今日のコラム・バックナンバー(2000年 4 月分)


INDUSTRYWEB HOMEへ戻る / 今日のコラムに戻る/ バックナンバーに戻る

掲載は日付順になっています。


2000.4.1

規制のための規制ではなく
個人の自由な発想や実現の発露を社会のなかでうまくまとめていける
むしろそれぞれの自然で多様な発露を生かしていけるような
そんな仕組み、

法律ももちろん必要ではある。しかし
そのためにはお互いを認め合うための役割を
はたさなければならないのではないかと思う。

「私はこんなことをしたいのだ、」
「それがみんなのためにもなるんだ、」と
ちゃんと説明できてみんなが納得できたら
そして、それを認めあって実現できるために
お互いが何をしたらいいのかまで考えられる
時代になればいいのだろうにと心から思えてならない




2000.4.2

今年に入ってから資材調達を「インターネットを使って調達」
しようという企業の話しが新聞なんかで盛んに宣伝されている。

以前にも書いたが我々インダストリーウェブも
5年まえにインターネットを知った時に
最初に考えたのは中小企業でもインターネットを使って
世界中と取引きができる、受注できる、
、という方法論だった。

国境を超え、世界を結び、どこの誰とでも
つきあいが始る、取りひきが始められる可能性がある。
我々はそう考えた。


実は先月18日の産経新聞の一面に
我々インダストリーウェブ研究会と
我々が主宰している「諏訪バーチャル工業団地」の
この5年あまりの活動や行動が掲載された。

3月29日発売のリクルート出版の
「アントレ別冊「インターネットで会社を変える本」」
にも同じような内容で我々の活動の経緯が掲載されている。





2000.4.3

特に18日の産経新聞の一面に掲載された内容に
詳しく書かれているのだが
我々が「インターネット」や「コンピューターネットワークの可能性」と
「ものづくりの関係」について
深く考えさせられたのは
1994年に我々の街、諏訪で行われたある講演会の存在があった。

その講演会は長野県テクノハイランド開発機構の主催で行われたもので
その当時、すでに活性化する動きをしめしていた
アメリカの産業の状況をレポートしたものだった。

当時、横河総合研究所の研究者だった、
根津先生(現根津コンサルティング社長)が諏訪の企業の代表たちと
アメリカの産業がなぜ活性化しはじめているのか、を知るために
アメリカまで研究調査にいき
そのレポートを諏訪に持ち帰り
企業の関係者200名あまりを集めて
行われた講演会だった。




2000.4.4

我々はその場でレポートされた「CALS」に強烈なショックを受けた。

「CALS」はよく言われるように
世界中を結ぶコンューターネットワークに
設計図面や文書を載せ、世界のどこからでも
資材の調達を可能にさせようというものだ
もともとは軍事用の技術として考えられたものだった。
ちょうど1990年代には「CALS」を
商用として使える可能性をアメリカは
見つけ、すでに実証的に試みていた。
今となればいろいろ意見もあるだろうが
インターネットの上に商用のEコマースや資材調達が乗ってくることは
アメリカのこの間の流れをみていれば
至極当たり前のシナリオだったと言っていい。

ちなみに、「CALS」はうまくいっていないとか
建設やプラントや航空機といった大規模プロジェクトを
想定したものだからあまり参考にならない、、というような意見も
いまもいろんなところで言われたりしているようだが
問題はそういうところにあるのではなく
世界をつなぐコンピューターネットワークの上に
大胆にも設計に関するデータや企業間の重要な
情報をを載せたりやり取りしようという
いわば情報の共有化をはじめようという「発想」そのものがスゴイと思う。




2000.4.5

細かいことやあとづけの話しで
解釈をめぐってああだ、こうだ、といっているのは自由だが、
それを尻目に自由な発想で大胆に行動にうつしていく、
アメリカの凄みはやはりこんなところにもあると思う。
建設やプラントや航空機といった大規模プロジェクトだから
参考にならない、なんて言っているどこかの国の産業界があれば
きっとフッフッフとほくそえんでいるに違いない。


さて話しが飛んでしまったが
こんななかから始ったインターネットや
コンピューターネットワークやCALS、それらの概念に
我々が強く感銘を受けたことは間違いない。

前にも書いたように
我々が最初に考えたのはCALSの概念から
志向した、インターネットを使って受注しよう、
、という方法論だった。

国境を超え、世界を結び、どこの誰とでも
つきあいが始る、取りひきが始められる可能性がある。
我々はそう考えた。

しかし現実はそうは甘くない。




2000.4.6

ここでは長くなるから書かないが、
実際にインターネット上に企業ホームページを並べてみても
実際に仕事に結びつくことと
インターネットにホームページを掲載しておくこととは
まったく別の行為だと思っていい。

よくよく考えてみればこれはしごく当然の話しだ。
いくらホームページを作ったからと言って
実際にものを考え、形にしたり、作っていく技術や
構想を作り上げていく力がなければ
現実に企業間の信頼や評価を作りあげていくことにはつながらない。

あえていえば「自分自身を知るためのきっかけ」にはなるが
それ自身が自分の力を高めてくれるのでもなければ
それを自動的に仕事に結び付けてくれるわけでもない。

あくまでインターネットはそういう部分においては
道具に過ぎず、それ以上のものではない。

ところが最近の状況のなかではインターネットにホームページを持てば
自動的に仕事が入ってくると錯覚している部分がいまだに見られる。



2000.4.7

たしかにインターネットやコンピューターネットワークは
様々な出合いを醸し出すことは可能だし
そのなかから価値を作りだすことも可能だ。
しかしそれは「自分のコアやアイデンティティー」があって
その上に「人のコアやアイデンティティー」を
重ね合わせる継続的な行為が充分に出来てこそ
はじめて可能になる。

また、ホームページに向って
仕事ができないか、問い合わせは増えていく傾向にはある。
しかしこれが本当に「実のある仕事」に実っていくのかどうか
そこのところは非常に不透明だ。
「出合い」は増えていくだろうが
それが確実に着実に仕事に結びついていくかどうかと
ホームページを持っていることとは関係がない。



2000.4.8

そうは言っても「出合い」は増えたほうが良いという意見もあるだろう。

たしかに「価値を作り出そう」という文脈の上での
双方のコアやアイデンティティーを認めあったうえでの
「出合い」はいくら積み重ねても無駄にはならないが、
一方的な押し付けやバーゲニングなどの
ための「出合い」となるならば
それは一方からは「最大化」になるかもしれないが
もう一方からは
「無意味な作業」「価値を生み出さない行為」になる。

最適化ではなく最大化を求めていくには
確実性を犠牲にしたり無駄を許容することが必要になるが
机上の話しやコンピューターの中の話しならともかく
中小企業にはそうそう「無駄」に付き合いきれる余裕は無い。




2000.4.9

情報技術、IT、インフォメーションテクノロジーを
駆使して製造業の生産性を上昇させ産業の
活性化に成功してと言われているアメリカの
製造業の考え方や仕組みは
無駄を許容することによって
最適化ではなく最大化を求めていく戦略が
成功しているように思われているが

実は、無駄を許容せず、最適化を目指した仕組みが
日本やアメリカなどの自動車業界などにおいても
現実には製造業の現場で有効なやり方として
認められているのはいったいどういうことなのか。

コンピューターや半導体など、最先端の産業でさえ
日本で実績を積み重ねてきた
ものづくりの仕組みが評価され
導入されているのはどういうわけなのだろうか。




2000.4.10

もちろん、「妥協を許さない」だけでは
ものづくりはできない。
前にも書いたように
新しい出合いが価値を生み出すことは
今後重要な方法論になっていくだろうし
そのなかでは「無駄」も多数発生する。
それをみとめなくては前に進めない。

常にその時代時代において
最適化を求めてきた日本の産業界のなかでも
今後は新たなアイデンティティーの結合を求めて
無駄を許容し最大化をもとめつつ
同時に最適化も実現していかなくてはならない。

新たな時代の必要とする「たぶん創造的なものづくり」は
たぶんそういうなかからこそ生まれてくる。




2000.4.11

新聞などで最近は毎日のように
喧伝されている「インターネット調達」だが

日本やあるいはアメリカなどの
それぞれの国の産業やものづくりの歴史が
どんな文脈のなかで形成されてきたものなのか
そして今後はどういう方向のもとで
ものづくりや産業が動いていこうとしているのか。

あるいは21世紀を迎えるにあたっての
「ものを創る意味や意義」がいったいどこへ向おうとしているのか、、

そういう部分への深い洞察がなされないうえでの
単に「ハヤリモノ」のような捉えかたの
「インターネット調達」であるならば
早晩、これは限界と反省がやってくる。




2000.4.12

少なくとも「インターネット調達」ばやりのなかで
例えば、自分は選ぶ側にいて相手を自由に選ぶことができる
と思っていたら大間違いで

自分は「選ぶ側」にたっていると同時に
自らが「選ばれる側」でもあることに
気がついていなくてはならない。
ネットワークはそういう面を持っている。

インターネットを使ってガンガン、買いたたきや
バーゲニングやってしまおうと
考えている企業のみなさんがいたらお互い気をつけたほうが良い。

気がついたら回りにだれもいなくなってしまった
なんてことになりかねない。





2000.4.13

ネットワークでコアや技術や知識を
重ね合わせていくことは必要なことだ。
出合いもたくさんあるべきだろう。

文脈の通ったなかに
いろんな考え方やアイディアや
世界の捉えかたがたくさんあるべきで
そういうもののつながりや刺激はどんどん必要になっていく。

ならばこそ、「互恵」の関係や相互の関係があって
はじめてそれは進むのだということに、、
昔からの言葉でいえば「お互い様」であることに、
企業間の調達や販売のみならず
ネットワークの一住民として
気がつく必要はあるだろうと思う。





2000.4.14

先日の新聞や昨日のテレビなんかで報道されていたが
いよいよ天下の「松下」が家電のネット販売に乗り出すのだとか、、。

今年初めのソニーのネット販売に続いて
どこらあたりがいいはじめるのだろうと思っていたが
あれだけ強大な家電販売網も持つ松下が
言い始めるとは、意外だった。

ソニーにしても松下にしても
既存の販売店とは共存していく、という言い方で
中間業者の存在を否定するような話しではないし
価格競争には巻き込まれないと言っている。

それは既存の販売店に対する配慮から言っているんだという
人もいるけれど、たしかにそういうことがあると思う反面、
ネットを使って長期的で総合的な「付加価値のある商売」を
やろうとしているんじゃないか、、とも思える。





2000.4.15

結局、既存の商売にしてもネット販売にしても
「価値」や「メリット」を作り出していかないかぎり
単純な価格競争に陥りがちだ。
これは「ものをつくっていること」でも同じことが言えると思う。

「ものをつくって売る」ことは「価値を創って広める」こと

こういう観点を忘れてはならないのじゃないかと思う。
だから大手家電メーカーや大手自動車メーカーにしても
ネット販売をしたところでお客さんの本当に望むものを
作り出せなかったらそこまでの話しだ。




2000.4.16

ネット調達の話しにも関係してしまうのだけれど
考えてみれば
価格だけ安くしてものが売れる、ということであるのなら
これだけ中小企業が苦労してものを安くつくっているんだから
とっくに家電や車やいろんな大量生産品は
もっと売れていていいはずなんだけれど、、、。

すでにネット経済がなんたるかに気がついている大手企業なんかでは
いろいろな方法を使って
新しい技術やアイディアや必要としてるものを
積極的に外部からでも取り込んでいこうという姿勢は
見られるようになってもきている。




2000.4.17

ちょうど日曜日の昼過ぎにテレビ朝日系列の
「サンデープロジェクト(特集企画)」で
ソニーの出井さんが登場しての
「これからのソニーが目指すもの」とでもいうべきこと
についての特集レポートがあった。

番組ではソニーがいままでやってきたことや今行っていること、
行おうとしていることをレポートしたあと
経済評論家と出井さんが「ソニーのこれから」について討論を
していたのが、やはり「ものづくり」と「ソニーの目指すもの」の
違いについて触れる部分も当然ながらでてきた。

特に証券業務や銀行業務への参入などはものづくり企業としての
ソニーからはかけ離れた仕事に見える。
番組では当然そのあたりにも触れていた。

ものづくりの企業として、我々製造業に立つ人間達にとっては
ある意味で「あこがれ」でもあったソニーは今、何を目指しているのだろう、、。




2000.4.18

出井さんの答えはごくごく簡単に言ってしまえば、
ソニーは単純なものづくりではなく、
ものづくりを基軸にしながらも世の中が必要とするいろんなことを
やっていくのだ、、、と聞こえた。
まあ、このあたりは我々ものづくりに携わる人間からも
いろんな意見があるだろう。
番組の司会からもそのあたりに対する、ある意味では「疑問」が
話されていた。

3年ほど前の日経新聞だったと思う。
ソフトバンクの孫氏と出井氏が対談していて
これからは「単純な組み合わせ産業のような製造業」からは
軸足をずらしていかなくてはならない、というような
ことをお互いに話されていて筆者はいささかショックを受けたのだが
そのころの話しに比べれば、こんどのテレビでの話しは
ものづくりは必要であるし無くならない、と
いっているようで少々「安心」もした、、。




2000.4.19

もともとこんどのテレビ朝日「サンデープロジェクト(特集企画)」での
出井さんの話しは
「複雑系のマネジメント」(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス編集部
   週刊ダイヤモンド編集部共著  ダイヤモンド社1998年2月)
で、出井さんが登場して京都大学経済研究所所長の佐和隆光氏と
対談している
「−−デジタル経済では収穫逓増と収穫逓減が融合する−−
       複雑系組織のマネジメント・モデル」
を読んでみればよくわかる。

ものづくりと情報技術の関係、あるいは企業活動における
収穫逓増と収穫逓減の法則の関係、、
について出井氏が非常に深い洞察がなされていることが
よくわかる。

「ソニーという会社はまさしく複雑系だ」
「複雑系と捉えるならば、ボトムアップだけでもだめだし
   トップダウンだけでもいけない、その両方によって
   「創発的進化」をおこさなければならない。」
「創発的進化を生み出すためには、
   ネットワーク型の組織でなければだめなんです」
「、、収穫逓増と収穫逓減のミックスを意識して
   経営しなければならない」、、、




2000.4.20

番組の最後に司会の田原総一郎氏が
「ソニーは新しいものをつくるのですか、
  新しい会社をつくろうとしているのですか」
と質問をした。

出井さんはちょっと言いよどんでいたようにみえた。
単純明確に理解できるような返事ではなかったように思えたが、
でもきっと、「新しい「もの」を創れるような新しい会社」を
「仕組み」として創っていこうと考えているんだろうと思えた。

もともと「ものを創ること」と「会社や事業を創ること」が
別々であることと考えること自体が本来はおかしいのだろう。

「ものをつくって売ることは価値を創って広めること」であれば
社会が必要とする新たな「もの」や「サービス」を
継続的に作り出し広め豊かにしていくことが
事業や企業の目的ではなかったか。

ソニーは時代が必要としている新たな価値を作り出すために
新たな時代の複雑系企業たろうとしているのではないか、、。
筆者にはそう思えた。




2000.4.21

いったいなにが起きようとしているのか、
まったく見えない一週間だった。
株の乱高下に始ったこの一週間は
いまだに確定的な答えを見せないまま
一週間を経ようとしている。

株だの国際間のお金の動きだのとはまったく接点のない筆者ではあるが
それでもこの間の「経済の状況」が不安定なもので
あるのだろうことはだれもが納得している話しではある。

まさしく「一寸先は闇」なのだ。
だれも今の状況を正しく見て取れて
正しくこの先を言い当てることなどできない。
そんなことを誰もが思い知らされた一週間だった。




2000.4.22

アメリカでは確かに財政は黒字化していたり
生産性も情報化の進展によって
高まってきていることも本当なんだろうが
聞けばこの一年でアメリカの貿易赤字は
前例にないほど膨れ上がっているらしいし
(なんでも前年の倍の水準なんだと)
その理由になるだろう投資や国内の消費は
空前の規模で推移しているらしい。

一方で本当にアメリカ国内で
生産的なことをやっているのかと言えば
たしかにデザイン部門や基幹的な研究や開発には
力も入れているんだろうが
実際のものづくりの部分でははるか昔から
とっくに海外、特には東南アジアなどにシフトしていて
アメリカそのものが実際的な「ものづくり」に
手を染めているのかといえばどうも怪しい状態ではある。




2000.4.23

これはもっぱらアメリカの話し、だというわけでもなくて
どうも最近の様子をみていると
この日本でも同じようなことになってきてもいるようだ。

友人が最近東南アジアにいく機会があって
最近、その報告を聞かせてもらった。
聞けばあくまで友人の推測だが、
シンガポールやマレーシア、タイなどでは
すでに日本の製造業でできる事の9割以上は
向こうでできるのではないかと思えたという。
たぶん、日本独自でできることと言えば
5パーセント、下手をすれば2〜3パーセント
くらいのものではないのかというのが友人の感想だ。

筆者はこの数字と感想を聞かされていささかショックを受けた。




2000.4.24

これを聞けば
一部の識者がマスコミなどで
言っている「日本には技術があるから大丈夫」
などというのは
これはまったく楽観的で希望的な見かたでしかない。

そう言えば
つい最近出版された
「日本の競走戦略」マイケル・E・ポーター  ダイヤモンド社
や
「競争力」リチャード・K・レスター   生産性出版
にもこれらの問題意識が書かれていた。

特に「日本の競走戦略」においては
いままで日本の競争力と考えられていたものが
本当にそうだったのか、あるいはそうだとしても
今も競争力として機能しているのか、、
日本の過去の成功に関する通説が
本当に正しかったのか、問い直さねばならないのか、、
このあたり、非常に耳の痛い話しではあるのだが
参考になる話しが書かれている。



2000.4.25

アメリカにしても日本にしても経済やあるいは
その根幹を支える「ものづくり」「価値創造」を語る時に
最近どうも危うい感じが頭から離れないのは
筆者だけでなないだろう。

もともと、アメリカだけでなく
世界中でお金がお金を生み出していくような
いわゆる「マネーゲーム」の世界が
一般的になってきていて
「ものづくり」「価値創造」などと言っても
むなしくなるほどの「お金」が動いているらしい

本当に実体のあるモノやサービスを介して
行われている実態経済の大きさ
それをもし「国民総生産」で表すことが正しいのなら
それが世界中を合わせても30兆ドル、
(輸出入総額が8兆ドル)

一方、世界的な規模で行われている「お金の売買・金融取引き」の
総額が300兆ドル、
なんと実態の10倍もの大きさの
お金でお金を売買する行為が行われているというのだ。




2000.4.26

これを人類にとってまともな行為とみるのか
危うい行為とみるのか、、
あえて言えば
増えていくだろうという期待や
上がっていくだろうという期待感で
お金が売買されていくその金額が
実際に自らが生み出す「価値」やその元の価値を
はるかに上回る大きさ、それも10倍にもなる
大きさの経済を
実態が支えていくのはもはや無理な話しだし
そもそもそういう構図が成り立つというのが
まともな話しではないことだけは
正常な神経の持ち主ならわかることだ。

およそ普通に仕事をし、
普通にくらしている人間ならば
そういう状況がどこかおかしな状況であると
思えることのほうがまともな神経だと思う。





2000.4.27

ところが
ニューエコノミーなどということばも登場するにあたって
そんなことばはまやかしだという意見の側の声さえも
最近は小さくなってきたり
そんな事もありうるかもしれないと宗旨がえしている人達も
でてくるに及んで
いよいよ全体としてももうニューエコノミーが当然といわんばかりに
なってもきている。

しかしもし十歩下がってたとえニューエコノミーというものが
あるとしても
あるいは最近はそういう実態が登場してきているんだとしても
それが実態経済の10倍もの架空経済が
大手を振って闊歩する理由にはならない。

経済はどんな高尚な話しを作り上げても
人々が働き、ものや価値を創り、使い、という
実態の動きから離れることはできない。
人間が人間として実態のある生活や
あるいはそれを含む社会や産業や家庭が
地球の上で実際に動いている限り
お金だけで生活はできないし
価値も生まれてくるわけではない。

これはまったくの「悟性」というか
人間の営みの実体への正常な実感だと思う。



2000.4.28

あたかもそれから離れて
架空の生活や家庭や産業や社会があるような
錯覚を得ているのだとしたら
それは危うい話しだ。

もっと素直で素朴な生活上の実感を大切にしたり
自分の感じた実感を信じることを
批判されても笑われてもそれを守ろうとする姿勢が
今の時代には必要なのじゃないかと思う。

ただし間違えてはならない。
今起きようとしている最近のこれらの様々な出来事は
人間の本性に根差したものではなく
あくまで社会や制度がうみだしてきているものだ。




2000.4.29

今後、きっと今おきているような殺伐として
まったく人間の理性や正常な感覚を乗り越えてしまったような
様々な世紀末的な出来事も
いずれそれに対する反省として
「これはあくまで人間本来が持つ本性がつくりあげ
持ち出してきたものだ」というような話しがでっち上げられる。

これと同じような話しは前にもあった。
バブルの時代だ。

バブルはたしかに、あくまで、
人間の営みが作ったものではあったのだけれど
それは人間の本性や自然的なものがつくってしまったのだから
止めようがなく時の政治や社会の仕組みには問題はない、、
、、、とするような意見が
そのバブルの時代の反省期にあった。
たぶん今後それと同じような類の話しが
たくさん出てくるに違いない。



2000.4.30

しかし、今、そして今後起きてくることは
人間の本性に根差しておきてくるようなことではなく
あくまで人間がつくってきた「仕組み」が起こそうとしていることだ。
だからこれを避けていくには
この仕組みそのものを変えていくしかない。
逆に言えば人間のはそれを察知し、自ら変えていく事もできるはずだ。
それを変えるのは市民や国民であったり
あるいはネット市民であったりするんだろうが
いずれにしてもそんな問題意識を持たぬ限り
こんどはとんでもないことまで起きてきそうな気さえする。
個人の本性に問題を帰結させて
「市場の成り行き」に任せるのが一番なんていっていたら
とんでもない。




INDUSTRYWEB HOMEへ戻る / 今日のコラムに戻る/ バックナンバーに戻る