博愛新聞 平成16年 4月号 (第59号)
様々な異物が角膜に刺さりますが、その90%以上は、1mm以下のごく小さな鉄片です。角膜鉄片異物は、受傷後数時間以内であれば、鉄片にサビが生じておりませんので、異物を簡単に除去でき、角膜の混濁もほとんど起こりません。しかし、異物を放置すると、1〜2日で鉄片にサビが生じて角膜と癒着し、鉄片の周りの角膜が混濁していきます。
異物があると角膜はバイ菌がつきやすく、バイ菌が増殖してしまうと角膜混濁はさらに増強し、痛みが強くなります。そうなってから異物を除去しても、角膜混濁はなかなか取れず、回復に数ヶ月以上かかるのが普通です(永久に混濁が残ることもあります)。最悪の場合、異物除去して強力に抗菌剤等で加療しても、バイ菌の増殖を抑えられず、角膜潰傷・膿傷から失明に近い状態になることもありえます。したがって、角膜鉄片異物が疑われる場合は、なるだけ早く眼科を受診することをお勧めします。
異物を除去すると、一時的にその部分の角膜に凹みが生じます。そのため、異物除去前よりも除去後の方が、痛みや異物感が強くなることがあります。しかし、角膜の凹みは、バイ菌等による感染が起きなければ、数日で消失しますので、眼痛や異物感は翌日にはかなり楽になるはずです。翌日の方が痛みや異物感やカスミが強くなる場合、感染を起こしている可能性がありますので、すぐに眼科を再診して下さい。
また、角膜鉄片異物は、鉄を加工する工場や建設現場で受傷することが多く、本人の申告で労働災害保険(労災)の適応となり、その治療費は全額無料となります。
つれづれ思うこと
事務 N.E
「あなたと出会えたことは偶然ではない」 あるドラマの中の台詞です。
誰にでも苦手な人はいるものです。自分の好きな人、自分を好きな人とだけ接していけば良いという考えの強かった私は苦手な人と接することを避けてきました。学生時代はそれでも良かったのですが、社会人となればそうもいきませんでした。苦手な人とどう接したら良いかわからなくて悩み、仕事にも自信が持てないでいた時にこの台詞と出会いました。社会に出ていろいろな人に出会えたことは自分にとってプラスなのではないか?苦手な人と思い込んでいるだけで、その人の良い部分を認めようとしないだけではないのか? と、自分を見つめ直すことができるきっかけを作ってくれた言葉でした。
これからも沢山の人と出会うことでしょう。偶然ではなく必然であり、自分を向上させてくれる出会いだと常に感じていきたいと思います。