博愛新聞 平成20年 12月号 (第115号)
若い時は、ひとつのメガネでほとんど用が足りますが、老眼になってきますと、なかなかそうはいきません。遠近両用メガネは近くも遠くも、それなりに、かなりよく見えますが、近くだけ見るなら、近用専用メガネのほうが良く見えますし、遠方をしっかり見るには、遠用専用メガネのほうがよく見えます。目に病気や障害があれば、一層その傾向が強くなります。だから、長時間の車の運転や映画鑑賞などは、遠用専用メガネが最適です。逆に、30分以上続けて読書するときは、近用専用メガネにかけかえたほうが目も体も楽になります。
老眼になれば三つのメガネを使い分けることが理想です。しかし、生活環境に応じて、色々な変化が可能です。ほとんど車を運転しない方ならば、遠用専用メガネは必要ありません。読書や近方作業もあまりしない方ならば、近用専用メガネも必要ありません。この場合、遠近両用メガネ一つで済みますが、これがクラクラする場合、中間用専用メガネ一つという選択もできます。
遠近両用メガネには、二重焦点レンズと累進焦点レンズがあります。前者はレンズに境目(窓)があるレンズです。後者は境目がなく外見上普通のレンズと見分けがつかないレンズなので、人気がありますが、後者は前者よりも、一般に、さらにクラクラしやすく、視力が安定しません。また、遠近両用レンズには、遠方重視型や近方重視型や中間距離重視型がありますので、生活環境に応じて選択が可能です。
最後に、メガネの値段と性能について、お話します。もちろん、高額なメガネのほうが性能がよいのですが、その違いはわずかです。価格が2~3倍になっても性能はせいぜい20~30%増しくらいです。それを重視するかしないかは本人の価値観ですが、私は、高額なメガネを一つ持つよりも安くても三つのメガネを持つことをお勧めします。眼鏡店で販売しているメガネであれば、安くても目に悪いということはありません。
私の医療体験 | 副主任 武重 洋子 |
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10月、東京都内で出産間近に脳内出血を起こして救急搬送された妊婦が、七つの医療機関に受入れを拒否され、出産した後、死亡したという事件がありました。
私は、小さい頃からいざという時は、佐久には佐久総合病院があるということで、安心して生活してきていたので、病院の数も長野よりはずっと多く、大学病院も沢山あるはずの東京で、このような事件が起きて驚き、病院の数ではないんだなあと思いました。
また、自分が妊婦であるということで、余計関心を持ちました。もし自分が同じ立場になったら・・・と考えると、とても不安になりました。同時に家族も、テレビに出ている遺族やお母さんがいない赤ちゃんを観て、同じ事を感じていた様でした。私の通院している佐久病院の産婦人科では、「出血やお腹が痛いというだけでなく、心配なことや不安なことがあったら夜間は分娩室にすぐ電話してきて下さい。」と言ってくれます。その言葉を聞いてかなり安心できています。
出産は、嬉しいこととか楽しみという気持ちが大きいですが、それ以上に不安が大きいです。妊娠している人が皆、どこにいても安心して医療を受けられ、出産できるようになってほしいと思いました。
院長の一言 | 「拒否」ではなく「受入れ不可能」が実態です。医療崩壊はどこでも起こりえる状況です。我々の英知でそれを防げるはずです。今なら、まだ間に合います。 |
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