博愛新聞 平成22年 6月号 (第133号)
緑内障手術と白内障手術の比較
緑内障と白内障とでは手術後の経過が全く異なります。一言でいえば緑内障は悪く白内障は良いのです。緑内障では、ごく一部の急性緑内障の手術を除いて、手術前より良く見えるようにはなりません。むしろ手術の刺激で一時的ですが、ほぼ100%手術直後は見づらくなります。一方、白内障手術では、眼に他の病気がなければメガネで99%ずっと良く見えるようになります。もちろん白内障でも0.02%くらいは手術で失明しますが、緑内障手術では、その100倍は失明に近い状態になります。緑内障が重症で視神経萎縮が強いほど、手術の刺激に視神経が耐えられず、失明に近い状態になる可能性が少しずつ高まります。白内障も重症になるほど、少しずつ手術が大変になりますが、たとえ光しか分からないような白内障でも、眼に他の病気がなければ90%はずっと良く見えるようになります(光も分からない白内障は手術しても見えません)。一方、光しか分からないような慢性緑内障は完全に手遅れで手術できません(ごく一部の急性緑内障は手術します)。
緑内障手術の目的は視野や視力の延命です。手術をしない場合と比較して、
手術をするほうが半年以上先の視野や視力が確率的に良いと推定できれば手術を勧めます。手術をしなければ失明する可能性が99%と判断できれば強く勧めます。しかし、この手術で眼圧が下がる可能性はせいぜい90%くらいで、何回手術しても眼圧が十分に下がらず、最終的には失明してしまうことも稀ではありません。また一般的な緑内障手術では、結膜に濾過胞(ろかほう)という弱い部分ができますので、術後ずっと目を擦ったり押したりしないように普通の人以上に注意が必要です。それでも一生少し化膿しやすい目となります。
慢性緑内障手術は効果の割にリスクが大きいですので、私は手術を延ばせるだけ延ばすという方針ですが、手術をしなければダメと判断したら強く勧めます。手術をしないで重症末期となってしまったら、もう手術は困難です。
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以前、転移性のガンで15年にも渡る闘病生活を送っていた方に出会いました。私が、その方に出会ったのは、闘病生活14年を過ぎた頃でした。それまでに、さまざまな治療を行って来たのですが、ガンは身体のいたる所へ転移し、手術や放射線療法は不可能となり、抗癌剤治療も効果的な結果を得ることができませんでした。そして、今までに使用しなかった抗癌剤に望みをかけ、入院をして治療を受けることになりました。入院をした1ヵ月後に娘さんの結婚式を控えていました。しかし、治療の効果を待たず、娘さんの花嫁姿を見ることなく、全身状態が悪く、闘病生活15年余り65歳という若さでお亡くなりになりました。
この方は、町の健康診断でガンが見つかり、その後、治療を続けていました。皆様がお住まいの市町村で、市民を対象とした健康診断が年1回行われています。定期的に健康診断を受けることにより、生活習慣病(成人病)の早期発見や予防、治療を受けることができます。同じ病気であっても、早期の発見や治療により、治癒が早まったり、コントロールがしやすくなります。市民対象の健康診断は、まだまだ受診率が低いと聞きました。体調が悪いから診察を受けるだけでなく、日頃の健康管理の意味で、定期的に健康診断を受けることをお勧めします。
| 院長のひとこと |
50歳の時にガンが見つかったわけですね。町の健康診断を受けなければ、ずっと進行した状態で発見され、15年生きることは難しかったと思います。 |