今日のコラム・バックナンバー(2002年 5 月分)


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掲載は日付順になっています。


2002.5.1

「買い物」という作業だけであれば
「購買作業」にかかっている実質的な時間は
あっと言う間に終わっているだろうし
最近なら
「買うこと」だけであれば通信販売でもこと足りる。

そう言えば
この前テレビを見ていたら
企業はみんながみんな「リストラ」で大合唱の時代なのに
ある東京近郊のスーパーマーケットでは
店員、それも正社員が多いのだというが
それまでの2倍の人数で商売を行っているのだという。
これで販売金額も2倍に増えたとか、、。

多様で付加価値の高い対応をするには
やはり人間が一番対応しやすいし
多様で付加価値の高い商売を生み出し易い、ということだろう。


なにはともあれ
お客さんに楽しんでもらう、喜んでもらう、と
いうことが重要なのは
クイズ番組でも御買い物でも同じことなのだろうと思う。




2002.5.2

景気が悪いと言われているわりには
ゴールデンウィークに入って
高速道路は渋滞だし、
観光地はおお賑わいだ。

だれでも自分の好きなことや興味のあることに
たいしてはお金も使うし出費もする。

休みの日だって昔に比べれば
だいぶ多くなった。

ものが売れない、売れるものがない、という前に
お客さんがなにを必要としているのか、何だったら
買う気になるのかを
真剣に考える努力をする、ということなんじゃないか。


というわけで
今日のコラムはゴールデンウィークはお休みです。
こんな時には世の中の興味がどんなところに
向かっているのか、を見てまわろうと思ってる。




2002.5.7

連休が終わった。
いつもであれば
秋田県で恒例の電気自動車レースがあって
夜を徹した長距離ドライブをして
仲間とともに参加するのだが
今年は8回目にして
はじめてレースへの参加を見送った。

思えば当初の参加から
7年以上がたとうとしている。

単なる趣味の延長ではなく
地域産業のアピールや地域産業の活性化に向けての
一つの試みとして電気自動車をテーマに参加してきた。

今でもその志や目指すべき方向はなんら変わるものではないが、
7年も活動を重ね、社会や産業の状況がかわるなかで
自分たちの状況も、なすべきことも、
変わってきた、ということでもある。





2002.5.8

本当にこの7年あまりの状況は変わってきたものだと思う。

いや、、、変ったというよりは、
より深刻度を増した、というほうが
あたっているかもしれない。

当初これほどまでに
日本経済の低迷と昏迷が継続するとは思わなかった、というのが
本当のところだ。

これはたぶん
大部分の日本人が実感していることなのではないか。

この10年弱の間に
為政者のバトンタッチも数えきれないほど行われたし
経済政策の実施も数えきれないほど行われた。

でも残念なことに
社会や産業やあるいは政治のうえでの
基本的なところでの変化はいまだに見られない。






2002.5.9

さすがに
これほどまでの閉塞感に長いこと漬けられてきた国民は
なんとかそろそろ
この状況を打破していかなくちゃいけないだろうと
思ったのだろう、昨年は政治の世界で大きな変化の兆しが
見られたようにも思えた。

しかし残念ながら
今にいたっても
本当に変った、とはケシテ言えない。

ここに書いているだけでも頭にくるほど
仮にも近代的な国家とか
先進国とか標榜している国家で
こんなことが行われていて良いのだろうか、と
思うような、ぶざまな出来事が相次いでいる。




2002.5.10

重要だと思うのは
これらの「ぶざまな出来事」は
それぞれがひとつひとつ別々の様相として起きている、
、のでは「ない」、、ということだと思う。

一見、それらは一人一人の起した問題や
出来事のように見えるのだが
実はそういうことがなんらかの
基本的な様相を基盤として連鎖して起きている、
あるいはたくさん起きているのだが
いままで日の目にさらされていなかっただけ、、
なのだということだ。




2002.5.11

であれば
こういうぶざまな出来事が
連鎖しておきたり
見えてきたりする状況が
なぜ起きてくるかを考えて
その根本から変えていかないと
問題の根は絶てない、ということに
気がつかなければいけないのだろう。

これはごくごく単純でわかりやすい話だと思うのだが

なぜか、こういう問題がたくさん起きると
あくまで問題を個別の問題として捉え、
根本的な解決に持っていこうとする動きは出てこない。




2002.5.12

これほど日本という国のなかで
それを動かしている仕組みそのものが
制度疲労を起こしているにもかかわらず
それを根本から変えていこうとする動きは
スピードも上がらず、動きも散漫だ。

今回の構造改革も
本来はその制度疲労を根本から
変えていこう、という動きであったはずなのだが
いつのまにかまた派閥間の争いや
「個々の問題解決風うやむや解消」、、、に
なっていこうとしている。




2002.5.13

いずれ、こういう
問題解決につながらない閉塞状況や
問題先送り、ではだめなのだ、
、ということがはっきりとしてきて
国民によって真の構造改革を
行っていくことになっていくのだと思うが、
いましばらくはこんなことの繰り返しが
続くのではないか、と最近は思っている。

江戸時代に山形藩の上杉鷹山の藩政改革だって
都合30年もかかってなしとげたのだから、、。

で、その上杉鷹山の藩政改革だけれど
以前ここでも書いた。

この上杉鷹山の藩政改革の現代の我々に送ってくる
基本的なメッセージは
新たな産業育成や既存産業の生産性をあげることなど
付加価値や価値創造による藩財政を豊かにしていく
地道な行動によってはじめて成し遂げられた、
ということなのだと思う。





2002.5.14

今の日本も
こういう基本的なメッセージや
ビジョンに基づいて
何をなすべきかを明確にしていくべきなのだろうと思う。

個々の問題の表面を修整したり
それを起した機関や人間を追込んでいったり
それをなくすための方法論をいろいろ考えて
「制度改革」を行うのではなく
(もちろん罰すべきことは罰すべきだし
  直すべきところは直すべきだが)

制度を改革するには
まずは正当なビジョンに基づいて行われるべきであって

硬直化し問題を起こしてばかりの社会システムの
制度疲労を直すにあたっても
いきあたりばったりではうまくいかないはずだ。




2002.5.15

で、残念ながら今にいたっても
日本の将来にむけて
基本的なメッセージやビジョンが発せられているかというと
残念ながらそうではない。

ベンチャー企業の育成や新たな産業育成、、という
話も国の一部から聞こえてはくるが
真剣になって訴えられているとも正直言って思えない。

一方、では
国民の毎日の現場、社会の中、あるいは産業のなかで
いったいどんなことが起きているのか。

実は、そういう中にこそ、特には産業のなか、ものづくりを含め
新しい富や豊かさや価値を生み出していくべき産業のなかに
実はそこにこそ新たな改革に向けた目はあるのだと筆者は思う。




2002.5.16

日本経済を牽引してきたといわれている金融や大手企業や
日本の社会を支えてきたと思っている官僚や為政者
、はいざしらず

少なくともものづくりを支え、
日本から世界に向けて様々な価値と豊かさを生み出しては送り出し
世界から評価を受けてきた日本の多くの中小企業や産業のなかに
今、その息吹は生まれているのだと筆者は思う。

こんな時代だからこそ
自らの存在の価値や評価や手応えを求めて
日々奮闘している多くの中小企業者や
ものづくりに携わる真摯な技術者たちのなかに
実はその「次の目」は生まれてきているし
見えても来ているのだと思う。



2002.5.17

ただ、
その変化を表す「目」がいったい何なのか
実はまだ自分達自身が気がついていないかもしれない。

それぞれの「現場」では
そういう「目」や「変化の息吹」や
「時代を先駆けた未来の徴候」は
まだ明らかになってはいないことのほうが多い。

下手をすると
今の状況のなかでは
むしろいままでの企業活動や
いままでの企業の成功体験の延長からは
否定されるべきものとして
見られていることのほうが多いかもしれない。



2002.5.18

例えば具体的に今
ものづくりや産業の現場や技術者のまわりや
中小企業のなかや外で起きていることに
冷静に目を向けてみると

いままでつながることのなかった人や企業との
ネットワークを積極的に個人のレベルから
構築しようとしていたり
自分の技術者としての手応えを
企業の外に求めはじめていたりする。

大手企業の中やあるいは退職した人々にも
同じようなことは起きはじめている。



2002.5.19

ほかにも
仲間の企業や技術者と連携したり結びついたり
企業内の技術者や
企業に深く結びついた経営者や技術者でありながら
自立・自律を目指していたり

あるいは
地域の産業との広範な連携を目指していたり
あるいは子供たちの教育や
あるいは大人の技術者としての教育を
仕事や生きがいと結び合わせて考えはじめていたり
地域社会の構築と仕事を結び付けて考えはじめていたり、、

あるいは企業社会の枠を軽々と飛び越え
いままで考えてもいなかったような
仲間との連携を模索している人々も生まれている。




2002.5.20

様々な生きかたの方向、生活の方向
学び方の方向、仕事の仕方の方向が
試されはじめているように思う。

前にも書いたように
いままでのような産業社会・企業社会のなかでは
そういった生き方や仕事のやり方や
仲間や人との「つながり方」を
模索することそのものが
否定すべきものとして
捉えられていたりしたこともあったけれど
最近は
否定すべきものでもなんでもなく
その部分こそ
真面目に考えていかなくてはならないことなのだと
誰もが考えるようになってはきている。




2002.5.21

それは同時に
次の時代に向けた「変化の息吹」そのものだろうし
次の時代の「目」でもある。
これをくぐっていかなかったら次に時代は見えてもこないし
やってもこない。

そしてそれは同時に
「時代を先駆けた未来の徴候」
でもある。

たぶん、否定されているような徴候のなかにこそ
次の時代に向けた「準備」が整いはじめているのだとも思える。

矛盾や悩みや様々な模索そのものは
そういう変化のなかでこそ生まれてくるものだし
それがあってはじめて次のステップに
進めるのだ、と思う。




2002.5.22

大事なのはこれを
日本の将来にむけての
基本的なメッセージやビジョンに
していかなくてはならないという点なのだと思う。。

メッセージやビジョンは
いままでおきてきた様々な過去の事象や
人々の日ごろの生活やそのなかでの悩みや
そういうものとまったく別の次元で
できていく、生まれていく
構築されていく、、というわけではない。

先に書いたような
様々な「目」や「息吹」や
「時代を先駆けた未来の徴候」のなかから
日本の将来にむけて
基本的なメッセージやビジョンを
人為的に、目的意識的に、
発掘し形づくっていかなければならないはずだ。





2002.5.23

ついでに言えば、、、
次の時代の「目」や「息吹」や
「時代を先駆けた未来の徴候」が
そっくりそのまま時代を反映している場合もあるが
そうじゃない場合も多い。
「生」な出来事や未消化な出来事である場合もある。

それを消化し
なにがことの本質なのかを
それらの出来事から抽出して
優れたメッセージやビジョンにまで
昇華させていくことこそ
為政者の役目だと思う。

その部分が決定的に不足していることが
この国の現状が抱えている悲劇でもあるのだが、
いずれきっと
いまは見えていないなかから
優れたリーダーが生まれてくるにちがいない。




2002.5.24

ところでリーダーという話では
先先週日曜日にNHKスペシャルで放送した
「変革の世紀情報革命が組織を変える」は
おもしろかった。
今週の月曜日の深夜にも
再放送があったから
見た人も多いと思う。

筆者も仲間や友人に
おもしろかったね、と話したところ
やはり道番組を見ていた友人も多く
同様の感想を持った友人も多かった。




2002.5.25

番組の基本とするところは

これからは
従来のピラミッド型の組織構造から
ネットワーク型自律分散型組織へ変わっていく。

20世紀の生産、規格大量生産、を
支えていたような、、というか
支えていた旧来の企業や組織の仕組み、
から
情報ネットワークによって情報が共有され
顧客との接点である現場が重視され、
フラットでそれぞれの持ち場が自立的に動いていく仕組み、
、、になっていく。

時代が要求するスピードや柔軟性や
顧客や現場が必要とする細かな対応
に応えていくためにそういう組織構造の変容が求められ、
そして進んでいる、、。

というものだった。




2002.5.26

そういうなかでは
現場の人間は自分で判断することができるし必要である反面
ひとり一人がリーダーのようになって
その判断や出力ができる能力が必要になっていくし

中間管理職も
単なる情報の伝達をする仕事から
現場をささえ、助けることができるようにならないといいけない、という。

もちろんリーダーさえも
旧来のリーダー像とは異なるリーダー像を
構築していくことが求められる。




2002.5.27

番組では
アメリカ陸軍の組織改革や
フォードモータースの組織改革などを
例にあげながら

これからの時代、
情報ネットワークが発達し
高度に科学技術が発展していく時代
個々の人間が自律していく時代に
どんな組織が必要となり、
また、組織ができていくのか、
大胆で、興味深く、でもそれなりに説得力のある
主張や仮説が説かれていて
なかなかおもしろい番組になっていた。

番組の最後のほうではそれらの結論として
これからの企業や組織がどのような形態になるのかを
予想した組織の形態の仮説まで紹介されていた。




2002.5.28

また、軍隊やフォードモータース以外でも
先端的な組織の形態を示して運営されている
ある「オーケストラ」を紹介したり
(これはごく最近出版されたビジネス関連の
単行本にも紹介されていたことがある)
アメリカのある開発型企業が
有りうべき未来の組織の姿を
今、見事に実現しているのだと紹介されていた。

どちらも
「中央集権」的組織管理システムで動いているのではなく
自分たちのなかに生まれたテーマに従って
妥当性のあるリーダーが自律的に組織を
組み上げ動かしていく。





2002.5.29

特に後者の開発型の企業においては
情報技術によって
部内に限らず横断的に企業の様々な部所から
様々な情報や知識が寄せられ
プロジェクトが非常に素早いスピードで
進行・進化していったり、
またそのなかで新たに生まれた「開発要件」にたいしても
素早く任意の社内開発グループが機動的に結成され
テーマごとに素早く
プロジェクトが立ち上がり進められていく形態、、
といったいままでにない新たな組織の形態が模索され
すでに実行されていることが紹介されていた。。




2002.5.30

ただ、未来においては
ネットワーク型や自律分散型の組織が優位になるから
この形態が組織には必要になっていくはずだといっても
自律分散の一面だけを強調するだけでは
理解されていかないと思う。

たしかに上意下達の「ピラミッド」型は
これからの組織のありかたではないにしても
たぶんその中心には
共有された「ビジョン」や「価値観」、
あるいは「ドメイン」や「企業の設立趣意」が
必要になっていくはずで
それを持たずに、ただ「自律分散」した組織など
迷走するどこかの国の政治や、
表面的な企業利益をあげるために
うその上にうそを重ねるどこかの企業の姿でしかない。

番組ではそのあたりに触れずただ自律分散が
一面的に強調されすぎていたように思えた。




2002.5.31

組織が完全にフラットな構造になっていく、のではなく
分散した個々が「勝手」にものごとを決定していく、のでもなく
コアやアイデンティティーを持った個々の企業組織や個人が
プロジェクトやビジョンや「価値観」のもとに
自律的に集まって連関しながらなんらかの出力をしていく、、、

けして「勝手」ではなくビジョンや組織に
ある程度「縛られ」ながらも
それぞれのアイデンティティーや夢を実現させながら
全体の目的をも実現させていくために行動する、、、。

未来の組織は、、、
そんな姿なのではないか、と、ばくぜんとだが、思う。



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