博愛新聞 平成20年 4月号 (第107号)

近視の強さについて


 私達は、裸眼視力が0.1しかないので強い近視だろうとか、裸眼視力が近視の強さを示すと考えますが、それは大きな間違いです。実は、裸眼視力は非常に不安定なもので、日によってまた一日の内でも変化し、目を少し細めれば0.1が0.5になってしまうことも、まれではございません。続けて2回視力検査をしても、裸眼視力が一致する確率は100%ではありません。
 では、近視の強さを計る”ものさし”として、安定し信頼できるものは何なのでしょうか。それは、医学的には、遠点の距離なのです。裸眼で、かすまずに、はっきりすっきり見える範囲で最長の距離が、遠点の距離となります。例えば、眼前25cmまで、はっきり見える近視は、遠点の距離25cmの近視となります。眼前50cmなら、遠点の距離50cmの近視です。そこで、目を一つのレンズとみなし、レンズの強さの単位D(diopter)で近視の強さを簡潔に表現しました。
 右の数式より、遠点の距離25cmの近視は-4Dの近視で、遠点の距離50cmの近視は-2Dの近視となります。0~-3Dの近視が軽度近視で遠点の距離が33cm以上となり裸眼で楽に本が読めますので、メガネを常時かける必要はありません。-3D~-6Dが中等度近視です。-6D以上の近視が高度近視で、遠点の距離は約17cm以下となり、本を読むにもメガネが必要ですので、メガネを常時かけないと不自由です。高度近視は、多少、網膜剥離や緑内障になりやすいです。

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私の医療体験 視能訓練士     原田 宏美 

 あと2ケ月すると、我が家にもう1人新しい家族が増える予定です。長女を出産して約6年も経過しているので、期待感よりも不安感の方が大きいように感じます。
 妊娠をして医療を受ける側になってはじめて事の重大さに気づいた事は、社会問題にもなっている産婦人科医及び施設の減少です。医療を受ける側としては、妊娠という状態でさえ不安なことが沢山あるのに、施設の減少や縮小の為にそれ以外の不安、負担が増えてしまいました。里帰り出産が出来ないとか、検診の待ち時間が長時間に及んでしまう等。
 しかしそれ以上に医療を提供する側の負担の方が大きいのかもしれません。以前ある産婦人科の医師が、忙しいという理由で医療の質が落ちてしまうのではないか、出産の喜びを感じるより先に、一日何事も無く無事に終わった事に対して安心感を得てしまう・・・という話を聞いたことがあります。
 現在私は、博愛眼科の院長先生はじめスタッフの皆さんのお気遣いのおかげで、母子共に順調に週数を重ねています。指示された週数までは、出産を受け付けていない施設で検診を受けていますが、そこはいつもゆったりとした医療を受けられています。良い信頼関係を築く為にも、お互いに気持ちに余裕を持てる状態にある事が不可欠ではないでしょうか。一刻も早く、誰もが安心出来る制度を確立して欲しいと願っています。

院長の一言 日本は、国民の協力を得て迅速で的確な医療をし、診療制限の回避と待ち時間の短縮を計っているのが実情です。米国のように1日20人位の方をゆったり診療するのが理想ですが、そのため米国は医療費が数倍で医療難民が4千万人以上です。