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市民タイムス  1999年8月11日 

 

自然と一体私だけの色

草木染は昔ながらの染色法で、山野での植物採取から染め上げるまでを自然と一体になって楽しむことが出来る。公民館の講座から、趣味のグループに発展させて楽しむ人たちも多い。むらにならない染め方や自然への配慮など、池田町会染の染織家・万代久子さんに聞いた。

環境に配慮し上手に染める方法 万代久子さんに聞く

万代さんは松本市内の織り元に勤務し染めと織りを身につけ、昭和五十五年に独立した。糸から染め、人物や動物、アルプスの山並みなどの絵柄に織って額やびょうぶにするほか、着物や帯、テーブルセンターなども織っている。

すべての植物が染料に

まずは、山や野原で染料にする植物を採るところから。生の葉を使うのは夏で、桑やマツヨイグサ、柳などは黄色、ソヨゴは赤、アイは青が出る。乾燥して一年中使えるのは、茶色を出すクリのイガやカツラの皮、肌色のイチイや桜の枝、赤はアカネの根など。「すべての植物が染料になる」と万代さん。色を掛け合わせれば、いろいろな色に染められる。

のりをしっかり落とそう

染めるには絹やウールなど動物性の繊維が最適、木綿はアイなら染めやすい。葉は染める素材の重さの2〜4倍の分量を用意する。

むらなくそめるには、染める前にのりをしっかり落とし、煮るときも媒染するときも必ずかき混ぜることが大切。

媒染には黒っぽくするなど、色を出すために鉄や銅を使う場合もあるが、万代さんは「銅などは環境破壊にもつながるためできるだけ使用を控えている。廃液は薄めて土に染み込ませ、川には流さない」と話す。「葉の採取も、一本の木から集中的に取らずに、数本から目立たないように取る心掛けを」と助言している。

「思い通りの色がなかなか出ないのが草木染の魅力」とも。いろいろな草木で、自分だけの色を染めだしてみよう。

 

【染める手順】

@葉が浸るくらいの水で沸騰させ、弱火で約20分かき回し、ざるでこせば染液の出来上がり

Aストールなど染める素材はのりを取り除き、染液に入れてかき混ぜながら沸騰しない程度に約20分煮て、水ですすぐ

B熱い湯で溶いたミョウバン(素材の重さの4%)を30度くらいの湯と混ぜて媒染液を作り、ストールを入れてかき混ぜ、約20分漬け置き、色を固定する。

C2,3回洗って、干す。

(廃液や煮出した葉は川には流さない。)

 

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