遭難家族     We are accident families.
休日の行動というものは事前のうちに明確にし、用意準備を周到にしたうえ、前夜は
うきうきわくわくしながら、いつもよりちょっと早めに布団に入り、明日1日の行動を頭
の中でイメージしながら眠りにつかなければならない。
これが正しい家族のホリデーの姿というものだ。

でだっ!
今回の我が家はというと・・・・・・・・6/22日曜日の朝。

AM9:00 「今日はちゃりんこでもやるか〜」と決める。

AM10:15 朝飯(スパゲティナポリタン)をサクサクと腹に納め、ハイラックスに3台の
       MTBを積み込み、家を出発。

AM10:30 近所の交差点で信号待ち中、目の前を会社の同僚サブ(一応部下、25歳)
      が彼氏とデートしている姿を目撃。
      「おまえ、休みの日はいつも昼過ぎまで寝てるくせにデートだと早ええなあ〜」
      と 速攻で携帯に冷やかしを入れる。

     電話を切った後、「今日は黒姫のへんでも走るか!」と決める。
 
AM11:30 ハイラックスを時速40km/hで走行中、黒姫スキー場 手前1km地点で荷台に
      積んであったMTBに取り付けてあったチャイルドシートが外れ、路上に転落。
      若干破損。

AM11:50 破損したチャイルドシートを無理矢理タイダウンベルトにてMTBに取り付け、
      修繕。
      自販機にてアクエリアスペットボトル500mlを3本買い、黒姫スキー場駐車場
      の北側より、黒姫山の北斜面を回り込むように延びる、信濃路自然歩道に向
      けてMTBを漕ぎ出す。

      所持品:タバコ・デジカメ・財布・タオル・携帯工具&なぜかザイル(20m)
           食料はいっさい無し。雨具・ウィンドブレーカー等の上着も無し。
           地図ももちろん無し。
           他大人♀1名、少年1名、幼児1名。

     走りはじめて見えた看板(下Photo)を見て、「よし!目的地は苗名滝だ!!」
     と決定した。     



自然歩道はブナやミズナラ、杉に囲まれた森の小径である。
森林浴満喫。
だけど、毎年秋口になるとハイカーや山菜取りが熊に襲われるので有名な道。

なにやらブルのキャタピラの跡が・・・。
これのおかげで入口〜1km地点まではぬちゃぬちゃ化していた。


ようやくいい感じの山道となる。
だけど、ゆるやかなのぼり坂の為、スケはMTBを押しっぱなし。
ナツもチャイルドシートには座らずに歩いたり走ったりしながら後を追う。
大人だと問題無く、漕いでいっちゃうんだけどねぇ〜


父ちゃんの教え その1:「手出し無用」

仲間と単車で山遊びするときの掟でもあるんだけど、難所が現れてスタックして
いる奴がいてもも絶対に手は出してはいけない。 
じっと見守るのだ。(口は出しても良し)


父ちゃんの教え その2:「登れそうな木があれば登っとけ」



PM 2:00 水圧管の橋に到着。                                   
       4.5kmの道のりをわいわい騒ぎながら延々MTBを押し歩き、約2時間
       かかった。
       ところがこの先は急激な下り坂となる。
       復路でこの急坂を少年がMTBを押し上げるのは不可能と判断し、3台の
       MTBを水圧管の橋にデポし、ここから先は徒歩(今までも徒歩だったけど)
       で苗名滝を目指すことにした。   
              

急なつづら坂を100m下ったら。道は谷沿いとなる。
木の幹をリスが駆け上る楽しい道。
ナツに疲れが見え始めた。騙し騙し、歌を歌いながら進む。


こんな楽しいトンネルもある。


トンネルの真ん中には空に向かって、まんまるい穴が開いていた。
井戸の底から天を仰ぐ貞子の気持ち・・・・。


PM 2:45 この緑の回廊の先に分岐が現れた。
       分岐には看板があり、「苗名滝まで1km」とあった。
       6.5Km。小さな体でよく歩いたものだ。2人ともえらいぞ!
       苗名滝は新潟県側からも舗装路でアポローチできる。
       有名な景勝地であるから、食堂なんかもあり、うまくもないラーメン
       や山菜蕎麦も観光地価格で食えるはずである。


    どどどどどどどどどどーーーーーーーーーーーー!!!!
    という滝の爆音がはるか下方の谷の底から聞こえてきた。
    目的地は近いぞ!
    「おまえ達、腹減ったろ?もうじき飯だから頑張れよ!」

    そう言うと、俺は分岐を直進するのでなく、右の谷底方面に進路をとった。
    さすが観光名所である。谷底に向かって下る山道は整備されていて歩き易い。
    「お〜い、走りながら下るとコケるぞーー!」
    滝よりも御飯目当てにスケは気持ちが急いていた。

   が、がっ、がぁーーーーーーーーーっ!!!!!

   下れば下るほどさっきまでの滝の爆音は遠ざかるのである。
   というよりも既に聞こえない。
   そのうち道は舗装路になった。
   「ぜってぇーーーーー違う。 道間違えたわ・・・・。」
   
   が、登り返す元気も無し。
   おまけにナツは爆睡モードだし。(寝ちまった子供ってなんでこんなに重いかねえ)


  PM 3:00 麓の村を目指してスタスタと歩く。
         この道は東北電力の作業道で、川沿いの発電所まで延びていた。

    
    とにかく飯だ。腹に何か入れないことにはハンガーノックで動けなくなっちまう。
    3kmほど歩けば杉野沢の民宿街があるはずだ。
    妙高杉の原スキー場の麓にあるこの町にはコンビニやラーメン屋があった
    のを憶えている。

PM 3:30  ナツをカミさんと交代でおんぶしながら、ようやく杉野沢の民宿街に到着。
        あー、やれやれ。

    ところが、ところがである。杉野沢の食堂やコンビニはスキーシーズン中しか
    営業してない。いわばゴーストタウンなのである。
    マジかよ〜!!
    うろうろうろつきまわって、ようやく雑貨屋で菓子パンにありついたのだった。

    で、さて次はちゃりんこ取りに戻らなきゃ....だ。
    さっきの雑貨屋のオババから地元のタクシーの電話番号を聞きだして携帯
    でTEL。
    まもなく黒塗りのハイヤーが到着。
    「黒姫スキー場の駐車場までお願いしま〜す」

    なんだか悲惨なんだかリッチなんだかよくわからないが、タクシーに乗った
    スケが 「おら、生まれて初めてタクシーに乗ったよ」
    と感動を口にしてちょっと救われた気がした。

     黒姫スキー場の駐車場までの料金  1730円也

   父ちゃんの教え その3:「どこ行く時も金は持ってけ」


PM 3:55  てなわけで朝、じゃなかったお昼のスタート地点である信濃路自然歩道
        の入口にタクシーを横付けし、料金を精算していると森の奥からチリン・
        チリンと熊避けの鈴の音がしてきた。
        な、な、なんだぁ????と思えば
        威嚇的なサイクルウェアのMTB軍団がゾロゾロと森から吐き出されてくるでは
        ないか!
        そして軍団の最後尾から来たのが な、な、なんと友達の店主
         (MTB SHOP;POWER SPORTS SICKの店長ね)だった。
        今日はお店のお客さんを連れての山岳サイクリング「ツールド大秘境」の日で、
        朝、戸隠をスタートして、そのツールド大秘境のゴールがこの黒姫スキー場
        の駐車場だったってわけ。

        まったく、よりによって一番カッコ悪いところを見られちまったな・・・・・・ちっ。


        店主も山ん中で見覚えのあるMTBが3台放置してあったもんだから随分
        びっくりしたようだ。
        人影が無いから山菜でも採ってんじゃないかと思ったんだって・・・。

  
   まあ、それはさておき。暗くなる前に、この山道を再び歩いて登って水圧管の橋にMTBをとりに
   戻らなきゃならないのである。
   再び4.5kmの道のりを4人で歩く。
   寄り道・道草禁止。 但し、大声で歌うのは良し。

   足早に、スタスタ、スタスタ。

   
PM 5:15  秋ならばとっくに遭難認定時刻に、水圧管のMTBデポ地点に到着。
        しかし、良く歩いたな今日は。 
        息子よ、弱音吐かずに良く頑張った!←そーゆうところはかーちゃん似だな。
       で、 いったい何しに来たんだっけ?

        「自転車乗りに来たんだよぅ!!」

    「ちん玉ぶつかっていたいよぉ」と言いながらもどんどん下る。


  PM 5:30 だけどまだ明るいでしょ?
         ははは、あたぼうよ!今日は夏至だもん!


父ちゃんの教え その4:「1回の失敗でメゲてはいけない。次は絶対に苗名滝までいくぞ!」



おしまい



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