博愛新聞 平成19年 9月号 (第100号)

涙嚢鼻腔吻合術について


 涙は涙腺で産生され角膜・結膜を潤し涙点から涙道(涙小管・涙嚢・鼻涙管)を通って鼻腔に排出されます。流涙・涙目(目に涙が多い状態)の原因は、涙の産生が過剰か、涙点や涙道の狭窄・閉鎖です。このうち、鼻涙管の狭窄・閉鎖による流涙・涙目が涙嚢鼻腔吻合術 (るいのうびくうふんごうじゅつ) の適応となります。
 涙嚢鼻腔吻合術は、涙嚢と鼻腔を直接つなげて(吻合という)、鼻涙管を通らずに涙が直接鼻腔へ排出されるようにする手術です。局所麻酔で90分位の手術です。骨を削る時 (約10分間) のみ痛いですが、我慢できます。この手術をすれば70%は完治します。特に急性涙嚢炎から慢性化し涙嚢が肥大化したケースでは90%以上良くなります。
 流涙・涙目の一般的な治療手順は、まず、点眼治療です(有効率約50%)。無効であれば、色々と点眼薬を変更しても効果が得られないことがほとんどですので、通水検査(涙道に水を通す)を行います。それで涙道の狭窄・閉鎖を発見すれば涙道ブジー(細い鉄線を通し涙道を広げる)をします(有効率約30%)。これが無効ならシリコンチューブ挿入術(涙道にシリコンチューブを入れたままにする) をします (有効率約50%)。これも無効で、しかも流涙・涙目が苦痛なら、ぜひ涙嚢鼻腔吻合術を受けることをお勧めします。


トップページへ

 


開院10周年 技師長     清水 しげ子 

 いつもの様にドアーが開きクリニックがスタートしました。しかし2007年8月2日(木)は、10周年を迎えた翌日。玄関の花までがなぜか優しく感じ、クリニック新築現場に植えられていた「すみれ」の花を思い出します。オープニングスタッフとして最初の患者さんを迎えた時の真剣さと緊張感。10年経った今、実に感慨深いものがあると同時に、時の重さをひしひしと感じています。院長先生の 「患者さんのために」 との教えの基、患者さんに接して参りましたが時として不快な思いをさせてしまいました。本当に申し訳なく思います。院長先生の患者さんに対する真剣さと、愛が深いほど厳しさも増します。院長先生に対する感謝の気持ちが患者さんの笑顔となるのだと思います。この笑顔を見て、この仕事につかせて頂いて本当に良かったと思います。  ◎手術台に流るるメロディは里の秋 極度の緊張ほぐれゆくなり   ◎麻酔効きて痛みなき眼にオレンジの 光かざされメスの入りゆく   ◎カレンダーの文字あざやかに先づ見えぬ 眼帯取れし術後の眼に      H16年10月に白内障の手術された時にいただいたY様からの句です。患者さんからたくさんの勇気、優しさ、愛を頂きました。これからも初心を忘れることなく患者さんのために博愛の精神で頑張りたいと思います。

院長の一言 すみれは最も好きな花のひとつです。亡き父の自費出版 徒然抄(すみれ随想)にちなみ、父への供養の意味も込めて、私が医院建設現場の片隅に植えました。