博愛新聞 平成21年 5月号 (第120号)

斜視と斜位の違い


 斜視(しゃし)は、両目の視線がずれていて一致していない状態です。遠方視の時に両目の視線が平行ではない状態か、または、近方視の時に両目の視線の先が一点に集中しない状態です。両目の位置(視線)が外側にずれていれば外斜視で、内側にずれていれば内斜視です。多くの場合、どちらの目がずれているかを決めることは難しく、右目が斜視になったり、左目が斜視になったりします(交代性斜視)。ただ、片方の目の視力だけ悪い場合は、悪いほうの目が常にずれるため、右斜視とか左斜視と表現することがありますが、必ずしも、ずれている目が斜視の原因とは限りません。むしろ、両目の相互の位置関係が悪いと解釈されることが多いのです。
 斜視とは、あくまでも両目を開けていて、両目で同時に見て、視線が一致するかどうかを診ているものですが、それでは、片目ずつ目を開けて交互に見た時の両目の位置関係は、両目で同時に見た時の位置関係と同じなのでしょうか。
 通常は、両方とも同じ位置関係で視線は一致しており、この時が斜視も斜位もない状態です。両目で同時に見た時は視線が一致しているが、片目ずつ交互に見ていると両目の位置関係がずれてきて視線が一致しなくなる状態が斜位です。この時、外にずれるのが外斜位で、内にずれるのが内斜位です。
 斜位は斜視の前段階ともいえますが、実は、軽い外斜位はかなり多く、一生、斜視にならない人が大多数です。しかし、内斜位や、強い外斜位であると、特に子供の場合は、斜視に移行する可能性が低くはなく、経過観察が必要です。斜位は原則、治療する必要はありませんが、視力や立体視が悪い場合、眼精疲労・眼痛・頭痛が非常に強い場合は、プリズムメガネなどをかけたり手術することもあります。 

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私の医療体験 ナース       依田 真琴 

 私の子供が5歳の頃、入院した時のことです。数日の微熱が続き、顔はむくみ、かかりつけの病院へ行くと、血液検査をしました。結果は、肝機能が上昇していて、先生からは、聞きなれない病名と、今すぐに大きな病院へ行くように言われました。大きな病院を受診すると、入院して安静が必要とのことです。さらに、他の子供への感染の恐れがあるため、個室での入院になりました。もちろん、母親も一緒の入院です。入院しすぐに、点滴が始まり、安静ということで、動いていいのは、部屋の中にあるトイレのみでした。入院生活という慣れない環境で,3日間の入院が1週間にも感じたことを覚えています。
 私がナースになり11年が経ちました。日々、忙しく働く中で、忘れてはいけないことを忘れてしまっている瞬間がある気がします。自分が経験したことを教訓に患者さんに何ができるか、患者さんの気持ちを考え、不安や苦痛を和らげるため、真心を持って、看護していきたいと思います。

院長の一言 私の原点は、小学校2年の時に扁桃腺の摘出手術で1週間入院したことと、高校2年の時に体調不良で入院したことです。しかし、忘れてはいけないことを忘れてしまっている瞬間が多々あります。反省しなければなりません。