博愛新聞 平成13年 5月号

麦粒腫(ものもらい、めかご)について

まぶたの、痛みを伴う腫れや赤みは、まず、麦粒腫(ばくりゅうしゅ)です。強い痛みがなく、カスミもなければ、目をこすらず触らないようにし、目にお湯や水も入れないようにして、体も安静にすれば、2〜3日で自然に治ることも、かなりあります。しかし、発症後すぐに、点眼や内服を開始すると、ほとんど切開せずに治りますが、治療が遅れれば遅れるほど、切開しないと治らなくなり、また、合併症を起こしやすくなります。

怖いのは、その合併症です。角膜に炎症が及びますと、角膜炎となります。角膜炎は、放置すれば、失明する可能性のある疾患ですので、強い痛みやカスミがあれば、すぐに眼科を受診して下さい。まぶたの奥にまで炎症が及びますと、眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)となり、目が開けられないほどの高度の腫れになります。さらに、発熱すれば、敗血症の恐れがでてきます。また、頭痛が強くなれば、髄膜炎の恐れがでてきます。敗血症も髄膜炎も、死ぬことのありえる疾患です。従って、まぶたの腫れで目が開けられなくなった場合や、高熱や頭痛があれば、家で様子をみることは絶対にいけません。特に、幼小児では、急激に悪化する可能性がありますので、麦粒腫かなと思ったら、すぐに、眼科を受診してください。

麦粒腫と紛らわしいものに、アレルギー性眼瞼炎があります。同じく、まぶたの腫れや赤みですが、前者は、患部を押すと痛みがありますが、後者ではありません。また、後者では、カユミを高頻度に訴えます。


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