『政冷』解決求む−平和と善隣友好の大道へ
                       日本国際貿易促進協会理事長 中田 慶雄

 年末の12月12日から15日まで中日友好協会(宋健会長)の招請を受け、日本の友好7団体実務代表団として北京を訪問した。12日夜に宋建会長との会談に始まり、13日には日中双方の事務局代表による「日中関係促進」に関する討論会を行った。続いて外交部武大偉副部長との会談を行った。14日には国務院台湾弁公室王在希副主任、続いて文化部孫家正部長との会談を行った。さらに14日午後には中南海で唐家旋国務委員と会談した。

 1、05年を善隣友好進展の年に

 一連の会談を通じ、次の共通認識を確認し合うことができた。今年は世界にとって第2次世界大戦終結60周年の大きな節目の年となる。日本国と国民にとっては、軍国主義によって推し進められた中国への侵略、さらに太平洋戦争へと拡大し、死者300万人という犠牲の上に、戦争から平和、軍国主義から民主主義へと大転換した年から60年である。中国をはじめアジア諸国にとっては、日本による侵略からおびただしい犠牲を払って独立と解放を成し遂げた年から60年である。

 われわれ日本国民はこの歴史の教訓を深く、真摯に反省し、再びあのような過ちを繰り返してはならず、とくに大きな被害を与えた中国をはじめアジア近隣諸国との善隣友好協力を新しい段階へ推進しなければならない。とりわけ現在の日中関係が「政冷」といわれるほど悪く、経済協力は50年以上にわたる努力で大きく発展したが、両国の政治・外交・一部の国民感情では問題が発生した。なかでもわが国政府首脳の「靖国参拝」と一部の人々による「台湾独立と分裂」行動への「共鳴や加担」が両国の友好の発展の障害となっている。この2大問題は避けて通ることのできない問題であるため、友好団体はこの実態と緊急解決を要する問題を広く呼びかけ、政府にもその解決を要請していくことになった。

 2、中国要人心からの談話

 今回の一連の会談を通じ、とくに唐家旋国務委員から、自らの数十年に及ぶ日本友人との交流と協力を振り返りながら、切々たる思いを込めて中国の外交と対日政策の紹介があった。

 「友好団体の友人は50年以上、自らの体験と強い意志に基づき、日中友好協力を促進してきた」と高く評価するとともに、「中国の国家指導者は毛沢東、周恩来、ケ小平、江沢民、胡錦涛へと歴代にわたり、中国と日本との友好関係を何よりも大切にし、重視してきた。先般の胡錦涛国家主席と小泉首相の会談及び温家宝総理と小泉首相との会談は、表現は違っても心からの談話であり、会談を実現したことそのものが容易でなく重要であり、会談は成果を得た。この成果をほごにしてはならず、前進させなければならない」と語った。

 また『首相の靖国参拝』と『台湾問題』への対処は今後中日関係が進展するか否かの『試金石』である」と述べ、「中国は決して一般国民や政治家の靖国参拝に反対しているのではない。首相がA級戦犯の祭られている靖国に参拝する行動は国家・政府を代表した行動で、日中共同声明に反し、中国・アジア各国民の感情を逆なですることになるので反対している」と述べた。

 さらに「李登輝訪日許可は台湾独立・中国分裂画策に与し、共同声明の『一つの中国支持』に反するものであり、台湾海峡の緊張と不安に手を貸すことになるので中止して欲しい」と説明した。

 3、日本国民自身の課題

 「歴史」問題は「あの大戦を決定し、実行した国の責任者」が内外に与えた大惨事の責任をわれわれ日本国自身が明確にすべき問題である。さらにこれをわが国政府首脳が行動と誠意をもって示すことによってこそアジア諸国民の信頼と尊敬を得ることができる。
 新しい年、戦後60年を、これら課題を前向きに解決し、日中関係が平和と善隣友好の大道に向かい、政治・経済・国民感情ともに発展する年としたい。

                   「国際貿易」(05年新年号)より