拙本「構造工学落穂拾い」へ頂戴した主な意見の収録(2008.7.18)

 これまでに、30数名の方から拙本「構造工学落穂拾い」について、ご意見を頂戴している。その中から主なものを氏名を伏せて紹介する。なお儀礼的な部分や、やや冗長な部分は省き、基本的な部分のみを収録したことをお断りする。また新聞雑誌の紹介記事も載せる。今後も随時追加したいと思っている。

1.ある卒業生より(6月3日付けはがきで受信)
 早速拾い読みをさせていただき、特にプレストレスの話は、専門ではない私にとっても非常におもしろい内容で啓発された次第です。
 今後とも、マスコミや野党の不勉強さや国民への扇動、あるいは政府の弱気に対する、先生のご指導、苦言を期待しております。

2.ある大学を定年退職された先生より(6月5日付け手紙で受信)
 私もかねてより、“仮想仕事の原理”を理解しないで書いている人が多いとは感じていましたが、先生の書物を多くの人が読んでくれることを望みます。

3.長野経済新聞の紹介記事(6月5日付け)
 元信大教授の長さん「構造工学落穂拾い」出版 本誌掲載の老兵の独り言も
 長野経済新聞にコラムを連載している元信州大学教授の長尚(ちょう・たかし=長野市伊勢宮)さんはこのほど「構造工学落穂拾い」を出版した。全90ページのうち3分の2は「基礎知識とコンクリートの破壊」「耐震設計の考え方」など、専門的なテーマの建設構造工学の諸問題。付録「老兵の独り言」として、最近の政治・経済・社会問題に関して本紙などに掲載したコラムが載せられている。
 1冊1500円(税込)。主な書店で発売しているほか、Yahooからも取り寄せられる。直接著者(cho@avis.ne.jp)に申し込めば1200円(送料共)で購入できる。

4.ある大学の先生より(6月6日メールで受信)
 私自身は,本学に赴任してからかなりの期間はともかく,この数年,学生の基礎学力の著しい低下に伴って講義内容よりは講義方法の方に気持ちがまわり,「まえがき」に書かれておりますような「通常の教科書・参考書にはない講義資料」作りの努力を怠っております。
 また,一時,関心を持って勉強したPCからも最近は遠ざかっておりますので,「プレストレスを入れても終局強度の増加はない」ことについても,新鮮な気持ちで読ませていただきました。
 加えて,政治に関する諸問題に対する積極的なご発言内容からは,何とかして今のわが国の実情,流れを変えたいとのお気持ちが伝わってきます。

5.ある大学の先生より(6月7日付け手紙で受信)
 先ずは、国家の伝統保守論楽しく拝読させていただきました。明治の日本人が公の土木、私の建築と言語で分けた世界にない知恵を知ることが土木を教える根っこかと感じている私にとって大変興味あるところでありました。

 PCの強度論も楽しく読ませていただきました。…
 いろいろと書いてしまいましたが、脳が活性化される本です。

6.ある大学を定年退職された先生より(6月18日付け手紙で受信)
 付2.6に述べられました先生のお考えは、まさにご指摘のとおりです。適合性判定を数年間程度続ける間に、抜本的な建築基準法の改正を期待しています。しかし、国交省にはその気は全くなさそうで、若い人たちが構造設計に創造の魅力を感じなくなってしまうのが大変心配です。

7.日経コンストラクション誌紹介記事(2008.7.11号)
 大学を退官した著者が、在職中に講義用にまとめた資料から、いくつかの問題について解説する。「落穂拾い」の書名が示すように、教科書や参考書ではあまり触れられない問題点を取り上げ、その一つひとつを詳しく解説する。
 例えば、プレスとレスト・コンクリート(PC)のプレストレスには終局耐力を高める働きはないという。その理由とPCの本来の特徴を説明している。「仮想仕事の原理」については、その意味とメリットを明確にし、適用例を具体的に示している。

8.建設オピニオン誌紹介記事(2008.7月号)
 建設構造工学諸問題について、教科書・参考書にない明確な説明『構造工学落穂拾い』
 信州大学工学部教授であった長尚(ちょう・たかし)氏が、ごく専門的なテーマである建設構造工学の諸問題について、教科書・参考書にない明確な説明を施した一冊を上梓した。
 本書は書題に「落穂拾い」とあるように、殆どの章は独立しているので、興味を抱いた章を読むだけで、理解できるようになっている。
 筆者は特に、コンクリートにプレストレスを入れても破壊強度の増加がないことにつて詳述している。
 また、本書の3分の1を占める付録には、最近の政治・経済・社会問題に関して新聞などに掲載したコラムを載せている。…

9.大学の同級生より(7月14日メールで受信)
 後期高齢者に対する社会のプレッシャーが次第に強くなる昨今、土木屋としての誇りや生甲斐を維持するだけでなく、政治、経済、社会の時事諸問題を取り上げて闘う貴兄の頼もしい姿に、改めて喝采を送りたいと思います。
 「正義は国を滅ぼす」というくだりに、最近読んだ本の「自分が正しいと思ったときから、間違いが始まる」という言葉を思い出しました。

10.旧国鉄の技術OBより(7月17日メールで受信)
 前半私もコンクリートを離れて約18年になりますが今でもその種の話にはつい目が行きます。いまだに良く分らないのはコンクリートのせん断のメカニズムで特に地震の多い日本ではまだまだ大きな問題だと思っております。
 …
 後半は私も共感するところが多く、日本人は良くも悪くも何となく現状の流れを容認しがちのところが多いように思います。もう少し本質(実際にはこれがまた良くわからない)は何かを考えるようにした方が良いように思いますが今後どうなって行きますか。

11.旧国鉄の技術OBより(7月17日メールで受信)
 私は研究生活を卒業して20年以上経過し、国鉄、JR、…でも管理業務が主体の仕事生活を送ってきた身であり、手っ取り早く読めたのは付録からでした。
 名前は付録とされていますが、工学を取り巻く社会分野の諸問題について、それぞれ大変重要な内容のご意見を展開されておりその勇気に感心をいたし、敬意を表する次第です。
「安倍内閣の評価について」、「自虐史観について」は私を含め一般日本人の多くが思っていることをはっきりと指摘しまとめられていると思いました。
 牛肉・鶏肉・うなぎ産地偽装、赤福・ミートホープ等のうそつき食品、防衛庁高級官僚の汚職事件、まだ残っている談合問題、大分県教員採用試験の不正事件等よくも次々と事件が表面化するものと辟易してしまいます。
 また、北朝鮮問題だけでなく、竹島問題で韓国ともギクシャクしてきています。
 談合問題にしても、食品の賞味期限問題にしても、all or nothing 式の解決法ではない、国としてまた国際的にも正当と認められる方法があるように思われます。
 先生の勇気ある発言に勇気付けられるところが大いにありました。今こそ自信をもって世界と向き合っていかなくてはならない時期に来ているのではないかと思います。
 マスコミも日本と言う国をしっかりさせると言う自覚をもって報道に当たってもらいたいものと考えます。
 1章から5章までも目を通させていただきました。
 この中では、3章「耐震設計の考え方」と5章「プレストレスに強度を高める働きなし」をよく読ませていただきました。耐震設計は、学生時代(私は41年卒)にはなかった考え方で行われるようになっており、参考資料は手元には何もありませんでしたので何かのときに読み直し、理解の補助に役立てられるかもしれないと思っています。
 5章のほうは、教科書・参考書におけるプレストレストコンクリートについての記述の誤り・不正確さを理解できました。「PC鋼材を用いてプレストレスを与えたプレストレストコンクリートと、PC鋼材を単に鉄筋として用いた鉄筋コンクリートは同じ終局耐力をもつ」ことを実際に計算して確かめた人は少ないかもしれません。5章の20ページの記述は何かのときに参考にさせていただきたいと考えています。

12.ある大学を定年退職された先生より(7月17日メールで受信)
 このたびの御著で特に第3章〜第5章の内容は、専門家(設計者や教員)が必ずしも本質を理解しないままルーチンワークとして使ったり教えたりしている事項であり、興味深く読ませていただきました。最近の技術者は市販のコンピューター設計ソフトに頼り切って、材料や力学の本質的理解に欠けることが懸念されます。
 開発当初のPCはコンクリートに引張応力を許さないフルプレストレッシングであったのに対し、後にパーシャルプレストレッシングやひび割れを許すPRCが導入された理由の1つは、本書第5章「プレストレスに強度を高める働きなし」によるのではないでしょうか。もちろん、高価なPC鋼材を減らせる経済的理由が大きいとは思いますが。
 阪神大震災後のRC橋脚の耐震設計に本格的に取り入れられることになった「地震時保有水平耐力設計法」は、先生が本書に書かれている通りエネルギー一定則に基づいています。しかし、「大地震時のRC橋脚の非線形応答変位の最大値がエネルギー一定則で推定できる」ことは理論的には証明できず、単なる経験則だと思われます。非線形動的解析と縮小模型橋脚の振動台実験等による検証結果があるとは思いますが、私はエネルギー一定則の実橋脚への適用性に疑念を抱いています。

< ホームへ >