今日のコラム・バックナンバー(2004年 1 月分)


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掲載は日付順になっています。


2004.1.5


あけましておめでとうございます。
今年もインダストリーウェブをよろしくお願いいたします。

さて、
休みの間にまたまたショックな話しが聞こえてきた。

アメリカの火星探査機が着陸に成功したというのだ。
休み前に
「目標を掲げて進めているはずのプロジェクトが
うまくいかないで失敗している例が急速に増えているのではないか」
と書いたのだが
日本がそんなもんもんとした中にいるのに
アメリカは昨年のシャトルの悲劇があったにせよ
着々と成果を出している、ように見える。

経済政策においても不況を乗り越え、景気回復に成功したように見える。

実際のところの景気の回復はいろんな要素が絡んでいるのだろうから
なんとも言えないと思うのだが
すくなくとも火星に探査機が降りたことは間違いなく「成功」している。



2004.1.6

アメリカだって
いろいろな失敗は当然ながら繰り返してきたはずなのだから
日本だって何度も失敗はあっても良いと思うのだが
心配なのは
失敗から学んでいるのかどうか、ということなのだ。

問題は失敗が起きることではなく
失敗から学ばないこと、あるいは
学べない体質や仕組み、に日本がなっていることなのではないか。

最近話題の「紐付き補助金」の話しにしても
日本中のいたるところに
はこものの公共施設を造ったはいいが
どうみても公共に役立たないことが見えていても
途中でとめることもできないし
そんな同じような失敗や問題を何度も繰り返している。



2004.1.7

あるいは
表面だけはなんとか成功したように見えても
本来の目的が達せられないままで
形だけのプロジェクトや試みの成功はあっても
本当に成功したとは言えないような
プロジェクトが増えているんじゃないだろうか
という気がする。

形だけなんとかごまかして成功させたように糊塗しても
実際は本来の目的が達せられないことのほうが
もしかしたら最近の日本では多いのではないかとも思う。

そして、もしかしたら事態はさらに深刻で

いよいよ形や表層でさえ失敗してしまうような事態に
陥ってしまいはじめているのではないか。



2004.1.8

プロジェクトが成功したのではなく
なんとかプロジェクトの外見だけ成功したように見せていたのが
最近は形さえも失敗し始める事態となったと言ってもいいのかもしれない。

もともとその本質的なところで
失敗する要因をかかえひきづったままで
プロジェクトがスタートしているのだから、
外見だけプロジェクトを成功させたように見えても
本来の目標が定まっていないところでやってきたから
いざ失敗すると
プロジェクト全体の意味や目的から
見直しをしなければならないはめになる。
最悪の場合見直すことさえしない場合もある。

ビジョンなきプロジェクトは
だいたいそんな処に落ち着く。



2004.1.9

そんな状況が象徴的に起きたのが宇宙開発の失敗だと思う。

宇宙と名がつくからなにか高尚なことをやっているように思えるし
思いたい気持ちもあるのだが
はっきり言ってしまえば
宇宙開発といえども公共事業の範囲を出ていない。

そんな状態だから
国際的な技術レベルに遅れをとってはならない、
とかの議論も出てくる。




2004.1.10

国際貢献ができないと
日本は世界から取り残されるとか
いうまるで最近のイラク支援の話しと似たような議論になる。

しごくまっとうな話しをしているように思えるのだが
冷静になって考えると

国際的な技術レベルに遅れをとってはならない
という論理の展開が
どれほど無意味な議論かは
冷静になって考えればすぐわかる。




2004.1.11

ロケットの打ち上げや人工衛星の運用は
それを実現することは
たしかに高度な技術が必要になるが
けしてそれだけで成功するわけではない。

技術は様々な要素や資源、それらを組み合わせて
目標にむけてマネジメントしていく
高度なプロジェクトを進めていく
「やり方」「仕組み」「方法論」ができてはじめて可能になる。

「国際的な技術レベルに遅れをとってはならない」
という一見崇高な「目的」や「使命」「ビジョン」だけで実現できるほど
ことは簡単ではない。




2004.1.12

実用的なロケット打ち上げのノウハウを
蓄積していくことは
ロケット打ち上げのビジネス化にとって極めて重要な問題となる。

トヨタの自動車が
さまざまな指標で世界から評価されているレベルまで
ロケットの生産も高度なものにしていかなければならないはずで
それは
国際的な技術レベルに遅れ云々どころのレベルで
語っていてはもともとおかしいのだ。

国際的な技術レベルに遅れてはならない、などという
一見もっともな目標を
掲げていること自体が
すでに「国際的に遅れている」と言って良い。




2004.1.13

もっと言ってみれば
ロケット開発や現在行われているプロジェクトの多くを
根本の部分から考え直してみるか
最初から疑ってかかるくらいの気持ちが必要かもしれない。

不況の長期化とロケットの打ち上げ失敗の因果関係には
実は
その「国際的に遅れている」シンドロームが
関係してはいないのか。

あまりの長期の不況と自信喪失に
欧米やアジア中国に遅れを取るまいとして
焦りのあまり
本来の目的やあるべき姿をきちんと基軸に据えずに
焦りだけで先に進もうとしている。
それはもうプロジェクトマネジメントとか
言えるようなしろものではない。




2004.1.14

言葉を変えて言ってみれば
国際的な技術レベルに遅れをとってはならない、とかは
目標として通用する「言葉」ではない。

ここはもう一度
なぜ日の丸ロケットを飛ばすのか
日の丸人工衛星を打ち上げるのか、を
根本から考える必要がある。

これはロケットの話しに限らない。
公共事業も同じような話しだ。
公共事業もロケットも
この国のなかで行われている
すべてのことがらを
もう一度その根の部分を疑ってかかる位が必要なのだと思う。



2004.1.15

ことの次第を冷静になって見極めることができないというか
ある意味では良い意味でも悪い意味でも「懲りない」というか
残念ながら日本はそんなことを繰り返してきた。

これは社会の上でも産業全体においても言えるのではないか。

目の先の景気は良くなってきているというのだが
本当にそうなのか。落とし穴がありはしないか。
で、それは自分自身で掘った落とし穴のような気がする。

その気になってみれば落とし穴がそこにあることは見えるはずなのだが
みんなで落ちれば恐くないとばかり
落とし穴にむかって進んでいこうとする。
今はそんな状況かもしれない。



2004.1.16

アメリカが再び宇宙開発に本腰を入れると宣言した。

現行のスペースシャトルはあと数年で退役させ
新たな宇宙開発用の機体を開発するのだという。
近い将来には
再び月に人類を送るとも言い出した。

過去に成功させてきた事柄であるにしても
プロジェクトを成功させることは
一筋縄でいかないことはひゃくも承知だろう。

しかし、方法論を学んでいる彼らのことだから
失敗することからさえも学んで前に進むことを
すでに折り込んでいるに違いない。

悔しいが、どこかの国の公共事業のような宇宙開発とは違う
凄みと合理性を感じざるを得ない。



2004.1.17

合理性と言えば
ロケットなどの機体の開発コストを
信頼性を下げずにいかに下げるか、を彼らは
「実現させるための方法論」から構築し、
結局、できるだけ一から専用部品を開発することをさけ
ありきたりの市販部品を採用することを選んだ。

回路の製作に使う電気電子部品を
例えば日本から購入するために
該当するパーツを製作している日本の企業を徹底的に調べ上げ
専用に一から開発していくようなやり方ではなく
日本の優れた生産技術、品質技術から生れた
通常の製品を利用することによって
コストを劇的に下げることを成功させた、と聞いた。

日本はどんなやり方を考えているのだろうか。
もしかしたら正反対のことをやろうとしているかもしれない。



2004.1.18

年末年始の商戦で
今年は薄型テレビが話題になっていたが
たしかに最近は
大型で、なおかつ薄いプラズマや液晶などのテレビが
店頭でも見られるようになったし
すでに当たり前の商財になってきたようにも思える。

平面ブラウン管のテレビが一時、にぎわったころから
まだそんなに時日を経ていないのに
一気に製造方法や原理そのものが異なるテレビ
、、同じ「テレビ」なのだが、、、
が当たり前になってくるとは
産業や商売の状況が
いかに簡単に変化するかを見せられているようで
薄型テレビの台頭も
よく考えるとなかなか深く考えさせられる出来事なのである。



2004.1.19

ついでに考えてみると
薄型テレビだの
あるいは
最近の家電製品全般だのも
デジタル化やネットワーク化が進んできて
一時、大手家電メーカーが
騒いでいた
「デジタル家電」という言葉が
にわかに現実味を帯びてきた。

テレビなどはその先端を進んでいるということになるのだろう。

この状況が今後進んでいくと
「デジタル家電」がちょっとした産業の
牽引力にまで高まっていく、という
産業界の希望的観測があるが
一時の「ITバブル」の経験則から考えると
ないこともないだろうな、と思えてくる。




2004.1.20

すでに「デジタル家電」のデバイスや
「薄型テレビ」のデバイスや
その生産のための生産設備が
業界では繁忙を極めているから
ミニバブル?とも言えないこともない。

20年近く前のバブルの繁栄から崩壊で
ある事柄が繁忙を極め、
でも期待値が膨らみ過ぎた後には
いずれどこかではじけ苦しむ経験をした。

どんなことも必ずどこかで
「一杯いっぱいになる時がやってくる」ことを
学んだから
ちょっと良いことがあるとその名詞の後ろには
「バブル」という言葉が付くようになってしまった。



2004.1.21

まあ、バブル以前も
期待が上がり過ぎてどこかで破綻する経験は
少なくとも経済のうえで
何度も経験してきていることであって

好況不況の繰り返しなんかは
もともと小さなバブルとその崩壊の繰り返しであったはずだ。

問題は今度のデジタル家電や薄型テレビなどが
大きなあるいは小さなバブルに
なっていくかどうか、ということなのだが
筆者は最近まで
小さなものにとどまるだろうと思っていたのだが
最近はちょっと異なる印象を持ち始めている。

もしかしたらちょっとは長めに続く
大型景気になる可能性がないでもない。




2004.1.22

其の前に
ちょっと前の「ITバブル」が
いったいどんなものだったのかを
振り返ってみる。

「ITバブル」とその崩壊?からは
まだほんの数年しかたっていないのだが
実際どんなものだったのかは
あまり研究もされていないだろうし
すっかり忘れさられていて
あまり覚えてもいないような気がするからだ。

「ITバブル」は
1960〜70年代のシリコンデバイスの開発と
それに続く1980年代のパソコンの普及と
1990年代のインターネットの爆発的普及の
流れのなかでそのとりあえずの
最終ゴールや集大成とも言える時期に起きた。




2004.1.23

「とりあえず」というのは
今でもITは社会や産業のかなで
進化し発展している途上のものであるからで
けして終わってしまったものではないからだ。

このいくつかの局面のなかで
「ITバブル」を直接演出したものは
インターネットの登場だったことは
多分間違いない。

それまでのデバイスの開発や
パソコンの普及が
比較的個々の企業や趣味的な個人にとどまっていたものが
インターネットの普及時には
「普通の人々」にまで
パソコンやインターネットによる
コンテンツやビジネスモデルが行き渡ることになった。



2004.1.24

コンテンツやビジネスモデルとしては
一番先行的なモデルの電子商取引などというものも
にわかに登場してきて
これなどは
パソコンやインターネットそのものの
直接的なビジネスではなく
これまでの普通の商売を含むいろんな実際のビジネスが
パソコンとインターネットの上に持ち込まれてくるだろう
、ということになったから
ビジネスの大きさや可能性を考えれば
大きな期待を持たざるを得ない状況にはなった。



2004.1.25

まあ、実際、
そうそう簡単に一本調子でビジネスや商売が
拡大していくとも思われないのだが
でも確実にそんな世界は広がりはじめるだろう、
という期待もあって

パソコンやデジタル家電(の初期のもの)とか
インターネット関連のデバイスや製品が普及し
メーカーが繁忙を極める始めるのと同時に
コンテンツやサービスや新しいビジネスモデルを生み出す
ベンチャー企業がIPOを目指し、なかには
本当にIPOを実現してにわか大金持が出現するに及んで
「ITバブル」は頂点に達した。



2004.1.26

でも当たり前のことだが
いずれ必ず期待値と実際の差は
拡大してきて
熱にうなされていた人々も
少し冷静になるに従い
還流したり動き回っていた
お金も資本も機材も商財も設備もその動きをとめ
2001年ころには早くもバブル崩壊、となったわけだ。

でも
情報化・IT化の方向は
今後も進んでいくことは間違いなく
「ITバブル」とその崩壊はあったとしても
これで情報化・IT化の進展そのものが
ストップしたわけではない




2004.1.27

新しいデバイスの生産や
機器の開発と製造は
今後ますます進んでいくだろうし
コンテンツやサービスや
あるいは電子商取引といったものは
むしろますます加速していくだろう。

昨今のテレビ通販やインターネット販売の
隆盛をみていれば
きっとテレビやパソコンの利用方法も
まだまだこれからだろうなと思わせてくれる。

携帯電話を使ったコンテンツやサービスや
電子商取引なんかも
これからますます広がっていくだろう。

なかには
アッと驚くようなビジネスの登場もあるに違いない。



2004.1.28

むしろ前回の「ITバブル」とその崩壊が
まだまだ初期のものだったと言えるわけで
今後もっと進化し、もしかしたらもっと
大掛かりになったものにもなっていくだろう。

そしてそれはなんども繰り返され
いつまでたっても際限なく繰り返されるはずだ。

問題はそんな進化がどこまでダイナミックに
繰り返されるか、という見通しと
それがどれほどの大きさをもっているかということなのだが、

薄型テレビやデジタル家電の開発は
まだまだ始まったばかりであり
低価格化とそれに比例した大型化の課題は
ここしばらくは続くだろう。



2004.1.29

最近のように
テレビだけでなく
周辺の機器、ゲーム機やDVDレコーダーのようなものや
あるいはそこにつながっていくだろうインターネットの
環境などを考えれば
まだまだビジネスとしての可能性は
これから大きく広がるのだろうと思われる。

デジタル家電を考えれば
テレビの周辺だけではなく
さまざまなもののデジタル化も
起きてくるだろう。

コンテンツやサービス、そして電子商取引などの
広がりも大きい
例えばテレビ通販などはそう遠くないうちに
新しい形で茶の間に顔を見せることになるだろう。



2004.1.30

当然、小さな、あるいは期待値によっては
大きなバブルの発生とその崩壊はあると思うが
全体としては大きくなっていくだろう。

ちなみにここしばらくのうちに
テレビ通販で有名になった企業などは
そう遠くないうちに自らがブランド化する可能性や
家電メーカーと茶の間を「双方向」につなぐ
最大級のポータル番組になる可能性は大である。



2004.1.31

郊外型家電商社も逆に攻勢を強めるだろう。
テレビ通販をばかに出来ない時代だから
自ら参入しリアルと通販を融合させていく方向を
模索するだろう。

さて、デジタル家電の産業としての大きさも
そう考えてくれば
デバイスや製品などのものだけでなく
コンテンツやサービス、産業全体への影響も
巨大なものとなると思わざるを得ない。


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