今日のコラム・バックナンバー(2004年 8 月分)


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掲載は日付順になっています。


2004.8.1

かれらはその価値に気がついていて
そんな顧客を自社のビジネスやあるいは
もっと異なるビジネスの可能性につなげていこうとする。

とりあえず一度売ってしまい利益を得ることが
できたらそれでよしとするような日本の
近視眼的なビジネスモデルと
欧米の企業が考えることはそんな違いがある。

そういえば
こういう「顧客のもつ価値」を
キチンと捉えているなあ、と思うビジネスを
日本でも目指している企業が一つある。

ソニーだのホンダだのトヨタだの、と言う前に
きちんと目指して結果をだしつつある企業として
一つあげるならそれはジャパネットタカタだろう。



2004.8.2

彼らのビジネスの商材は
顧客が必要とするものは
家電であれ
パソコンであれ
雑貨であれ、なんでも手がける。
最近は健康食品まで扱っている。

家電メーカーだから家電しか扱わないということはなく
パソコンメーカーだからパソコンしか扱わないのでもなく
雑貨メーカーだから雑貨した扱わないということもない。

お客が必要とする、あるいは逆からいえば
お客が買ってくれるものなら
なんでも扱う、そんな姿勢だ。

その立場、メーカーではなく商社であるという
立場が可能にした
お客へ提起できるサービスの内容が
スタンスを目いっぱい広く取れるという点は
他とはまったく異なる可能性を持っている。



2004.8.3

でもそれだけであれば
そこらへんにあるデパートや郊外型巨大マーケットと
あまり変わらない。

ジャパネットタカタがすごいのは
そのめざしているところが
文字通り、「通信販売」であるという点にある。

「通信販売」などはすでに珍しくもなんともないが、
しかし、この通信販売のルートに
すべての商材がのっかって
そのうちにばかにならない
量と大きさの商売と
それに伴ってやり取りされる顧客情報が蓄積されていけば

それが持つ潜在的な価値は
想像もつかないほど巨大で質の高いものであると考えられる。



2004.8.4

そりゃそうだろう。
日本の特定のある場所に存在している
何の誰それという人物が
過去にどんなものを買ったのか、
それも家電に限らず生活に密着したありとあらゆるものを
どんなふうに、たとえば割賦か現金かも含め
購入したのか、をすべて知っているからだ。

やっているかどうかは知らないが
当然今後は
次は何を必要としているのか、
購入する可能性があるものは何なのか、
を聞いてくる可能性はあるし
もともと情報が蓄積されていけば
どこかの人がある家電を買った場合に
こんな条件があえば次はどんなものを統計的に
購入するかはあるていど予見できるはずで
当然、そんなデータマイニングは
考えているだろうし行ってもいるだろう。



2004.8.5

そうなっていけば
テレビでお客とつながるだけではなく
日常的につながる別のルートもいろいろできてくるに違いない。

プリンターのインクや様々な消耗品も
必ずお客にとっては追加で購入しなければ
ならないはずだから
テレビなどとはまったく別のルートで
購入するといったサービス部門も出来てくるし
ますます発達していくはずだ。

家電の使い方の説明や設置なども
またこれまでとは異なったあり方も
模索が始まるだろう。

ジャパネットタカタみたいなビジネスモデルは
今後まだまだいろんな可能性を残していると思う。



2004.8.6

ブランドを持つメーカーが
同社にお願いして
ダブルネームのブランド製品を
作る可能性もあるし
それに近いこともすでにはじめている。

あるいは同社が自分のブランドを
作る可能性も高い。

とりあえずは既存のメーカーと
競争になってしまうから
競争にならない分野の製品とか
一気に市場を抑えられる分野とかから
始めるのだろうし

それよりはダブルネームのブランドのほうが
可能性は高いが、でもいろんなビジネスが
始まる可能性はともかく高い。



2004.8.7

一時期、顧客情報の流出とかで
長期にわたり活動休止を余儀なくされた同社だが
これまで蓄積してきた顧客の持つ価値全般の
大きさや可能性をかんがえたら
逆に顧客の信頼が失われることが
一番さけなければならないことではあるから
あれは一番良い対応だったのだろうと思う。

むしろ顧客情報の持つ価値を
見直しする良い機会だったとすれば
あの騒ぎをタイミングにして
顧客情報とその価値を
重要視しながら
次へのステップの踏み方を
すでにしっかりと構想したのだろうと思う。



2004.8.8

前にも書いたように
アメリカのニューエコノミーが
イーベイ、グーグル、アマゾンだと
マスコミで書かれていたりするが、

だとすれば
日本ではヤフオクとジャパネットタカタが
ニューエコノミーの最右翼、だろうという気がする。

某IT企業が球団の買収に名乗りを上げたのも
日本のオールドエコノミー軍団が
既得の仕組みや収益構造を手にしているものを
なかなか手放さないのにたいして
一矢をはなった一つだが、
あれは結果の一つであって
むしろこれからいろんな
新しい経済の仕組みや試みが
社会的資源の再配分を目指し始めるに違いない。



2004.8.9

一時問題になっていた
日本の金型技術の海外への流出問題、
最近ちょっと聞く機会が減ってきたような気が
するがその後はどうなんだろうか。

最近は一時なんでもかんでも中国アジアに
移転していた日本の産業分野だが

最近は少量多品種の生産物とか
大量生産物でも高度な技術にうらうちされたものとかは
やはり日本の国内産業で
行うのが「正しい選択」ではないか、ということが
言われるようになって
事実、ここ数年は
国内での生産に戻ってきた分野も多い。

そんなことがあるためなのだろうか、
金型生産の海外流出も
あまり目立たなくなってきたというのか
取りざたされなくなってきた。



2004.8.10

しかし、本当に
金型生産が国内に戻ってきたとか
金型技術が国内にとどまっているようになった、
とかいうのは正しい認識なのだろうか。

実際には中国アジアで
プレス工程の前には必ず必要になるはずの
金型生産は前にもまして
どんどん行われているし
技術力も日々増していると考えて間違いないだろう。

金型を作る工作機械だって
国内中小企業が持っているものよりも
はるかに高精度で高能率なものが導入されてもいる。

技術者だって育っているだろうし
日本で金型生産の中心的なノウハウを
勉強してきた技術者が中国アジアに戻って
金型生産の最前線にいるだろうし

なんとまあ、日本の金型技術者が
中国アジアの企業に高給で雇われて
技術移転の最前線にたっているという話も
良く聞く話でもある。



2004.8.11

そう考えたら、けして最近になっての
金型生産や技術の海外流出がとまったわけでもない。

一部「戻った」というか
すみわけができたというか
よくあるオーバーシュートな現象というかが
あっただけであって
目立たないだけなのだろうと思う。

ところで金型技術や金型の生産を考えるのは
そうはいっても非常に重要な問題をはらんでいて

難しい金型加工はやはり日本でやるしかないので
戻ってきたのだ、というあたりで
結論としてはならないのだと思う。

よくよく深く考える必要があるはずだ。

、、、というわけで
金型産業について考えるのはお盆あけです。

皆さん楽しいお盆休みを!




2004.8.17

お盆休みが終わって本日より再開。

ところで
筆者の知っている地元産業の範囲で
この20年ほどで急激に成長した企業を眺めると
プレス屋さんが多いことに気がつく。

それもやはり
大量生産部品を高度な技術を使って
生産しているところだ。

なんども繰り返すが
少量生産の繰り返しであるとかよりも
プレス屋さんとして大量に生産を行っているところが
企業規模という点では成長してきているし

また、大量生産であっても
高度な技術に裏打ちされている仕事ができるところが
成長している。

いったんアジア中国に出て行った仕事が
最近日本に戻ってきているというのも
そんな高度な技術に裏打ちされた大量生産が
可能な企業に仕事が回ってきていて
現在のところ繁忙感はあるようだ。




2004.8.18

ついでにいうと
こういう企業の多くは
「売り型」をやっておらず
すべて金型生産は自社の生産のために行っている場合が多い。

アジア中国に生産拠点を移動しているプレス屋さんも
金型の製作は国内で作っているという企業も多い。

こういう企業の金型技術や金型加工のデータが
加工ノウハウとともに
中国に流出させることになっていったのが
ここ数年、問題視されたのだが

ともかくも

金型を自社で持っていて
金型の所有権が自社にあり
それを使ってプレスで
価値を転写させる、というのが
「儲かるプレス屋さん」のパターンだと思う。



2004.8.19

ところが
せっかく作った型を他社に売ってしまえば
その型を使って富を複製することによって
得られた富や儲けは
金型を買った所有者であるプレス屋さんに移転する。

せっかく優れた型を作っても
それを自社で使わない限りは
知恵や知識を型から転写するビジネスから
儲けることのできる利得は
自社のものにはならない、というわけだ。

簡単な話ではあるし
昔から疑いもせずに行われてきたビジネスだが
これはよくよく考えてみると
結構重要なことだと思う。



2004.8.20

金型を日本で作ろう、ということになって
最近は金型製作の大事な仕事も
国内に戻ってきたように思えるのも
よく考えてみるとまだまだ問題をはらんでいることになる。

つまりせっかく型を国内で作っても
たしかに金型を海外で売ることによって
金型代は儲けることはできるのだが
本当に儲けることができる
金型から富を生産する部分は
中国アジアに渡したままではまずいのではないか。



2004.8.21

当然中国アジアに進出した日系のプレス屋さんに
金型を供給する、ということはあるしそれであれば
問題はあまりないはずなのだが
実際は金型そのものや金型のノウハウは
いつのまにか海外に流出し

いつかは金型が作れるようになってしまうだろうから
やがてそれから富を生み出す作業は
海外に移転していくのは避けられないのかもしれない。

できうるなら金型生産の技術やそれを使って
富を転写する作業も
国内にとどめておく必要がある。

それはけして不可能な作業ではない。



2004.8.22

さて、金型と並んで良く見る仕事に
専用機や自動機の製造がある。

日本には金型の生産を行っている企業に並んで
この専用機や自動機を設計生産している企業も多い。

広げていえば半導体製造装置も同じ分野かもしれない。

で、この専用機自動機の生産だが

わりと地方産業で中堅をしめている企業が多いは多いのだが
プレス屋さんほど巨大な企業が多いのかというと
半藤体製造装置メーカーや
超巨大エンジニアリング会社は別として
そうでもないことに気づく。



2004.8.23

で、良く見てみると
こういった企業はせっかく優れた技術や機械や製造ノウハウを
設計して形にしても
その機械を販売してしまうことが多い。
「売り型」と同じように「売り専用機」「売り自動機」なのだ。

自社用に専用機自動機を作って自社のためにそれを使う、という企業も
ないことはないが
自社用の型を作ってプレス作業に使う、という
ことをしている企業に比べると案外少ないことに気がつく。

せっかく優れた機械を作っても
それを使って儲ける、という部分は
残念ながら自社ではなく
その機械を買って使う他社になっている。



2004.8.24

最近、こういった機械が
中国アジアに輸出されることも多いが、
これも最近は問題が多い。
せっかく作った機械を中国アジアに持ち込めば
そっくりそのままコピーされてしまうのだ。

なかには
日本から持ちこんだ機械が写真に取られて

中国に立ち上がった専用機自動機メーカーの
カタログ写真にそのまま使われる、などという話も
実際に聞く。

せっかく知恵を絞り、
これまでのノウハウを結集して作った機械なのに
それを使って富や儲けを再生産する、転写する、という
部分もその機械の富の再生産のつまった
ノウハウまでもよそに持っていかれてしまうのだ。



2004.8.25

日本に「売り型」というビジネスが
なくなったわけではないし
たぶん専用機の設計製造販売と同じ位、今後も
行われていくのだろうし
それはそれで今後も重要な日本のビジネスなのだろうと
思うのだが

専用機にしても金型にしても
それを使って富や儲けを再生産する、という作業が
重要なのだ、ということに気がつくべきだと思う。
あるいはもっとありていに言えば

金型にしても専用機自動機にしても
それが持つ重要なノウハウや富の源泉が
「ものに転写される」プロセスの
どこの部分を「所有」することが重要なのかを
考える必要があるのではないかと思う。

「知財戦略」という言葉が闊歩しているが
そんなあたりのことまでそろそろ考えねば
ならないのじゃないだろうか。



2004.8.26

アテネオリンピックでの
日本人選手の奮闘が光っている。
ここ数回にわたるオリンピックでの日本人選手の
活躍ぶりでは今回の結果は群を抜いている。

ここまで結果が出てくると
なぜ、今回はこんなに成績が良いのか、と
当然ながらマスコミも識者もいろいろな論を
繰り広げ始めた。

原因としてなにがあるのだろうと
マスコミなんかの良い材料になっているようだが

スポーツ選手の能力が
高まってきたことはあっても
最近の景気動向がよくなってきて
企業のバックアップが充実してきたから
日本人選手の活躍が実現したのだ、
などということはないだろう。



2004.8.27

そんないろいろある論の一つは
これまで企業内で選手やチームを育てることが
数十年に渡って当たり前のように行われてきたが
最近の景気低迷に企業が選手やチームを
育てるということはしなくなった。
そのかわり
この10年、景気が悪くなって企業が
スポーツ選手やチームの面倒を見なくなったのと
逆をいくかのように「地域のスポーツ振興グループ」の
奮闘が光るようになってきた、、そんな議論だ。



2004.8.28

たしかに
水泳選手の奮闘などもどちらかといえば
地域のスイミング倶楽部の奮闘によるところが
多いように思える。

これがなぜ成績アップにつながっていくのか
筆者にはいまいちわからないし
一方のほうで
企業のほうも力のある企業は
有力な選手やチームに
総力をあげてバックアップして
成績を残していることもある。

もともと
地域などのスイミング倶楽部のような
クラブ活動と
企業によるお抱えのクラブの違いが
いまいちわからない。



2004.8.29

が、どこかの評論家が
今回の有力水泳選手が金メダルをとったあとではなく
一位をとった「ゴール直後」に言った
「超気持ち良い」というコトバをとらえ
誰のためでも会社のためでも人のためでもなく
自分のために自分の能力を発揮し表現し楽しめる、そんな
わかものが出てきたからじゃないのか、と言っていたが
これは一定の説得力があるように思える。

そう考えると自分のために自分の価値観で
入会し活動している地域などのスイミング倶楽部のような
クラブ活動と
そうはいっても企業活動の一部に
ならずるを得ない企業によるお抱えのクラブの違いが
そこに見えてくるような気がしないでもない。



2004.8.30

企業お抱えのタイプと一緒にしたら
怒られそうだが

中国や昔の東ドイツのように
国策として
優秀なスポーツ選手を育て
スポーツ選手はそれによって
安定した未来を約束される、という
旧来から良く言われてきたような
立身出世型オリンピック選手成長モデルは
東ドイツが解体された後には
すでに見られないし

中国もこの数年のすざまじい経済成長に
逆行するかのように
そんな選手養成モデルは影を潜め
同時に今回のオリンピックでも
成績がいまいち伸び悩んでいるように見える。
終わってみればメダルの数はだんとつで多いのだが、、。



2004.8.31

国策のオリンピック選手になって
将来安定した生活などという位なら

外資系企業にでも入って
ビジネスチャンスを掴んだほうが
よほど将来の可能性は広がっている、と
考えるわかものは今の中国では
圧倒的に多いだろう。


ある意味では
昔の東ドイツや中国の
国策オリンピック選手育成に並んで
日本もそれに近いモデルだったのかと思えるが、
少なくともここ最近の日本のスポーツ選手は
それとはことなっているように思える。


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