広報池田 1995年4月号 No.341 今月はこの人 草木染に魅せられて19年 服部久子さん
信州で初の個展
久子さんは3月に穂高町のギャラリー陶苑で『草木染展』を開き、草木染めした糸でラクダやウサギを始めとする動物や花などを刺しゅうした、“織り絵”約50点を展示しました。「抽象画的な織り絵より、動物画などの方がごまかしがきかない分、緊張感があってたのしい」
神戸出身の久子さんは46歳。家具職人の夫、守正さんの意向で20年前に松本市に越してきました。信州つむぎに興味を抱き、織り元で3年間勉強。その後梓川村に移った後、池田町公民館で昭和62年に行った内堀和泉さんの版画展に訪れたのがきっかけで、5年前に自然豊かな池田町に。創作活動時は旧姓の「万代久子」を名乗り、守正さんとの合同の「家具と草木染展」を東京などで過去6回行ってきましたが、信州では個展は初めて。今回も織り絵の額を守正さんが手がけるなどいつも二人三脚の服部さん夫妻です。
今後はもっと自由な発想で
久子さんは着物や帯の草木染めをしていましたが、ギャラリーの来場者のアドバイスもあり、10年前に織り絵も始めました。草木染めは梅やイチイなどの「木」やススキやヨモギなどの「葉」などを染料に、白い糸を重ね染めし、好みの色に仕上げていきます。
「草木染めというと“鈍い色”というイメージがありますが、鮮やかな色も出せるんです。」なるほど、作品を見渡すと赤や青の鮮やかな色使いが目に入ってきます。「原料となる植物は日当たりや土の栄養分などによっても微妙に色が変化し、とっても奥が深い。」
今回の個展には長男をモデルにした人物画も初めて展示「昔、絵を描いていたので絵の感覚で織り絵を作っています。今後は人物画に取り組むなど自由な発想で活動していきたい」と目を輝かせました。
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