新幹線着工に関する平成16年12月18日付けの朝日新聞の社説について(2005.1.28,29,30,3.26,27)

 先ず、平成16年12月18日付けの朝日新聞の社説として載った、「真冬の夜の悪夢 新幹線着工」を次の【 】内に示す。  

【整備新幹線の新規3区間の着工が決まった。北海道線の新青森から新函館、北陸線の富山から金沢、それに九州線長崎ルートの武雄温泉から諫早だ。
 その夜、夢の中に20年後の日本からタイムスリップしてきた歴史家と称する人物が現れ、語りだした。
  ◇ ◇
 新幹線はとうとう札幌と鹿児島が1本で結ばれ、北陸線も東京から大阪までつながりましたよ。でも人口は減り続け、バラ色の需要予測などどこへやら。豪華列車に客の姿はまばらで、走れば走るほど赤字がかさみます。
 思えば、04年暮れの予算査定が引き返す最後のチャンスでした。そのころ工事中だった九州線の博多―新八代などは、まだ大都市圏に近く、経済効果も見込めたでしょう。ここに予算を集中して、新しい着工は見送るべきでした。
 なにがなんでも造ってしまおう。与党と政府は、毎年JRから入ってくる新幹線の売却代金を担保に借金することまでしましたね。あれは90年代の初めだったでしょうか。東海道新幹線などは国が持っていたのですが、JRが買い取ることになり、代金は毎年720億円余の60年分割払いになったのです。
 それだけではありません。北海道線と北陸線ができれば、JR東日本も「棚からぼた餅」でもうかるだろうから、金を出せというのです。
 考えてもみてください。旧国鉄の巨額の借金のうち、24兆円が国の一般会計に移され、みんなの税金で返しています。新幹線を売った金にしてもJR東日本の増益分にしても、国民の負担を軽くするために使われるべきでした。
 着工のやり方もずるがしこかった。金沢から福井までの線路は後回しにしても福井の駅だけは造っておく。後戻りさせないための悪知恵ですよ。
 いま2025年。日本はどうなっていると思いますか。
 10年ほど前に政府の借金残高は1千兆円を突破し、家庭も収入以上に消費し、貯金も底をつきました。国の赤字を埋めるため、海外から借金するありさまで、金利も上がるばかりです。消費税が25%になったのは何年前のことでしたっけ。物価は高く、景気は悪いままです。
 そうそう、3区間に予算がついた04年といえば、「改革」を掲げた小泉純一郎さんが首相で、公共事業も構造改革が叫ばれていました。
 でも、採算の不確かな新幹線予算が無理やりひねり出される一方で、道路予算はガソリン税などの特定財源に守られて揺るがなかった。新幹線を急ぐなら、せめてその地域の道路建設はやめるべきだった。もう後の祭りですが……。
  ◇ ◇
 歴史家の後ろ姿を追ううちに目が覚めた。いやな夢は忘れるに限るが、政府・与党が決めた予算案をみるとそうはいかない。恐ろしい将来にまた一歩近づいたとしか思えない。】  

 これが社説というのだから呆れる。まともに反論する必要はないのかもしれないが、名にし負う天下の大朝日(?)なので、見逃すと世論に影響があると懸念される。敢えてコメントを加えることにする。
 先ず、朝日新聞は昭和33年に、鉄道ファンで作家の阿川弘之氏が、「新幹線建設には疑問をもっている。『世界の三バカ(万里の長城・ピラミッド・戦艦大和)』にならないように、専門家たちの再検討を願いたい」と書いたものを載せた。また新聞社自らも「これからは自動車の時代になり、鉄道は斜陽なのに、そんなものを作って何になるのか」と、終始東海道新幹線の建設に反対してきた。
 しかし、東海道、山陽、東北などの新幹線は料金収入だけでも大変な収益があり、しかも有形・無形の便益をもたらし、社会の発展に大変寄与した。そればかりではなく、環境にやさしく(二酸化炭素排出量は、単位当たり自家用車の8分の1、航空の5分の1と少ない)、省エネに優れ(エネルギー消費量は、単位当たり自家用車の5分の1、航空機の3分の1である)、安全、確実な大量交通機関として、世界に大きな刺激を与えた。
 結果として朝日新聞の予測は見事に外れた。後に阿川弘之氏は、昭和44年8月号の「諸君」で、開業時の国鉄総裁・石田礼助と対談し、「ケチをつけたが、見当ちがいで、磯崎さん(第6代国鉄総裁)にお詫びしておきました」と話しているが、朝日新聞はその不明をこれまで一言も詫びていない。この最初の反省もないまま、性懲りもなく、馬鹿の一つ覚えのように、新幹線の建設反対を主張している。

 個々の論点のいい加減さを指摘する前に、基本的な問題である新幹線の「採算の考え方」について述べておきたい。この社説では、通常言われているように、新幹線の採算とは、利用料金による建設費と運営費を賄うことを前提にしたものである。実はこの考え方が根本的に間違っているのである。高速道路もそうであるが、新幹線のような社会資本施設は、単に利用料金で評価されるものを遥かにこえた便益を社会にもたらすものである。したがって、東海道・山陽などの新幹線のような運賃収入を望めない路線でも、利用料金のみで採算を評価するのは適切ではない。最近税金の投入がなされるようになったのは理に適っているのである。“採算の不確かな新幹線予算が無理やりひねり出される”という、この社説には、このような採算に関する適切な視点が欠落している。

 “バラ色の需要予測などどこへやら。豪華列車に客の姿はまばら”というが、これまでの新幹線は“バラ色の需要予測など”はしていない。実績は予測を上回っている(注参照)し、今後も“バラ色の需要予測”はなされていない。
 “九州線の博多―新八代などは、まだ大都市圏に近く、経済効果も見込めたでしょう”とあるが、これまで整備新幹線の採算性に否定的であったのに、こんなことを言ったことがあるのか?これまで九州線の建設にも反対していたはずだが。一貫性のない無責任な言い方は止めてもらいたい。
 “恐ろしい将来にまた一歩近づいた”とあるが、近付けているのは緊縮財政施策である。エコノミストの植草一秀氏や紺谷典子氏も次のように指摘している。
 「積極財政で適切な公共投資を行って、形のある社会資本を残す(例えば将来必要となる新幹線などは、安くできる、この不況時に早く造るべきである)と共に、景気回復を図るべきである。」(平成16年12月8日の植草一秀氏の講演、別拙文「植草一秀氏の講演を聞く」http://www.avis.ne.jp/~cho/ueko.html参照)
 「不況の最中に増税や緊縮財政で財政再建に成功した国はひとつもない。財政再建は例外なく、好況による税収増の結果であるのに、財務省は、増税・緊縮財政を逆に強化しようとしている。」(紺谷典子『「改革」のレッテル疑って』、朝日新聞、平成17年1月15日)

 さて、いわゆる整備五線(北海道、東北盛岡以北、北陸、九州、長崎、総延長1514km)が計画決定されてから、既に30年以上が経過している。それなのに営業区間は北陸の長野まで、東北の八戸まで、九州の八代以南の、総延長341kmで、その他に今年度までの着工区間は406kmに過ぎない。しかも完成は6年後(北陸の長野―金沢間の開業は10年後)だという。既に何年も前から完成している部分もあり、投資効果から考えても、これまでに既に完成し、さらに残りの767kmを建設する段階でなければならなかったのである。着工区間を除く残りの整備五線の建設費総額は5兆円弱のようであるが、仮に10年程度で完成させるとすると、年平均約5000億円投入することになる。このように集中投資をして、重点的な社会資本整備を行うと共に、喫緊の課題である景気回復施策の目玉にしてほしい(注参照)。因みに04年度の日本道路公団の高速道路建設費は9160億円である。これに対して整備新幹線には、主として現在の着工区間の工事費であるが、05年度予算では2195億円しか計上されていない。

 最後に、同じ新幹線でもフル規格ではなく、建設費の安いミニ新幹線にすべきだという議論があるので、この問題について触れておく。
 確かに、これまでの実績ではフル規格に比べて、建設費は10分の1以下で、工期も半分程度である。しかし、主要幹線の場合はもっと建設費、工期共に掛り、改軌工事期間中のバス等による代替輸送の困難な場合もある。さらに時間短縮効果、列車本数、安全性、環境問題での優劣は次のようにはっきりしていて、一部の整備の補完的役割がミニ新幹線にはあるとしても、高速交通網の一環としての新幹線にはなり得ない。
@時間短縮効果
 既設在来線の能力(線形・車両性能等)によるが、最高速度130km/hにとどまるため、短縮効果は小さく、時間短縮率の実績は精々20〜30%に過ぎない(フル規格では100%以上)。
A列車本数
 運行の制約は現状と大きくは変わらないため、大幅な向上は困難である。
B安全性
 フル規格のように在来線の運行と分離されていないし、交差道路(踏切部)があるため安全性に極端な違いがある。
C周辺環境
 フル規格の重厚な設備による騒音振動の低減は見込めない。
D維持管理
 メンテナンスの軽減化は見込めない。


 東北新幹線 盛岡・八戸間:開業前の5割増(開業後同水準を継続)、利用者数予測9,100人/日に対し、11,500人/日(開業前7,600人/日)
 九州新幹線 新八代・鹿児島中央間:開業前の2.35倍(開業後半年余)  

補足 財政赤字の議論について
 このことについては、これまでしばしば述べてきたことであるが、改めて指摘しておきたい。
 国と地方の借金と隠れ赤字を総計すると、現在GDPの2倍にも達する巨額であるから、積極財政は不可能だとする意見が、感覚的に受け入れられ易く、大勢となっているが、実はこれは間違っている。
 故井上謙吾元神戸大学大学院経営学研究科教授は著書「何が正しい経済政策か」(日本経済新聞社)で次のように述べている。
“国や地方の財政が国内の貯蓄を使い切ってしまうという状態とはほど遠く…「政府」の借金は、国内貯蓄でまかなわれている限り、…経済学では…家計の借金とは異なり、基本的にツケではないとの見方が受容されてきた。…長期的にみて国債残高をゼロにする必要はない。国民が金融資産を蓄積していくとすれば、誰かの負債が増えなければならないのであり、国家財政については、それがやるべきことを効率的にやっているか否かが問題なのである。”

 政府の借金を個人の借金返済の感覚で捉えたり、訴えたりするのは間違っているのである。国民の金融資産、つまり貯蓄は誰かが有効な投資に使わなければならないのであり、不況で民間が使わない時には、政府が投資するために、貯蓄の範囲内で借金しても、国民が貸しているのであるから、国全体としては借金したことになっていないのである。
 したがって、財政の肥大化が潜在成長率を下げる場合や、財政赤字が海外からの借金でまかなわれているようなケースを除けば、借金が有効な投資に使われる限り、基本的にツケではないのである。
 つまり千数百兆円もの民間の金融資産があり、これを民間で使えなければ、政府が投資に使うのは理に叶っているのである。この点がアメリカのように現在も多額の借金を他国からしている国と根本的に違うところである。しかも借金を外国からしていると、いつ何時為替レートの変動や外国の経済状況で大変な損失を被るかもしれないというリスクがある。ところが日本の場合は国内からの借金であるから、このようなリスクを心配する必要はないのである。

 また井上教授が書いているように、“世によくいわれる「後世へのツケ」は、…民間部門の締め出し、「クラウディング・アウト(crowding-out)」から生じるのであって、…決して借金そのものがツケなのではない。…「現在世代」が「将来世代」にツケを残すのは、「現在世代」が自分たちの生産物以上に消費を行い、それを借金でまかなう結果、「将来世代」が自分たちの生産以下に消費を押さえ、その借金に充てる場合に限られる。…後世へのツケとして心配すべきものは、政府の借金そのものではなく、支出内容が不適切であったり、財政政策運営の誤りによって、わが国が低成長路線を余儀なくされることだ…”ということなのである。さらに「現在世代」の稼ぎが有効に投資されると、「将来世代」もその恩恵を受け、それに対する応分の負担は後世代へのツケではない。
 いずれにしても、国債が急に買われなくなったりする事態でもなく(ムーディーズの格付けを気にし過ぎるのは愚か)、日本経済が着実に2〜3%の成長を続ける限り(政策さえ誤らなければ、日本経済にはその潜在能力はある)、政府の借金を必要以上に心配する必要はないのである。

 もちろん借金を貯蓄の範囲なら幾らしても構わないといっているわけではない。景気が回復すれば、政府の借金といえども、減らしておいて、好況時の有効な投資と、将来の不況時や状況変化への備えをし、基本的には「大きな政府」を回避すべきであることはいうまでもない。
 以上述べたように、必要以上に債務額の水準の高さや後世代へのツケを強調したり、借金をゼロににしなければならないと煽るのは間違っている。いたずらに危機感を煽り、緊縮財政優先という間違った政策が、財政赤字を逆に倍増させ、為替損で金融資産の何兆円もの目減りをもたらしているのである。政策を適切に行って、GDP成長率を仮に2%高くすれば、10年間でGDPに匹敵する国民所得の増が生まれるのに、頓珍漢な施策で、逆にそれだけ損害を与えているのである。
 結局現段階とその後の財政施策で配慮しなければならないのは、まず着実な景気回復、有効な投資(非効率、無駄の排除)で、次いで状況に応じて、貯蓄・国債の買い意欲の減退への対応、「大きな政府」の回避なのである。
 なお、積極財政で財政が健全化することを訴えて積極的に活動されている日本経済復活の会(代表東大英数理教室代表取締役小野盛司氏)のHP(http://www.tek.co.jp/p/)には、積極財政に関する貴重な研究成果や資料などが紹介されているので、参照していただきたい。

追記(2005.1.29)
 2chのあるスレッドで、拙文に関して、次の【 】内のような遣り取りがあった。きっかけは別拙文「長野県の土木行政の基本と入札制度の朝礼暮改について」http://www.avis.ne.jp/~cho/ndnc.htmlであったが、内容的には本ページのほうが相応しいので、紹介して補足説明を加える。  

【898:名無しさん@お腹いっぱい。:05/01/28 13:48:23 ID:???
>>897
長 尚のホームページ  http://www.avis.ne.jp/~cho/ndnc.html
ま、漏れは、アンチ田中だが長先生のもっと公共事業を、もっと土木をというのは賛成できない。ましてや「参考のために、エコノミストの紺谷典子」などと言うあたりは勘弁して欲しい。現況でも、分相応の生活してりゃどうってことはない。

900:名無しさん@お腹いっぱい。:05/01/28 15:09:04 ID:???
>>898
>長先生のもっと公共事業を、もっと土木をというのは賛成できない。
と、あたかも長先生が不要な公共事業までも推進させようと論じているかのようなデマをまき散らすアンチなりすましマンセーであった。

903:名無しさん@お腹いっぱい。:05/01/28 15:21:10 ID:???
>>900
まあ、紺谷を引用したのはちょっとマズいと思うよ。先生の本業が工学だから、エコノミストと称する人々に免疫性がないのかも。いままでの紺谷の言動をトレースすると典型的なケインジアンで、その先には亀井静香が待っている。公共投資の乗数効果が低下している日本で、ケインズ的政策は効きにくくなっているのは確か。だからと言って康夫のやってるこたあ、単なる緊縮財政のみ。(しかも自分の利権は信州なんたらモデル予算で拡大中w)

914:名無しさん@お腹いっぱい。:05/01/28 20:55:36 ID:???
>>903
長は、時代遅れのケインジアンだね。公共事業拡大で財政破綻しても、まだ公共事業妄想にしがみついている。吉村時代の利権が忘れられないんだろうなぁ

921:長 尚:05/01/28 23:12:22 ID:???
 久し振りに書き込みます。
 >>914 の「名無しさん」さんへ
 レッテル貼りではなく、中身で議論しましょう。本日アップロードしました 拙文「新幹線着工に関する平成16年12月18日付けの朝日新聞の社説について」http://www.avis.ne.jp/~cho/asse.htmlもご覧いただいて、具体的にご批判願います。誰かさんと違って、口先だけではなく、文字通り批判は大歓迎ですので。

923:名無しさん@お腹いっぱい。:05/01/28 23:50:04 ID:???
>>921
スガリさんを相手にしても時間の無駄遣いです。その手の議論であればかなり閑古鳥鳴いているもののヤフ某トピのほうがまだマシかと。】  

 筆者自身も書き込んでいるように、“時代遅れのケインジアン”とレッテルで批判し、“公共事業拡大で財政破綻しても、まだ公共事業妄想にしがみついている”とか、“公共投資の乗数効果が低下している”と、筆者がこれまでしばしば指摘していることを読みもしないで、自身の思考停止に基づく思い込みで、感覚的に批判している。
 このような“時代遅れのケインジアン”というレッテルで判断される方々に、筆者の主張の科学的根拠の要点を挙げておく。  

@公共投資の乗数効果低下
 乗数効果が低下しているのは確かであるが、それなりの効果が発揮されてきたことは事実が証明している。比較的最近では、橋本内閣、小渕内閣で積極財政を行って、その効果は顕著に数字で出てきたのに、その都度橋本内閣は自身で、小渕内閣を継いだ森・小泉内閣で、ブレーキを早く踏む間違いを繰り返して、結果として無駄金を投じたことになっているのである。
A財政破綻
 結論から言うと、小泉内閣の緊縮財政施策で、国と地方の借金と隠れ赤字の総計を倍増させているのである。歴代内閣が政策を適切に行って、GDP成長率を仮に2%高く(1%成長を3%成長に)していれば、10年間でGDPの1.24倍、620兆円の国民所得(総生産)増が生まれていたのでる。そうすれば、税収が増え、財政赤字を減らしていけのである。なおGDP成長率を3、4%高く(1%成長を4%、5%成長に)していれば、10年間でGDPの1.92倍、2.64倍、960兆円、1320兆円の国民所得(総生産)増が生まれていた。(着色部は2005.3.26、27に修正・加筆)
 財政赤字を家庭の借金の感覚で議論するのは間違っていて、必要以上に債務額の水準の高さや後世代へのツケを強調したり、借金をゼロににしなければならないと煽るのは間違っている。いたずらに危機感を煽り、緊縮財政優先という間違った政策が、財政赤字を逆に増やし、為替損で金融資産の何兆円もの目減りをもたらしているのである。しかも、日本国民には緊縮財政で我慢を強い、その結果としてアメリカの国債を購入して、外国に貢ぐという、反国民的行為をやっているのが小泉内閣なのである。
B小泉内閣の施策で景気回復したのか、今後も景気回復に向かうのか
 小泉さんの手柄とされたが、小泉政策による回復ではない。世界経済情勢の幸運で下がり過ぎが盛り返し、また元々小泉施策の建前(潰れるものは潰す)に反する、税金投入による「りそな銀行」の救済という、禁じ手に市場が安心して危機が回避されただけなのである。
 少し回復のきざしが見えたので、緊縮財政施策を堅持したまま、国民の負担増を含む増税路線という急ブレーキで、また逆戻りをさせようとしている。過去の痛い失敗をまったく学習していない。
C整備新幹線の採算性
 新幹線のような社会資本施設は、単に利用料金で評価されるものを遥かにこえた便益を社会にもたらすものである。したがって、東海道・山陽などの新幹線のような運賃収入を望めない路線でも、利用料金のみで採算を評価するのは適切ではない。  

 以上の指摘のどこが間違っているのか、具体的に事実検証を含めて批判してもらいたいものである。おそらく、多くの批判者はここで挙げた具体的な根拠のほとんどは初耳なのではないかと思われる。それだけマスコミ論調は、財務省主導の非科学的な感覚論に偏っているのである。
 なお、田中知事批判では筆者と意見を同じくしても、公共事業や財政施策については、すぐには必ずしも同意できないとされる方々がおられるであろう。そのような方々はひょっとすると、筆者の存在が田中批判の勢いを殺ぐと懸念されるかもしれない。確かにそのように思われる方々が多数おられ、しかも田中批判や田中失脚だけが目的であれば、あるいはそうかもしれない。しかし田中を生み、それを何年も続かせた根源にあるものが、実は政策理念の問題であり、これが疎かにされたまま、仮に田中康夫が退いても、第二、第三の田中が出て来て、問題は何も解決されないのである。再び訴える。感覚的にではなく、冷静に、科学的に事実を見つめて、長野県、日本の将来を誤らせないようにしていただきたい。  

 最後に、書き込みの幾つかについて、コメントしておく。
@“先生の本業が工学だから、エコノミストと称する人々に免疫性がないのかも”
 確かに筆者の本業は工学だが、現職時代から狭い意味での単なる工学ではなく、土木工学は公共事業に関連する学問であるから、広く公共事業に目を向け、公共経済学についても勉強してきた。その間、見解を異ににする人を含む、著名な経済学者やエコノミストと意見交換をし、討議も重ねてきている。そうした中で公共事業論を展開している。紺谷氏はその中のお一人で、以前から高く評価している。“免疫性がない”とは、筆者に抵抗力がなく、病に侵され、つまり批判力のないまま追従していると言いたいのであろうが、どこに自主的判断力(抵抗力)がないのか、具体的に指摘をせずに、こんな感覚的な決め付けをするのはご免被りたい。紺谷氏に対しても失礼である。
A“まだ公共事業妄想にしがみついている。吉村時代の利権が忘れられないんだろうなぁ”
 筆者の論拠に具体的に反論して、どこが“妄想”なのか指摘し、筆者の関与した“吉村時代の利権”とは何かを言わないで、印象操作をしようとしている浅はかさに憐れみを禁じ得ない。
B“スガリさんを相手にしても時間の無駄遣いです。その手の議論であればかなり閑古鳥鳴いているもののヤフ某トピのほうがまだマシかと”
 直接的には“スガリさんを相手にして”いて、その的外れを指摘しているが、それでほとんどの“スガリさん”に理解してもらえるとは、筆者も思っていない。したがってそのために時間を費やしているのではない。もちろんスガリの継続ができなくなる効果を狙ってはいるが、むしろ主眼は、このスレッドをご覧になっている多くの真面目な方々に、“スガリ”を利用して、私の訴えを正確に知ってもらうことにある。
 また、このスレッドで議論するつもりは最初からなくて、実は、筆者の掲示板かメールで議論しましょうと書き入れようとしたのだが、これまでの筆者の遣り方を見れば分かると思って、敢えて書き入れなかった次第である。この追記のように、筆者の土俵で私見を述べ、それに“スガリさん”や真面目な批判者に参加していただければ幸いである。基本的には、このような場で遣り取りは公開するつもりである。

追記2(2005.1.30)
 その後のスレッドでの主な遣り取りを次の【 】内に示す。  

【966:長 尚 : 05/01/29 22:35:26 ID:???
 私の公共事業論について、批判される方、興味をお感じになられる方は、先ほどアップロードしました、「新幹線着工に関する平成16年12月18日付けの朝日新聞の社説について」http://www.avis.ne.jp/~cho/asse.htmlの「追記」をご覧ください。
 なおこの問題は本スレッドで深入りするのは相応しくありませんので、ご意見がおありの方は、私の掲示板かメールを利用してお寄せください。  

969:名無しさん@お腹いっぱい。: 05/01/29 23:43:01 ID:???
>>966
逃げんじゃねーよ、信大のセクハラ教授さんよw
せめて、700兆円の債務をこれからどうやって償還するのか、説明してみろよ。90年代に公共事業やりまくってその挙げ句の700兆円の債務だ。失敗を何度も繰り返すのか????公共事業妄想もいい加減にしろ!  

977:名無しさん@お腹いっぱい。: 05/01/30 00:14:00 ID:???
>>976
長も含めて、権力にスリ寄る体質なんだよ。長は以前は吉村&県政会にスリ寄り、今は国土交通省にスリ寄っているだけ】  

 969の「名無しさん」のような、人間の屑を相手にするのも大人気ないが、残念ながらこのような人も世の中におられ、選挙権は人並みに持ち、印象操作で世に害毒を流している。見逃すのは無責任なので、敢えてコメントしておく。
 “逃げんじゃねーよ”とは、意味不明である。むしろ筆者は攻めているのである。“信大のセクハラ教授さんよw”と、何を根拠に決め付けているのか。本来刑罰が科せられる行為で、その覚悟があるならば、名乗り出てもらいたいものである。“せめて、700兆円の債務をこれからどうやって償還するのか、説明してみろよ。90年代に公共事業やりまくってその挙げ句の700兆円の債務だ。失敗を何度も繰り返すのか????公共事業妄想もいい加減にしろ!”とある。921で筆者は、『拙文「新幹線着工に関する平成16年12月18日付けの朝日新聞の社説について」http://www.avis.ne.jp/~cho/asse.htmlもご覧いただいて、具体的にご批判願います』としてるのに、こんなことを平気で書くということは、拙文を読んでいないか、読んでも理解できないのかの何れかであろう。他人を批判(非難?)資格はない。

 977の「名無しさん」の“権力にスリ寄る体質なんだよ。長は以前は吉村&県政会にスリ寄り、今は国土交通省にスリ寄っているだけ”というのも、何の根拠もない思い込みで決め付けている。これまで筆者は、権力にスリ寄った事実はまったくない。前にも書いたが、吉村県政時代に県政の基本を審議する委員に就任したことはないし、国土交通省(建設省)や他の省庁に関連した委員会・審議会の委員になったこともない。むしろ、官も批判しているので、煙たがられているようである。緊縮財政を主張するほうが、財務省(大蔵省)、小泉首相という大権力を擁護し、国民を欺いているのである。このことを将来多くの国民が気付かされることになるのは間違いないと予言しておく。

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