博愛新聞 平成18年 11月号 (第90号)
偽落屑症候群(ぎらくせつしょうこうぐん)とは、瞳孔縁や水晶体表面に白い沈着物が粉状~膜状に付着している状態をいいます。写真Aは、偽落屑症候群の眼球で、瞳孔縁が白く見えます。写真B(正常の瞳孔縁)と比較すると、はっきり違いがわかると思います。偽落屑症候群は、単に落屑症候群といったり、以前は偽水晶体前嚢落屑症候群(ぎすいしょうたいぜんのうらくせつしょうこうぐん)と言われておりましたが、何れも同じものです。
偽落屑症候群は、病気というより体質と捉えて下さい。この症候群の眼球は、そうでない眼球よりも、高眼圧症、緑内障、白内障にずっとなりやすい体質があります。高齢になればなるほど、この症候群になりやすく、80歳以上では5~10%でみられますが、50歳以下ではまれで、特に30歳以下では皆無です。また、この症候群になると、散眼(点眼薬で瞳を大きくさせること)しづらくなり、チン氏帯(水晶体の支持組織)も弱くなりがちですので、白内障手術が少しずつ大変となっていきます。
偽落屑症候群だけでは何の自覚症状もなく視力も視野も正常ですので、他の疾患でたまたま眼科を受診した時や、人間ドックの眼科検診で発見されます。偽落屑症候群と言われても、治療の必要はありませんが、眼科医の指示通りに定期検査を必ず受けて下さい。高眼圧症や緑内障の合併を早期に発見することが何より大切です。また、偽落屑症候群では、通常より少し早めの白内障手術がより安全と言えますので、白内障の早期発見も重要です。
つれづれ思うこと
看護師 小松 幸恵
看護師になって7年・・・。失敗したりうまくいかない事があった時は、未だに “なんでこの職業を選んでしまったんだろう” と思ってしまいます。