博愛新聞 平成19年 8月号 (第99号)

眼球打撲と網膜剥離


 眼球打撲後に網膜剥離になった場合、網膜剥離の原因が眼球打撲のためなのかを証明することはかなり難しいです。その理由は、眼球を打撲しても網膜剥離にならない確率は95%以上で、網膜剥離の原因の90%は、特に原因が不明で体質的なものだからです。
 しかし、
眼球打撲による網膜剥離と証明できる場合があります。かなり強い打撲後すぐに
(遅くとも2週間以内)眼科を受診して新しい網膜剥離を発見すれば、その剥離は打撲によるものでしょう。剥離がなくても新しい網膜裂孔・円孔を発見し、その後の経過観察中にそこから剥離が発生してきたら、その網膜剥離は打撲によるものと言えます(現在の医療水準では、裂孔・円孔は発見次第、原則、網膜光凝固しますので、ほとんど網膜剥離化しません)。
 網膜裂孔・円孔がなくても網膜振盪症(先月号で詳述)や眼底出血や硝子体出血・混濁があり、その後の経過観察中に徐々に網膜剥離が出現してきた場合も打撲による剥離でしょう。また、その後の経過観察中に、まず裂孔や円孔が出現しそこから剥離化した場合も、その網膜剥離は打撲のためと言えます(実際は光凝固しますので、ほとんど剥離化しません)。
 打撲による網膜剥離や網膜裂孔・円孔の発生は、一般的に打撲後半年以内に出現することが多いです。その理由は、打撲による眼内の組織学的変化(眼内炎症)は、おおむね半年以内で沈静化しその後は固定化されることが多いためです。従って、打撲後半年以上してから初めて眼科を受診して網膜剥離を発見した場合や、経過観察が必要であるにも関わらず1年以上受診せず、その後網膜剥離を発見した場合も、打撲による網膜剥離と証明できません。

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開院10周年 ゼネラル マネージャー     多田 知恵 

 この8月、満10年の朝を患者さん達と無事迎えることができました。カルテNo.1の患者さんは、院長先生に惚れて、あえて1番になりたいと、朝から狙って来られた方でした。この患者さんの院長先生への篤い「信頼」には殊更な想いがあったように思います。
 「信頼」といえば、博愛眼科の一同が、日々黙々と、患者さんに対して同じような検査や同じような問診を繰り返すのは、この「信頼」の上に成り立つ行為なのだと思います。また、正確に誠実に業務を遂行することによって「信頼」を築いているのだと思います。患者さんの中には、冗談や世間話に乗じてくれない白衣のナースに拍子抜けし、しつこく症状を訊ねるスタッフにいらいらしたという経験のある方もいるかも知れません。しかし、院長先生の前に患者さんが行くまでに、必要な情報を正確に届けることがスタッフの仕事なので、怯まずたゆまずその任務を果たしていきます。世間話の暇もないほどに。
 博愛眼科にはいつも独特の緊張感が漂っています。院長の治療に対する真剣さ、スタッフの自らに課せられた責任を果たしたいという想いが作り出す空気です。10年間、最善の医療を目指してきました。これからも変ることなく目指していきたいと思います。

院長のひとこと いままでやって来れたのも皆様の「愛」のお陰です。心から感謝申し上げます。優しく厳しく博愛の精神で、患者さんのための医療に精進します。