博愛新聞 平成20年 3月号 (第106号)

不同視と不等像視について


 不同視(ふどうし)とは、屈折度が左右の目で異なる状態をいいます。屈折度は屈折異常の強さの量を示すもので、単位はD(ジオプター)で表わし、正視がゼロDです。マイナスの値が強いほど強い近視で、プラスの値が大きいほど強い遠視となります。例えば、-5.25Dの近視の目は-2.50Dの近視の目より近視が強く、+1.00Dの遠視は+0.75Dの遠視より強い遠視です。不同視が臨床上問題となるのはこの差が約2D以上になる場合で、眼精疲労・眼痛・充血・涙目・複視・斜視・弱視の原因となります。特に小児では弱視と斜視に注意が必要です。
 不等像視(ふとうぞうし)とは、同じ物を見ても左右の目で大きさが異なると感じる状態をいい、右目で大きく見え左で小さく見えるというような症状です。その原因は、約2D以上の不同視をメガネで完全矯正した場合や眼底疾患等ですが、精神疾患でもみられます。屈折異常をメガネで完全矯正した場合、強い遠視ほど物は大きく、強い近視ほど小さく見えますので、不同視が強くなるほど不等像視も強くなり、眼精疲労等を引き起こします。その対策は、どちらかの目の視力を優先させて、屈折度の差を小さくしたレンズで眼鏡を作ることです。
 眼底疾患で不等像視が起きる原因は、網膜の萎縮と浮腫が関係します。光が網膜を照らす場合、網膜が萎縮し網膜自体のサイズが小さくなると、網膜に対して光の大きさは相対的に拡大しますので、その光を大きく感じます(萎縮が高度になれば光を感じませんが)。浮腫状の網膜は網膜自体のサイズが大きくなっておりますので、網膜に対して光の大きさは相対的に縮小します。それで、感覚的にその光が小さく見えます。つまり、網膜が萎縮すると物は大きく見え、網膜に浮腫があれば小さく見えます。

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私の医療体験 主任     小林 真里 

 あの日は、長男の3度目の運動会でした。後、数ヶ月で3歳になる次男は普段からとてもやんちゃな子供でした。小学校の一番高い鉄棒に登り肘から落ちてしまいました。
 病院へ連れて行くと、右上腕顆状骨折と診断され手術が必要だと言われた。一般的な検査をし、手術への説明を聞き、内容は理解できても本当にこの細い腕が今までの様に動くのかがすごく不安でした。手術後のリスクについて聞くうちにこれから先への不安が増していったのを忘れられない。
 親にはわからない子供の不安や痛みからか夜泣きが始まり、昼間も前より甘える様になった。今まで出来た事も出来なくなってしまった。そんな次男を助けてくれたのが、隣のベットの男の子でした。その子も数日前に同じ手術を終えたばかりでした。その子も不安で痛かったけれど次男が同じ怪我をして、そこに一緒にいるだけで勇気づけられ、お互いの不安を少しずつ軽減していた様に思えた。この時、こんな小さな子供でも本当は強いんだと実感させられました。
 今は、右腕も左腕と同じ様に動く。本当にうれしい事です。入院中にお世話になった方々に感謝をしています。まだまだやんちゃで、いつ又怪我をするかわからない次男。これからも元気にたくましく成長を続けてほしい。

院長の一言 怪我がよくなって本当によかったです。健康が一番大切ですね。