博愛新聞 平成20年 9月号 (第112号)

遠視の見え方について

 近視は裸眼で遠くがぼやける目と簡単に説明できますが、遠視はそうはいきません。一般的には裸眼で遠くが良く見えて近くが見づらい目ですが、近くも遠くも良く見えても、近くも遠くも見づらくても、遠視のことはよくあります。
 では、遠視をあえて簡単に説明すると、遠くを見るときに凸レンズのメガネをかけても裸眼より見づらくならない目となります(凸レンズのメガネをかけたほうが良く見える場合も含む)。近視は遠くを見るときに凸レンズで見づらく凹レンズのメガネをかけたほうが見やすい目です。
 だから、裸眼で近くも遠くも良く見えても、遠くを見る時に凸レンズで見づらくならなければ遠視です。遠くも近くも見づらい目でも、遠くを見る時に凸レンズでさらに見づらくならなければ、遠視です(この場合、多くは凸レンズで遠くが見やすくなる)。見づらくならない凸レンズの最大の度がその遠視の強さとなります。レンズの強さの単位はD(ディオプター)で、プラス表記が凸レンズ、マイナス表記が凹レンズです。例えば、+3~4Dの範囲の凸レンズで遠くが最も良く見える遠視ならば、+4Dの遠視と表現します。+3D以下の遠視が軽度遠視、3~6Dが中等度遠視、それ以上が高度遠視です。
 遠視では、一般に、程度が強いほど年齢が高いほど、近方から遠方まで中間距離も含めて見づらくなっていきます。特に、小児では視機能が不安定なため、すべての距離で見づらくなると、弱視(どんなメガネをかけても視力が1.0出ない目)となる危険性が高く、凸レンズメガネの常用が必要です。小児の遠視でも裸眼視力が良い場合、必ずしもメガネを必要としませんが、定期検査は絶対必要です。

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私の医療体験 主任       I.Y 

 「今日はありがとう!!」と、お昼のコンビニで元気な声をかけて下さったのは、午前中診察をして行かれた患者さんでした。その日はお盆前で大変混み合っており、来院患者さん80~90人くらいで待合室もたくさんの患者さんでいっぱいでした。その声をかけて下さった方は70才代の女性の方(Tさん)です。その日は、検査も診察看護でも接することがなかったので、Tさんがいたことに恥ずかしながら私は気付いていませんでした。でもTさんは私のことを見ていて下さり、一言も会話することがなかった私に声をかけてくれ、本当にうれしかったです。そして10分程立ち話をしました。その中でTさんは「いつも私は、自転車で来るんだよ!家からここまで2時間かかる。」と、それを聞いた私は本当にびっくりしました。2時間自転車をこいでここまできて、診察が終わるまでさらに2~3時間くらいはかかったと思います。私だったら、2時間自転車をこいだらそれだけで疲れてしまうでしょう。きっと次の日は筋肉痛です。 「Tさん今日は大変でしたね。体、大丈夫ですか?」と聞くと、 「な~に大丈夫だよ!!明日は孫連れて海に行くだに。」とおっしゃっていました。でも本当はきっと疲れていたと思います。そんな全力で頑張っているTさんに感動し、弱音や不満を口に出さず人に感謝の気持ちを忘れないと言うTさんの心の強さを感じました。短い会話でしたが、自分自身の未熟さを実感し、私も見習ってもっと頑張らないといけないと思うことができ感謝しています。

院長の一言 次から次へとやらねばならないことがあると不安になっている暇がなく、楽な面もありますが、休養は大切で、働きすぎはよくありませんね。