【最初の物語の、導入】
舞台は1998年の首都、東京。そこには「変異種」と呼ばれる存在が居た。歴史的に彼らは「妖怪」或いはモンスターと呼称された存在で、それは高度に発達した文明社会の中、その裏側で、人間らとの接点を持ちつつ細々と、しかし確実に存在していた。
変異種は、元々は人間だが。成長時期のある一点、大概は第一次性徴から第二次性徴の間で、突如「変異」してしまい、異形の存在と化してしまう。彼らは人間の様な知能を有したまま、その後は人間社会から逃げて、そして仲間の元へと至り、人々から妖怪、魔物と呼ばれる存在になっていく。変異時期の問題で、彼らは生殖能力を残しているモノが少なく。その為に彼らは家族を持たない孤独な存在が多かった。
彼らが”都会”へ出ざるを得なくなったのは、高度成長社会の中、開発が進む森林その他から追われたからだ。彼らはやむを得ず、会得した変身能力を駆使し、人間社会に溶け込んで暮らすようになった。人間らの中にも彼らへの理解がある存在は居て。そんな人々の助力もあって彼らは何とか、人間社会の中にも、安住の地を見つける事には成った。時代が文明化するに従い、「変異種」と言える存在の発見例も減っていって。やがては消えていくのだろう、それは多分、喜ばしい事だ。彼らは平穏の中、そう考える様に成っていったが。だがそんな安息の時は、長く続かなかった。
事態は、思いもよらぬ方向へと進んだ。東京にて起こった、奇妙な猟奇殺人事件。「怪物が人を襲った?!」三流ゴシップ誌にのみ報道されたそれは、彼ら「変異種」による殺人事件だったのだが。”現場”で遭遇した変異種らが見たモノは、「変異種」の仲間、とはとても言えない様な、異様でグロテスクな個体へと変異してしまった奇妙な「変異種」だった。過去のどんな変異のパターンにも分類できず、また知能が低いくせに、殺意と自己防衛本能”のみ”が異様に肥大している。この「怪物」はこの時止む無く、現場に居合わせた変異種らにより「処刑」されるが。しかしこれに類する”変異”の報道が、全国で急激に増加し始めてしまう。彼らは区別され、「新変異種」と、呼ばれる様になった。
この状況に対し、人間社会で地位を得た変異種らが中心になって、「チェイサーズ」と言う探索機関が発足、展開し、日本中を監視する様に成っていく。しかし、その「新変異種」の発見事例は減るどころか増え続け、そしてチェイサーズでも手に負えない様な、凶暴で凶悪な個体が生まれ始めた。このままでは、危機感を抱く人間達による「変異種狩り」が始まってしまうかもしれない。そうなったら自分達の安息は潰える。彼らは恐怖に駆られた、そして非常手段に出る事になった。
「チェイサーズ」とは異なる、「ダークネス・ハンターズ」と言う組織が誕生した。新変異種の、早期発見と”駆除”と、そして情報の隠ぺい。その為なら手段は問わない超法規的組織。闇の中に隠れ、闇の技で同種の異なる”怪物”を狩る。彼らはただ、その為だけに存在する…悲しき狩人達は同種の、異なる異分子を消す為、世界の裏側で行動を始める様になった。
だがその頃、人間達の中にも、その「新変異種」の存在を知り、動き出した人々が居た。「γ(ガンマ)グループ」、その、広範囲の商品を扱う複合企業体連合にとって、「新変異種」のパワーは”兵器として”魅力的な物に見えた。調査が進められ、「新変異種」とは元は特殊な因子を持った人間である事が解ってくるが、何故かそれ以上の調査は上手く、進まなかった。妨害者が居る。彼らは利益性確保の為に、”それ”へ対抗する為の、強力な戦闘集団をも組織する様に成っていった。
怪物の発生が最も多いメガロシティ「東京」で。そんな狩人と狩人の戦いが、静かに始まろうとしていた。
【世界観設定】
※ちょっとこの辺、妙に穿った言い回しでしかもだらだら長いんで、なんでしたら流しちゃって下さい。別にお話自体に深く影響を与える訳ではありませんので。また、この設定はあくまで「黄昏の狩人」の中だけでのお話です。
・基本となる世界観
・宇宙に存在する生物は皆「魂」を中心として、それから放出される波長と、「自己認識」自分はこういう物だ、と言う意識によって三次元界にその姿を構成しています。また惑星など、「命を育む」力を持つ存在もまた、それ以上の巨大な魂を中心にして存在します。動物、植物などはその、「惑星の魂」から派生したモノで、人に例えれば細胞とか細菌とか、そう言うモノに成ります。それは母体を維持する為に存在し、その為に循環、連鎖を形成。生物と自然と大地、それが魂を共有している訳です。
しかしその中で、人間と言うのはその惑星、「母体」の純粋な子孫、同格なモノと言う位置づけに成っています。食物連鎖の一部では無い訳です。母体は、人間が生きて成長していく様に手厚く保護し、まるで羊水の中にいる赤ん坊の如く大事に育てている訳ですが。人間側はなかなか気付かない訳で、故に、自然破壊なども平気でやってしまう訳です。
・変異種
基本的には人間です。彼らは人間が変化したモノなのですが、それには人間自身と深く関わる訳があるのです。
地球上で生きる生物には、刻々と変化する自然環境に適応する様に「進化」のロジックが組み込まれています。環境変化が起こると、彼らは自然発生的に「進化」のロジックを起動させ、環境への適応を行います。「突然変異」はそんなロジックの結果で、それによって、生命体は環境へ適応した子孫を創って繁栄していく訳ですが。
ですが人間の場合、”環境”の直系の子孫故に、そう言う「制約」が無い存在です(良くも悪くも、会社の社長に社員は逆らいにくいですが、子供なら逆らえる、というような)。あくまでも自分の未来を決めているのは自分自身であり、成長こそ必要ではあっても”進化”する必要が無い訳ですが。もちろん「成長」を放棄した訳では無く、より高次元を目指そう!そう言う意識は発生する訳です。最終的には「母体」と同格な存在になる必要がある訳で、それが「向上心」と言うモノになっていく訳です。
ただ、「思考」と言う強力なロジックを持つ人間にその「向上心」は、「理性」自分はこうである、現在はこうだ、環境その他による、表面的な理解に大概は邪魔されてしまい、多くは抑え込まれている訳です(蛙の子は蛙なんだよ、とか)。「野心家」とは、この内なる向上心に素直に従う傾向の強い人の事ですが、向上心の向き先は個性の存在ゆえでも有り、必ずしも良いモノ、と言う訳ではありません。ともかくその結果で、人の行動は様々なバリエーションを産む事になる訳ですが。
「変異種」と言う存在が、通常の人間と最も異なっているのは。その「向上心」が、自己認識に直結した精神構造をしている事です。言ってみれば”魂が突然変異を起こしている”訳ですが。その結果彼らは人間の頃、通常の人間よりもずっと強い「自分はこうじゃない」異なる自分、と言うモノに苦しんでいます。そこに自然への畏怖や憧れ、現実からの逃避心、嫉妬や憎しみなどの激しい感情が流れ込むと、成りたいモノに、自分の自己認識を変化させてしまおうとします。
この変化が起こるのは、第一次性徴から第二次性徴の間、自己認識が希薄な頃ですが。時々はかなり年老いてから起こる事もあります。そして、そう言った「変身願望」が、次第に自己認識を浸食、新たな「自分の姿」を構築し、それへなり替わろうとしていく訳です。この状態はまだ、水を入れ封をしたヤカンを火に掛けているだけで、爆発の危険こそ有りますが、まだ「ヤカン」と言う状態は保っています。しかし突然のショック等によりこの自己認識が破裂してしまうと、今までの自己認識を破壊し、新たな自己認識を突然、再構成してしまう事になります。
しかし、元々は人間ですし、また「自己認識」故の結果なので。その知性まで消え失せる訳ではありません。変異種の多くは動物、植物への変化を起こしますが(現実からの逃避心が引き金になる事が多いのです)、その個体にはそのまま知性が残る事になる訳で、「妖木」「妖獣」などと呼ばれる事になります。また或いは植物などと魂を共有したり(樹の精など)、水の中で生きられる様になる(人魚とか)など、その変化の仕方は、想像力の限界まで多種多様です。ただし変化した後の姿は、人間であった時間が長い程、人間の姿に引きずられる傾向が有ります。また同じような理由として、「老い」を知らない程(つまり変異した年齢が若いほど)、変異した後の寿命が長くなる様です。
変異種の多くは、自分が変異してしまった事を知っていますから(当然ですが)、その「逆」も出来るのでは?と考える存在も出てきます。そうした者が、人間の宗教などを引きずって修行を行う事により、その自己認識をコントロールできる様になってしまいます。「化ける」と言う、妖怪等に共通する能力の理由です。ですが最初に変異した姿と言うのは、元の姿以上に強烈な自己認識が出来てますから、結局は初めの姿に引きずられます。「化け損なって尻尾を出す」んですね。また、一度常識で無い事をしてますから、人間的な「不合理への拒否」と言う感情が希薄になっています。人間なら物理的制約などに邪魔されて身に付かない「魂の力の解放」等も、簡単に行える様に成る訳です。魂の力とは、要するに「大地の魂との共和」であり、それは自然法則を操る術だったりします。人間はそれを見て「妖力」と呼び恐れる訳ですが。この様な経過を経て、彼らは次第にれっきとした「妖怪」へと成長していきます。
変異した際の感情は、その姿の理由や、そしてその行動原理に深く組み込まれる事になります。良い感情だけで変異する訳では無く、大概は憎しみや悲しさなどを理由に変異する訳で、そうなると人間への敵意が強いとか、執念深く呪うとか、そう言う存在も多く生まれてしまいます。そう言う”妖怪”は大概は仲間からも嫌われ、やがては殺されてしまう事も多々あります。
・新変異種
「新変異種」も、基本的には旧変異種と、構造その物はあまり変わりません。変身願望が高じて変異してしまう、そのパターンは同じです。違うのは、彼らが変異する時の精神状態が、従来のそれとは大きく異なっている事です。
「新変異種」になってしまうのは、殆どが若い世代です。1998年当時は、全体的な退廃ムードが漂い非常に陰鬱としています。社会構造の高度化等により、人間の行動は激しく制限されている結果で、「向上心」は酷く抑え込まれた状態になっています。社会構造の負のストレスを一身に受ける結果、自己認識も希薄化し、単なるロボットの様な生活を送っています。
もちろん変異種ですから、心の中からは「何か違う」そう言う声は有るのですが、社会構造の中でそれを見出す事の無意味さ等々を教え込まれている為に、それに従う事も出来なくなっています。些細な欲求は簡単に満たされる結果で、”不満”を明確にする事も出来ません。そう言う社会的なストレスの結果、彼らの精神は強烈な負を抱える事に成る訳で、「みんな死ねばいい、世界全てが崩壊してしまえば良い、自分にその力が欲しい」そう言う変身願望?へと変化して、増幅していきます。
この個体が変化してしまうと、変異する時に鍵になった感情が深く自己認識等に組み込まれてしまうわけで、強烈な破壊の衝動を発生する様に成ります。更に変異の際、現実否定が中心に成りますから、具体的な変身対象もありません(現実の何処にも”成りたい自分”を見出せない)。その為に、衝動に対して適当な体を認識の薄いまま設定してしまう結果、見るもおぞましい怪物へと変化してしまう訳です。その後は、激しい殺意や破壊衝動に振り回され、自己を律する事など出来ない知性なき怪物へと”変身”してしまいます。このような課程を経て暴れ出した「新変異種」がこの当時、”怪物”の噂になっている訳です。
・ダークネス・ハンターズ
人間社会に置いて地位を得る事の出来た変異種らによって組織された特殊技能集団の事です。完全に非合法的な組織で、その構成員は強力な妖力を持つ旧変異種や彼らを理解する人間らであり、いずれもありえない様な高い戦闘能力を持っています。当初組織された「チェイサーズ」と言う組織は発見や保護がその目的だった為に、探索などの能力こそ高くても、戦闘力には弱い部分が有りました。その為に殺害専門の「ハンター」の存在が必要になったのです。
彼らは、全国に展開している「チェイサー」の要請により行動を開始します。行動は秘密裏に行われ、それが一般人に知られた場合、その対象の記憶を消すか、ダメなら殺してしまう所まで行います。彼らは普段は一般の、比較的自由の利く職業について生活しており、構成員はそう多くありませんが、全国に一定数、存在します。組織の情報を漏らす事は許されず、それが起こった場合は情報を漏らした相手ごと、組織から消されてしまう事に成ります。闇の中で闇の技で狩る狩人と言う事から「ダークネス・ハンターズ」と命名されました。
彼らが戦闘を起こす際、あまり重火器は使いません。まず強力な妖力を使える変異種には、火器などの必要性が理解出来ない面もあり、また人間の構成員で有っても、周辺への被害や音の面で秘密裏に行いにくくなる、と言う観点で、使わない傾向が有ります。実際彼らの力は強力で、木刀ですら斬鉄剣と化す!様なパワーを持っていますし、人間の構成員でもパワードスーツなどで武装している場合があります。それであっても新変異種との戦闘では死者が出る、と言う事も多々ある事が、この当時の状況と危機的事態を発生させています。
・この当時のテクノロジーレベル
1991年に日本で原型が産まれた人類初の永久機関「VPE」バーチャルパーペチュアルエンジンは、その後各国の研究機関で研究開発が進み、今では自動車のエンジンサイズで、永久機関でありつつも最大出力60キロワットもの大電流を発生させる事が可能になっています。また常温までは行かなくとも270ケルビンの高温で超電導化する物質も発見されており、燃料問題などは解決の方向へ向かっています。電気自動車への急速なシフトが始まっていて、ヘッドアップディスプレイやCPUパワーの高度化により、かつては軍で使用していた様なシミュレータがゲームセンターで普通に動いています。今までの電話回線に変わり、光ファイバーケーブルと衛星通信、そしてニュートリノ通信の併用によって、町の美観を損ねる電線は姿を消しつつあります。ポータブルテレホンが安価で商品化された為、現在では電話線を引く、と言う事は時代遅れに成りつつあります。パソコン通信が全家庭に広がり、通話代の安価、均一化により、全国どこのネットでも容易く長居できるように成りました。
動力機関の革命的な進歩により、それまで不可能だった「パワードスーツ」が創れる様になり、その汎用性から、工事現場などでは重機の代わりとして多く使用されつつあります。完全二足歩行、完全人型などの、ガンダムの小型版みたいなロボットが技術ショーなどに出品される様にもなっています。
義手、義足の技術も進歩し、高価な物に成ると感覚まで再現できる様になっています。小型バッテリーも進化し、これらは一度付けたら半永久的に稼働できる様に成りました。リニアモーターカーは実用に向け急ピッチに行路が引かれており、現在では東京と大阪を結ぶ、元は新幹線の行路が一本、リニアモーターカーのそれに成っています。
以上の様に、技術レベルだけ見ればバラ色なんですが、人間の基本体質が変化して居ない為に「弱者は常に弱者」と言う図式が、これらに蔓延しています。一般人の生活は決してバラ色じゃありません。住宅事情は悪く、近代化と地上げの波は容赦なく、一般の人間はますます兎小屋で飼われる兎の様に、従順に無気力になっています。
本来この作品は、自分が主催していたゲーム制作サークルにて、「受験生なども居る?」状態から一時休止の必要があり、その間の暇つぶし的に始めた物で。その為、利益は「その後に生成されるだろうゲームなど」により得よう、と言うつもりだった気が、する。なので、その間、受験生が勉強する気に成らなくなるとか、そう言う問題を回避し得る物、と言う基本的な需要はまずあって。ともかく「それは良いモノだ」と言うのは間違いないから、それで今の様な規約を立ち上げては見た。”作者”もまた、労働意欲その他はお金に比する位大事な物で。”それ”により生成される物語が十分面白いのなら、それはそれで、十分な対価ではあります。
2015/08/25
追加補足
このルールのオリジナルには、「大野 美加」と言うキャラクターが設定の具体例として記述はあったが、本編での登場は結局無かった。この「黄昏の狩人」が、何かによって様々な「土台」にされていた時、その中に”この”キャラを土台にした作品が存在した可能性が結構あり・・・、神主?も知らないかもしれないが、「東方」と言う作品は実は、そうなのかもしれない・・・?
キャラクター設定具体例
1.名前 大野 美加/年齢17歳/性別 ♀/身長168cm/体重52kg
2.立場 とある女子高の二年生
3.容姿 ショートカットで、どちらかと言うとボーイッシュ
4.性格 とにかく頼りにされるのが好き。人が困っているのを見過ごせない。元気は良いが、若干早とちりな所があり、たまに失敗する。明朗活発な元気少女。
5.戦闘 運動能力は高いが、そう強くはない。
6.その他 好きな事 テニス、運動全般、読書 嫌いな事 爬虫類、数学の教科書、嘘をつくこと
どう見る(-_-;)。