ストリード
「律の手記 〜日露開戦〜」仮
 ちょっと「坂の上の雲」に対して何か言っちゃった手前、ふと考えてみた所。何となくちょっと思い付いた物語が有るので微妙にリテイク気味に。

2010/12/30
森宮 照


プロデューサーシート
タイトル「律の手記 〜日露開戦〜」
 概略 小説「坂の上の雲」を、ちょっと違う視点でドラマにした作品。

コンセプト「創作の力」

ハード的テーマ「日露戦争」否定肯定
 主に正岡子規の妹、律の視点で綴られる、日露戦争終結までの経緯。

ソフト的テーマ「密かなる英雄達」否定肯定
 描くのは主に軍人とか名が知れてる様な人々だが、実際にあの戦争を勝利に導いたのは表に出てる様な英雄らでは無く、もっと違う人々であると。

目的 日本経済の好転
それは無い 目的を達成しない

ディレクターノート
テーマ
表「創作の果たした役割」肯定否定
 文化的な物は、国を守る見えない防御力なのだが。ともかく実際に戦争が始まったら、かっこいいじゃ済まない。
裏「戦争は愚かだ」否定肯定

内容的には小説「坂の上の雲」をなぞる感じなのだが。主な視点は正岡子規の妹「律」で。その女性が、第二次大戦を前に。可能なら兄の様な事が出来ない物か、と言う願いと共に手記の様な物を書いている、と言う導入から物語は始まる。

説明
 明治。氏族の生まれだった正岡子規らは愛国心が強く。そう言う教育もされていて、特に子規のそう言うのは非常に何か、激烈でさえあって。「俺は国を救う男に成って見せる!」とか、子供の頃から、もう武士の時代では無いけど言ってる感じ。それに秋山家の人々も感化されて、昔からこの人々は軽微だが国家に刃向かう様なw事ばかりしていた。だが彼らが大人になり、実際に「社会」に出るような段になって、何となく大きなうねりと言うか、社会の大きさと言うか。そう言うのに屈する感じには成っていく。正岡子規はその中でも意識的には孤高を保ち、その文才を持って何とか国を寄りよい方向へ導かん!とか日々願っていて。律はそんな兄には閉口しつつも支えると言うか同意しつつ居た。
行動
 だが、ツテで新聞社に入社、外国文化に直に接する様になって、外国旅行の後で急速に病を煩い悪化させる。「何か大きな壁にぶつかってしまった様だ。だが、負けん」とか、逆に創作に意欲的になる正岡子規。自由俳句と言うか、それまでの形式に捕らわれない強烈な意思を込めた俳句によって次第に知名度が広まり、影響と言うか、そう言うのが世間を覆っていく。だが逆にそれと共に子規の病も悪化していく感じで、律としては止めさせるべきかどうか悩むが、結局何も出来ずに見守るだけで。ともかく国中の知識階級?が、何らかの強固な、統一的で崇高な思想性(後に外国からは武士道と呼ばれる)を持ち始める事で、特にロシアから?一目置かれる様な感じには成っていき、その根幹に正岡子規が居る、と言う事を律は何となく感じる。だが、子規への扱いはあくまで一介の俳人に過ぎず、政府の人々が”それ”に対して何か関心を持っていた訳では無かった。
事件
 やがて時代は覇権主義と言うか、国同士が物資を巡り略奪や侵略を繰り返す時代に入り、ロシアもその例に漏れず、子規は自分の無力さを痛感しつつ、次第に命を縮めていく。その当時軍属として相応の高官に成っていた秋山家の人々に、何かを託しつつ。彼はやがて病死、新聞は偉大なる俳人の死を悼み、そして。それを境にして、外国は日本に対して圧力を強め始め、日本はそれに反発する形で、有無を言わさず軍国主義の道へと突き進む事になる。律としては、兄の苦闘は無意味だったのか?それを秋山家の人々に聞かずにはおれなかった。
 そんな正岡子規の死を前にしても、特に海軍に入った秋山家の弟は国家に、上官に逆らう事は出来ずに居て、兄の方はむしろ戦闘志向で。弟は、自分は子規の様には成れない、だが兄の様にもなれん、とか何かの無力を感じつつも。律から子規の形見を貰う事で、それでも国を守る為に、出来る限りの事をせねば成らない、でなければ子規の死を無駄にする事になる!とか、相応の決意と共に海戦術を独自に研究し始める。その成果有ってか、弟は頭角を現してゆき、海軍学校で教鞭を取る迄になる。兄の方は持ち前の闘志と司令官としての有能さで陸軍騎兵の大将へと上り詰める。
解決
 やがて、対ロシア外交が緊迫し始める。外交で何とか!と言う思惑は旨く行かず、結局は開戦やむなし!に成っていって。そしてやがて開戦が決意され、秋山家の弟も作戦参謀として招集される事になる。総力戦、しかしこの時点で戦力差はあまりに絶望的で、過去の事例でも、似たような状況で勝ったと言う話が無い。立案される旅順閉塞作戦。だが秋山弟の目から見てそれは不可能とさえ言える内容。だが、それに対して上官を気にして何の進言も出来ないまま親友はその閉塞作戦によって死に、作戦は失敗し。状況は更に悪化の一途を辿った。
 閉塞作戦の失敗後、日本軍は旅順要塞攻略の為に死力を尽くす事になり。秋山家の兄が陸上から騎兵を指揮して挑み続けようやく攻略を完遂。その結果として旅順艦隊を何とか撃滅する迄に到り、やがてロシアのバルチック艦隊の襲来を迎え撃つ事になる。日本では戦争熱が加熱していき、徴兵も増え、主戦論が台頭し。律は兄の存在が人々から忘れられていく様を目の当たりにし、何かの無力感を実感する。それでも旅順周囲での秋山家の活躍は目覚ましく、多数の被害は出しつつも、ロシア艦隊と互角に渡り合って、やがてはロシアのバルチック艦隊を撃破し、それによってようやくロシアは講和を受け入れる。戦争に勝利した事に熱狂する日本国民。だがそれは果たして国に取って良い事だったのかどうか。律も、また秋山家の人々も、解らなかった。

この戦いは、彼ら三人の青年が日本に勝利をもたらしたと言っても過言ではない。
人間の力は弱くとも、時に不可能を可能にさえする。日露戦争はそんな戦争だった。
だが、この勝利は日本を増長させた。今まさに、終わり無き絶望的な戦いへと、
日本を駆り立てている。願わくば国民よ、その力を今、同じ轍を踏まぬ事の為に。

とか言う感じの文章を律が最後に記しつつ、途中で筆を止め、少し首を振って本を閉じ。兄様、私は兄様の様には成れません、とか、切なそうに呟きつつ、オチ。

end