●特集 印刷の今●入 門 編〈3〉カラー印刷のしくみ

『DENSAN MONTHLY』Vol.04でお伝えしたように、印刷には「凸版」「凹版」「平版」「孔版」の4方式があり、現在の主流は「平版」で、その中でも代表的なものが「オフセット印刷」です。 この号では、そのオフセット印刷におけるカラーの表現方法についての概略をご説明いたします。

オフセット印刷に「濃淡」はない!?
たとえば新聞に印刷されているモノクロ写真をルーペなどで見ると、一般のプリント写真とは違って小さな点々がいくつも並んでいるのが分かります。この点のことを「網点(あみてん)」または英語で「ドット」と呼んでいます。平版や凸版の印刷ではインキの皮膜の厚さが一定なので、写真の濃淡(明暗)をインキの量を多くしたり少なくしたりして表すことができません。そのかわりに、このように大小の点を無数に連ねることで明暗を表現しているのです。すなわち、暗い部分(シャドウ)は大きい点で、明るい部分(ハイライト)は小さい点で表すことにより、微妙な濃淡の再現も可能にしているのです(図1)。したがって、一般的に写真や絵画を印刷で再現する場合には、原稿の濃淡を網点の画像に変換する必要があります。現場では、この工程をスキャニング、そのための機器をスキャナと呼んでいます。この網点は、もちろん作為的に作ることもできます。新聞の広告などによく見られる薄墨状の部分がそれで、網点面積率(=網点%)によって墨の「濃さ」が違ってきます(図2)。また、同じ50%の網点でも、大きな網点の画像よりも小さな網点の画像の方が、よりきめ細かな表現ができます(図3)。
(スキャナを一口で定義すれば「写真原稿をスキャン(走査)して、電子的に色分解し、それとともに色補正や階調補正も行って、分解・網出しをする機械」といったところでしょうか。旧来は、モノクロ写真はカメラ製版という方法で、カラー写真の色分解は補色フィルターを用いて分解網ネガフィルムを作る方法で行われていましたが、デジタル技術の進化に伴いスキャナが急速に普及し、今ではカラー・モノクロともにスキャナによるスキャニングが一般的になっています。

■図1(写真提供:(株)インプレス) ■図2
■図3 左)大きな網点 右)小さな網点

網点が1インチ(約2.54cm)あたり何個あるかを「スクリーン線数」といい、網点の密度(細かさ)を表します。新聞印刷では85〜100線、一般のモノクロ印刷では100〜150線、カラー印刷では150〜175線がよく使用されます。

C・M・Y・BLで全ての色を表現
私たちが普段目にするチラシやポスター、カタログといったカラー印刷物。そのほとんどがオフセット印刷方式による4色印刷で刷られています。……と、ここで首をひねる方も多いでしょうが、とりあえず次を読み進めてみてください。  その4色とは、黄(イエロー=Y)、紅(マゼンタ=M)、藍(シアン=C)、そして墨(ブラック=BL)で、YとMとCは減色混合の三原色であり、理論的にはこの3色ですべての色が表せるはずなのですが、現実にはインキの不完全さを補うためにBLが必要になります。……よけい分からなくなってきたですって? ごもっとも。では、理屈は後回しにして実習に移りましょう。墨は「BK」または「K」と表記されることもあります。
まず、これがY・M・C・BLのナマの色(網点100%)です。
Y100 M100 C100 BL100
次に、前項でご説明したような網点処理を施してみます。始めにCとYの2色で。
このふたつを重ねると、こうなります。
今度は3色を混ぜてみましょう。M・C・Yそれぞれの網点は…。
上の三つを重ねると……。
これにさらにBL20を加えてみます。
このような「網のかけあわせ」の指定は、以前はデザイナー個々の経験則的ノウハウの分野でしたが、現在ではDTPにより誰でも容易に画面で確かめながらできるようになりました。
カラー写真は4色の小さな点が作る点描画
「網点」と「4色の混色」をご理解いただけたら、次の「カラー写真の再現」も容易にお分かりいただけることでしょう。スキャナにより色分解されたY版・M版・C版・BL版それぞれと、それらを重ねたものを次に掲げてみます。
Y版 C版 M版 BL版 Y+C+M+BL版