家具と染織 おしどり展−中区

朝日新聞  1996年11月20日

「顔面ベンチ」や「波形いす」 「つづれ織り」で風景や人物

長野県で仕事を始めて二十年になるという家具木工の服部守正さん、染織の万代久子さん夫妻の名古屋での初個展が中区新栄町のノリタケギャラリーで開かれている。自然の恵みを素材に、心を込めて形にしたという感じが伝わる展覧会だ。

飾り棚、いすなど十点余りを出展している服部さんの家具は、和家具(直線)の重厚さと洋家具(曲線)の優雅さを調和させた独特の作品。仏の顔をイメージしたカバ桜材の「顔面ベンチ」、キリ材を張り合わせた動きのあるデザインの飾り棚、ケヤキの波形いすなど重厚さの中に遊び心も。

独身時代、絵の勉強をしていたという万代さんはソヨゴやカツラ、梅、タマネギなどで草木染をした糸を絵の具代わりに、つづれ織りで風景や人物などを絵画風に織り上げている。ほかに着物地やスカーフ、マフラー、額など五十点余りを出品。神戸で沖仲仕をしていた服部さんは二十年前。松本に移り住んで五年間、民芸家具の工房に弟子入りした。その後、独立して梓川村へ。六年前から池田町に居を構えて仕事をしている。この展覧会は二十四日まで。

 

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