森宮照の、気ままに
ショートサーキット
2006/04/02
「銀行が倒産する日」


有る熱意有る起業家が、事業を興そうと銀行からお金を借りた。
彼はそれを元手に事業を進め、やがて年間売上一兆円を超える大企業へと成長した。
その間、そこにお金を貸した銀行は長い付き合いを続けて貸し続けていたが、
ある時「最近新規事業の必要もないから。今期の借入額は少なくて済むよ」と、
ふと言われた。

銀行の、今では重役クラスの担当者はふと、背筋が寒くなった。

この企業は儲かっている。このまま儲け続けたらどうなる?自己資金のみで、既に有る設備のみで維持できるようになったら銀行から借りなくなる。そしたら銀行の”利益”、貸出金額の利子が入らなくなってしまう。そうなったらどうなる?銀行の利益はどうやって確保すればいいのか?そしたら銀行が潰れてしまう、そうなったら中小企業や一般の顧客から預かっている貯金も返せない、社会は大混乱に!?

その日から、銀行は変わっていった。


・・・と言う冒頭で今晩わ。最近ネットで話題だったりする(自己申告)age虫こと森宮です。久々ショートサーキット本編書いたりしてますが皆様如何にお過ごしでしょうか。ワンフェスにて美鶴さん一通も売れず!と言う苦境を突破というか過ごした森宮ですけど状況は厳しく最近すっかり陰謀史観に陥ってしまって。とにかく今回は、「何故最近の文化は面白くないのか?」に付いて、掲示板にて電波を受信しつつ語った奴をまとめてみよう、その様な感じでお送りしております。全てが銀行の陰謀!と言う訳ではなく、様々な非民主的な意向が絡み合って現在の状況が有る訳ですが、ともかく「銀行」と言う恐らくは”彼らの資金源”をカットすれば少しは動きが鈍るのではないか?その様な期待を込めて推論の告発なんかしてみる感じだったりします。銀行さーん、貴方暴走してますよー(・・・)。

・・・ともかく、まず銀行の成り立ちというか儲け方。

出張版の方でも書いてますが、銀行は「多額のお金を長期に貸していた方が利益になる」訳です。お金は一般の人々から”貯金”という事で集めて、その集まった膨大なお金を「運用」と言う事で企業に貸し出しその金利を得て利益にするんですな。銀行に預けておくと利息が付くでしょう?あれは結局「銀行に貸してくれている事の御礼」と言う奴です。銀行が出来立ての頃は、とにかく資金を集めないと行けませんから利息高かったんですけど、最近はお寒い限りですな(つ_T)。

まあともかく、その「多額のお金を長期に貸していた方が」と言う奴。最初の頃、まあ戦争終了後の高度経済成長時。あの辺は融資を依頼する事業計画の殆どが「多額の設備投資を必要とし、返済までに長い年月を必要とする」奴ばっかりだった、と思われます。今みたいなソフトビジネスなんか有りませんから、90円で仕入れて100円で売る、それを繰り返す事で何とか利益を上げていたと言う。「原価がそもそも高かった」ので利益も些細。企業は一回借りたら10年くらいずーっと、利子を乗せた返済額を返し続ける訳です。10年過ぎたら新しい設備投資をしないと。まあ住宅ローンを想像すればその通りだと思われますが。

だから、当時銀行にとって大事だったのは「貸し倒れは避けたい」と言う事だったと思います。金利5%で一千万円、担保は400万円くらいの土地、そう言う感じでも、2年で貸し倒れてしまったら?利子の利益で100万円、担保で400万円で500万円。差額で500万円もの損失が出る。額が大きくなったらこんなモンじゃ済まない訳ですが。昔の銀行は人を見て貸した、と言いますがそれも、「真面目にしっかり事業をし続ける覚悟は有るか?」を見ていた、そう言う感じだったんだろうと。

ともかく、この状態でずーっと居れば良かったんですけど、時代は移る訳ですよ。

恐らくは、ソフトビジネスか証券会社の登場辺りからだと思います。一千万円借りたら、1年も経たずに一億円にするような会社が出てきた。マイクロソフトなんか最たる物ですけど、それがだんだん時代の中心に移ってきた。ゲームソフトなんかもそうですけど、あれらは”原価が安い代わりに利幅が大きい”訳で、一発当たると借金なんか一気に返ってしまう位に儲かる。儲かるとどうなるか?5%と言っても一千万円では年に50万円も払わないと行けない。”出来れば払わずに済ませたい”のが経営者。しかし資本金一千万円以下の会社でそう言う事に成っても正直大した事は有りませんが大企業。上の例で出てきた会社を前にして銀行の重役?達は終末的な予測をするように成った、と思うのです。

「大企業がソフトビジネスに力を入れる様になったら、彼らは今まで通りに銀行から多額の資金を長期に借りる事をしなくなる。彼らが借りなくなったら、銀行は倒産してしまうのではないか?」

キャラクタービジネスとか映画ビジネスとか、もう最近はそう言うのばっかり。それで大ヒット!とかされたら自己資金だけで十二分に運営できますし、そんな商品ばかりになって小売店もバカ受け!大儲け!とかに成ったら当然銀行から借りなくなる、と思います。このまま放置しておいたら?銀行の利益が下がって倒産も有り得る、銀行が倒産したら?世の中は大変な事に成ってしまうのでは?!

この事態をどうやって回避するか?と言う事で出てくるのが、つまり「今のウチに(まだ銀行を必要とするウチに)製作会社へ圧力を掛けて、あまり売れない様にしよう」と言う奴だ、と最近の結論なんですけどね。銀行の中で密かに対策委員会が産まれる、そこに文化的にマイナーな皆様とか、製作会社内で業績が伸ばせなかった人とかが絡んでくる。銀行は”あまり”売れて欲しくない。彼らの作品を見ると?どう見てもあまり売れそうもない。もう「君らは素晴らしい!」とか言う感じで銀行はついプッシュしてしまって製作会社とかに押し込む。認められた彼らは喜んで駄作を産み出し続ける。結果利益が上がらず企業は銀行から再び金を借りざるを得なくなる。何でこんな作品作ったんだろう?そう言うのは恐らく、みんなコレじゃないのか?と、ふと思ったりするんですよ。

まあイメージ的には「新世紀エヴァンゲリオン」の”ネルフ”と言う組織、アレを想像して貰えれば分かりやすいかと思いますが、とにかく「我々は世界を守る為に!」と言う正義感で、彼らは使徒を攻撃するが如く新しい芽を”育つ前に”必死で潰す訳ですよ。大ヒット!して大儲けなんかさせないように、常に企業はギリギリの経営状況で居る様に。コレは場合によっては世界的なネットワークなのかも知れません。金融危機を起こさない為に、世界を破滅させない為に。そう言えば最近では「ウルトラマンネクサス」と言う、”東京を覆い尽くす封印”とか言うのが有りましたな。とにかくお金を借りている限り企業はその意向にはなかなか逆らえませんし、相手は「世界を守らねば成らない!」と言う大義の為に動いてます。面白い奴、「大ヒットしそうな奴」こそ世の中を破滅させる元凶、この金の亡者め!貴様らの様な奴が居るから!!劣等感の裏返しも絡んで決意の固さは並みでなく、やがてその方向性は負け組を巻き込んで数で圧倒、文化全体を支配し始める、しかし。

この「企業をギリギリの状態にする」のは、実際問題として”極めて難しい”のです。ソフトビジネスの場合当たり外れが大きすぎますので、「当たった」ら一億でも「外した」ら100万にも成らない、そう言う事はザラです。でも制作費は二千万円位。ストップウォッチで十秒きっちりで止める、と言う遊びが有りますが、アレで十秒(10.00〜10.05秒の間位)できっちり止められます?その難易度はアレをやっている様な物だと思えばイメージはし易いかと。そして”十秒未満は全て破産”です。ホンのちょっと失敗しただけで倒産、でも成功は絶対にさせてはならない。勢い九秒くらいを狙ってしまう。最近のゲーム業界にて倒産の嵐が吹き荒れてますが、理由は間違いなくコレだと、自分は確信してます(-_-;)。

 しかし挑戦者が居なくなると困りますので(彼らに売れるモノを作る制作能力は無い訳ですから、市場が死んでしまう)、適当な作品(見て「これで売れるなら」とか思う奴が望ましい)を意図的に(経費を使って)大ヒットさせて、風潮を作り新たなる犠牲者、もとい挑戦者を待つ訳ですが、問題はコレが続くと「販売店が潰れてしまう」訳ですよ、”売れないから”。そこにまた銀行に多額の損失が産まれる。それは避けたいので過去のデータから、とにかく内容以外で「客が買う理由」を総動員してその作品を持ち上げる訳ですが(広告とか絵とか音楽とか)、だんだん効かなくなってくる。しかし”経費を使う”事は望ましいのです、銀行が儲かるから。それに倒産した企業の損失はその新たな貸出金額の利子で埋まります(埋めたつもりです)から。まだ大丈夫、まだ行ける、銀行は儲かるのだから!でどんどん借金を増やさせていく。次は成功する!(ギリギリの収支決算に納まる!)ゲームじゃないんですけど、恐らく担当者は何かの挑戦をしているつもりだろう、と思われます。

しかしこの操作、「倒産したら貸した金は回収できない」のに、「利子で回収する為には二十年とか必要」な訳ですよ。そして二年以内に倒産する確率も異様に高い。と言う事は、続ければ続けるほどその文化全体が衰退してしまう。「コレが成長限界と言う奴か!」とか、「人はこの地球上でしか生きられませんから」とか、なんか彼らは勝手な終末予測に陥り、何を考えるか?というと「全部ぶっこわして0に戻そう」とか言う方向へ・・・、成ったりしても不思議ないんですよね現実。

とにかく今、全てのソフトビジネスは大変な状態に陥っている、と思われます。永田議員の偽メール問題も、或いは無関係では無いのかも知れません。とにかく巨大な超国家的権力が「世界を守る為に」世界を破滅させようとしている、そんな想像は決して大げさではないと思うんですよ。

掲示板で語られた物を見ていても、現在もうそれ以外に「何でこんなに面白くない物をわざわざ作るの?」に対する理由が無いんですよね。エヴァンゲリオンからこっち、もう十年近くのトライ&エラーっつーか、駄作の山が積み上がっていますが「売れないから」でそれが止む気配は無く、むしろ悪くなっていて、そして恐らく銀行の収支決算も本音は無茶苦茶不味い状況だと思います(回収の見込みがないのに多額のお金を貸していて、その”利子”が経営利益として計上されている)。一兆円貸せば、5%で年間五百億円の利益。凄い儲かっている?訳じゃなく、そう見えるだけ。ライブドアの粉飾決算並みにひじょーに厳しい状態だと思うんですけど、銀行が貸す限り企業は倒産しませんから見た目上経営は成り立ってしまう訳で。しかし企業が倒産したらその一兆円が回収不能に陥る。だんだん本来とは違う理由で彼らは結束を固める訳ですが!

・・・しかし、「利子」をチャラには出来ないので、利子は支払い続けねば成らず、利子の額が大きすぎて利益を食って、足りないから借りて・・・、やがて二兆位の負債を抱えて倒産し、銀行は二兆の損害を出し、預金者達の貯金がそれで消えて、それでも足りなくなって・・・。

このままコレが続いたら、真面目に近いうちに破綻します。そうなったら世間はどうなっちゃいます?ある日突然「すいません、銀行破綻したんで、預かっていた退職金の二千万円は返せなくなりました」、あらーそれは困りましたねーで済む問題じゃ無いんですよ真面目に。

何とも「最近のゲームが面白くない理由」からとんでも無い所に来てしまいましたが、ネットでこの話をすると”銀行側として”肯定する奴が居たりするので(少なくとも「あり得ない」と反論してくる奴は居ない)、「リアルに現存する」のは間違いない!とはなんか思います(森宮の「美鶴さんの長い妄想」も、きっと郵便局で三百万通位の注文が不当に止まっているに違いないんですよ!!(・・・))。この状況、企業が負債を重ね続けてやがて破綻する、をどうにかするには?と言うと、とにかく今は大ヒット!を出させて会社を儲けさせて負債を減らさないと不味い訳ですが。しかしそうなったら多分、もう二度と言う事なんか聞かなくなります(大当たりしたら”借金の手綱”が無くなってしまう)。そうしたらやっぱり破滅です(彼らの理屈だと)。だからこの包囲網を緩める事は無いかもしれません。銀行、郵便局、出版社、流通、全てがこの「企業は大儲けせず、常に銀行から借り続けねば成らない!そうしないと世界は滅んでしまう!!」に支配されている限り、文化は衰退し企業の売上は減り続け銀行の貸出金額は保有資金を超えて膨張していく訳で。やっぱり最後は破滅してしまう・・・。

あー、困った困った、で今回はこの辺で。個人的な結論としては「企業の自由競争が激化すれば勝手にデフレスパイラルが発生して経営キツキツに成るからそんな心配しなくても大丈夫だっつーの」でファイナルアンサー(FA)なんだけど、どーも銀行の人にはこの結論、解っては貰えなそうな気がするのが何か嫌。ハードディスクは記憶容量こそ凄くても思考能力はない。なんかふと浮かんだ一言だったりします。彼らの脳内にある情報から検索すれば、今の状態は「過去の”最も良い状況”に等しい」筈なんですよね(-_-;)。高度経済成長時。企業の利益は少なく、銀行は多額の資金を長期に貸していて、護送船団方式で守りつつ・・・。当時とそっくりじゃないか、何の問題がある?

うがっー!やばいー!!(T_T)


END