中山道の景勝地として、
また木曽路のランドマークとして親しまれてきた奇勝。
寝覚の床は昔も今も、旅人の心に刻まれます。

木曽八景の一つ、寝覚の床をご案内します。

●寝覚の床とは

 上松町周辺は、花崗岩地帯。その地形を木曽川の流れが削り、姿を現したのが寝覚の床です。
 花崗岩特有の割れ方が、大きな箱を並べたような不思議な造形をもたらしました。
 また明治以降は水力発電や用水の引水で木曽川の水面が低下し、岩の巨大さがより引き立っています。

 1923年に国の名勝に指定され、現在は県立公園特別地域です。
 この地には、古くから浦島伝説が残されていることも特徴です。

 公園付近は春に桜が咲き、秋には対岸の山々が紅葉で色付きます。



臨川寺境内から眺める、寝覚の床一帯の風景


 木曽川は右から左に向かって流れています。眼下の鉄道は、JR東海の中央西線。右手奥が赤沢自然休養林へ至る谷、左手の下には美術公園が設置されています。
 梅雨時や夏の夕立の後、条件が良い時には、眼下の渓谷に虹がかかることがあります。


●寝覚の床へのアクセス

 寝覚の床は木曽川沿いの一帯で、南北約1kmのエリアです。主な地籍は上松町大字小川。県立公園特別地域の指定を受けています。

(1) カーナビゲーションでは、観光地の目的地検索で出てきます。

 国道19号線沿いに有料駐車場(500円、時間指定なし)が、少し南側の登坂車線下には、無料の町営駐車場があります。 

【時間の目安】 中央道伊那インター中津川インターから、それぞれ60分
(2) 公共交通機関をご利用の場合、最寄駅はJR東海 上松駅となります。また1つ北の木曽福島駅からも、路線バスが運行されています。どちらの駅からも、「倉本線」バスにご乗車ください。

【時間の目安】 木曽福島駅から片道でバス15分、上松駅から片道でバス5分
(3) 最寄駅のJR東海 上松駅からは、徒歩で訪ねることもできます。上松駅から南へ、旧中山道を歩いて30分。上松駅前のタクシーもご利用いただけます。

PDF版マップ(印刷可)  ■国土地理院版   ■イラストマップ  ■イラストマップ英語版


 現地までの地図を掲載したパンフレットは、郵送でもお届けできます。 

 寝覚の床の簡単なガイドも作成しました。こちらのリンクからご覧ください。


●寝覚の床の浦島太郎伝説

 浦島太郎の伝説は、沖縄県から福島県まで全国各地に残っています。 その内容も、出自に関わるものから墓地まで、それはもう様々。

 寝覚の床に残されている浦島伝説は、太郎が竜宮城から帰り、玉手箱を開くまでが描かれています。

 …竜宮城の夢のような日々から現実に帰った太郎は、竜宮城にいたひとときが300年であったこと、周りに自分のことを覚えているものがいないことに驚き、やがて諸国漫遊の旅路に出ます。
 一説には、竜宮城から持ち帰った秘宝の中の飛行の文書で寝覚の床までやってきたとか。
 寝覚の床の風景を気に入った太郎は、魚釣りをしたり、竜宮城の巻物を参考に仙薬を作って地元の住民に分け与えたりしながら暮らしていました。

 ふとある時、竜宮城から玉手箱を持ち帰ったことを思い出します。
 決して開いてはならないと忠告されていましたが、太郎は玉手箱を開いてしまいました。すると中から紫色の煙が立ち上り、太郎はたちまち300歳の翁の姿に…。
 太郎は嘆き悲しみ、やがて寝覚の地から姿を消してしまいました。そして寝覚の床には人知れず弁財天の像が残されており、これを祀って建立されたのが、臨川寺といわれています。

…ちなみに、上松町の公式キャラクター「太郎ちゃん」も、この浦島伝説を参考にしています。

 

●四季の風景

【春】

 寝覚の床の春は、4月上旬から。公園周辺に桜が咲き始め、続いてタムシバの白い花が目立ってきます。

 木曽川の流れは、御岳山や駒ケ岳の雪解け水で、やや白いエメラルド色。
 やがて周囲の山々に新芽が育ち、緑色が1日ごとに濃くなっていきます。
 
【夏】

 7月中旬頃、大宮神社の例祭が開催されると梅雨明けの便りが訪れます。陽光は一気に濃くなり、夏の暑さも本格化します。

 川面に近い岩肌には冷風が流れて、厳しい暑さを少し遠ざけてくれるような自然の恩恵。

 夏は思わず泳いでしまいそうになりますが、遊泳はご遠慮ください。


【秋】

 10月下旬に入ると、中山道に冷風が吹き始めます。紅葉シーズンの始まりです。寝覚の床が本格的に色付くのは、例年11月の上旬から。
 周囲の山々が錦色に彩られ、グリーンシーズンの最後が華やかに演出されます。
 落葉に入ると、床山の稜線には霧氷が現れるようになります。

 木曽川の紅葉が本格化すると、木曽路の冬はもうすぐそこ。奥に見える台ヶ峰の山頂が白く雪化粧するのも間もなくです。