博愛新聞 平成27年  7月号 (第194号)

ステロイド緑内障について

 眼科で一番警戒するステロイドの副作用は緑内障です。ほとんどの緑内障は原因不明ですが、ステロイドによっておきる緑内障がステロイド緑内障です。強いステロイドの点眼を1日6回2週間続けると2~3%の人では眼圧が上昇しはじめ、1ヶ月以内で眼圧が50(正常は10~20前後、単位はmmHg)位になることもあります。しかし、そのような強い副作用が出ていても、自覚症状は全くありません。さらに点眼を続けていると、2~3ヶ月以内で、急激に視野が狭くなりますが、視力は1.0以上を維持しますので、気づかないことが多いのです。そのため、さらに点眼を続けることが多く、1~2ヶ月以内で視力も落ちて失明していきます。失明してしまったら、それからステロイドの点眼を中止しても、もはや完全に手遅れです。また、視野が狭くなった時点で点眼を中止しても、狭くなった視野は一生回復しません。
 したがって、ステロイド点眼(軟膏なら点入)開始後2週間位で、眼圧検査が必須となります。強いステロイドほど、点眼(点入)回数が多いほど、継続期間が長いほど、眼圧が上がりやすくなります。点眼と眼軟膏の結膜への点入が最も眼圧が上がりやすく、つぎに、まぶたに眼軟膏をぬる場合です。また、ステロイドの点滴・内服やステロイド軟膏をまぶた以外の皮膚にぬる場合でも、頻度はずっと低いですが、やはり眼圧の上がる副作用がありますので、長期に継続して使用している場合は、定期的な眼圧検査が必要です。
 ステロイドで眼圧が上がれば、その後も一生、原則、ステロイドで眼圧が上がる体質ですので注意して下さい。ある程度強いステロイドの点眼を2週間連続使用しても眼圧が上がらなければ、その後も眼圧は上がりづらいのですが、1~2ヶ月以上してから眼圧が上がることもありますので、ステロイド使用中は定期の眼圧検査がずっと必要です。

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つれづれ思うこと 主任   K.A.   
  
 先日、宅配便で特別な物が届きました。中身はわかっているのですが、とてもドキドキする特別な物。どうしてそれを注文したのかというと…。
 私は小学校に上がるまで、蒲田(かまた)というところに住んでおり、まだ元気だった祖母が日曜日になるとあんみつ屋さんに連れていってくれました。木の香りのするお店に入ると必ずあんみつを頼むのです。目の前で突き器から出てくる寒天から作られていく、全て手作りのあんみつは、とてもおいしくてずっと心に残っていました。
 それから数十年経ち、ふと思い出して調べてみると、そこのお店は現在もやっており、通信販売もしていました。と、いう訳で届いたあんみつセットを開けて、寒天を切り、牛皮(ぎゅうひ)と塩豆とあんこをのせて、黒蜜をかけて、恐る恐る食べてみました。その時の記憶と違う味だったらがっかりすると思ったからです。しかし、それは杞憂(きゆう)でした。牛皮のモチモチ感、塩豆のしょっぱさ、あんこの自然な甘さ、そして何より、寒天を食べた時に、天草の香りと共に、祖母と行ったお店の木の香りも思い出しました。小さい頃とても優しかった祖母の笑顔。町工場の金属の匂いのする、細い道を祖母と歩いた事。次々と忘れていた記憶が蘇ってきました。変わらないあんみつの味に感謝した出来事でした。

院長のひとこと 面白そうなので「蒲田 あんみつ」でグーグル検索してみました。総業40年の”てん屋”です。建物も味も伝統を守っています。地方創生のヒントになりそう。