博愛新聞 平成19年 7月号 (第98号)

網膜振盪症について


 網膜振盪症とは、ある程度強い眼球打撲によって起こる網膜の浮腫(写真のA)で、通常、眼底の一部分のみに見られます。中等度以上の浮腫では、網膜出血(写真のB)を伴います。強い浮腫では、硝子体出血網膜裂孔・円孔を引き起こし、最悪は網膜剥離を併発します。打撲と振盪症の強さは原則比例しますが、例外もあります。
 
症状は、打撲直後からの飛蚊症霧視(ぼやけ・かすみ)で、網膜浮腫の範囲が広い場合や眼底の中心に近い場合は、その部分の視野欠損を自覚します。網膜剥離を併発すると、視野狭窄が進行し、何も治療しなければ、失明する可能性が高いです。一方で、浮腫が軽い場合は、ほとんど自覚症状は出ません。 
 治療は、結膜炎等があれば点眼加療で、出血があれば、止血剤等の内服も処方することが多いです。網膜浮腫が強くなければ、それで90%は完治します。浮腫が強ければ、合併症(網膜裂孔・網膜剥離等)が起きやすくなりますので、よりこまめな検査が必要です。網膜裂孔・円孔は発見しだい原則、外来レーザー治療(光凝固)です。網膜剥離が起きれば、レーザーの追加や入院手術が必要になります。受診が遅れ手遅れにならなければ、95%以上失明することはありません。しかし、ある程度強い振盪症の場合は、治療しても何らかの後遺症が残ることが多いのです。たとえ視力良好であっても、視野狭窄感や飛蚊症は長期持続します。特に網膜浮腫が眼底の中心に強い場合、視力障害や変視症が永続的に残ります。さらに、振盪症をおこすような、ある程度強い打撲の場合は、打撲自体の合併症として、水晶体脱臼・白内障・緑内障を長期に警戒する必要があります。

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私の医療体験 ナース     依田 真琴 

 子供が体調を崩すと、私はいつも決まってある小児科医院を受診します。その医院は、いつも混んでいて子供が具合悪くてうなっていても、待ち時間が長いのは当たり前です。時に、あまりにも長くてイライラする事もありますが・・・、でも、その医院の先生は、子供の立場から考え、親の意見を聞きながら治療して下さり、スタッフの方々も、とても親切に対応して下さいます。親の立場として、この先生ならという安心感があり、信頼しています。この先生に診察してもらうだけで治ってしまうのでは、と不思議な気持ちになる事があります。信頼関係が成り立っているからこそと感じます。
 病気になると、何かしらの不安を持ちます。でも、安心できる医療を受けられる場がある事、信頼できる病院があると、心強く、不安な気持ちも緩和されると思います。
 患者さんとの信頼関係を築く事は、簡単な事ではありませんが、思いやりの心を忘れずに、患者さんの立場に立って看護する事を常に心掛け、少しずつ、築けていけたらと思います。

院長の一言 人気のある医院はどうしても待ち時間が長くなってしまいますね。長くなっても、医院の中に親身になって本気で行動する姿があれば、患者さんは救われます。