小沢民主党幹事長は今何を考えているか(2010.5.30,6.2,3)
小沢民主党幹事長は、鳩山首相を切る(首相を辞めさせる)つもりだという見方が最近出ている。その根拠は、首相が総選挙で「最低でも県外」と語ったことは公約だと批判したり(鳩山首相は民主党の公約ではなかったと言った)、更迭された福島瑞穂さんに電話して「あんたたちが言っていることが正しいよ」と語ったことなどである。これまで普天間問題に沈黙していながら、今になって自分だけが良い子になろうとする無責任さはひどい。それはともかくとして、この一連の発言が鳩山首相を切るつもりからのものだというが、そんな単純なものではなかろう。
鳩山首相に退任を婉曲に促しても、本人が続投する意思を変えないので、自分が責任を取って幹事長を辞めて、参議院選挙の失点を最小限にとどめ、選挙後の主導権を確保しようとする作戦を考えている可能性があるように思う。幹事長辞任を行うタイミングは参議院選挙の党候補への金銭的支配を最大限に確保した上での選挙直前であろう。この作戦は一定の成果を挙げるであろう。
いずれにしても、今のままでは民主党は参議院選挙で勝てないであろう。そのことは小沢民主党幹事長も人一倍感じているはずである。百戦錬磨の小沢氏が無為のまま選挙に臨むはずはない。選挙直前の勝負手を必ず打ってくるであろう。自身の幹事長辞任が将来への布石になるという状況を作れれば、そうなる可能性が最も高いのではなかろうか。小沢氏の次善策としては鳩山首相の辞任ということではないだろうか。可能性としては低いが、両方が辞めることもあるかもしれない。一番可能性が低いのは、両方が辞めないまま参議院選挙に突っ込むことであろう。
追加 鳩山、小沢両氏の辞任について(2010.6.2)
上文で、“可能性としては低いが、両方が辞めることもあるかもしれない”としたが、そいう事態になった。
本2日午前に、国会内で開かれた臨時の民主党両院議員総会で、鳩山首相は辞任の意思表明を行った。さらに、小沢幹事長に辞任を求め、小沢氏はそれを認めたという経緯も説明した。これについて、asahi.com(朝日新聞社)の午後の記事には、“小沢氏が引きずり降ろされる結果になったことも事実だ。最大勢力である小沢氏のグループに不満が広がり、党内が混乱する可能性もある。”とある。
この推測は当らないであろう。形の上では小沢氏は鳩山氏に説得されたことになっているが、元々小沢氏は自分が辞める以外に現在の局面を打開できないと思っていたはずである。上文で述べたように、自分だけが辞めるシナリオもあったに違いない。そうでなければ、 自分のカネの問題を認めてまで、あっさりと鳩山氏の「説得」に、“わかった”と応じることはあり得ない。あくまで自分は死んだ振りをするのが作戦なのである。
さて、今回の二人の辞任が民主党にとって、現段階での最高の作戦であることは間違いない。今回のいわば「目くらまし辞任」と、今後の代表や新内閣、党人事決定を巡る演技次第で、結果はかなり違ってくるであろう。可能性は低いが、最高の劇的な効果を生むこともあるかもしれない。演技を見抜く目がマスコミにも選挙民にも求められる。ともあれ、両方が辞めないまま参議院選挙に突っ込んだ場合に比べれば、ある程度の効果は出るであろう。
追加2 小沢氏の思惑について(2010.6.3)
鳩山首相は小沢氏を道連れ辞任に追い込んで、最後に思い切ったことをしたと、渡部幸三氏、舛添要一氏、加藤紘一氏などの与野党の国会議員が評価している。また鳩山首相もそう思っているようである。とんでもない思い違いである。こんなお人好し(?)たちでは、小沢氏に太刀打ちできるはずはない。
小沢氏が辞めないで参議院選挙に突っ込んだ場合、惨敗は必至の状況であった。そのことは誰よりも小沢氏には分かっていた。惨敗すれば小沢氏の影響力は極端に落ち、政治的生命は終る。そうなるよりも道連れ辞任という形で辞めたほうが、参議院選挙後に力が発揮できるし、選挙の敗北度も少なくできると判断し、鳩山首相に道連れ辞任を言わせるように仕向けたのである。だから上述したように、自身が沖縄基地問題で鳩山首相を批判したり、更迭された福島瑞穂氏に電話して、鳩山首相の退陣を暗に促し、さらに輿石東参議院会長や高島良充筆頭副幹事長に首相批判をさせたのである。そうすれば自分に跳ね返ってくることが分からない小沢氏ではない。つまり初めから自分が辞めるつもりがあったのである。
さて、小沢氏主導で民主党代表選が行われることが早くも露呈している。鳩山首相の辞任表明から2日で代表を選出しようとするのは、明らかにリモートコントロール可能な菅直人氏にしたいからである。しかもその意図を隠すフェイント戦術として、田中真紀子氏や立候補を表明した樽床伸二衆院環境委員長を担ぐなどという素振りを見せていた。だが結局自主投票にして、底が割れている。やることが姑息過ぎる。選挙民は騙されてはならない。