今日のコラム・バックナンバー(2004年 4 月分)


INDUSTRYWEB HOMEへ戻る / 今日のコラムに戻る/ バックナンバーに戻る

掲載は日付順になっています。


2004.4.1

ほかにも
日本中の多くの集積地を中心に
いくつかのところでもはじまろうとしている。

既存の仕組みをうまく再構成して
プラットフォームに育てていくのか。
あるいはまったくあらたに構築していくのか。
具体的にはどんな仕組みや機能が必要となるのか。

いろいろ方法はあると思うけれど
いろんな試行錯誤のなかから
きっといくつかの成功モデルが
出現するに違いない。

最初に戻るが、、、
ポスト産業資本主義が
知識によって現れてくるのなら
とりあえずはそんな動きは
日本のなかに少しづつ見えてはきているのかもしれない。




2004.4.2

大学が独立行政法人化するとかで
ここのところいろいろにぎやかではある。

どこの町も産業の活性化に
熱心になってきてはいるから
ちょっと前にここに書いてきたように

その活性化するための一つの手段として
大学の知的な資源を
なんとか生かそうとしている地域も多い。



2004.4.3

そんな「ニーズ?」ともいうべきものと
大学の独立行政法人化の動きが
ある程度利害が一致したとでもいえばいいのか
結果的にはマッチして
大学と企業とのマッチングのための機会を
設定する、なんてのが結構
いたるところで行われ始めている。

工業系の新聞などを見ていると
毎日のようにそんな記事が目に入る。



2004.4.4

大学が大手企業と共同開発や委託開発などを行う、
というのは
昔から行われてきたことだから
いまさら珍しくもないが

大学が中小企業が集積する地方の産業集積と
なんらかの形でつながっていくというのは
その地域の大手企業とつながっていれば
受注が確保できて仕事になって
儲けていくこともできた時代から
大手企業が海外にものづくりを移転させてしまっている
この時代となってきたいまとなれば

中小企業であろうとも
大学や知識の集積しているところと
つながりを持って技術や製品の開発に
努めていかなければならない時代になった、と
考えれば至極当然の方向ではあるのだと思う。



2004.4.5

それはそれで結構なことであって
なんども書いてきたように
そんなマッチングさせるというか
つなげていくというか
新しいネットワークを作っていくというか
そういう方向はたしかなことだし
重要なことであることは間違いない。

ところで
こういった動きが出てきているのは
じつは大学と中小企業の関係に限らない

日本中の大手企業なんかでも
地元や他の地域の優れた技術を持つ
中小企業群とつながって
なにか新しい試みをしてみようじゃないか、という
動きはちょっと前から少しありそうな気配はある。




2004.4.6

大学や研究機関や
企業の研究のセクションがあるような
町や地域の産業界全体としては
それらの研究内容などと
地場の産業の活性化が
うまくつながってくれればうれしいから
最近はとても熱心ではあるし
逆の立場の大手企業や大学も
地域産業の活性化に貢献したいとは言ってくれている。

でもそう言う一方で最近は
大手企業にしてもあるいは大学にしても
知的な財産を確保してお金にしていこうというのが
根本的なところではあるから
そうそう簡単に大事な知識を
中小企業にむかってオープンにはしない。




2004.4.7

知的資源を元にして生きていこうとする方向を模索するなら
当然のことではあるし

無制限にオープンにしたら
競争力など一瞬のうちに消失してしまうだろう。

しかし、その知的な資源も
自分の内部だけにたよっていたら
それもまた進化を妨げたり、
新たな知識を生み出すことが
できなくなる可能性も高まることが
最近ではわかってきているから

クローズとオープンをうまく使いわけるというか
ともかくひたすらオープンではなく
かといってクローズしていくだけとおいうわけでもなく
外部の知識や資源を利用したりするやり方に
変わってはきているのだと思う。




2004.4.8

そんな方向の一つが

中小企業との連携などにもなってきているわけで
けして安価な調達先を中小企業の役目として求めるだけ、
という状況ではなくなってきているのだ。

大手企業によっては
外部とつながることの重要性を認識していて
外とつながれる人、
ネットワークを持っていたり
ネットワークを作れる人材なんかを
ある程度ではあるが
重視している風潮?はあるように思う。

そんな人材やネットワークが
様々に知的想像力を生み出す可能性を持つ資産の価値を
認めていたり積極的に活用する時代にもなってきているのだろう。

これはこれでとても重要なことだろうと思う。




2004.4.9

いずれはどこまでオープンにして
どこまでクローズにしていくかが
問題になっていくと思うし
まだそのあたりの線引きや
経験が不足していて
ギクシャクしている感じはあるけれど
早晩どこかで解決されていくだろうと思う。

なかには地域の既存の「組織」やできあいの「産業組織」のうち
時代の変化のなかで存在意義が薄れてきて
地域産業からその存在を認めてもらい辛くなってきたところなんかが
うまく新しい存在意義をみつけて
大学や研究機関や比較的大手企業や
地元の中小企業なんかの橋渡しを行うことに
積極的になることもあるだろう。



2004.4.10

そういう組織は
わりとこれまでの仕組みのなかで
地元大手や中堅企業なんかを
支えてきたり支えられてきた組織だから
「集金力」や「お金」を持っていることもあるだろう。

そんなお金がなんらかの形で
大学と中小企業での開発費用に回っていけば
なおさら良いと思う。




2004.4.11

そういえば最近、
大学と企業の間で盛んに活動するようになったのが
特許の移転機関、TLOだ。

いたるところでTLOの存在を耳にするようになった。

大学の先生が持つ特許をいったんTLOにあづけて
TL0はそれを企業に向けて使用許諾し、
その製品化のロイヤリティを企業から払ってもらう。

簡単にいえばそんな仕組みだが
実際にいま、どこの大学でもTLOが
うまく動いているかといえば
実際にはまだまだというところだろう。

最近始まったばかりの仕組みだから
日本中で軌道に乗るにはまだまだ経験や実績の積み上げが
必要になるだろう。




2004.4.12

東大あたりはさすがにお金になる特許が
たくさんあるようで
比較的「うまくいっている」ようだが
国内ではまだ始まったばかりということもあって
成果はこれからというところだろう。
実際、先駆者のアメリカでも
数あるTLOのうち利益を出しているのは半分ほどだ、と
言われているから
まして日本では、というところだ。

で、こういう場合に
もっとも問題になるのは
もともと大学とたとえば地場の中小企業と
うまくつながれるかどうか、ということだ。



2004.4.13

アメリカの場合でも
あるいは日本の場合でも
多くの場合は大学と大手企業の間での
共同研究や共同開発の話しが多いはずだ。

残念ながらたとえば地方にいくと
大学、特に高度な知識を持つ工学系大学はけして多くはないし
一方の地場の企業は企業数でいえば大手は極端に少なく
中小零細企業が集積していることが多い。

また、特許の出願も保有も
大都市の大手企業がもっていることが極端に多い。

特許や知的財産を保有していない
少数の大学と大手ではなく中小零細企業の集積、、というのが
残念ながら地方の産業を見た時の実際の姿なのだ。

アメリカのやりかたを闇雲に追う必要はないが、
でもこの状態から知的財産を使って
地域を活性化していくというシナリオを描くのは
いささかしんどい。



2004.4.14

であれば
最初にいまの状況で行えることから
考えてみたほうが良い。

正直いえば
これまで大学と中小企業で
共同開発なり共同でなにかを行ってきた実績、というのは
全国の中小企業の数と大学の数から考えると
「ない」に等しいと思う。

ないことはないが、日本全国でみれば
「数字にならない実績」に等しかったと思う、
もともとそんな必要もなかったからで
中小企業は大手や中堅企業につながっていて
図面をもらって言われたものをキチンと作ってくれば
よかったわけだ。

大学だって、自身で食っていくことに
なるなんて考えてもみなかったのだろう。



2004.4.15

こんな状況のなかで
大学と中小企業で共同で開発などを行って
一発当てよう、というのは
無駄とは言わないが、
だいぶ壁は厚いしハードルは高い。

実現するためにやらなければならないことはたくさんある。

で、筆者の経験からすれば
最初からあまりハードルを高くせず
「できる範囲でいっしょになにかを行う」
そんなところからはじめてみたら良いと思う。




2004.4.16

一番良いと思うのは
研究室の実験器具や
研究テーマにそったものづくりなどの
製作を手伝う、というところからだ。

実際に行ったこともない大学に
足を運ぶことさえなかなか大変なのだし
はじめから共同研究などといえば
足が遠のく。

研究器具の製作の手伝いくらいであれば
難しい話ではないし
先生といわれる人たちも
当たり前に普通の人たちだというのも
わかってくるだろう。



2004.4.17

実際、「ものを作る」という部分でみれば
大学の先生よりはるかに「先生という呼び名」に近い人は
ものづくりの現場には多い。

むしろ「作り方を教えてあげよう」位の気持ちで
先生のところへ行ってみることが重要ではある。

そのうち先生たちとの忘年会や飲み会の機会も出てくるだろうし
そうなればしめたもので

こちらも一社だけではなく
仲間をつらねて大学に通うようになれば
面白い情報やアイディアなんかも見えてくるに違いない。



2004.4.18

ナノだ、バイオだ、と超先端の技術開発をするばかりが
大学との共同研究・共同開発じゃない。

研究器具を作ったり材料を加工していくなかで
おもしろそうなものや情報は見つかってくると思う。

それも遊び道具や生活関連製品や雑貨や、そんな
先端ではなく普通の身の回りのものや技術で
生かされるものがたくさん出てくるはずだ。

先生のほうだって
できればカッコウ良い先端技術を形にしたいことも
あるだろうけれど
申し訳ないけれどそういう難しいことは
中小企業の集まりからすれば
お金や時間の制約から簡単にできることではない。



2004.4.19

むしろ身近で先生が困っていることや
先生の「趣味」の分野で
役立つことから考えてみたら面白い。

さすがに大学の先生ともなると
本業以外に趣味の研究テーマでも
面白かったり変わったテーマを追求している先生も多い。

誤解を恐れずにいえば
趣味のテーマのほうに
中小企業向けで市場にも受け入れてもらえそうな
テーマが多いと思う。

勿論本業のテーマにもおもしろいものや優れたものもあるが
先生たちが作った趣味のホームページなんかを見ていると
「こりゃあおもしろいや」と
思わせるような情報やアイディアが結構詰まっていて
驚かされる。




2004.4.20

問題はそういう先生をみつけてきたり
やる気のある中小企業をみつけてきて
つなぎ合わせる作業をしなくてはならない、
ということなのだが

こればかりは
自動的につながる、というわけにはいまのところいかない。

「いまのところ」というのはアメリカあたりでは
つながりをつくる仕組みを情報技術で補完しようとする
試みがすでに始まっているのだが
こういうトンでもないことをやってしまうのは
さすがにアメリカだと思う。




2004.4.21

まあ、とりあえず日本では
人がきちんと介在して
人と人、大学と中小企業、企業と企業を
つないでいくしかない。

このプロデューサーというか
コーディネータというか
そんな能力を持った人が
地方の集積にはこれからは必ず必要になるはずだが
まだ、その人たちの確保や人材の教育もできてはいない。

そう考えると
まだまだやらなければならないことは山積みなのだが、
こればかりは試行錯誤でも
やっていかざるを得ないだろう。



2004.4.22

先週の日経新聞の記事で
ちょっと気になる特集が組まれていて
考えさせられた。

「ゲーム・アニメ・・・」
   「揺らぐ大国」

という三日間にわたって掲載された特集だ。

第一回が「プロデューサー不在」「作品流通、米国勢が主役」
第二回が「人づくり「暇がない」」「製作技術、迫る韓国勢」
第三回が「かみ合わぬ振興策」「「産政一体」実効性カギ」
という内容だ。

ごくごく簡単にまとめれば
これまで、あるいはかろうじて?今のところ?世界的にみて?
ビジネスとしても技術としてもそれを行う人材としても
日本が世界をリードしてきた、と言われているゲーム・アニメ業界が
果たして磐石なのだろうか、という問いを提起している。




2004.4.23

「日本の普通の製造業」の競争力が
一時のトップから
だいぶ下(一時は30位くらいだったっけ)
のほうになってしまったと評価される
いまになっても
世界の産業を実際のところリードしているのは
日本の製造業だと
世界も日本も納得していると思うのだが

最近はそれに続いて世界をリードしているのは
日本のアニメ・ゲームの業界だったといわれていて

業界の人も行政や国の産業政策を受け持つ人も
大体、そんな感覚で捉えていたのだが



2004.4.24

ここにきて
アニメ・ゲームを
ビジネスにふかめていく作業にしても
アニメやゲームを生み出す技術にしても
それを担う人材にしても
あるいはそれに関連する「政治や政策」の部分にしても
欧米や韓国あたりに比べて立ち遅れが目立つ、というのだ。

たぶんこれはアニメとかゲームに限らず
漫画の世界やあるいは映画においても
同じような問題が出てきていると思われる。



2004.4.25

たしかにここ数十年
アニメとか漫画などは
業界と呼べるような規模やビジネスの様相を
持っていなかったのだが

ここほんの数年は、
ゲームコンテンツメーカーが
おもしろいゲームコンテンツを作り出して
それを世界中に販売するビジネスが
巨大になっていく時期と重なるようにして

アニメとか漫画がそれに引っ張られるように
ビジネスとして存在感を持ち始めた。



2004.4.26

ゲームコンテンツビジネスが巨大になっていった陰には
ゲーム機の製造メーカーが日本国内に集中していたことも
関係していたのだろうが
それはともかく、
結果的にはアニメとかゲームとか漫画が
思ってもいなかったような「ビジネスの大きさ」を示しはじめた。

前述の新聞上では
あるアニメビジネス企業の人が
「もともとアニメ業界は産業でもなく個人商店の色彩が強い」と
と言っているが
それにしても結果的にはそれなりのビジネス全体の大きさを
持ち始めたことは間違いのない事実だろう。

日本の製造業が
中小零細企業によって支えられているのは事実だが
だからといって日本の製造業が産業ではない、とは
とても言えないからだ。



2004.4.27

第一回の「プロデューサー不在」「作品流通、米国勢が主役」

について考えればこれはまったくその通りだろう。

せっかく日本のアニメ業界が質の高いアニメを生み出しても
それを世界に高く売っていく、いわば
ものづくりではなくそれをビジネスにしていく
ビジネスパースンやプロデューサーが存在しない、というのだ。

アメリカを中心としたプロデューサー企業は
そこに目をつけすでに巨大な利益と成長を
生み出しているという。

最近日本のホラー映画の内容をアメリカの映画業界が
安く買ってリメイクしアメリカや世界中で配信して
利益を上げている、というのも同じような話だ。



2004.4.28

そういえば
5年ほど前になるが
当時アメリカに住んでいた若い日本人女性が
日本に一時帰国したときにアニメ業界とビジネスについて
話をする機会があったことを思いだす。

当時彼女はすでに日本の漫画やアニメが
アメリカで非常に高い評価を得ていて
日本から優れたコンテンツを発掘してアメリカに持ち込めば
巨大な利益を得ることができるだろうと「予言」していた。



2004.4.29

当然日本国内では彼女の「先見性」を見てとって
「投資」や「協力」がしようなどというお金持ちや銀行は
いなかったから彼女のビジネスプロポーザルを
後押しすることなどできなかったわけだし
その後その計画がどうなったかは
その後会う機会がないから知ることもできない。
しかし、もし、という言葉が許されるならば
それなりの成功をおさめることができたかもしれないし
ひょっとしたらすでに成功を収めているのではないかと
今でも思う。



2004.4.30

そういえばちょっと異なるビジネスではあるが
東京の秋葉原にいけば
漫画やアニメを流通させるビジネスがここ数年で
ちょっとしたビジネスに育っていることは
知っている人なら知っている話だ。

普通ならそんなものはビジネスに
ならないだろうと思われるような
たとえば「同人漫画雑誌」の流通ビジネスだけで
大手企業が業界参入するに値するだけの
売り上げを一社で達成してしまう位になっているのだ。

「ウラハラ系」といわれる原宿のワカモノ向けファッションが
台湾中国韓国などアジアから格好良いと評価され
質の高い縫製技術に裏打ちされて
ビジネスとして伸びているのと
まったく同じ構図だと思う。

----------------------------

連休中は「今日のコラム」はお休みです。



INDUSTRYWEB HOMEへ戻る / 今日のコラムに戻る/ バックナンバーに戻る