日本に必要なのは
「ものづくり」もたしかに必要なのだが
同時にもっと必要なのは
「儲かる仕組みづくり」なはずだ。

で、その儲かる仕組みづくりには
収穫逓増ならぬ

デジタル情報の扱いやソフトはもちろんのこと

知恵やコンテンツ、あるいは
それが投入された金型や製造装置や工作機械などの
富の再生産・再コピー・再配布のための装置の扱いも含まれる。



2005.4.10

それと知恵や知識をもった「人」も
あたりまえだが、含まれる。

経営学者のドラッカー氏ではないが、
人は足がついているだけ移動も簡単だ。

しかし、逆に設備や機械と異なり
人はお金や資本だけでは買収されたり動いたりしない
という特質ももっている。

ライブドアに買収された放送局に
いくら就職は保証されるとしても
本当に自分たちの能力や自己実現ができるのか、ということが
見えてこない限り、本当の意味での
連携や提携が可能になるかどうかは未知数だ、というのは
以前書いた通りの話だ。



2005.4.11

今後は
利益を生み出すプロセスに対する
人材も含め知識や知恵の分析やマネジメントが
重要になっていくだろう。
それは個々の企業に限らず
国にも同じことは言えるはずだ。

こういう書き方をすると
すぐ知財や人を国内にとどめていくべきだ、という
議論になってしまうが、
そうではなく
いかに利益なり富なり豊かさにつなげるのかを考えて
仕組みにしていくことが重要だ、というのが
今回の「今日のコラム」の主張デス。



2005.4.12

結局、
「ものづくり」だけでなく
かといって
「ものづくり」を忘れず
日本らしい競争力のつけかたが重要なのだと思う。

ところで、じゃあ、いったい、
どうやったらものづくりも
仕組みづくりもうまくできるのかということなのだ。

たしかに「ものづくり」と「仕組みづくり」が
重要だ、と言っているだけでは
いつまでたっても
ものづくりはまだしも
仕組みづくりがうまくなるかと言えば
そう簡単なことではない。



2005.4.13

まして
戦後数十年もものづくりに邁進し
大手企業はともかく
産業界全体に利益が回っていくような仕組みづくりには
力をいれてこなかったのだから
これから儲かる仕組みづくりだの
富が還流する仕組みづくりだのを目指すといっても
そうそう簡単なことではないのはわかる。

最近はたしかに
「儲かる仕組み」や「富が還流する仕組み」を
目指そうという動きがないわけではない。

それが
一番目立つのは「産学連携」というものだろう。




2005.4.14

知恵と知識が生み出され集積している大学と
ものを生み出すことができるはずの産業界が
連携することで富を生み出そうという仕組みを
作ろうとしている。

以前からこういう動きが全国になかったわけではないが、

ここ数年はアメリカのシリコンバレーに続けとばかり
全国で熱心に産学連携がうたわれている。

まだ、そんなにびっくりするような
実績というものは出ず
苦心続きのようではあるが
そうはいっても
「儲かる仕組み」や「富が還流する仕組み」を
実現するためには
産と学の連携を豊かに行っていくことは
はずせない。



2005.4.15

ちょっとくらいの困難が伴っても
日本が豊かになっていくために
必要なことの一つであることは
間違いないだろうから
これは辛抱してもやっていくしかない。

たぶんすぐには成果は出てこないだろうが粘り強く
行っていく、ということだ。

もうひとつ
「儲かる仕組み」や「富が還流する仕組み」を
実現していくのに産学連携とかと
異なる視点が必要ではないかと思う。



2005.4.16

簡単に言えば
のんべんだらりと
あるいは目標もなしに
なにか行っている、という状態をよしとせず

地域や産業界や仲間が
目指すべきビジョンと目標を掲げることと
そこに参加する一人々が
それぞれにそのビジョンと目標との実現に
力を合わせる、ということだ。

当然のんべんだらりではなく
いつまでにビジョンと目標の実現を目指すかという
ゴールの日程を決める必要はある。



2005.4.17

こう考えていくなら
今後は産業界で
「儲かる仕組み」や「富が還流する仕組み」の
実現を目指すのなら
プロジェクト型にして
ことを進めていくことが必要になるだろうと思う。

もともと
「ことを起こし現在の姿を変え、目標を実現する」ことは
プロジェクト以外のなにものでもない。

最近日産のゴーンさんの成功から
良く引き合いに出される
「クロスファンクショナルチーム」というやつも
プロジェクトの成功と実現にむけて
様々な機能を持つ優れたメンバーや仲間が
ビジョンや目標の実現のために
集まってきて力を相乗的に発揮する、そんな形態を指している。




2005.4.18

プロジェクトの設定にしかたによっては
地域や産業界のなかにある
様々な人的資源や知的資産が
有効に結びつき、生かされて
なおかつその人々にとって
地域貢献や社会貢献につながり、
あるいは自己実現につながっていくものも
あるはずだ。

こういうやり方のなかで
地域社会や地域産業の繁栄と
自己にとっての豊かさの
両方を実現することが
けして不可能ではないということに
みんなが気付く時期が
そう遠くない時期にくるのではないかと思う。



2005.4.19

こうしたことを繰り返すことで
「儲かる仕組み」や「富が還流する仕組み」が
きっと見えてくるはずだ。

設定する「プロジェクト」はどんなものでもいいと思う。

例えば大阪のように
人工衛星を地域産業の協働によって
打ち上げる、という大きな目標でもいいと思う。

ただ人工衛星を打ち上げる、というのではなく

高度な技術で人工衛星を設計したり創りあげていく人もいれば
例えばロケットの打ち上げ場の整地を請け負う人々が
出てきてもいいだろうし
宇宙服を縫製する人びとも
自分の参加の仕方をそれで実現し学ぶだろうと思う。
もちろん大阪の人工衛星に人は乗らないが例えばの話しだ。



2005.4.20

地面の整地ができる人とか
衣服を縫製できる人なんかは
地場産業のなかにはたくさんいるはずだ。

もちろんこれはたとえであって
実際にそれをしろ、ということではない。

大切なのは
そういう「既存の産業界の人々」であっても
新しい事業やビジョンや目標に
自ら参加できるという環境を整えていくことだ。

できるだけ多くの人々が参加し
手ごたえを感じてくれ、
当然そのプロジェクトも優れたものであること、
優れたものになっていくこと。

そんなプロジェクトが地域や産業のなかに
どんどん発想されていくことが必要になる。



2005.4.21

きっとそのなかに
「儲かる仕組み」や「富が還流する仕組み」
が見えてくるはずだと筆者は思う。

ただ、
そう考えてくると今度は
そんなプロジェクトを設定することのできる
プロデューサーが必要になってくるのだ。

あるいは
シナリオライターと言ってもいいかもしれない。

「儲かる仕組み」や「富が還流する仕組み」を考え
地域や産業界の資源をつなげて実現していくまでの
道筋を明文化するシナリオライターだ。



2005.4.22

そう考えるとそういう役回りは
これまでであれば
シンクタンクだったりコンサルタントファームだとか
言われてきたわけだが

残念ながら
今日本の地域産業や産業界に
「儲かる仕組み」や「富が還流する仕組み」を
構築できたりシナリオを描けるシナリオライターとしての
能力を持つシンクタンクやコンサルタントファームは
あまり聞いたことはない。



2005.4.23

国の産業政策に関係する
シンクタンクやコンサルタントファームや
一つの企業の合理化や体質改善を目指す
コンサルタントビジネスは
世にたくさんあるのだろうが

地域産業を奮い起こせるようなビジョンや
シナリオを書くことのできる
そんな役をこなせる人や役回りはあまり聞かない。

多分今後はそんな役をこなすことの
できる人や企業や
あるいは新しい認識をもち能力も持つ
シンクタンクやコンサルタントファームの
登場が待たれるはずである。



2005.4.24

さて、そんなことを
考えていると
最近の産業・工業系の新聞を読んでいて
面白い記事が目についた。

これまで国内では
中小企業の支援や活性化にむけての
国の施策として

経営革新法
中小創造法
新事業創出促進法

などがあったが
これら中小企業三法の中小企業支援法を
一本化した
中小企業新事業活動促進法
が施行された、という。



2005.4.25

これまでの

・経営革新法
・中小創造法
・新事業創出促進法

の三法を法の名前を読めば理解できるとおり
これまでも
新事業の創出や創業や経営革新は
行なわれてきたわけだが

今度の中小企業新事業活動促進法という
新しい法律では
これらにくわえ
中小企業間の連携など
俗にいう
「新連携事業」に
力が入れられている。



2005.4.26

新聞などによれば
この「新連携事業」は
これまでにない
「中小企業の活性化」にむけた
国の施策の新しい方向性なのだという。

ところで最初に戻って考えてみれば
「新連携」とはいかなる意味なのだろうか。

「連携」という言葉を
少なくとも産業界で聞くようのなって久しい。

でも「連携」という言葉の意味が
産業界でいかなる意味を持っているかを
真正面から考えた話は聞いたことがない。



2005.4.27

まして
「新連携」という言葉は
「連携」の意味さえばくとしているのに
わかるはずもない。

「連携」は
通常「企業連携」という意味で
産業界では言われると思う。

異なるコア技術、コアコンピタンスを
持つ企業同士が
互いのもっていない技術を
お互いに補完しあい

複数の企業で協力なタッグチームを
組み、グローバルで熾烈な競争に
勝ち残っていくには「企業連携」が重要である。
というような意味合いで使われてきた。

異業種交流のような意味でもあろう。



2005.4.28

「企業連携」という意味での「連携」という言葉は
けして陳腐になっているわけでもないし
意味が廃れているわけでもない。

むしろ
ますます企業が
自らのコア技術やよって立つべきドメインを
明確にしていかなければならないこの時代においては

それを補完しあうことで競争力を高めていこうという
そのための方法として
「連携」はますます必要であろうことは
まず間違いのないことだ。

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今日のコラムは連休明けまでお休みです。
それでは連休あけに。


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