博愛新聞 平成21年 11月号 (第126号)

変視症について


 変視症(へんししょう)とは、本来まっすぐなものが曲がったり歪(ゆが)んだりして見える症状です。歪みが少なければ視力は(1.0)以上のこともあります。変視症の原因は、黄斑部(眼底の真ん中で、ものを見るうえで一番大切な部分)が障害されるためで、加齢黄斑変性が有名です。この疾患は最近急増しており、原因不明ですが加齢(老化)が強い発症要因となっております。治療は一般に困難ですが、早期発見することが何より重要です。図は黒地に白線でマス目が描かれてお ります(アムスラー名刺)。約30cmの距離で片目ずつ見てください。老眼の方は近用鏡で見てください。中心の白い○が見えますか。中心を見ながら全体が見えますか。白線がすべて直線でマス目が正方形ですか。そうでない場合、すぐに眼科を受診して下さい。早期の黄斑変性を発見できる可能性があります。
 他の疾患でも変視症は出現しますが、白内障で出ることは稀です。眼底出血(糖尿病網膜症、静脈閉塞症等)でも高頻度に出現しますが、歪みよりも視力低下として感じることが多いようです。緑内障でも出ますが、歪みよりも視野欠損(白線の欠損)が主体です。また、メガネ自体に慣れないか、合わないメガネか、左右差のあるメガネか、乱視の強いメガネでも歪んでかけられないことがありますが、視野の中心でなく端が曲がる感覚です。
 変視症を感じたら、すぐに眼科を受診してください。その結果、経過観察のみになることもありますが、さらに歪むか(アムスラー名刺でチェック)、他の悪い症状が出たらすぐに再診して下さい。


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私の医療体験  ナース       乃田恵理子 

 私が京都の病院で看護師をしていた頃、リンパ節結核のため約一年間検査や治療のため通院したことがありました。ある時、夜勤明けで予約していた検査をうけに行ったことがありました。検査は苦痛が大きいため鎮静の麻酔を使用するとのことでしたが、担当の看護師の方が、私が夜勤明けだと知ると「じゃあきっとすぐ眠たくなると思うのでお薬半分でも良さそうですね。」と、主治医の先生に半量でいいか確認してくれました。そのおかげで痛みを伴う注射も半分で済み、検査後もすっきりと目を覚ましてふらつくこともなく帰宅することができました。あわただしい外来業務の中では患者さん一人ひとりと接する時間は短く、看護の個別性を見つけ出すということはとても難しいことだと思います。ですが、その看護師さんが私が睡眠不足であると気が付いてくれたことで、苦痛や負担が少なく、安全に検査を受けることができました。
 京都から佐久に越してきて博愛眼科で勤めるようになって早一年が経ちます。毎日多くの患者さんが来院され、慣れない外来業務に忙しさが焦りに変わることも多くありました。しかし、ふと周りを見ると先輩スタッフの方々の患者さんへの対応に「こういう訴えがある時はこうしてあげるといいんだ。」と気づくことがたくさんあります。まだまだ余裕のない時も多いですが、患者さんにとってできるだけ苦痛の少ない看護を提供していけるように、これからもがんばりたいと思います。

院長の一言 医師ひとりでは良い医療ができません。みんなで受付から会計まで患者さんを見守り、その患者さんにとっての一番よい選択を見つけ出さなければなりませんね。