「構造工学落穂拾い」の出版について(2008.5.17,30,6.2)
このたび拙本「構造工学落穂拾い」(出版社:潟pレード、5月30日発行、定価:1,500円)を出版いたします。6月の初めには、主な書店に並ぶかと思います。内容は下記の「まえがき」と「目次」にありますように、ごく専門的なテーマであります建設構造工学の諸問題について、教科書・参考書にはない明解な説明をしています。特にプレストレスを入れても破壊強度の増加がないことについて詳述しています。
なお付録としまして、最近の政治・経済・社会問題に関して新聞などに掲載しましたコラムを載せました。
ページ数にして、3分の2が本文、3分の1が付録という構成になっています。
記
まえがき
信州大学工学部を停年退職してから丸9年が経過した.在職中に講義資料としてまとめたものの中で,必ずしも通常の教科書・参考書になくて、今でも問い合わせがあったりする,幾つかの問題に関連して上梓したのが本書である。
第1章では,構造工学の基本知識である,応力とひずみ,応力のモール円などを踏まえて、コンクリートの破壊と鉄筋コンクリートの柱・橋脚に用いられる帯鉄筋の働きについて、通常の教科書・参考書にはない観点から解説した。
材料の物体内の要素の応力成分がどんな条件を満たせば,要素が降伏し、塑性変形が始まるかを判定する基準を降伏条件といっている。第2章では,応力テンソル,応力・ひずみの不変量の説明を踏まえて、鋼やコンクリートなどの等方性構造材料の降伏条件に関する諸説について,総合的に解説した。この中で触れている,鋼のせん断降伏強度と引張・圧縮降伏強度の関係の根拠については、通常の教科書・参考書には記載されていないために、時々資料請求を頂戴している。
第3章では,阪神・淡路大震災以降に本格的に採用された、いわゆる二段階耐震設計法について、第1章の解説を踏まえて,総合的な観点から説明した。
仮想仕事の原理は構造工学の弾性・塑性解析問題ではしばしば用いられる基本的な原理である.ところが通常の教科書・参考書の説明では、この原理にはどんなところにメリットがあって、何を狙ってこの原理を適用するのかについては説明不足で理解しにくい。第4章では、仮想仕事の原理と補仮想仕事の原理の意味と,これらを用いて得られる式のメリットを明確に示し,各種解析・計算問題への適用例を具体的に示した。
プレストレスト・コンクリートに入れたプレストレスには強度(終局耐力)を高める働きはない。ところが,一部のコンフリートエ学の教科書・参考書などで、プレストレスを与えておくと、破壊荷重の増大を図ることができると説明されている。このようなプレストレスが破壊荷重を増大させるという説明は適切ではない。筆者のホームページ(http://www.avis.ne.jp/〜cho/pres.htm1/)に、この議論の要点を7年前から載せていて、今でも時々詳細を知りたいという問い合わせを頂戴している。第5章に正確な計算法による確認を含めて、プレストレスには終局耐力を高める働きはないことを詳細に解説した。
書題に「落穂拾い」とあるように,殆どの章は独立している。興味を抱かれた章だけをお読みいただくだけで、ご理解いただけるようにまとめたつもりである。
本小冊子が構造工学の発展のために少しでも寄与できれば幸いである。忌揮のないご意見をお寄せいただくことを心から願っている。
筆者は以前から直接の専門である構造工学・構造設計学ばかりではなく、これらに大いに関係のある、安全論,社会資本整備や政治,経済に関する諸問題の議論に挑戦してきている。その一端を知って頂くために敢えて付録として「老兵の独り言」を添付した。
平成20年5月
著者
目次
第1章 基礎知識とコンクリートの破壊
1.1 応力とひずみ
1.2 鋼とコンクリートの応力ひずみ曲線
1.3 応力のモール円
1.4 コンクリートの破壊
1.5 帯鉄筋の働き
第2章 材料の降伏条件に関する諸説
2.1 序
2.2 テンソル
2.3 応力テンソル
2.4 ひずみテンソル
2.5 不変量
2.6 3次元のHookeの法則
2.7 降伏条件
第3章 耐震設計の考え方
3.1 序
3.2 荷重一変位曲線とじん性率
3.3 エネルギー一定則
3.4 二段階設計の考え方
第4章 仮想仕事の原理とその応用
4.1 序
4.2 弾性解析への応用例
4.3 塑性解析への応用例
4.4 塑性ヒンジ点の塑性回点角の計算法
4.5 塑性ヒンジ点の塑性回点角能力の限界の存在
第5章 プレストレスに強度を高める働きなし
5.1 はじめに
5.2 プレストレスの働きについて
5.3 正確な計算法による確認
5.4 プレストレスト・コンクリートのメリット
5.5 自己ひずみ応力に関する定理との関連
5.6 おわりに
参考文献
付録老兵の独り言
付1 序
付2 憲法・政治問題など
付2.1 国民投票法案最低投票率の弊害に目を
付2.2 憲法九条問題を考える
付2.3 自虐史観について
付2.4 安部内閣の評価について
付2.5 個人情報保護法は天下の悪法
付2.6 建築基準法の改正に伴う混乱について
付3 経済施策問題
付3.1 格差社会是正は急務
付3.2 経済施策の大転換こそが日本を救う
付3.3 国民の金融資産1500兆円の生かし方
付4 新幹線建設問題
付4.1 新幹線開業に伴う在来線のJRからの分離施策は誤り
付4.2 整備新幹線の並行在来線問題について
付5 賀状転記追記 ご購入方法について(2008.5.30)
ご購入いただく場合には、主な書店もしくはインターネットの例えば下記のYahooにて、お取り寄せください。また直接著者にご連絡いただければ、お送りします。
記
Yahooのアドレス
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/32078526/

B5判・96頁(ハードカバー)
拙本誤植訂正(2008.6.2)
拙本に誤植がありました。お手許に拙本をお持ちの方は、恐れ入りますが、89ページの下から5行目の「中でもは必須であります.」は削除願います。なお、今後著者からお送りします場合には、この部分は削除してあります。