今日のコラム・バックナンバー(2002年 9 月分)


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掲載は日付順になっています。


2002.9.1

そしてまた、
どこかの電力会社が
原子力発電所のトラブルを
報告せずにいた、という問題が
明らかになって騒ぎになっている。

トップは、知らなかった、と言っているが
知らなかったら知らなかったで
それはまた問題をはらんでいるし

管轄の省庁も
事件の存在がわかってから2年も
外部に明らかにしなかったのだから
問題の根と奥は深い

いったいいつまでこんなことが続くのだろう。




2002.9.2

少なくとも
20世紀の世界にとって
「近代産業や企業」の登場は
画期的なことであったし
20世紀の牽引力にもなった。

封建時代から近代資本主義社会への転換には
企業や資本の存在は重要な役割をになったことは
間違いないことだし、
これを過小評価してはならない。

だがこの20世紀と21世紀をはさんで
その時代の牽引力ともなった
企業や近代の産業を支える仕組みのなかに
起きてきた無様とも言える有様はいったいなんなのだ。





2002.9.3

だいぶ以前にここでも書いた覚えがあるが
こういう最近の日本の企業の迷走状態を
見るにつけ思いを巡らすことがある。

幕末から明治にかけて
たぶんは近代日本の礎を築いた
三菱と

戦後の日本の再建を
自らの企業の存在意義にも託した
東京通信工業、現在のソニー、

この二つの企業のことだ。



2002.9.4

井深さん、盛田さんによって設立され
「愉快なる理想工場の実現」にむけて
歩みを進めたソニー、

岩崎弥太郎によって生まれ
岩崎小弥太によって世界に誇るべき
近代的な商社として発展し
20世紀をになった三菱

これほど優れた、
世界に誇るべきビジョナリーカンパニーが
日本に生まれていた事実を思うとき

それに続くこの数十年で
いったい何が起き、変容したのかと
思いをふかめざるを得ない。



2002.9.5

幕末から明治維新に生まれた多くの志士たちや
戦後の荒廃した経済と社会を
再び立ち上がらせるために
奮闘してきた先輩たちや

苦労を重ね、血を流し、時には命までかけて
近代の扉を押し広げ、新しい日本をスタートさせ
近代の夜明けを創りあげてきた
多く先輩たちに

我々は胸をはって
報告できるような中にいるのだろうか。

青い、情緒的な話だと一笑にふすことも簡単だろうが
ここは静かに思いを巡らせてみることも
必要なのではないかと強く思う。



2002.9.6

国の財政は破綻に近いし
自治体の財政も破綻に近い。

日本の公債残高の対国内総生産比率は
1941年の第二次世界大戦前の状態にまで
達しているんだそうだし、

日銀の度重なる量的緩和の結果
資金供給の対国内総生産比率も
大戦前のレベルに達しているのだそうだ。

そして、株価は
いまから20年ほど前の水準まで下落してしまった。




2002.9.7

この十年の間に
行われた様々な施策は
けっして無駄ではなかったと思いたいのだけれど
実際、ここまで経済が破綻の一歩手前まで来てしまうと
いったいいままでやってきたことは
なんだったのか、空しさと一緒に
為政者への不信感ももたげてくる。

そういえば、最近の国政や地方の選挙でも
既成政党があまり支持を得られていないように思えるが、
そんなことも原因になっているんだろうと思う。




2002.9.8

いっとき言われた「改革には痛みが伴う」というコトバも
最近はあまり聞かれなくなった。

痛みを伴っても改革するべきだと
その時の多くの国民は支持したのだが
そのわりには改革は成果を見せず
むしろ大手企業や官による癒着の構造など
ばかりが見えてくるだけで

いいかげんにそんな状況に嫌気をさした国民が
既製の政治や為政者に支持を表さなくなったとしても
なんら不思議ではない。





2002.9.9

ところで国政にしても地方自治にしても

一応は
その時々の政治や経済のもっていく先や舵取りを
時の為政者に
国民なり県民なり市民なりは託している。

託された人は
任された以上、懸命になって
政治や経済や社会全般の舵をとらなければならないのは
当然なのだが
最近の国政や県政をみていると
そうは簡単にはことは運ばない、というのが
最近の国政や長野県の県政などの様子を見ていると
見えてきて
変わっていくのはなかなか大変なことだな、と
いまさらながら思わずにいられない。




2002.9.10

小泉さんにしても田中さんにしても
「改革」をうたっているわけだけれど
でもその改革に逆らって
いままでの仕組みややり方でやっていくことに
なぜか固執しているひとが多くて

そういう人達のことを「抵抗勢力」、というわけだけれど

そういう人達や勢力が影にひなたに
足を引っ張ろうとするわけだから
これはなかなか大変なことではある。

「なぜか固執しているひとが多い」と書いたけれど
そりゃあ、いろんな既得権や利益が複雑に絡んでいるからで
そうそう簡単には「変えること」に首は振らない。




2002.9.11

で、もっと大変だなあ、と思うのは
結局改革がうまく行かなかったり
進行具合が思うようでなかったりすると
ヤッパリだめだとか
力不足だった、とか
いろいろ言われてしまうことで、
多くの場合は
しっかり叩かれ凹まされてしまうことが多い。

足を引っ張ろうとしていた人たちにとっては
ここ幸いとばかりに
ますます足を引っ張るどころか
再び改革が芽を吹き出さぬように
徹底的に叩こうとするだろう。
最近はやりのことばでは
「夜明け前に戻そうとする」といっても良い。



2002.9.12

こういう時代になってくると
そういう「失敗に対する容赦のない仕打ち」
のほうが最初に対立や問題が明確になった時より
むしろ問題が多い。
抵抗勢力のなかだけでなく
当初身内だった人のなかにまで
抵抗勢力の側に立つ人も出てきたりして

そう言えば幕末維新の話を読んでみても
改革勢力と抵抗勢力との間で
すったもんだをやり取りするなかで
むしろ矛盾や問題は深まっていくし、
状況によっては
先へ進むどころか退歩し問題はより深刻になって
しまうことのほうが多いように思う。



2002.9.13

景気が低迷したり
世の中賀騒然としてきたこの10数年で
改革をうたったり
変化を主張する人達が国政に出てくるようになった。

いままででもいなかったわけじゃないけれど
いよいよそういう勢力が実際に実権を握ったり
政治勢力になったり為政者になったりするのが
ここ10年ばかり、
特にはこの二年くらいで本当に増えてきた。



2002.9.14

で、こう人達や勢力が主張して行っていることが
評価されながら進行したりしたことって
考えてみると皆無に近いような気がする。

やっぱり時代が混乱してくると
改革しようとする勢力と抵抗する勢力とがあって
いくら国民や県民、市民が改革しようとする選択をしても
結果はともかく、
過程はなかなか評価されてこなかった。

たしかに過程のなかで
矛盾はますます深まっていく。



2002.9.15

日曜日の朝のテレビ番組を見ていたら
竹中さんが出てきて
一緒に出ていた何人もの評論家から
その経済政策をボロクソに批判されていた。

学者ではだめだとか
早くやめるのも国民のためだ、とか言われて
さすがにむっとしていたが

たしかに政策は提示しても
実績でいったら結果は出ていない。
批判されてもしょうがないとも思えるが、、、。




2002.9.16

でも、考えてみると
実際に経済の実権を握っているところは
もっとほかにあったりいたりするわけで
一人竹中さんを責めるのも
どうかと思う。

むしろ
竹中さんが政策を打ち出せば打ち出すほど
あるいは構造改革を進めようとすればするほど
実際に手段を担っている人は組織は
ますます足を引っ張ろうとするだろう。

そういう点で
改革を進展させようとすればするほど
矛盾や対立は深まっていく、ということは言えると思う。




2002.9.17

一時は国民あげて
構造改革に取りくもうという動きが
見えていたのに
最近はどうもしめりがちだが、
それは政策に問題がある、とか
改革への意識が薄れてきた、というよりは
対立の構造や矛盾が深まっていると考えたほうが良い。

このあたりはやはり複雑な様相を示していくのだろう。
簡単にはものごとは進んでいかないし
三歩前進三歩後退、みたいなことになっていくんだろう。

状況によっては
三歩前進四歩後退みたいなことも起きる場合もあって
今なんかはまさにそんなところなのかもしれない。




2002.9.18

ここしばらくは様々な試行が続くだろうと思う。
それはそれで良いと思う。

問題はそういう試行の先に
少なくとも
国や町がいかなる方向へ進んでいるのか、進むべきか、
どんな日本や町になるのか、
どんなビジョンに向かっていこうとするのか、
を国民の前に提起することだろう。
もちろん
単一のスタンダードな価値観があるわけではない。
国民がみんな同じ価値観など持つわけもないし
もし持つとすればそれは恐いことだ。

でも、提起されたビジョンにたいして
国民が真面目に考えること、は
たぶん行われなければならないことだと思う。




2002.9.19

それにしても
昔はどうだったのかは知らないが、
少なくとも今の日本の仕組みは
なぜこうも「目的意識」が持てないのだろうと
不思議でならない。

コトバを変えれば「戦略がない国」というか
あるいは
「目的と手段を取り違えてしまう国」
あるいは
「絵の話をせずに額縁の吟味をしてしまう国」
とでも言おうか、、。

「ことをおこす」のに
「何のために行うのか」を議論せず
「どうやって行うのか」の議論をはじめてしまう。




2002.9.20

酷い場合は
はじめにお金ありきで
助成金がついたからことを始めるとか
つかないから始めないとか、
そんな話がむちゃくちゃ多い、

たしかにことをおこすにはお金が必要であることは
間違いない。

でもお金がつかなかったら始められない、のではなく
目的のためにことはなぜおこすことが必要なのか、
それが絶対に必要なことであると考えるのなら
お金があるかどうかはスタートの絶対条件にはならない。
だったらお金をどうすれば都合し、
ことを始められるかを考えるのが筋というものだろう。



2002.9.21

すみません

今日のコラムは連休あけまでお休みです。




2002.9.25

あいかわらず
テレビとか新聞を見ると
アジアとか中国への生産シフトの話しが多い。

ちょっと前まで海外生産比率は
10%位のものだったが
たぶん最近の統計を取れば
30%位を超える勢いだろう。

だからと言って
海外へシフトした日本の大手企業は
むちゃくちゃ調子が良い!ということかと思ったら
どうもそうでもないらしい。

これはここ数ヶ月にテレビなどで放送された
中国経済の発展の様子などを見たり聞いたりしていると
ここまで存在感が希薄になってきているのかと
愕然となる。




2002.9.26

ちょっと前にNHKでやっていた番組では
日本の大手家電メーカーの中国工場で
中国向けの冷蔵庫をつくるにあたって

現地の中国資本の販売商社、、、それもまだ
できて数年という位の若い商社だけれど
年間に数百万台の冷蔵庫を
販売するくらい急成長した販売商社で、、

そこに、こんな冷蔵庫を作りました、と見せにいくわけだけれど
コストを下げるためにデザインを犠牲にした、
(、、とは言わないが結果的にはそういうこと)と言った瞬間に
それではだめだ、とその販売商社の中国人社長に
一刀両断にされてしまったところが
放送された。

結構衝撃的な場面だったからその後仲間内でも
話題になった。




2002.9.27

中国の商業資本に
日本の大手メーカーの現地責任者が
コストやデザインなどで
やり込められている
そんな、ちょっとまえには考えられないような
ことがいま起きている。

そういえばこれもちょっと前に
テレビで放送していたが
中国では日本の企業から外資に就職先を変更することも
最近は頻繁に起きているのだそうだ。

彼らのインタビューも流れていたが
中国においては
急速に日本の存在感が薄れてきている、、
というコメントがとても気になった。




2002.9.28

これは中国だけでなく
アジア全体や全世界との関係で
存在感が希薄になってきている、ということだろう。

まして
今の日本を見ていると
国際的な評価ももちろんだけれど

国内における存在感、というか
求心力や自信のようなものだって
正直言って
本当に薄れてきているように思える。

海外で存在感がない、といわれてしまうのは
日本人として凄く切ないことだし
やりきれなさまで感じるが、
国内の様々な組織や企業のテイタラクを見ていると
たしかにあまり立派な状況ではないことも
ますます気持ちを暗くさせる。




2002.9.29

昨日だったか
朝寝ぼけてテレビを見るともなく
「聞いていたら」中国の北京の北にあたる
「ちゅうかんそん」とう地域が
いわば中国の「シリコンバレー」を
目指していて急速に経済発展している、という紹介が
耳に飛び込んできた。

思わずテレビ画面に見入ったのだが
そこにはまるでシリコンバレーのような
華やかで活気があって広々とした
企業と人々の集積地域の様子がレポートされていて
こりゃあ、たしかにシリコンバレーだわい、と
思わされたのだが

実際、数字を聞けば
7000以上のベンチャー企業や
70以上の大学がその地域に集積しているのだという。





2002.9.30

数字だけで比べれば
日本にそれと同じような集積を示すところは
たぶん東京や大阪が近い。

でも同じような集積を示しているとはいっても
そこで始っている「できごと」は
だいぶ異なるだろう。

やる気と夢と自信と前向きな精神と
そんなもので覆われた中国の集積地域と

力を無くし、やる気も失せ、自信も無くし、
社会の必要とするものを
作る気力も無くしてしまったような
そんな日本の集積地域では

同じような規模の企業や人が集まっていても
そこから生み出されるものや価値の質と総量は
まったく異なっていくだろうことが容易に予想できて
愕然となる。




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