博愛新聞 平成24年 6月号 (第157号)

角膜移植について

 角膜移植手術は1906年に初めて成功が報告されて以来、失明を回避する最後の手段として、広く認知されてきました。角膜は0.5~0.7mm 位の厚さの透明な膜ですが、微細構造の違いから、表面より深部へ向かって上皮層・ボーマン膜・実質層・デスメ膜・内皮層の5層に分かれます。この角膜が白く濁って視力が出ない場合に、この濁った角膜を丸ごと(全層)切り出し、献眼された尊い透明な角膜に置き換えて縫合する手術が(全層)角膜移植です。1~2時間の局所麻酔手術で当院でも実施してきています(写真)。ただ、その成績ですが、白内障手術のように目の他の病気がなければ95%以上ずっと明るく見やすくなるという訳にはいきません。角膜疾患の種類によってかなり違いますが、長期的には7割位の成功率です。特に水疱性角膜症という病気では術後10年経つと3割位しか、移植された角膜の透明性を維持できません。しかし、再手術は何回か可能ですので、失明を回避していくという意味では、有効で重要な手術です。
 成績を悪くする原因は、主に拒絶反応等による内皮細胞数減少です。内皮細胞は角膜の透明性を維持するために必要不可欠です(角膜内皮が正常でも角膜混濁することはある)。一方で内皮細胞は増殖することができませんので、内皮細胞数が少なくなると角膜混濁をきたし回復しません。その対策として拒絶反応軽減のため、角膜表層のみの混濁で角膜内皮が傷んでない場合には、その部分のみ取り替える表層角膜移植が行われてきました。最近では、内皮のみが傷んでいる場合、ほぼ角膜内皮層のみを移植する手術などが行われています。この角膜内皮移植は拒絶反応がずっと少なく有望視されております。
 ただ、この手術は手技が複雑なため、手術時に内皮細胞が大幅に減少するのが難点で、さらなる手技の改良が期待されます。さらに有望なのが、京大の山中教授が開発したiPS細胞で、この細胞から内皮細胞を作り出すことが理論的には可能です。iPS細胞は自分の細胞なので、拒絶反応は起きません。まだ、実用化はされておりません。    

 

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つれづれ思うこと 主任       M・A 

 およそ一年に一度載せて頂く「つれづれ思うこと」登場人物は息子、家族、祖父母でした。私の支えとなり、あきらめない粘り強さと前進する力を与えてくれ、悩み苦しい時には側で耳を傾け助言してくれる。では、家族の皆に、日々感謝しながら生きているかと言えばそんなはずはなく、衝突し、反発され、何とか心落ち着かせ、そんな繰り返しで日々過ぎていきます。今回のつれづれ思うことには、先日久しぶりに一緒に買い物に出かけた母のことを綴ろうと思います。
 ここ数年は土・日・休日と子供の予定に合わせ飛びまわり遠のいていた母との買い物、年齢趣味の違いから私の入りたい店は却下され、ウィンドーショッピングならぬ“望遠ショッピング”で目の保養をし、母と並んで坂道を行ったり来たり・・・お昼に蕎麦を食べながら、もう一回あの坂道を登るのかと話の内容から察し、しっかりエネルギー補給し、歩きまわりました。
 若い頃は自分中心にわがままに突き進み、悲しい思いをさせたこともあったに違いありません。今日母の横顔に優しい笑顔を見て感謝といたわりを改めて思い、両親の側に自分も寄り添い、さらには、私も素敵な老後が迎えられるように何事にも全力投球したいと思います。

院長のひとこと 大震災後、家族の 「絆」 が注目されております。元気の源ですね。