博愛新聞 平成27年 12月号 (第199号)

色覚と職業について

 色覚の変異は男子の5%位、女子の0.2%位に見られると言われております。色覚に変異を持つ生徒の半数は、検査を受けるまで自覚がありません。変異のタイプや程度により、一部の仕事に支障をきたすことがあります。進路を決める前に検査を受けて自分の色覚を知ることが大切です。
 一般に色覚の特異な人には難しいと思われる職業・業務は、鉄道運転士、航海士、航空機パイロット、航空・鉄道関係の整備士、警察官、商業デザイナー、カメラマン、救急救命士、看護師、歯科技工士、獣医師、美容師です。映像機器の色調整、印刷物のインク調整や色校正、染色業、塗装業も、微妙な色の違いを見比べる必要がありますので不向きかと考えられております。少ない努力で遂行可能な職業・業務として、教師、医師、歯科医師、薬剤師、調理師、理容師、電気工事士があります。色覚変異でも全く問題ない職業・業務は、スポーツ選手、政治家、弁護士、税理士、一般事務職等の会社員、社長、専務、理事、部長、課長、係長です。
 したがって、色覚変異でも、ほとんどの業務で支障なく社会生活が営め、内閣総理大臣にまでなれますが、資格を有する職業や警察官では、若干の制約があるのも事実です。以前は、義務教育において色覚検査は必須でありましたが、現在は、色覚検査は原則、任意検査となりました。しかし、小学校や中学校で、1~2度は色覚検査を受けられることを強く勧めます。もし、学校等で色覚検査の機会がございましたら、必ず受けるように致しましょう。色覚変異ですので、一般人よりも色合いを区別できる場合もあると言われており、コンプレックスをもつ必要はありません。それよりも、自分の色の特性を若い時から知っていることは、その後の人生に決して損ではありません。

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つれづれ思うこと 視能訓練士   S.Y.   

 先日、小学校三年生の息子にこう聞かれました。「お母さん、子供の頃、何になりたいって思っていた?」…忘れかけていた記憶が蘇ってきました。私は子供の頃、絵を描くことが大好きでした。広告の裏の白紙を見つけては、一日中、絵を描いていました。絶対にマンガ家になろうと中学生くらいまでは本気で思っていましたが、自分の才能のなさ、睡眠時間がほとんどない大変な仕事ということを知り、私の夢はあっけなく崩れ去りました。
 高校生になり、いよいよ本気で将来何になろうかと考えた時、『視能訓練士』という職業(資格)を知りました。新潟の専門学校に三年間通ったのですが、三年の時には、東京などの大学病院に1ヶ月実習に行きました。今まで学生というぬるま湯に浸った生活しかしていなかった私には、かなり厳しい実習経験となり、何度か本気で逃げ出そうと真剣に考えました。…が、何とか乗りこえ卒業し、視能訓練士となりました。
 こちらのクリニックのスタッフとなり、4ヵ月が経ちました。仕事をしていく中で、日々自分の至らなさ、勉強不足を痛感しています。そんな私に先生を始め、他のスタッフの皆様が丁寧に教えて下さり、何とか頑張っている日々です。患者さんを家族と思い、真剣に医療に向き合える視能訓練士を目指し頑張っていこうと思います。宜しくお願い致します。

院長のひとこと 十分によくできていますので、ゆったりとした気持ちでよいのです。視能訓練士は1971年に制定された国家資格ですが、定員が少なく周知されておりませんので、NHK朝ドラのヒロインとして視能訓練士を取り上げてほしいですね。