大地震の発生頻度について(2011.3.20,24,13,15)
ある高名な地震学者がテレビでアナウンサーから、「最近地震は活動期に入っているのではないか」と聞かれて、次のように答えていた。
「よくそんな質問を受けるが、そうではない。今回もしばらく空白期があって発生している。」
3年弱前に、拙文「兵庫県南部地震頃から大地震の発生頻度はうなぎ上りに上昇している!!」、「岩手・宮城内陸地震に思う」を載せた。その際に、戦後昭和21年以降に日本列島内部とその周辺で発生した大地震(マグニチュード6.8以上)の、毎年の年間発生回数(余震は除く)と、それぞれの年を含むそれまでの過去10年間の平均発生回数を調べて、図化して示した。その上で、次のように指摘した。
「1995年に発生した兵庫県南部地震前後以降、10年平均で、2年に一度(図の値の0.5)を越す頻度で大地震(マグニチュード6.8以上)が発生し、その傾向はうなぎ上りに上昇し、現在では明治以降(実は記録にある有史以来)、2004年までに最大値であった10年 間の平均発生回数の0.8(1948、1952年)の5割増しの1.2にもなっている。また図示範囲外を含む1992年までの年間発生回数の最大は2回であったのに、1993年以降は年間3回というのが3年もあり、最近の発生頻度の異常さが目立っている。…
いずれにしても日本の最近の傾向を地震の活動期だということでは説明できないように思う。何故ならこんな異常な活動期は、記録で見る限りかつてないからである。長い間の自然現象としては極めて異常な傾向である。ごく一部に人工地震説があるが、それを信じたくなる(もちろん信じないが)ような事態であるように思う。
古い記録は精度が低い上に、記録漏れがあるということ、また最近は観測箇所も増えているということなどから、見掛け上頻度が急上昇しているという考えもあるかもしれない。しかし、甚大な被害の記録回数からも、単なる見掛け上の傾向とは言えないように思う。」
今回、改めて最近の大地震の記録を含めて、同じ戦後の昭和21年以降に日本列島内部とその周辺で発生した大地震(マグニチュード6.8以上)の、毎年の年間発生回数と、それぞれの年を含むそれまでの過去10年間の平均発生回数を調べて、図化して示したのが次図である。

なお、今回の図は3年弱前に示した図と異なっている。その際に使用したデータに漏れがあり、全体にマグニチュード6.8以上の回数、過去10年間の平均発生回数共に増えている。したがって、上で再掲した「2004年までに最大値であった10年間の平均発生回数の0.8(1948、1952年)の5割増しの1.2にもなっている 。また図示範囲外を含む1992年までの年間発生回数の最大は2回であったのに、1993年以降は年間3回というのが3年もあり、最近の発生頻度の異常さが目立っている。」の部分は「1999年までに最大値であった10年間の平均発生回数の1.2(1946、1947、1948、1952年)の 5割増しの1.8にもなっている。また図示範囲外を含む1992年までの年間発生回数の最大の3は1961のただ1度であったのに、1993年以降は年間発生回数3というのが4度もあり、最近の発生頻度の異常さが目立っている。」と、お詫びして訂正する。(着色部は2011.3.24に修正、追加)
いずれにしても、1993年以降マグニチュード6.8以上の大地震が3回以上の年が数回あり、しかも過去にはなかった4回の年もあり、1995年に発生した兵庫県南部地震以降、10年平均で、2年に一度以上(0.7以上)の頻度で大地震が発生し、その傾向はうなぎ上りに上昇しているのは紛れもない事実である。
特に2000年以降の傾向は、異常である。一部には、地震計と震度計が増えたことや、震度計が震度を大げさに計測されるアルゴリズムになっていることを挙げて、地震そのものが活動期だとは言えないという指摘もある。だが、僅か10年で、急激に地震計と震度計が増えたわけではないし、筆者の専門のコンクリート構造物の震害例から考えても、地震そのものの規模が大きいのが頻発しているのは間違いない。
したがって、冒頭に紹介した地震学者の見解「今回もしばらく空白期があって発生している」は著しく事実に反する。事実は地震の活動期を遥かに越えた異常事態の段階と言わざるを得ない。学者の無責任な放言は許せない。
補足 今後はどうなる?(2011.3.24)
今すぐ起きても不思議ではないと予測されている大地震は、東海地震、南海地震、東南海地震、関東地震、松本地震他など沢山ある。しかも今回の超大型の連動型地震に誘発されて、これらのどれかが近々起きる可能性が増しているとも考えられる。
しただって、大地震の頻度傾向がさらに上向くのは間違いないように思われる。原発事故を初め、構造物の震害、火災、津波災害とその事後対応策を早急に練り直す必要がある。
なお、今回の福島原発事故とその対応の拙さは、テロ集団ないしテロ国家に格好の材料を提供したことになってしまっている。テロへの対応を含めて抜本的に原発問題は考え直さなければならない。ただし、全面稼動停止を直ちに実行すべきだと必ずしも言っているわけではない。原発の安全確保の基本思想である多層防護に基く対応策を見直すことを含めて、原発問題は考え直せと言っているのである。
追加 異常余震は何を意味するのか(2011.4.11)
本11日に東日本地震の余震が、21時40分現在で、17時16分に発生した最大震度6弱、マグニチュード7の最大地震を含み異常発生している。東日本地震発生2日後の3月13日に震度2以上の発生回数が37回で、その後昨日までこれを下回っていて、全体としては減少傾向であったのに、本日は21時40分現在で53回となっている。しかも福島県浜通りを震源とする地震が相次いでいる。こんな事態は初めてであるように思う。今後の推移を慎重に見守りたい。
追加2 異常発生余震補足(2011.4.13)
4月11日の震度2以上の余震発生回数は78回、12日は67回と余震の異常発生は続いている。なお、データは「東北地方太平洋沖地震発生前後の地震発生回数の推移グラフ」(アドレスは「参考1」に示す)によっている。
「気象庁|東北地方太平洋沖地震の余震回数」(アドレスは「参考2」に示す)によると、マグニチュード5以上の余震の回数積算図で見ても、3月23日の急上昇ほどではないが、それに次ぐ急上昇ぶりを示している。因みに、3月23日のマグニチュード5以上の余震の回数は15回で、4月11日のそれは7回である。震度2以上の発生回数が3月13日の37回で、その後はこれを下回っていたのに、4月11日の震度2以上の発生回数が78回なのは、極めて異常だという印象を受けるが、ある程度以上の規模の地震では、それほど異常ではないのかもしれない。しかし規模の小さい地震が急増したということであり、これはこれで注目していなければならないことかもしれない。あるいは巨大余震の前触れかもしれない(この着色部は2011.4.15に記入)。
参考1
参考2
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/2011_03_11_tohoku/aftershock/
追加3 余震と誘発地震(2011.4.15)
余震とはある本震で崩されたバランスを取るために起きる地震を言うようである。これと紛らわしいのは、ある本震の直後に起きる誘発地震である。この誘発地震は元々独立に起きる地震がある別の本震に促されて起きるものである。一般的には、ある本震の地震域内で起きる地震は余震、その域外で起きる地震は誘発地震とされるが、域内で誘発される地震があるかもしれないし、その逆もあるかもしれない。ともあれ極めて曖昧な区別である。定義はどうであれ、巨大地震の後には、余震、誘発地震共に発生する確率は高いと覚悟すべきである。